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バルト国の王都到着
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長い冬が漸く終わり、平地の雪も溶けてきた。
「もう、行けるかな?」
行けるというのは、天空の塔ダンジョンだ。
「そうだな。シュガーもフレイムも、外で活動出来るようになった。どこまで行けるか分からないが、挑戦してみよう」
移動。あの海岸へ。
春の海岸には、まだ寒いからか、誰もいなかった。岩影だから、こっちに視線を向けてないと見えないんだけど。
「ちょっと待っててね」
ここからダンジョンまでは、結構距離がある。道から外れた場所に移動出来れば最高だ。
「ダンジョンからは離れているけど、いい感じの所があるよ」
海は、王都の南に広がっている。塔も南側だ。
でも、ちょっと隠れて亜空間から出られるような所は、王都の西側にある。
入り口は王城のある北側以外の3方向に空いているから、西から入って王都観光をしつつ、南門から出ればいい。
「おー。ゴブリンなんて見るの久しぶりかも」
この辺は本当に魔物が弱い。低木の茂みから出てきたのは、ホーンラビットの下位種、ブッシュラビットだ。
ホーンラビットよりも小型で、肉はヤブランのおやつ位しかないだろう。
そして…モコモコ!外でモコモコを見たのは初めてだ!
「こら、メイ!」
感動して抱きついた私を、ランスが引き剥がす。
「ああ…そのまんま、3階層のモコモコだよ…」
「…主のもふもふ好きにも困ったものだ」
そんな、私だって考えて抱きついているよ?…なんて、やらかしているから信じてくれないかもしれないけど。
「ごめんね、折角のモコモコだけど、お肉と毛玉になってね!」
そう。私はもう従魔を増やすつもりはないんだ。
かなり並んで入った王都は、今までで一番広くて、たくさんの人で賑わっていた。
すかさず抱っこしようと手を伸ばしてくる二人から逃げる。
「もう!いい加減子供扱いはやめて!身長だって伸びたんだから、人ごみでも見えなくなったりしないんだから!」
例え見えなくても、私が離れれば分かるし、どう見ても一般人な只の子供を拐う理由はない。
「それに、簡単に私は拐われたりしないよ?」
これでも上級冒険者枠だし…条件付きではあるけど。
トラブルに遭っても、1人で解決出来るし。
漸く折れてくれたけど、人ごみを器用にすり抜けて、つかず離れずの位置をキープしている。
食料品店では、特に珍しい物はなかったけど、ダンジョン産と思われる物がかなり売られている。それらはあんまり見ないようにして、教会に寄ってお祈りだけ済ませた。今日も何もなかったな。
次に寄ったのが、冒険者ギルド。壁に大きく塔の攻略法が載った紙が貼られていたけど、それは困った時に見るべき物だ。
パーティーもふもふは、一応上級パーティーだから、拠点を変えた時には近くのギルドに申し出る必要がある。
もふもふに向けて、通知が一件あった。アレスの湖ダンジョンの報酬に関してだけど、王より勲章が頂けるとか…それ受け取ったら、準男爵の位が貰えるとか。
要らない。全く興味ないって向こうのギルドマスターには伝えたはずだけどな…
もう国にもいない事だし、わざわざ戻って来いとは言わないよね?
「じゃあ、みんな行こうか?」
「いや…もう夕方だが、良いのか?」
「大丈夫」
マスター権限で、ダンジョン内で亜空間を開けるから、攻略に迷って情報が欲しいとかじゃなきゃ、ここに戻る必要はないんだよね。料理はかなり作り貯めしてあるし、肉等のおやつも準備してある。さすがに亜空間移動は出来ないみたいだから、外に出たらまた入りなおしだけど、魔法石で転移すればいい話だ。
みんなが戻り足をかける中だから不思議がられたけど、塔の周囲には壁もあって、テントも多数見られる。
スタンピードが起きたら真っ先に犠牲になるかもだけど、そうある事でもない。
私達ももうこんな時間だから、1階層抜けられるかな?って所だけどね。
1階層でオリハルコンの双剣の慣らしをしていると、帰りがけの冒険者達が生暖かい目で見てくる…きっと、子供に経験を積ませようとしているように見られているんだろうな…でも、冒険者として、技量を見抜けないようじゃ、この先苦労するよ?
この双剣がオリハルコン製だと知ったら驚くだろうな…
屑魔石も、幾つか合成すれば付与に使えるから、ちゃんと集めている。
塔ダンジョンは、内壁も石造りで、割れて外が見える所があったりする。
実際に外からも穴が空いているかは分からないけど、外と繋がってたら嫌だな…今はいいけど、これから上に登っていくんだから。
スライムと草相手だと、練習相手には不十分だな。重さに慣れられればと思ったけど、それなりにこの双剣でも戦ってるし。
2階層への階段と、魔法石を見つけたけど、ここから先はまた明日からだ。フレイムが大豆をおやつ代わりに食べちゃう位にはお腹も空いた。
あれ?鳥が豆を食べるのは普通なのか…フレイム、チョコのボール、好きだもんね。
よし。亜空間開けられた。ダンジョンで開けられるようになれば、一々戻る必要もないから、効率的に進められる。
「でも、お休みは必要にゃーよ?」
そうだね。私の事だから、楽しい事にはつい熱中しちゃいそう。
亜空間を開ける人はあんまりいないかもしれないけど、ダンジョンで開ける人はもっといないだろう。
出入りは気をつけよう。
「もう、行けるかな?」
行けるというのは、天空の塔ダンジョンだ。
「そうだな。シュガーもフレイムも、外で活動出来るようになった。どこまで行けるか分からないが、挑戦してみよう」
移動。あの海岸へ。
春の海岸には、まだ寒いからか、誰もいなかった。岩影だから、こっちに視線を向けてないと見えないんだけど。
「ちょっと待っててね」
ここからダンジョンまでは、結構距離がある。道から外れた場所に移動出来れば最高だ。
「ダンジョンからは離れているけど、いい感じの所があるよ」
海は、王都の南に広がっている。塔も南側だ。
でも、ちょっと隠れて亜空間から出られるような所は、王都の西側にある。
入り口は王城のある北側以外の3方向に空いているから、西から入って王都観光をしつつ、南門から出ればいい。
「おー。ゴブリンなんて見るの久しぶりかも」
この辺は本当に魔物が弱い。低木の茂みから出てきたのは、ホーンラビットの下位種、ブッシュラビットだ。
ホーンラビットよりも小型で、肉はヤブランのおやつ位しかないだろう。
そして…モコモコ!外でモコモコを見たのは初めてだ!
「こら、メイ!」
感動して抱きついた私を、ランスが引き剥がす。
「ああ…そのまんま、3階層のモコモコだよ…」
「…主のもふもふ好きにも困ったものだ」
そんな、私だって考えて抱きついているよ?…なんて、やらかしているから信じてくれないかもしれないけど。
「ごめんね、折角のモコモコだけど、お肉と毛玉になってね!」
そう。私はもう従魔を増やすつもりはないんだ。
かなり並んで入った王都は、今までで一番広くて、たくさんの人で賑わっていた。
すかさず抱っこしようと手を伸ばしてくる二人から逃げる。
「もう!いい加減子供扱いはやめて!身長だって伸びたんだから、人ごみでも見えなくなったりしないんだから!」
例え見えなくても、私が離れれば分かるし、どう見ても一般人な只の子供を拐う理由はない。
「それに、簡単に私は拐われたりしないよ?」
これでも上級冒険者枠だし…条件付きではあるけど。
トラブルに遭っても、1人で解決出来るし。
漸く折れてくれたけど、人ごみを器用にすり抜けて、つかず離れずの位置をキープしている。
食料品店では、特に珍しい物はなかったけど、ダンジョン産と思われる物がかなり売られている。それらはあんまり見ないようにして、教会に寄ってお祈りだけ済ませた。今日も何もなかったな。
次に寄ったのが、冒険者ギルド。壁に大きく塔の攻略法が載った紙が貼られていたけど、それは困った時に見るべき物だ。
パーティーもふもふは、一応上級パーティーだから、拠点を変えた時には近くのギルドに申し出る必要がある。
もふもふに向けて、通知が一件あった。アレスの湖ダンジョンの報酬に関してだけど、王より勲章が頂けるとか…それ受け取ったら、準男爵の位が貰えるとか。
要らない。全く興味ないって向こうのギルドマスターには伝えたはずだけどな…
もう国にもいない事だし、わざわざ戻って来いとは言わないよね?
「じゃあ、みんな行こうか?」
「いや…もう夕方だが、良いのか?」
「大丈夫」
マスター権限で、ダンジョン内で亜空間を開けるから、攻略に迷って情報が欲しいとかじゃなきゃ、ここに戻る必要はないんだよね。料理はかなり作り貯めしてあるし、肉等のおやつも準備してある。さすがに亜空間移動は出来ないみたいだから、外に出たらまた入りなおしだけど、魔法石で転移すればいい話だ。
みんなが戻り足をかける中だから不思議がられたけど、塔の周囲には壁もあって、テントも多数見られる。
スタンピードが起きたら真っ先に犠牲になるかもだけど、そうある事でもない。
私達ももうこんな時間だから、1階層抜けられるかな?って所だけどね。
1階層でオリハルコンの双剣の慣らしをしていると、帰りがけの冒険者達が生暖かい目で見てくる…きっと、子供に経験を積ませようとしているように見られているんだろうな…でも、冒険者として、技量を見抜けないようじゃ、この先苦労するよ?
この双剣がオリハルコン製だと知ったら驚くだろうな…
屑魔石も、幾つか合成すれば付与に使えるから、ちゃんと集めている。
塔ダンジョンは、内壁も石造りで、割れて外が見える所があったりする。
実際に外からも穴が空いているかは分からないけど、外と繋がってたら嫌だな…今はいいけど、これから上に登っていくんだから。
スライムと草相手だと、練習相手には不十分だな。重さに慣れられればと思ったけど、それなりにこの双剣でも戦ってるし。
2階層への階段と、魔法石を見つけたけど、ここから先はまた明日からだ。フレイムが大豆をおやつ代わりに食べちゃう位にはお腹も空いた。
あれ?鳥が豆を食べるのは普通なのか…フレイム、チョコのボール、好きだもんね。
よし。亜空間開けられた。ダンジョンで開けられるようになれば、一々戻る必要もないから、効率的に進められる。
「でも、お休みは必要にゃーよ?」
そうだね。私の事だから、楽しい事にはつい熱中しちゃいそう。
亜空間を開ける人はあんまりいないかもしれないけど、ダンジョンで開ける人はもっといないだろう。
出入りは気をつけよう。
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