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1話 彼女の幼少期
しおりを挟む母によると、
私の幼少期は手のかかる面白い子、
だったらしい。
赤ちゃんの頃には母乳しか飲まず、
寝ることより飲むことが好きな子だった。
2歳の時には
妹が生まれ
時には意地悪もしたが、
可愛いと言って一緒に寝ることもあった。
公園に行くと、
自分より小さい子を見て
「かあいい。」
と近寄ることが多かった。
また、
デパートやスーパーに行くとすぐ迷子になり
店内放送で彼女の名前が呼ばれることは
日常茶飯事の出来事で、
「すいません。」
迷子センターに着いた母が目にしたのは
飴玉をくれるお姉さん達に可愛がられながら
ケロッとして笑っていた彼女の姿だった。
「アヴァヴヴァア?」
言葉をきれいに話せるようになったのが
4歳だった私は、
意味内容のない発話(通称:ジャルゴン)
を話すことが多かった。
絵本を読めないのに読んでいたり
喋れないのに歌っていたり
母にはそれがとても滑稽だったらしい。
幼稚園の送り迎えで、
彼女が母親と別れることに駄々をこねることはなかった。
幼稚園に行くことが楽しみだった彼女は、
「ばいばーい」
と母に手を振っていた。
幼稚園に行く度に、
よく眠ってミルクも飲むし、
買い物に行っても母にくっついて、
幼稚園に行くと、
母と離れたくないと駄々をこねる妹とは
正反対の彼女だった。
母は今でも時々、
「あんたは将来お笑い芸人にでもなるのかと思ったわ。」
そう言って
彼女の幼少期を語るのだった。
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