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番外編
第101話 異世界満喫ツアー!
しおりを挟むこれはダクアにポッと現れた奇天烈外道一応貴族娘が魔力すっからかんの状態で過ごす1週間の内のどれかの話。
そこでリィンは異世界満喫ツアーとしゃれこんでいた。
「はわ…………すごい……ねぇライアー見るして塊肉!!!!!」
「なんで俺まで一緒なんだかな……」
部屋でグーダラしていたライアーにカチコミかけて。
「漫画肉、憧れの漫画肉! ファンタジー!」
リィンはぴょんぴょん跳ねながら喜びを全身で表現する中、寝不足のライアーは深くため息を吐いた。
疲労回復の為に死ぬほど寝ていたところ木管両手に『ひのよーーじん!!!!!! ファイアボール1個で丸焦げる元!!!!!』とか言いながらカンカンカンカン愉快な脅しをかけてきた新米コンビの片割れに煩わされて普通に殺意が溢れてくる。お前が火元。絶対殺す。
一方リィンは浮き足立っていた。
転生してこの方、貴族として生活していたリィンは金がかかった生活をしていたので、あまり前世の感覚と変わらずに過ごしていた為にファンタジーに飢えていた。エルフも魔法も心躍る異世界ファンタジー要素ではなく普通に苦行だった。全ての元凶は師匠であるあのあんちくしょうだ。茶髪は糞なのかもしれない。絶対殺す。
「はいよリィンちゃん」
1週間足らずで街の人間に名前を覚えられている新米冒険者に露天のおじさんが小さめの骨付き肉を渡した。
小さめ、といえども他と比べただけであって普通にデカい。確実に1人じゃ無理だろうと思われる量。普通に2キロはありそうだ。
……だから犠牲者を連れてきたのはあるが。
「ライアー、ライアぁ!」
「あーはいはい。おっかしいな、俺子守りしてたんだっけ?」
ボヤいたライアーなど知らずにリィンは早速肉塊にかぶりついた。
ジャリ、と舌に乗る肉の外側にあるガッツリ焦げた炭。ソースの味が焦げに負けた。
2口目。ガツンと来る肉の味。もうなんの味もなく肉の味である。ご存知だろうか、調味料のかかってない肉の味を。美味しくないのである。普通に塩胡椒だけでもいいので欲した。
もぎゅもぎゅとゴムを食べている気分で咀嚼する。
その表情の『期待外れ』感に気付いたライアーが店主に見えないようにそっと体で表情を隠した。
「うみゅん……」
ワンチャンを期待して食べ進めていたが、骨の周りが赤く染まっている時点でリィンは食べるのを諦めた。
シワシワの顔をしたリィンなど無視してライアーはライアーで隣の屋台の男にエールを頼んでいた。
ちなみにこの二店舗、屋台売りのジャブとシャフという名前でダクアで有名な店主だ。瓜二つの兄弟であるから。さらに言えば兄と弟は交代制である。
もっちゃもっちゃ一所懸命咀嚼をする。
ごキュリと変な音を立てて無理矢理飲み込んだリィンが発した一言。
「……これが、現実ぞ味」
「今更だけどお前の接続詞なんで『ぞ』なんだよ」
お前の現実色気ねぇな。
小馬鹿にする副音声が聞こえた気がしてリィンがバッと顔を上げるとそこには異世界があった。
「た、樽ジョッキ! ライアー交換!」
「あー、ぬっっるいエール最高だわーうめーわー。おっと、お嬢さんにはまだ早いな」
「ファイアー!」
「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿やめろクソガキ」
ぴーぴー雛が餌を求めて鳴く様を馬鹿にしていたら火事を起こしにかかってきた。
しばき倒してやりたい、心から。
「ほら、残り食ってやるからよこせ」
「なんか……寄越せと言うされると渡すする気ぞ無くなる……」
「あぁそうかなら全部食えよ」
「ぴぎゃん!? それは無理ぞー!」
なんたる苦行! などと店主に聞かれたら確実に泣かれるだろうことをギリギリ口に出さずに心で叫ぶ。
太陽は既に高い。
春先の柔らかな日差しが足元に2つの小さな影を作っていた。
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