最低ランクの冒険者〜胃痛案件は何度目ですぞ!?〜

恋音

文字の大きさ
132 / 193
戦争編〜第二章〜

第132話 人の嫌がることを進んでやろう

しおりを挟む

「トリアングロ王国には主に3つの都市がある」

 街道をてこてこ歩きながらグレンさんの説明を聞く。

「都市名は非常に簡単で、第一都市、第二都市、第三都市だ。ちなみに王都は都市ではなく、3つの都市の真ん中に存在して、軍事基地みたいな感じらしい」
「住民は居ないのですか」
「みたいだな。どうやら幹部の集会場所や国王の住居、兵士の訓練施設も兼ねているみたいだ。それと、この国では王都って呼び方はあまり使わない」

 幹部に捕まっていた私よりも警戒の目が緩いグレンさんがやはり土地の情報は掴んでくれていたらしい。

「じゃあ、なんて?」

 そう聞けばグレンさんは難なく答えた。

「──要塞都市。そう呼ばれている」



「腹減ったーーっ!」
「……。」
「……。」

 リックさんの雄叫びにシリアスな雰囲気は塵のように消え去った。

「……まぁ、リィンが幹部の警戒の目を集めてくれたおかげで色々情報は得たさ」
「本来の目的とは真逆ですけどね。私が一般常識担当ですたのに」

 気が抜けてしまった。参った困った。

「まぁ、金髪がクアドラード王国・・・・・・・・にしかないってのは避けようがなかったからな」

 クラップに即バレした理由を少々誤魔化して情報共有した。王族(実際は貴族)だとバレる可能性はあるけれど、誤魔化せるならギリギリまで誤魔化したい。リックさんとグレンさんはまだ信頼出来る関係性じゃないからな。

「と、言うわけでとりあえず1番近い第二都市に向かおうと思う」
「それまではサバイバルですぞね……」

 手持ちの荷物が何も無かった私たちは、避難が終わった国境の廃れた集落である程度の荷物を拝借した。うん、借りただけだ。

 山脈の隙間を辿るような街道の片隅に腰を下ろして、休憩を取る。集落はそこまで裕福では無いのか質の悪いものしか出てこなかった。
 キッチン……正確に言うと厨。そこからナイフなどを拝借。マントなど服装を隠せる物などを。
 ちょうど逃げ込んだ家はしばらく人の手が入ってなかったにも関わらず、弓矢などが置いてあったので遠慮なく借りた。

「本格的に日が暮れる前に野営の準備を……」

 グレンさんはそう指示をだしかけて止まった。

「しない方がいいのか?」

 私の方を見て首を傾げる。
 他の3匹は気付いてない様だけど、グレンさんは気付いたみたいだ。

「いいですぞ、して」
「一応追われてる身だろ」
「んー。むしろ逆ですぞね」

 枯れ枝を適当に集めながら街道の片隅に積み上げていく。

 そう、私たちは追われる身。本来なら人目を避けて逃げなければならない。それこそ夜通し。

 ただ、私はクラップのところで手に入れた情報がいくつかある。

 エリィは本来王都に向けて馬車で進む予定だった。5日程かけて。つまり、今私たちが進んでいる街道を進む計画。でないと他は山あり谷ありで馬車は通れないだろうしね。

 そしてクラップはあの年齢。今までの経験から物が言える。『金髪碧眼はクアドラード王族』とかね。

 だから私はその逆を突く。
 クラップの考える『逃亡者の常識的な行動』の真反対を進む。

 まず、国境沿いで逃げた理由はそこにあるんだよね。この時点でクラップは『クアドラード側に逃げた』が6割、『トリアングロ側に逃げた』が4割で疑いの目をかけると思う。そしてより重要なのはトリアングロに逃げられる場合。人手を使うならトリアングロ方面に向けるだろう。
 追手の約7割がトリアングロ方向に向けられるはず。3割削れるか削れないかだな。


 逃亡者は基本的に人目を避けて変装して夜通し進み人気のあるところを避けるのが基本だろう。

 だから私は人の目があるところを変装せずに進む。


「そもそも約半日歩き通す状態で追手に追い付くされてなきなのが成果ですしね」

 クラップの性格は基本に忠実。予想外のトラブルの対処は経験から生かされることになるだろう。今まで起こったことない事態は軽くパニックに陥る癖がある。
 国境基地から都市圏までの間は精々パニックになるがいいさ!



「……というか、街道ぞ進むのであれば確実に都市に入る時点で捉えるすれば良いので」

 思わず苦笑いが浮かぶ。
 結構道中に人員割いても目的地に人員割けばいいだけだもんね。……はぁ、気が重い。第二都市に着いた瞬間が1番の問題点だよ。


 王都が要塞都市ってくらいだから普通の人は向かうことすら難しいそうだし……。ぬん。

「よし、とにかく休憩。頭動かしてても疲れた体じゃキツイもんだろ。あいつらに指示出すからリィンは休んどけよ」
「グレンさんが居るすて本当に良かった……!」

 ちょっとお言葉に甘えてやすませてもらおう。
 フゥ、と深い息を吐く。

 変装をしない、と言ってもそのまんまだと変に注目を集めることになる。

 私は絶対金髪のままでいる必要あるしな。
 しかし、エリィが魔法使えないのはキツいな。逆にグレンさんがなんで使えるのかもまだ情報共有出来てないし。

「リィン大丈夫?」

 カナエさんが近寄ってきた。
 私は二ヘラと笑う。

「大丈夫です。あ、カナエさん、トリアングロの土地に詳しきですか?」
「えーーっ、あんまり自信ないな。屋敷内での生活とかは慣れたけど、あまり外に出ることはなかったから」
「フロッシュの屋敷、ですたね」
「そう。第三都市にあったよ。第三都市は市内に出ることあったけど、海側なんだよね。要するに国境から1番遠い」
「……よく国境まで来れますたね!?」
「昔から運はそこそこいいんだ」

 多分運だけだ乗り切れるものじゃないと思いますよそれ。

「……。リィンの事聞いていい?」
「えっ、はい」
「リィンは冒険者なんだよね。クアドラード王国のどこら辺出身なの? ま、あんまり詳しくないんだけど」
「ファルシュです。丁度国境。あ、でも冒険者活動は隣のグリーン領と王都ですてました」
「へぇ」

 カナエさんは目を見開いて笑顔を見せた。
 ファルシュ領は知ってたんだろうね。

「そういえば今更なんだけど、キミたちの目的ってなんなの? あたしはもう持ってる情報をクアドラードに届けれたってことでお役目ゴメンなんだけど」

 んー。
 少し首を傾げて考える。素直に言っていいものか。
 私はこのシラヌイ・カナエという人間を全くと言っていい程知らないからな。

 元が日本人なんだろう、っていうのは予想つくけど。

「迎えに、行くのです。復讐も兼ねるですね。あいつの起こす戦争も、これまでの全てを破壊する」

 ぶん殴るだけじゃない。
 私は戦争を止めたいわけじゃないけど、ルナールの仕事は破壊したい。私個人が国を相手取ったって勝てっこないんだから。

「その人って、リィンにとっての何?」
「私の?」

 実りのない雑談の中で、気になる言葉が耳に入った。在り来りな質問なんだけど。

 ……私にとっての、何?

 Fランク冒険者、リィンの。

「私の……──」
「──リィン、川あるから水浴びしてこいよ」

 突然声をかけられた。
 その人物に目を向けるが、うん、見覚えがない。

 白色の濡れた髪の隙間から抹茶色の瞳がこちらに優しげに向けられた。横に垂れた髪を耳にかきあげている。
 ぽたぽたと髪から滴り落ちる水滴が地面に染みを作っていた。

 ……えっと、このどえらいイケメンどなた????

「??????」
「リィン?」
「名前……」
「名前?」

 儚げな色っぽさがあって、例えるなら夜の空から見下ろす月の白い光……。
 こんな、え、誰? なんで名前知ってるの????


「……リィン。そいつな、リック」

 呆れたような表情でグレンさんが謎の男を指さした。


「…………リックさん?」
「バリアンが言うなら多分俺はリックであってると思う」
「あっリックさんだ」

 前髪下ろすと全然印象違うな!!!!?????

 ビッッックリして思考回路止まってしまった。よく見れば仕草とか声はリックさんだ。

 いやリックさん前髪あるのと無いのとじゃ印象めちゃくちゃ違うな。あといつもの『俺は元気だぜーブイブイ』みたいな笑顔じゃなくて『ふっ、今宵も花が咲いている』みたいな笑顔は普通に脳みそバグるからやめて欲しい。

 さらに言うとグレンさんは濡れてないのにリックさんだけ水浴びしているのが純粋に謎。いやぁ、行動理念とか聞いても何となくって帰ってきそうなんだけどなぁ!

「実はさ、昔リックをこの状態で放置したら」
「うん」
「………………俺は女にトラウマをおった」

「……グレンさんが、かぁ」

 詳しくは聞くまい。
 聞いても絶対くだらない話だろうから。

「ま、リックの言う通りエリィとカナエ連れて水浴びしてこいよ。汗かいただろ」
「狩りは任せろ!」
「あと、これリィンに渡しとく」

 グレンさんが3枚人型に切り取られた紙を渡して来た。
 手のひらでそれを受け取ると、感じ取れるものがあった。


「魔力」
「うん。お前なら気付くと思った」

 特に何の変哲もない紙に見えるけれど、どうやらクラップにぶち込んだファイアボールの原理がこれだろう。

「これは俺の式神。端的に言うと、魔法が使える紙。……魔力がめちゃくちゃかかるし普段は念の為で持っておくもんなんだ」
「使える魔法は?」
「五行魔法の行使は式が勝手にやってくれる。ただ込めた魔力に応じて、だからぶっちゃけ初級魔法程度」

 クアドラード文化である四属性ではなくグレンさんの使う五行はあまり詳しくないけど、火、水、地の初級魔法が使えるってことか。

「言霊ってのがあるから呪文の言語はなんだっていい。俺は火球って言うけど、リィンはファイアボールでも使える」

 原理が、原理が分かりません!
 ……まぁ原理が分かったとしても私は魔力馬鹿だから魔法職としての魔法行使はグレンさんと真逆なんだよね。多分使いこなせないだろう。

「お守り程度に持っててくれ。俺達自身は魔法が使えないし式神は追加で作れないから。その3枚だけだ。俺も一応あと2枚は持ってるけど」

 グレンさんが1枚使ったことを考えると互いに3枚ずつってことか。

「大事に使うです」

 どこまで使えるのか判断が難しいから、出来る限り使わない方針では行きたい。
 グレンさんの感覚で言う『これくらい』と私の感覚で言う『これくらい』はまっっったく違うからね!

「エリィ、水遊びするですぞ」
「はぁい」
「言語自体は分かるのに会話の内容が理解できない。ぐぅ、異世界人に魔法は無用の長物だとでも言うのか……!」

 悔しそうにカナエさんが呻いていた。分かる分かる。異世界の魔法はやっぱ憧れるけど、今までと全く違うからついて行きにくいよね。

「あ、そうぞ!」

 私は全員に向けて言った。

「──私これからエルフになる故によろしく!」




「「「「どういうこと???」」」」



しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク
ファンタジー
※2019年7月下旬に第二巻発売しました。 ※12/11書籍化のため『Sランクパーティーから追放されたおっさん商人、真の仲間を気ままに最強SSランクハーレムパーティーへ育てる。』から『おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる』に改題を実施しました。 ※第十一回アルファポリスファンタジー大賞において優秀賞を頂きました。 俺の名はグレイズ。 鳶色の眼と茶色い髪、ちょっとした無精ひげがワイルドさを醸し出す、四十路の(自称ワイルド系イケオジ)おっさん。 ジョブは商人だ。 そう、戦闘スキルを全く習得しない商人なんだ。おかげで戦えない俺はパーティーの雑用係。 だが、ステータスはMAX。これは呪いのせいだが、仲間には黙っていた。 そんな俺がメンバーと探索から戻ると、リーダーのムエルから『パーティー追放』を言い渡された。 理由は『巷で流行している』かららしい。 そんなこと言いつつ、次のメンバー候補が可愛い魔術士の子だって知ってるんだぜ。 まぁ、言い争っても仕方ないので、装備品全部返して、パーティーを脱退し、次の仲間を探して暇していた。 まぁ、ステータスMAXの力を以ってすれば、Sランク冒険者は余裕だが、あくまで俺は『商人』なんだ。前衛に立って戦うなんて野蛮なことはしたくない。 表向き戦力にならない『商人』の俺を受け入れてくれるメンバーを探していたが、火力重視の冒険者たちからは相手にされない。 そんな、ある日、冒険者ギルドでは流行している、『パーティー追放』の餌食になった問題児二人とひょんなことからパーティーを組むことになった。 一人は『武闘家』ファーマ。もう一人は『精霊術士』カーラ。ともになぜか上級職から始まっていて、成長できず仲間から追放された女冒険者だ。 俺はそんな追放された二人とともに冒険者パーティー『追放者《アウトキャスト》』を結成する。 その後、前のパーティーとのひと悶着があって、『魔術師』アウリースも参加することとなった。 本当は彼女らが成長し、他のパーティーに入れるまでの暫定パーティーのつもりだったが、俺の指導でメキメキと実力を伸ばしていき、いつの間にか『追放者《アウトキャスト》』が最強のハーレムパーティーと言われるSSランクを得るまでの話。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...