65 / 75
決戦
しおりを挟む
20階層のボス部屋も難なくこなし、21階層へ。
「これ…行けるんじゃ?」
「いやマシュー、彼女を使い潰すような事になってはならない。慎重に行かないとな。魔力もどれだけもつか」
時折、数が多い所だけ減らしてくれるけど、後は私に任せてくれる。
四属性、合体魔法も遠慮なく使っている。魔力自動回復もあるし、あとは体力の問題だ。
そして、回避。スキルは取れたけど、取る前とあんまり変わらない気がする。
「という訳で、回避が取れたのが最近なので、初心者同然というか」
「あー…まあ、得手不得手はあって当然だよな。確かにミュウちゃんは、運動系が苦手な気がしてたよ」
見抜かれてる。
「俺が守るよ」
「いや、35階層でそれやったらだめですよね?」
「ゲン…ミュウちゃんの守りはカナタに任せる手筈だろう?」
「リーダーの挑発で何とかならないのか?せめて35階層までは」
「挑発?」
「俺の切り札だから他言無用だ。狙った相手を引き付ける」
美優メインで攻撃してるから、魔物は美優を注視しているはずなのに、一斉にまっちゃんの方を向く。
「これで、万が一にもドラゴンが美優ちゃんを敵視する事はないって訳だ」
なるほど…型に嵌まれば無敵の陣形かな。けど、それでも35階層のドラゴンは倒せていない。
「どうでもいい事聞いていい?」
カナタさんは何か別の所が気になったみたいだ。
「ウサギの皮だと付与?能力が足りないから、上質なマジックバッグは出来ないって聞いたけど…かなり入れてるよね?重そうにもならないし」
あー…自分が情報源のはずなのに、うっかりしてた。
「えっと…それは」
「あ、無理に言わなくてもいいよ。スキルの秘密は無理に聞いちゃだめだし」
「えへへ…」
魔法を使っていればいずれ空間認識力も高くなる。あとは自分次第で収納庫も覚えるかもね。
まあ、これ以上はね。カナタさんが使っているのは今の所風魔法だけしか見た事がない。他の魔法が使えるかは未知数だもんね。
戦力外通告を受けずに明日は、いよいよ35階層に挑む。
35階層入り口。私はフロアに足を踏み入れずに戦う事になるが、魔物が増えている!
「くそっ…定期的に魔物は狩っていたはずなんだけどな…山賊の人達、トラブルでもあったか?」
「どうする?リーダー」
「あのワニもまとめて倒せると思いますよ?」
風の鎌を、鋭く広範囲に。
「助かる!ここまでして貰ったらやるしかない!」
私は、雷の玉を遥か上空に待機させた。大概のワイバーンは優雅に空を飛んでいるけど、攻撃の為に動いたワイバーンを雷で狙う。
よし…こっちは自動にしといて、邪魔なワニをやっつけないとだね。
「カナタさん、私の方は大丈夫なので!」
「ありがとう!気をつけて!」
カナタさんには、ドラゴン討伐に入ってもらう。
マシューさんの斧で欠けた鱗の所に、白猫さんが矢を放つ。流れるような動作で、全く隙がない。
まっちゃんのあの大剣の攻撃でも、決定打にはならない。それに尻尾の凪払いが後ろから狙う皆を、うち据える。
一歩届かない感じ?非常にもどかしい。なら、支援魔法で私も手を貸すべきだね!
まっちゃんさんへの力のアップに、マシューさんへの素早さアップ。カナタさんには両方だね。
それで鱗の傷が増えれば白猫さんが矢を放つ。
ああ…さすがに魔力がきつい。マジックベリーのポーションを飲んでも、全快はしない…前よりも回復量が減ってる?それとも魔力量が増えたのか。
飲み過ぎで、お腹がちゃぽちゃぽいってる…吸収効率が悪い。まだ改良の余地はあるね。
雷と風、それに支援。長くはもたない…でも、目の前でドラゴンが消えて、ドロップアイテムになるけど、見えない…限界。階段で気を失ったら、痛そうだな…
「やっ…た!遂に倒したぞ!」
目の前で消えていくドラゴンを前に、まっちゃんが思わずガッツポーズ!
「地震?!一旦出るぞ!…ミュウちゃん!」
ゲンさんが、素早く動いて蹲るミュウを抱き上げる。
「大丈夫…ダンジョンが戻ろうとする為の地震で…」
「ミュウちゃん?…とにかく脱出だ!」
魔法石に触れて、脱出すると、多くの冒険者も脱出してきた。
「東京防衛隊!ドラゴンは…?」
「倒したぞっ!…あ、まだ確認してないから、下手に動くなよ?」
サポートに回ってくれていたチーム山賊が、事後確認してくれた。
「35階層は通常どおりだっ!更に下層への転移も出来るぞ!」
歓声を上げる人々。東京防衛隊を称える皆。
「遂にやったな。…ところでその子は?」
「俺の娘だ。文句あるか?」
「はあぁ?!いや…無理ないか?遂にやった?」
失礼な山賊のメンバーに、ゲンさんは自分の娘だと譲らないし、まっちゃんも生温く笑みを浮かべるに留まった。
「取り敢えず怪我も多いし、詳細は俺達のページで!」
しかし、いくら経ってもミュウの存在は触れられる事はなく、少々の謎は残しながらも、東京は救われたという事実だけが残った。
「これ…行けるんじゃ?」
「いやマシュー、彼女を使い潰すような事になってはならない。慎重に行かないとな。魔力もどれだけもつか」
時折、数が多い所だけ減らしてくれるけど、後は私に任せてくれる。
四属性、合体魔法も遠慮なく使っている。魔力自動回復もあるし、あとは体力の問題だ。
そして、回避。スキルは取れたけど、取る前とあんまり変わらない気がする。
「という訳で、回避が取れたのが最近なので、初心者同然というか」
「あー…まあ、得手不得手はあって当然だよな。確かにミュウちゃんは、運動系が苦手な気がしてたよ」
見抜かれてる。
「俺が守るよ」
「いや、35階層でそれやったらだめですよね?」
「ゲン…ミュウちゃんの守りはカナタに任せる手筈だろう?」
「リーダーの挑発で何とかならないのか?せめて35階層までは」
「挑発?」
「俺の切り札だから他言無用だ。狙った相手を引き付ける」
美優メインで攻撃してるから、魔物は美優を注視しているはずなのに、一斉にまっちゃんの方を向く。
「これで、万が一にもドラゴンが美優ちゃんを敵視する事はないって訳だ」
なるほど…型に嵌まれば無敵の陣形かな。けど、それでも35階層のドラゴンは倒せていない。
「どうでもいい事聞いていい?」
カナタさんは何か別の所が気になったみたいだ。
「ウサギの皮だと付与?能力が足りないから、上質なマジックバッグは出来ないって聞いたけど…かなり入れてるよね?重そうにもならないし」
あー…自分が情報源のはずなのに、うっかりしてた。
「えっと…それは」
「あ、無理に言わなくてもいいよ。スキルの秘密は無理に聞いちゃだめだし」
「えへへ…」
魔法を使っていればいずれ空間認識力も高くなる。あとは自分次第で収納庫も覚えるかもね。
まあ、これ以上はね。カナタさんが使っているのは今の所風魔法だけしか見た事がない。他の魔法が使えるかは未知数だもんね。
戦力外通告を受けずに明日は、いよいよ35階層に挑む。
35階層入り口。私はフロアに足を踏み入れずに戦う事になるが、魔物が増えている!
「くそっ…定期的に魔物は狩っていたはずなんだけどな…山賊の人達、トラブルでもあったか?」
「どうする?リーダー」
「あのワニもまとめて倒せると思いますよ?」
風の鎌を、鋭く広範囲に。
「助かる!ここまでして貰ったらやるしかない!」
私は、雷の玉を遥か上空に待機させた。大概のワイバーンは優雅に空を飛んでいるけど、攻撃の為に動いたワイバーンを雷で狙う。
よし…こっちは自動にしといて、邪魔なワニをやっつけないとだね。
「カナタさん、私の方は大丈夫なので!」
「ありがとう!気をつけて!」
カナタさんには、ドラゴン討伐に入ってもらう。
マシューさんの斧で欠けた鱗の所に、白猫さんが矢を放つ。流れるような動作で、全く隙がない。
まっちゃんのあの大剣の攻撃でも、決定打にはならない。それに尻尾の凪払いが後ろから狙う皆を、うち据える。
一歩届かない感じ?非常にもどかしい。なら、支援魔法で私も手を貸すべきだね!
まっちゃんさんへの力のアップに、マシューさんへの素早さアップ。カナタさんには両方だね。
それで鱗の傷が増えれば白猫さんが矢を放つ。
ああ…さすがに魔力がきつい。マジックベリーのポーションを飲んでも、全快はしない…前よりも回復量が減ってる?それとも魔力量が増えたのか。
飲み過ぎで、お腹がちゃぽちゃぽいってる…吸収効率が悪い。まだ改良の余地はあるね。
雷と風、それに支援。長くはもたない…でも、目の前でドラゴンが消えて、ドロップアイテムになるけど、見えない…限界。階段で気を失ったら、痛そうだな…
「やっ…た!遂に倒したぞ!」
目の前で消えていくドラゴンを前に、まっちゃんが思わずガッツポーズ!
「地震?!一旦出るぞ!…ミュウちゃん!」
ゲンさんが、素早く動いて蹲るミュウを抱き上げる。
「大丈夫…ダンジョンが戻ろうとする為の地震で…」
「ミュウちゃん?…とにかく脱出だ!」
魔法石に触れて、脱出すると、多くの冒険者も脱出してきた。
「東京防衛隊!ドラゴンは…?」
「倒したぞっ!…あ、まだ確認してないから、下手に動くなよ?」
サポートに回ってくれていたチーム山賊が、事後確認してくれた。
「35階層は通常どおりだっ!更に下層への転移も出来るぞ!」
歓声を上げる人々。東京防衛隊を称える皆。
「遂にやったな。…ところでその子は?」
「俺の娘だ。文句あるか?」
「はあぁ?!いや…無理ないか?遂にやった?」
失礼な山賊のメンバーに、ゲンさんは自分の娘だと譲らないし、まっちゃんも生温く笑みを浮かべるに留まった。
「取り敢えず怪我も多いし、詳細は俺達のページで!」
しかし、いくら経ってもミュウの存在は触れられる事はなく、少々の謎は残しながらも、東京は救われたという事実だけが残った。
60
あなたにおすすめの小説
異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。
神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~
御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。
異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。
前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。
神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。
朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。
そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。
究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる