裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる

文字の大きさ
26 / 75

海人君のスキル

しおりを挟む
    今日から夏休みだ。
    お母さんが入院してしまったので、畑仕事もお手伝いしようと思う。

    産まれるのはまだもう少し先なので、淋しいけど我慢する。

    海人君の狼狩りはちょっと危なっかしい。狼は動きが素早いから、槌の振り下ろしが間に合わない時がある。
    今日は私がフォローする事にした。
    でも、魔法は使わない。落ちてる石を拾って投擲で動きを鈍らせている。

「余裕すぎだろ」
「10層を越えた冒険者が先の階が余裕になっちゃうって本当だねー」
「ちっ…悔しいけど言い返せないな…」

    でも、10階層を越えても戦闘スキルを手に入れた訳じゃないんだけどね。
    
    加護を貰ってる訳だから何らかの繋がりはあるんだろうけど、私自身がエストレイラ様を感じられる訳じゃない。
  
「スキルは今、どんな感じなの?」
「ええと…」

    天津    海人(5)
    レベル19

    スキル    強力    錬金術    投擲
    命中    槌術    身体強化    隠蔽
    感知    魔力操作    体術   
    メガトンハンマー
    素材探知

    異世界神エストレイラの加護

「おお…メガトンハンマーってどういうスキル?」
「魔力減るからあんまりやりたくないけど…」

    槌に魔力を込め、地面を叩くと、直線上にいた狼達がドロップアイテムになっていく。

    海人君はため息をついた。
「結構魔力を使うみたいだね。それも魔力操作をやっていれば少しはましになるよ」
「だといいけどな…あとは、スキルで魔物自体を叩くとより強力な攻撃力を得られる感じかな?」
「ボス向きって所だね。体術は?」
「あー…魔物を蹴り飛ばしていたりしたら、スキル化した。美優ちゃんもお勧めのスキルある?」
「魔力自動回復だけど…海人君にはあんまり役に立たないかも?1日に何度も使えないでしょ」
「でも、折角加護の効果でスキルが取り易くなってるんだから、頑張ってみるよ」

    色々試してみる事は悪くはないけど、自分に向かないスキルはやっぱり取りにくい事も確かなんだよね…
「あと、狼の皮でバッグを作れば空間拡張の付与を付けられないかな?」
「いいよ。バッグ製作は海人君がしてね」

    こういうやり取りは、前世を思い出すな…最初は単なるパーティーメンバーだったし。
「何か変な感じ。カイだって分かったのに、恋愛感情だけ消えちゃってるんだもん」
「それは、もうお互いに別の人間だから?信頼はしてるけど、強い想いは確かにない」

    これから先、気持ちは変わるかどうかは分からないけど、大切な人である事には変わりない。

(ボク達も忘れないで欲しいな!)
(そうよ!美優はあたし達のご主人様なんだから!)
(大丈夫、忘れてないよ)

    というより、今はタマ達の方が大切に思う。
    かつての夫婦だけど、今は違う人間だという事なんだろう。
    生まれ変わっても…なんてロマンチックな感情は、今の私達にはない。

「ねえ、空間拡張するバッグはウルフの毛皮がいいの?手触りならラビットの方がいいじゃん?性能的にあんまり変わらないし」
「見かけがさ、女子っぽいからウルフの方がいいかな」
    毛皮に女子っぽいとかあるのかな?もふもふの手触りだから、私ならラビットを選ぶけど。

    横から来たウルフを蹴り飛ばして倒してみた。レベル差があるからこそ出来る技かな。
(ピヨちゃんの真似?)
(別に真似してはないけど…)
    ピヨちゃんの蹴爪の方が威力が強い。
    進化前の姿でも、この辺なら余裕で戦えるし、ご近所さんが来たら嫌だからね。

「もう、7階層に行っても平気かな?」
「だめだよ。この前6階層に来たばかりじゃん。猪肉の方が売れるとは思うけど」
「焦りたくもなるよ。そんな風に余裕で戦われたら。早く追い付きたいのに」

「焦ってもいい事ないよ?すぐに追い付くよ」
    私は魔力が切れたら終わりなんだから。
    最小の魔力で戦っていても、長時間は無理だし。

「素材探知で、何か有用そうなのは見付けたの?」
「たまに小さいけど魔鉄を見付けたりするよ?…ほら、あの小さいのとか」
「うわ…石にしか見えない」
「魔鉄を少し含んでいるってだけだから、あんまり高くは買い取って貰えないけど、両親からは戦いの技能より魔鉄の方が嬉しいみたいだ」

    いいな…素材探知。鑑定と合わせればかなり有用なスキルだ。
    私も欲しいスキルだ。

    魔鉄が落ちてるなんてびっくりだな。不純物が混じっているとはいえ、集めれば魔道具を作れないかな?


    もふもふバッグは私も欲しくなったので、私用にも作る事にした。
    ポシェットの形にして、可愛い飾りボタンも付ける。
    空間拡張と重量軽減。時間遅延は付けられなかった。これは付与技術というより皮の性能の限界か。

(いいなー。ピヨちゃんも欲しい!)
(え…でも物を入れられない…というか、羽根では物は持てないんじゃないかな?)
(嘴で入れればいいと思う!首から下げて使うの!)
(なら、チョコっちサイズの時に使えそうなの考えてみるよ)

    というか、ワーウルフの皮が手に入るようになってからでいいかな?前世でもワーウルフの皮は性能良かったから、付与も幾つも付けられそうだし。
    まだ13階層しか行けてないから、16階層までは遠いな…

    私はもふもふ第一で、ラビットの皮がいいな。



しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~

御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。 異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。 前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。 神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。 朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。 そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。 究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

処理中です...