裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる

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決戦

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    20階層のボス部屋も難なくこなし、21階層へ。

「これ…行けるんじゃ?」
「いやマシュー、彼女を使い潰すような事になってはならない。慎重に行かないとな。魔力もどれだけもつか」

    時折、数が多い所だけ減らしてくれるけど、後は私に任せてくれる。
    四属性、合体魔法も遠慮なく使っている。魔力自動回復もあるし、あとは体力の問題だ。

    そして、回避。スキルは取れたけど、取る前とあんまり変わらない気がする。
「という訳で、回避が取れたのが最近なので、初心者同然というか」

「あー…まあ、得手不得手はあって当然だよな。確かにミュウちゃんは、運動系が苦手な気がしてたよ」
    見抜かれてる。

「俺が守るよ」
「いや、35階層でそれやったらだめですよね?」
「ゲン…ミュウちゃんの守りはカナタに任せる手筈だろう?」
「リーダーの挑発で何とかならないのか?せめて35階層までは」
「挑発?」
「俺の切り札だから他言無用だ。狙った相手を引き付ける」

    美優メインで攻撃してるから、魔物は美優を注視しているはずなのに、一斉にまっちゃんの方を向く。

「これで、万が一にもドラゴンが美優ちゃんを敵視する事はないって訳だ」
    なるほど…型に嵌まれば無敵の陣形かな。けど、それでも35階層のドラゴンは倒せていない。

「どうでもいい事聞いていい?」
    カナタさんは何か別の所が気になったみたいだ。
「ウサギの皮だと付与?能力が足りないから、上質なマジックバッグは出来ないって聞いたけど…かなり入れてるよね?重そうにもならないし」

    あー…自分が情報源のはずなのに、うっかりしてた。
「えっと…それは」
「あ、無理に言わなくてもいいよ。スキルの秘密は無理に聞いちゃだめだし」

「えへへ…」
    魔法を使っていればいずれ空間認識力も高くなる。あとは自分次第で収納庫も覚えるかもね。
    まあ、これ以上はね。カナタさんが使っているのは今の所風魔法だけしか見た事がない。他の魔法が使えるかは未知数だもんね。

    戦力外通告を受けずに明日は、いよいよ35階層に挑む。

    35階層入り口。私はフロアに足を踏み入れずに戦う事になるが、魔物が増えている!
「くそっ…定期的に魔物は狩っていたはずなんだけどな…山賊の人達、トラブルでもあったか?」
「どうする?リーダー」
「あのワニもまとめて倒せると思いますよ?」
    風の鎌を、鋭く広範囲に。

「助かる!ここまでして貰ったらやるしかない!」
    私は、雷の玉を遥か上空に待機させた。大概のワイバーンは優雅に空を飛んでいるけど、攻撃の為に動いたワイバーンを雷で狙う。

    よし…こっちは自動にしといて、邪魔なワニをやっつけないとだね。
「カナタさん、私の方は大丈夫なので!」
「ありがとう!気をつけて!」

    カナタさんには、ドラゴン討伐に入ってもらう。

    マシューさんの斧で欠けた鱗の所に、白猫さんが矢を放つ。流れるような動作で、全く隙がない。

    まっちゃんのあの大剣の攻撃でも、決定打にはならない。それに尻尾の凪払いが後ろから狙う皆を、うち据える。

    一歩届かない感じ?非常にもどかしい。なら、支援魔法で私も手を貸すべきだね!

    まっちゃんさんへの力のアップに、マシューさんへの素早さアップ。カナタさんには両方だね。
    それで鱗の傷が増えれば白猫さんが矢を放つ。

    ああ…さすがに魔力がきつい。マジックベリーのポーションを飲んでも、全快はしない…前よりも回復量が減ってる?それとも魔力量が増えたのか。

    飲み過ぎで、お腹がちゃぽちゃぽいってる…吸収効率が悪い。まだ改良の余地はあるね。

    雷と風、それに支援。長くはもたない…でも、目の前でドラゴンが消えて、ドロップアイテムになるけど、見えない…限界。階段で気を失ったら、痛そうだな…

「やっ…た!遂に倒したぞ!」
    目の前で消えていくドラゴンを前に、まっちゃんが思わずガッツポーズ!
「地震?!一旦出るぞ!…ミュウちゃん!」

    ゲンさんが、素早く動いて蹲るミュウを抱き上げる。
「大丈夫…ダンジョンが戻ろうとする為の地震で…」
「ミュウちゃん?…とにかく脱出だ!」

    魔法石に触れて、脱出すると、多くの冒険者も脱出してきた。
「東京防衛隊!ドラゴンは…?」
「倒したぞっ!…あ、まだ確認してないから、下手に動くなよ?」

    サポートに回ってくれていたチーム山賊が、事後確認してくれた。
「35階層は通常どおりだっ!更に下層への転移も出来るぞ!」

    歓声を上げる人々。東京防衛隊を称える皆。
「遂にやったな。…ところでその子は?」
「俺の娘だ。文句あるか?」
「はあぁ?!いや…無理ないか?遂にやった?」
    失礼な山賊のメンバーに、ゲンさんは自分の娘だと譲らないし、まっちゃんも生温く笑みを浮かべるに留まった。

「取り敢えず怪我も多いし、詳細は俺達のページで!」

    しかし、いくら経ってもミュウの存在は触れられる事はなく、少々の謎は残しながらも、東京は救われたという事実だけが残った。


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