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プロローグ 初めての一人暮らし
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平成31年2月1日土曜日。
彼女が20歳の誕生日を迎えたのは、
家族も友達も親戚もいない田舎の町だった。
「なんで成人式の次の日やねん!」
医療系の学校に通う彼女は、成人式の次の日から遠方で1ヶ月実習があったのだ。
もちろん、それは初めての一人暮らしだった。
必要な荷物を運び出すため、
実習が始まる前に母がレンタカーを借り、
妹も入れた3人で荷物運びを兼ねた旅行に行くことになった。
「車出すで。」
そう言い出したのは母だった。
元々彼女は、車を持っている父親に荷物運びを頼むつもりだった。
いつもなら
「スネ夫(家庭内での父の呼び名)にやってもらったら。」
などと皮肉を言う母だったのに、
この時は違った。
父に頼むつもりである事を伝えると、
「ママには頼もうともしないんやね。」
まるで仲間外れにされて拗ねた子どものような口ぶりで、
なぜ頼む相手が私じゃないのかと
遠回しに言ってきたのだ。
だから彼女は、
行きは母で
帰りは父に荷物を運んでもらい、
母にはバスで帰ってきた、
と伝えることにした。
その日の母はとても上機嫌だった。
行きの車で荷物を運び終わってから
観光地まで行く途中、
レンタカー代や高速代、ガソリン代を気にしていた彼女は、母親に1万円札を渡した。
「これ。高速代とか、、」
すると母は照れたように笑って
「そんなの気にせんでいいよ。
(クロックスを履いていた彼女に)それより靴でも買いーよ。」
と、手元の1万円札を突き返した。
絶対に受け取ると思っていた彼女は動揺し、申し訳なさと同時に嬉しさが込み上げた。
(あぁ、やっぱり親なんだ、)と。
2月1日土曜日。
彼女の20歳の誕生日は、
39度の高熱を出すという最悪の誕生日だった。
母からは、お誕生日おめでとうスタンプが
送られてきていた。
実習先にはもう慣れて、
優しい先生ばかりであったため、
人間関係も全く苦ではなかった。
実習も一人暮らしも、
誕生日を1人で過ごすことも、
高熱が出たこと以外は特に辛いと思わなかった。
しかし彼女はこの経験で、
「一人暮らしの大変さ」
を身に染みて感じた。
そして同時に、
この環境でなければ実習は乗り越えられなかったやもしれない、そう思った。
(もし実家だったら・・・ )
「家、探さないと。」
彼女は、3ヶ月後の実習が始まる前に
一人暮らしを始めると心に決め、実家に帰宅した。
彼女が20歳の誕生日を迎えたのは、
家族も友達も親戚もいない田舎の町だった。
「なんで成人式の次の日やねん!」
医療系の学校に通う彼女は、成人式の次の日から遠方で1ヶ月実習があったのだ。
もちろん、それは初めての一人暮らしだった。
必要な荷物を運び出すため、
実習が始まる前に母がレンタカーを借り、
妹も入れた3人で荷物運びを兼ねた旅行に行くことになった。
「車出すで。」
そう言い出したのは母だった。
元々彼女は、車を持っている父親に荷物運びを頼むつもりだった。
いつもなら
「スネ夫(家庭内での父の呼び名)にやってもらったら。」
などと皮肉を言う母だったのに、
この時は違った。
父に頼むつもりである事を伝えると、
「ママには頼もうともしないんやね。」
まるで仲間外れにされて拗ねた子どものような口ぶりで、
なぜ頼む相手が私じゃないのかと
遠回しに言ってきたのだ。
だから彼女は、
行きは母で
帰りは父に荷物を運んでもらい、
母にはバスで帰ってきた、
と伝えることにした。
その日の母はとても上機嫌だった。
行きの車で荷物を運び終わってから
観光地まで行く途中、
レンタカー代や高速代、ガソリン代を気にしていた彼女は、母親に1万円札を渡した。
「これ。高速代とか、、」
すると母は照れたように笑って
「そんなの気にせんでいいよ。
(クロックスを履いていた彼女に)それより靴でも買いーよ。」
と、手元の1万円札を突き返した。
絶対に受け取ると思っていた彼女は動揺し、申し訳なさと同時に嬉しさが込み上げた。
(あぁ、やっぱり親なんだ、)と。
2月1日土曜日。
彼女の20歳の誕生日は、
39度の高熱を出すという最悪の誕生日だった。
母からは、お誕生日おめでとうスタンプが
送られてきていた。
実習先にはもう慣れて、
優しい先生ばかりであったため、
人間関係も全く苦ではなかった。
実習も一人暮らしも、
誕生日を1人で過ごすことも、
高熱が出たこと以外は特に辛いと思わなかった。
しかし彼女はこの経験で、
「一人暮らしの大変さ」
を身に染みて感じた。
そして同時に、
この環境でなければ実習は乗り越えられなかったやもしれない、そう思った。
(もし実家だったら・・・ )
「家、探さないと。」
彼女は、3ヶ月後の実習が始まる前に
一人暮らしを始めると心に決め、実家に帰宅した。
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