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二年生と、27階層

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    2年生。ランドセルの黄色いカバーも取れて、ちょっとだけお姉さんになった気分。でも同じ登校班に一年生がいないから、私達がやっぱり一番年下だ。
「全く…ギリギリまで東京行ってるんだもんな。羨まし過ぎる」

「でも、まだまだ修行不足だと感じたよ」
「それでも、普段25階層にいる人間が、35階層で通じるなんて、あり得ないからな」
「分かってるよ。あくまでもお手伝いしただけ。ああ…でもモコモコ。相変わらず愛らしい姿で嬉しかった」

「………抱きついたんだな」
「う…ちょっとだけだよ?それと、アルパカみたいなのもいて!」
「はいはい。僕はジンギスカンが食べたいな」
「なら、家で焼き肉パーティーしようよ!ワイバーンのお肉もあるし!」
    まあ…集めてくるとは思ってたけどね。

    もふもふの毛は丸くしてタマの前で転がしたけど、遊んでくれなかった。でも、本物の羽根のついた玩具なら遊ぶんだよね。

    モコモコの肉は、ダンジョンだからか、マトンよりもラム肉に近い。
    日野さんが倒しまくってたから、食べたいのかと思ったらそうでもないみたい。

    抱きつく私の為にせっせと狩ってたみたい。
    ご迷惑をおかけしました。

    35階層にも行ってみた。当然ワイバーンはいなくなってて、天井も低くなってる。
   食べる為のお肉も充分に集めたし、皮も集まってる。ワイバーンの皮はドラゴン程じゃないけど、物理、魔法どちらに対しても耐性が高い。おまけに薄手だから、普段使いも出来そう。

    何か防具にしてみようかな?海人君の両親と相談してみよう。

    これからのダンジョンに関しては、なるべく海人君と挑むようにしようと思う。

    東京防衛隊のみんなと戦って、チーム戦ていいなとつくづく感じた。勿論ピヨちゃん達もいいパートナーだけど、私が東京に行ってる間、一緒に戦っていた海人君にもちゃんと配慮している。
    
    海人君の攻撃は、一撃が力強いから、戦闘の幅も広がる。

「そういえば海人君、ベリーのポーションの効果が前ほどない気がするんだけど」
「え?前と作り方は変えてないよ。美優ちゃん自身の魔力が上がったからじゃない?」

    あー。なるほど。普段は全然使ってないから差を余計に感じたのかも。
    決戦の時は回復する間もないほど使いまくってたし。

    26階層にも行ってみた。多分、魔法防御も使えると海人君が言ったからだ。

    実は私、30階層を越えた時にパーティー防御のスキルを覚えたんだけど、ポチ達の役に立つからいいし。
 
    魔法防御の盾は、一面しか守ってくれない。パーティー防御は経過時間で魔力を使うけど、魔力の増えた私にはそこまで負担にならない。

    紫の毛皮はそれなりにいい値段で売れるから、次の魔物で考えようかな。

    27階層は、白に黒のぶち模様の大きな猪。鑑定ではマダラボアって出たけど、マダラっていうよりぶち猪。

    でも、鑑定では美味しい猪って出たし、ちょっと期待。
    赤身の綺麗な肉で、歯ごたえは牛肉に近い。
    ちょっとアクが出るのが難点だけど、キッチンペーパーで拭きながら焼くと、美味しい!
    
    毛皮は手触りも悪いからか、値段は低め。まあ、私は肉が美味しければいいんだけど。

    ワイバーンのお肉は、次いつ食べられるか分からないと釘を刺しておいたし、かなり手に入ったから、そうそうなくなったりしないと思うけど。

    軽トラサイズの猪が一直線に向かってくるのは結構怖い。凄いスピードで、結界があるって分かっていても、目を閉じてしまう。
「新宿の35階層で戦えた奴が目を逸らすのか?」
「ううん…戦えるもん!」
    海人君も、トレントと魔鉄に変わった槌で戦っている。タマ達も立ち向かっている。

    まず足を狙って魔法を放つ。とどめはみんなに任せて、弱点看破を使う。
    そこを叩くと、呆気なくやられる。

    牙…食べられない。
「お…その牙、ブーストのポーションの材料になるな」
「そうなの?じゃ、あげる」

    どうせなら、魔力を大きく回復するポーションになればいいのに。

    外にある材料は、魔力を含まないから、ポーションには向かない。前の世界とは全く違う。
    でも、一階層は草ばかりなダンジョンもあるから、そこに行けば色々ありそう。

    何ヵ所かあるけど全部県外だし、遠い。
「けど、それだけじゃポーションにならないんだよな」
    ため息と共に言って、残念そうに牙をしまう。

「どんな草か、図解して依頼してみたら?」
「…絵心ないし。しかも細部まで覚えてないよ。記憶だって、薄れてきてるんだから」

    それは多分、頭脳の容量的なもの?でないと、こっちで覚えた事を忘れちゃったら困るからね。

    けど、ペット達とだけ戦っていた時より、違う戦いが出来る。
    先に魔法で牽制して、時折支援魔法も使う。これが本来の後衛の戦い方だね。
「いいな…すごく戦いやすい!支援があるとないとじゃ、全然違うよ」
「それで実力、見誤らないでね」
「…。勘違いしそうではあるな」
    支援の力は自分で身体強化した訳じゃないから、余計にね。薬やアイテムで強化するよりはましだけど。
    下の階層だからか、8階層に出るボアの肉よりも遥かに美味しい。強さも全然違うしね。
「28階層、ちょっとだけ覗いてみるか?」
「魔物の確認だけね。まだ、下の階層に挑める強さはないと思うし」

    木の魔物。トレントの上位種の、エルダートレントだ。

    勿論、4階層にいるトレントとは比べものにならない位に強い。火が弱点な所は変わらないけど、火を着けて燃やすのは難しい。タマの焔なら、何故かつく。何が違うのかな?

    どうやらタマの焔は闇魔法が混じっているみたいだ。激しくはないけど、確実に燃える。なら、闇のデバフをかけてからの火魔法なら…おー。良く燃える。
    
    ドロップアイテムは、エルダートレントの枝か、葉。
「葉は貰っていい?材料は揃わないけど、ハイポーションの材料になる」
「私達がもっと大きくなったらさ、あちこちのダンジョンを股にかけるスーパーな冒険者になろうよ!」
「え…スーパーって…」
「スーパーマーケットじゃないよ?」
「それ、僕が突っ込みたい」
「私には錬金術は出来なくても、亜空間移動であちこちのダンジョンに行って、鑑定もあるから有用な素材を集められる」
「そうすれば、ポーションの種類も増えて、他の冒険者にも色々な種類のポーションを供給出来る、か」

    海人君も、乗り気みたいだ。なんかワクワクしてきた。
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