裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる

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閑話 東京防衛隊

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    35階層に異変が起きてからそろそろ半年だ。勿論ただ手をこまねいていた訳じゃない。他チームとの共闘や、遠距離攻撃の得意な者への協力要請。勿論、東京防衛隊を支援してくれるアドベンチャーショップへも要請した。
    
    何といっても東日本の冒険者情報はどこよりも持っている。

    だが、決め手に欠ける。矢ではワイバーンにまともに攻撃が届かない。それは、高く上がった天井のせいもあるのだろう。

    魔法のスキルでも試した。カナタの持つスキルは、火魔法だけとか、そんな風に限定されていない。魔術のスキルだ。だけど、魔法だけでは精々上層の魔物を倒すのがやっとだ。

    まあ、魔法に拘らずに槍スキルを上げたから、東京防衛隊から出すような事はしなかったが。

    そんな時、魔術だけで25階層まで行ってる者がいると聞いた。
    パーティーメンバーのペット達は断わざるを得ない。ここはペット禁止の物件だし。
    正直、学生と聞いて、経験不足の不安はあった。10階層違えば魔物の強さは埋めがたい程の差がある。

    顔合わせの日。ミュウちゃんを見て、どこの子役タレントを間違って連れてきたのかと思った。というより、どう見ても小学生…嘘だろ。

    サラサラの髪は肩の上で真っ直ぐに切られていて、二重まぶたの、目の大きい子で、ゲンの叫びも心の中では無理ないと思ってしまった。

    その後ゲンが距離を取られていたのはまあ、自業自得だろう。

    実際に 魔法を見て、カナタの使う初級魔法とは全く違うと感じた。
    年月をかけて火魔法を極めたりした人は、大型の魔法も使えると聞いた事があるけど、2、3年の経験しかないミュウちゃんは、俺達の予想を軽く飛び抜けてくれた。

    五時間位ぶっ通しで魔法使うとか、種類の違う魔物には違う属性の魔法を同時に使うとか、考えられない。
    あとでカナタに聞いてみたけど、あり得ないって言われた。
    そのカナタも、ミュウちゃんに教えられた通り、今でも魔力操作の自主練やってて、少ない魔力で魔法が扱えるようになってきたと。

    勿論俺も自主練やってる。技を使うのにも魔力を使うって聞いて納得した。前から感じていたしな。朝の10分やるだけでも違うと言われたら、誰でもやるだろう。

    迎えた決戦では、ワイバーンを確実に抑えてくれた。どうやったのか知らないが、離れた所にあるドロップアイテムも回収していた。

    だけど、ワイバーンの攻撃がなくてもさすがというべきか、こちらの攻撃は殆ど通用しない。
    荒い息をつく者、ケガをポーションで治している者。正直、撤退の文字が頭に浮かんだ。
    
    けれど、ミュウちゃんが俺達の方も注目しだして、カッと体が熱くなった。途端、攻撃の切れが増して、白猫の矢も深く刺さるようになった。

    おそらく、ミュウちゃんがバフかけてくれたんだろうという話しになった。体が熱くなって強くなったと感じたのは、俺一人じゃなかったからだ。
    
    そんな能力があるのにも驚きだが、それで倒れたのは頂けない。
    臨時メンバーとして来てくれた人を使い潰す等、東京防衛隊の評価にも繋がるし、人としてもやっちゃだめだろ。

    生きてると確認した時、どれだけ安堵したか。
    祝賀会を開いて、これでミュウちゃんともお別れかと思ったが、その後しっかりパーティーハウスに春休み最後まで居着いて、新宿ダンジョンアタックをしていたのはちょっと予想外。どうせ部屋は空いてるし、棟ごと借り上げてあるから関係ない。そのうち何日かはもふもふと戯れていたらしい。

    色んな意味で目の離せない子だったが、パーティーに誘えなかったのは残念だ。
    ゲンの、10年後においでの言葉に、せめて高校は行きたいなんて笑ってた。

    その頃まで東京防衛隊があるかは分からないし、メンバーだって変わっているかも。

    聞いた事もないような田舎町のダンジョンだけど、ちょっと行ってみたくなった。自慢のペット達との戦いも見てみたいしね。
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