嘘〜4回反抗して家出た理由〜

miwana

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3話 2回目の引越し

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小学一年生の冬、

父方の祖父から1本の電話があった。


「ちかちゃん、家欲しいか?」


同居ではなく、

1家4人の一軒家を買う話だった。


「うん!」


彼女は何の躊躇もなく答えた。



一軒家が建つ土地は、
わずか数メートルの距離で小学校の校区外だった。


つまり、
引っ越せば転校することになる。


そう彼女も分かっていた。


でもそれ以上に、

綺麗な一軒家に住めることが嬉しかった。


全く悲しくないわけではなかったけど、
全然平気だったのだ。




学校最後の日は

母が「お世話になりました。」の粗品として

クラスの皆に自由帳を配っていた。


「いいなぁ。」

彼女は、

どうして自分ではなく、

赤の他人である子に
仲良くなかった子に

自由帳をあげるのかを

理解することができなかった。




下校前、
担任の先生との挨拶をした。


先生はまるで聖母のような女性で、

お昼休みには時々梅干しを持ってきて
皆に配っていた。




「ここにある本、
好きなの1冊持って帰っていいよ。」

先生は彼女にそう言った。


彼女は

『ふたりはともだち』

と題名が書かれた本を手に取り、
ページを開いた。


その本は、
カエルの友情のお話だった。


裏表紙の内側には

「奥平   裕子」
と、先生の名前が書いてあった。


すると、
先生はなぜか嬉しそうに笑って

「これ、私が持ってきた本だわ。」

と言った。


まるで

「その本を選んでくれてありがとう。」

そう言われてる気がした。




帰り道、

「新しいお家見せてあげる!!」

そう言って男子3人を連れて家に向かった。



皆とお別れなのは分かっている。

だけどその時は
とても気持ちが高揚していて
全力疾走で家へ向かっていた。


その途中

「あっ!」


彼女は転んでしまった。

心配する男子達は

「行くのやめとこう。」

そう言って、
楽しみにしていたお披露目会は中止になった。



彼女は決して悲しくはなかった。


でも、、、、




落ちていた1円を渡して
誰かに貰った赤い羽根を

ポケットから取り出して眺めた。



すると、

色んな出来事が頭の中に、
走馬灯のように浮かび上がった。


公園のすぐ側に住んでいて、行く度に
「家には幽霊が住んでいる。」
そう言って遊んでくれたおじさん


全くできない縄跳びを、
友達が跳んで遊んでるのを見ていた休み時間


1人だけ足し算ができず、並べない長蛇の列




色んな思い出が頭の中に飛び交ってきて、
何だか切ない気持ちになった。


そうして、


転校した彼女は


元々明るくて活発過ぎた性格から

人見知りで大人しい性格になった。



彼女の家族も

この引越しで、

この一軒家に来てから

色んな歯車が崩れてしまった。










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