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退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました・Rシーン
「触れた温もりに刻む誓い」※本編補完47.5話
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薄暗い寝室に、ふたりの吐息だけが満ちている。
「……澪」
名前を呼ぶ声が、いつもより低い。
ベッドに横たわった澪を見下ろす崇雅の瞳には、抑えきれない熱が宿っていた。
唇に、柔らかいものが触れる。
羽が触れるほどの軽さ。
一度離れて、また触れる。
何度も何度も、優しく唇を重ねてくる様子に、澪の緊張が少しずつ解けていく。
小さく目を閉じて受け入れると、そのまま熱が溶け込むように深まっていった。
「……っ……」
唇の端を何かが濡らしていく、わずかな隙間を探るように。
(……崇雅さん……)
ためらいながらも口を開けば、すぐに舌が絡め取られた。
濡れた音が静けさの中でいやに大きく響き、胸の奥がじわりと熱くなる。
「……ん……」
「澪……もっと、俺を受け入れて」
低く囁かれる声に、澪は縋るように両腕を伸ばした。
再び深く塞がれる唇に、舌の奥まで絡め取られていく。
「……っ、ん……」
目を閉じた瞼の奥が熱に滲んで、崇雅のシャツを掴んでいた指先まで力が入らなくなる。
「……っ、はぁ……」
唇が離れた瞬間、荒く息を吐き出した。
焦点の合わない目で崇雅を見上げると、その瞳が僅かに揺れている。
「……澪」
掠れた声で名前を呼ばれ、また唇が塞がれた。
今度はもっと深く、もっと熱く、舌を絡められたまま首筋に温度が触れる。
そのまま肩へ、鎖骨へと撫でられていく流れが、胸元で止まった。
「……っ」
布越しに触れられた瞬間、澪の体がびくりと跳ねる。
けれど、唇は離してもらえない。
崇雅の舌が深く絡みついたまま、手のひらが胸の膨らみを包み込んだ。
「んっ……あ……」
口の中を蹂躙されながら、優しく揉まれる。
感覚が鋭敏になっていく中で、布の上を指先が這い、ゆっくりと円を描くたびに胸の芯が疼いた。
「んっ……ふ、ぁ……」
甘い声が、澪の口から洩れていく。
恥ずかしいのに止められないまま、舌が奥まで侵入してきて、同時に胸の先端を押される。
「ん、ぁっ……!」
また、体が跳ねた。
けれど逃げ場はなく、ただ快楽だけが体の中を駆け巡っていく。
やっと唇が離れた時、澪は荒く息を吐いた。
涙で滲んだ視界に、崇雅の顔がぼんやりと映る。
「……澪、可愛い」
低く囁かれて、顔が熱くなる。
自分がどんな顔をしているのか、想像したくもなかった。
***
崇雅の指先が、澪の部屋着の裾を掴む。
「腕、上げて」
低く命じるような声に、澪は言われるがままに両腕を上げた。
布がするりと体を滑って脱がされ、下着だけになった上半身が夜気に晒される。
「……っ」
恥ずかしさに、思わず腕で隠そうとした澪の手首を、崇雅が掴んだ。
「隠すな」
「で、でも……」
「見せてくれ」
有無を言わさぬ口調。
けれど、その瞳には熱が宿っている。
崇雅の視線が、ゆっくりと澪の体を舐めるように這っていった。
「綺麗だ……」
呟きと共に、崇雅の手が背中に回される。
下着のホックに指がかかり、小さな音がして胸を包んでいた布が緩む。
「……崇雅、さん……」
名前を呼んでも崇雅は止まらず、そのまま肩紐を下ろして最後の布を取り去る。
露わになった胸に冷たい空気が触れるも、すぐに崇雅の手のひらが温かく包み込んだ。
「……んっ」
直接触れられる感触に、澪の体が震える。
布越しとは、まるで違う。
崇雅の手が、ゆっくりと胸を揉みしだく。
「ぁ……っ」
指先が敏感な先端を転がして、つまむように、引っ張るように弄ぶ。
「もう固くなっているな」
淡々と、けれど熱を含んだ声で告げられた。
自分の体の反応を言葉にされて、澪は顔が熱くなる。
「あっ……!」
崇雅の指が少し強く先端をつまんだ。
「いい声だ」
満足げに呟いた崇雅が顔を近づけ、唇が首筋に触れてゆっくりと下へと移動していく。
鎖骨を舐め、胸の谷間にキスを落とす。
そして——
何の予告もなく、先端を口に含んだ。
「んっ…!……っ、ぁ、崇雅さ……あっ」
舌で転がされ、吸い上げられる。
指で弄られるのとは、また違う刺激。
もう片方の胸は手で揉みしだかれたまま。
口と手、両方から与えられる快楽に、澪は声を抑えられなくなっていた。
「あ、ん……っ、やぁ……」
崇雅の手が澪の腰に回され、体を引き寄せられる。
さらに深く胸を吸われ頭の中が、真っ白になっていく。
胸へ与えられる刺激に、澪は必死に唇を噛んだ。
こんな恥ずかしい声、聞かれたくない。
けれど、その様子に気づいたように、崇雅が顔を上げた。
「……澪、声……我慢しているのか?」
「っ……」
答えられずにいると、崇雅の指が先端を強く摘んだ。
「あっ……!」
「声、出して」
低く命じられる。
「で、でも……恥ずかしい、です……」
「俺は聞きたい。澪の声」
そう言って今度は容赦なく胸を揉みしだき、同時にもう片方の先端を舌で激しく転がす。
「んっ……! あ、ぁっ……!」
「そう、いい子だ」
声が漏れてしまうのを聞いて、崇雅は満足げに微笑んだ。
「もっと聞かせて」
囁きと共に胸への刺激がさらに激しくなって、もう抑えることができない。
「あっ、ん……っ」
崇雅の片方の手が、ゆっくりと下へ滑っていく。
「……っ」
澪の体が、びくりと震えた。
崇雅の手が太腿の内側をゆっくりと撫で上げていき、下着の端に指先が触れる。
「崇雅、さん……」
名前を呼んでも、崇雅は止まらない。
むしろ胸を吸う口が強くなって、そのまま下着の上からそっと触れた。
「んっ……!」
「……熱いな」
低く呟いた崇雅の指が、布の上からゆっくりと撫で、上下に円を描くように動く。
「ぁ……っ、やぁ……」
布越しなのに、感覚が鋭敏になっていく。
崇雅の指が動くたび、体の奥が疼いた。
「脱がすぞ」
告げると同時に、崇雅が下着に手をかける。
「ま、待って……」
「待てない」
短く答えられ、ゆっくりと下着を下ろしていく。
澪は恥ずかしさに目を閉じた。
全部、見られてしまう。
下着を完全に脱がされ、冷たい空気が秘部に触れた。
「……ここも、綺麗だ」
崇雅の声が、いつもより掠れていた。
そして、直接触れる。
「っ……!」
布越しとは比べ物にならない感触。
崇雅の指が、ゆっくりと割れ目を撫でている。
「あ……ん……っ」
「ここ……すごく熱い」
指先が入口をなぞり、そしてゆっくりと指が侵入してきた。
「……っ」
指が入った瞬間、崇雅の動きが止まる。
「澪……」
掠れた声で名前を呼ばれた。
「……俺を、受け入れてくれてるんだな」
「っ……そんな……」
意味が理解できずにいると、崇雅の指がゆっくりと動いて、中を探るように奥へ進む。
抵抗なんて、まるでない。
ぬるぬるとした感触の中を、崇雅の指が易々と侵入していく。
「すごいな……」
崇雅の声が、熱を帯びていた。
恥ずかしさに顔を背けようとすると、崇雅が指を足す。
「あっ……!」
「……ほら」
指が奥まで入り込み、ゆっくりと抜き差しされて、濡れた音が響く。
「や、ぁ……音……っ」
「これ、全部澪が感じている音だ」
淡々と告げられて、顔がさらに熱くなる。
崇雅の指が中で曲げられ、ある場所を擦った。
「ああっ……!?」
体が跳ねる。
「ここか」
満足げに呟いて、崇雅がその場所を刺激してくる。
「あ、だめ、そこ……っ! あっ、あぁっ……!」
もう声を抑えることなんてできない。
崇雅の指に翻弄されて、ただ快楽に身を任せるしかなかった。
「気持ちいいか?」
「っ……気持ち、いい……です……」
認めると、崇雅の目が暗く光る。
「なら、もっと気持ちよくしてやる」
指の動きが速くなる。
けれどそれだけじゃなかった。
崇雅が体を屈め、澪の脚の間に顔を近づける。
「あっ……ちょ、待って……!」
何をされるのか理解した瞬間、熱い舌が敏感な蕾に触れた。
「ひゃっ……!?」
指で中を刺激されながら、舌で優しく蕾を転がされる。
「あ、やぁ……っ、そんな、だめ……!」
崇雅の指が、そっとそこに触れた。
敏感になった場所を、舌先で執拗に舐め上げられる。
「ひっ! あぁっ……!!」
中と外、両方から攻め立てられて、刺激が強すぎる。
もう何も考えられない。
「だ、だめっ……! ふぁ、あぁっ……!!」
声も止まらない。
体が勝手に反応して、腰が浮いてしまう。
崇雅の腕が腰に回され、逃がさないように押さえつけられた。
そのまま、さらに激しく責め立てられる。
「あ、崇雅さ……っ! 何か、く……っ! はぁ、あぁっ……!!」
体の奥から、何かが込み上げてくる。
今まで感じたことのない、圧倒的な快楽の波。
「 あっ、だめ、もう……っ!!」
指が激しく中を抉り、蕾を強く吸い上げられた。
その瞬間——
「ひぁっ…あっ…ぁああっ……!!!」
体中を快楽が駆け抜ける。
頭の中が真っ白になって、何も考えられない。
崇雅の指がゆっくりと抜かれ、口も離される。
「はぁ……っ、はぁ……っ……」
澪の荒い呼吸だけが、部屋に響いていた。
しかし、体から力が抜けて、指一本動かせない。
「上手にイケたな。いい子だ」
優しく囁かれて、額に口づけられた。
けれど、崇雅は止まらない。
唇が首筋に触れてゆっくりと下へ移動していき、鎖骨に強く吸い付かれる。
「ん……っ」
何をされているのか、なんとなくわかる。
胸の谷間にも、脇腹にも、お腹にも。
服で隠れる場所に、次々とキスマークを残していく。
(崇雅さん……)
まるで、自分のものだと刻み込むように。
「や……っ」
弱々しく声を出すけれど体に力が入らなくて、崇雅を止めることができない。
「澪は、俺の女だ」
低く囁かれて、胸がきゅっと締め付けられた。
崇雅の唇が、また別の場所に吸い付く。
少し痛いけれど、不思議と嫌じゃなかった。
***
呼吸が、少しずつ落ち着いてくる。
けれど体は、まだ熱を帯びたまま。
崇雅が顔を上げ、澪を見つめた。
その瞳には、やはり収まりきらない熱が宿っている。
「……十分、ほぐれたな」
呟きと同時に崇雅が体を離し、サイドテーブルの引き出しから、小さな箱を取り出す。
避妊具だと気づいて、澪の心臓が跳ねる。
「っ……」
崇雅が自分のシャツを脱ぎ、ズボンにも手をかけ下ろすと、熱が露わになった。
澪の目が、思わず見開かれる。
(あれが……入るの……?)
崇雅が避妊具を手に取り装着していく様子を見つめながら、澪の心臓は早鐘を打つ。
準備を終えた崇雅が澪の上に覆い被さり、見下ろした。
「……入れていいか?」
低く問いかけられる。
澪の喉が、こくりと動いた。
入るんだろうか。
痛くないだろうか。
不安はあった。
けれど——
「……はい」
小さく頷くと、崇雅の目が優しく細められた。
「力、抜いて」
囁きと共に、熱い感触が入口に触れる。
ゆっくりと、押し広げるように侵入してきた。
「っ……」
痛い——と思ったけれど、痛くない。
「あ……っ」
むしろ、気持ちいい。
崇雅の熱がじわじわと中へ沈んでいき、さっきまで指があった場所を、太く熱いもので押し広げられていく。
「んっ……あ……」
「痛くないか?」
「っ……痛く、ない……です」
そう答えると、崇雅がさらに奥へと進んできた。
満たされ、埋められていく。
「あ……っ、崇雅、さん……」
「もう少しだ」
そう言って、最後まで押し込まれた。
「んあっ……!」
繋がってる——
奥まで全部入り、崇雅と一つになった。
「……澪」
名前を呼ばれて目を開けると、すぐ近くに崇雅の顔がある。
「気持ちいい……澪の中、すごく」
掠れた声で囁かれて、胸が熱くなった。
「……動くぞ」
崇雅の腰がゆっくりと引かれ、繋がっていた部分が離れていく。
(……あ)
寂しい——そう思った瞬間、また押し込まれた。
「あんっ……」
奥まで届いて、また引かれて押し込まれる。
ゆっくりと、何度も何度も。
「ぁ……ん……」
動かれるたび、中を擦られる。
指とは、全然違う。
もっと深くて、もっと熱くて、もっと——
「気持ち、いい……です」
思わず、言葉が洩れた。
「……そうか」
崇雅の声が嬉しそうに響いて、動きが少しずつ速くなっていく。
「ふぁ……ん……」
こんなの、初めて。
こんなに気持ちいいなんて。
「崇雅、さん……っ」
名前を呼ぶ声が、甘く震える。
もう余裕なんてなくて、ただ崇雅から与えられる快楽を受け入れるだけ。
「あっ……ん……気持ち、いい……っ」
素直に、言葉が出てくる。
「ぁっ……あ……っ」
崇雅の動きがさらに速くなって、奥を突かれるたびに体が跳ねる。
そして——
崇雅が澪の脚を持ち上げ、角度を変えた。
「んっ……!?」
今までとは、違う。
もっと深い。
「……ここ」
奥の一点を、突かれた。
「ひっ……!」
体に、電流が走ったような感覚。
「ここが、いいのか」
また、同じ場所を突かれる。
「んっ……! そこ……っ」
繰り返し、その場所を狙って突いている。
「あっ……ふ……っ、崇雅、さん……っ!」
体の奥から、何かが込み上げてくる。
さっき舌で触れられた時に感じた快楽とは、質が違う。
あの時は体の表面から広がっていったのに、今度は体の奥底から湧き上がってくる。
(これ……何……?)
深い場所が、熱で溶けていくような感覚。
「何か……来る……っ」
「いい、力抜いて」
崇雅の声が優しく響いて、さらに深く突き上げられた。
「あっ……! ……っ!」
体の奥から溢れ出す快楽を止めることができない。
「イく……っ、イっちゃ……っ」
「イって、いい」
許可と共に、奥を強く突かれた。
「ひぁっ……!! あぁぁ……!」
体中を甘い波が駆け抜けて、中からじわじわと広がっていく熱が全身を包み込む。
「はぁ……っ、はぁ……っ……」
体から力が抜けているのに、中はきゅっと崇雅を締め付けていた。
「……っ、澪……」
崇雅の声が、苦しそうに掠れる。
余韻に浸っていたいのに——彼の腰がまた動き出した。
「あっ……! ちょ、待って……っ」
「待てない」
ゆっくりと腰を引いていき、きつく締まった中を崇雅の熱が擦っていく。
「んっ……! も、もう少し……待って……っくだ」
お願いしても、崇雅は止まらない。
「無理だっ……澪が、締め付けてくる……っ」
掠れた声に、荒い呼吸。
敏感になった体に容赦ない刺激が与えられて、逃げ場のない快楽が積み重なっていく。
「崇雅、さん……っ」
「気持ち、いい……っ、澪……っ」
崇雅の声が、いつもより乱れている。
腰を動かしながら、崇雅の手が下へ伸びてきて、繋がっている場所に触れる。
「っ……!?」
そして、敏感な場所に指先が触れた。
「んあぁぁっ……!」
ぬるぬると濡れた指先が、滑らかに蕾を撫でる。
「ここも、一緒に」
低く囁かれて、そこをくるくると撫でられる。
奥を突かれるたび、甘い快楽が体を駆け抜けるのに、さらに蕾への刺激が重なる。
「ひっ……!!」
頭が、一気に真っ白になった。
「イっ……!!」
言葉にもならない。
体が勝手に波に飲み込まれていく。
「……っ……!!」
ただ体がビクビクと激しく震えて、中でまたきつく崇雅を締め付けた。
「っ……! 澪……っ」
崇雅の声が、遠くに聞こえる。
気持ち良すぎて、もう何も考えられない。
「はぁ……っ、はぁ……っ……」
やっと呼吸が戻ってきたが、体の震えは止まらなかった。
余韻が、大きすぎる。
「……澪、大丈夫か?」
崇雅の声が、優しく響く。
小さく頷くけれど、体はまだ言うことを聞かない。
崇雅は動かなかった。
繋がったまま、じっと待っていてくれる。
「ゆっくりでいい」
囁きと共に、額にキスを落とされる。
その優しさに、胸が熱くなった。
***
しばらくして、少しずつ呼吸が整ってくる。
体の震えも、徐々に収まってきたが、中には崇雅の熱が入ったまま、その存在をずっと感じていた。
「……崇雅、さん」
やっと、声が出る。
「ああ」
「ごめん、なさい……」
「何が?」
崇雅が、不思議そうに首を傾げた。
「お待たせて……」
「気にするな。澪が気持ちよくなってくれるのが、一番嬉しい」
そう言って、優しく微笑むけれど——その顔には汗が滲んでいて、呼吸も荒い。
(崇雅さんも……我慢してる)
「……少し、水を飲もう」
崇雅がそう言って、サイドテーブルからペットボトルを取った。
キャップを開けて、澪に差し出す。
「ありがとう、ございます……」
体を少し起こして、受け取る。
繋がったままだから、少しでも動くと中で崇雅の熱が響く。
「んっ……」
「大丈夫か?」
「……はい」
水を飲み込むと、冷んやりとした感覚が火照った体に染み込んでいった。
「ゆっくりでいい」
何口か飲んで、ペットボトルを崇雅に返す。
「崇雅さんも……」
「ああ」
崇雅も水を飲む。
その仕草さえ、色っぽく見えてしまう。
ペットボトルをサイドテーブルに置いて、崇雅が澪を見つめた。
「……澪」
名前を呼ばれて、すぐに唇が塞がれる。
深く、優しいキス。
舌を絡められながら、崇雅の腕が澪の体を抱き上げた。
「んんっ……」
繋がったまま、体勢が変わる。
横向きになって、崇雅に抱きしめられる形に。
そして——
ゆっくりと、崇雅の腰が動き出した。
「ん……っ」
キスをされたまま、奥を優しく突かれる。
さっきまでとは違う。
激しくない。
ゆっくりと、深く。
何度も何度も、丁寧に。
「ん……ふ……っ」
気持ちいい。
すごく、気持ちいい。
「ん……っ、んぅ……っ」
唇が離れても、すぐにまた塞がれた。
崇雅の熱が、ゆっくりと澪を満たし続けている。
幸せ——
そんな言葉が、頭に浮かぶ。
愛されて、大切にされてる。
その実感が、胸いっぱいに広がっていった。
「崇雅、さん……っ」
「ああ……澪……っ」
名前を呼び合いながら、ゆっくりと2人は繋がり続ける。
けれど——
崇雅の呼吸が、荒くなっていく。
「っ……澪……もう……っ」
掠れた声で、限界が近い。
「……一緒にイこう……っ」
囁きと共に、崇雅の動きが変わった。
ゆっくりだけど、狙いを定めて奥のあの場所を何度も何度も執拗に突いてくる。
「んっ……!」
「ふぁっ……そこ……っ」
崇雅は、もう覚えてしまった。
澪の弱いところを。
「ん……っ、また……っ」
あの深い波が、また来る。
体の奥から、じわじわと。
「崇雅、さん……っ」
名前を呼ぶと深く口づけられ、呼吸を奪われた。
それでも、崇雅は動き続ける。
「んっ……! んぅ……っ!」
口を塞がれているのに声が漏れて、息遣いも抑えきれない。
「んっ……ふ……っ!」
もう、無理——
「ん……っ!!」
「っ……! 澪……っ」
その瞬間、2人は同時に波に飲み込まれた。
体の奥から熱が弾けて、崇雅の熱も中で脈打つのを感じる。
「んっ……ぁ……」
長い、長い余韻。
やがて唇が離れて、2人は荒く息を吐いた。
「はぁ……っ、はぁ……っ……」
崇雅が、澪を強く抱きしめる。
「……澪」
「……崇雅、さん……」
体から力が抜けていき、もう何も考えられない。
崇雅の腕の中で、そのまましばらく抱きしめられていた。
やがて、崇雅がゆっくりと体を離し、繋がっていた部分が、抜かれていく。
「……っ」
空虚感。
崇雅がベッドを降りて、何かを処理している気配がするも、すぐに戻ってきてまた澪を抱きしめた。
「……大丈夫か?」
優しく問いかけられる。
「……はい……」
「無理させたな」
「……大丈夫、です……」
本当は体中が疲れ切っているけれど、幸せで満たされていた。
「少し休もう」
崇雅が、澪の髪を優しく撫でる。
その温もりに包まれて、澪はゆっくりと目を閉じた。
彼の腕の中は温かくて、安心できて、意識がゆっくりと遠のいていく。
「……澪」
名前を呼ばれて、少しだけ目を開ける。
「そのまま、寝ていい」
優しく囁かれて、さらに強く抱きしめられた。
「……崇雅さん……」
「ああ」
「……好き、です……」
「俺も、好きだ」
その言葉を聞いて、澪は安心して目を閉じる。
崇雅の腕の中で、幸せな余韻に包まれながら、ゆっくりと眠りに落ちていった。
「……澪」
名前を呼ぶ声が、いつもより低い。
ベッドに横たわった澪を見下ろす崇雅の瞳には、抑えきれない熱が宿っていた。
唇に、柔らかいものが触れる。
羽が触れるほどの軽さ。
一度離れて、また触れる。
何度も何度も、優しく唇を重ねてくる様子に、澪の緊張が少しずつ解けていく。
小さく目を閉じて受け入れると、そのまま熱が溶け込むように深まっていった。
「……っ……」
唇の端を何かが濡らしていく、わずかな隙間を探るように。
(……崇雅さん……)
ためらいながらも口を開けば、すぐに舌が絡め取られた。
濡れた音が静けさの中でいやに大きく響き、胸の奥がじわりと熱くなる。
「……ん……」
「澪……もっと、俺を受け入れて」
低く囁かれる声に、澪は縋るように両腕を伸ばした。
再び深く塞がれる唇に、舌の奥まで絡め取られていく。
「……っ、ん……」
目を閉じた瞼の奥が熱に滲んで、崇雅のシャツを掴んでいた指先まで力が入らなくなる。
「……っ、はぁ……」
唇が離れた瞬間、荒く息を吐き出した。
焦点の合わない目で崇雅を見上げると、その瞳が僅かに揺れている。
「……澪」
掠れた声で名前を呼ばれ、また唇が塞がれた。
今度はもっと深く、もっと熱く、舌を絡められたまま首筋に温度が触れる。
そのまま肩へ、鎖骨へと撫でられていく流れが、胸元で止まった。
「……っ」
布越しに触れられた瞬間、澪の体がびくりと跳ねる。
けれど、唇は離してもらえない。
崇雅の舌が深く絡みついたまま、手のひらが胸の膨らみを包み込んだ。
「んっ……あ……」
口の中を蹂躙されながら、優しく揉まれる。
感覚が鋭敏になっていく中で、布の上を指先が這い、ゆっくりと円を描くたびに胸の芯が疼いた。
「んっ……ふ、ぁ……」
甘い声が、澪の口から洩れていく。
恥ずかしいのに止められないまま、舌が奥まで侵入してきて、同時に胸の先端を押される。
「ん、ぁっ……!」
また、体が跳ねた。
けれど逃げ場はなく、ただ快楽だけが体の中を駆け巡っていく。
やっと唇が離れた時、澪は荒く息を吐いた。
涙で滲んだ視界に、崇雅の顔がぼんやりと映る。
「……澪、可愛い」
低く囁かれて、顔が熱くなる。
自分がどんな顔をしているのか、想像したくもなかった。
***
崇雅の指先が、澪の部屋着の裾を掴む。
「腕、上げて」
低く命じるような声に、澪は言われるがままに両腕を上げた。
布がするりと体を滑って脱がされ、下着だけになった上半身が夜気に晒される。
「……っ」
恥ずかしさに、思わず腕で隠そうとした澪の手首を、崇雅が掴んだ。
「隠すな」
「で、でも……」
「見せてくれ」
有無を言わさぬ口調。
けれど、その瞳には熱が宿っている。
崇雅の視線が、ゆっくりと澪の体を舐めるように這っていった。
「綺麗だ……」
呟きと共に、崇雅の手が背中に回される。
下着のホックに指がかかり、小さな音がして胸を包んでいた布が緩む。
「……崇雅、さん……」
名前を呼んでも崇雅は止まらず、そのまま肩紐を下ろして最後の布を取り去る。
露わになった胸に冷たい空気が触れるも、すぐに崇雅の手のひらが温かく包み込んだ。
「……んっ」
直接触れられる感触に、澪の体が震える。
布越しとは、まるで違う。
崇雅の手が、ゆっくりと胸を揉みしだく。
「ぁ……っ」
指先が敏感な先端を転がして、つまむように、引っ張るように弄ぶ。
「もう固くなっているな」
淡々と、けれど熱を含んだ声で告げられた。
自分の体の反応を言葉にされて、澪は顔が熱くなる。
「あっ……!」
崇雅の指が少し強く先端をつまんだ。
「いい声だ」
満足げに呟いた崇雅が顔を近づけ、唇が首筋に触れてゆっくりと下へと移動していく。
鎖骨を舐め、胸の谷間にキスを落とす。
そして——
何の予告もなく、先端を口に含んだ。
「んっ…!……っ、ぁ、崇雅さ……あっ」
舌で転がされ、吸い上げられる。
指で弄られるのとは、また違う刺激。
もう片方の胸は手で揉みしだかれたまま。
口と手、両方から与えられる快楽に、澪は声を抑えられなくなっていた。
「あ、ん……っ、やぁ……」
崇雅の手が澪の腰に回され、体を引き寄せられる。
さらに深く胸を吸われ頭の中が、真っ白になっていく。
胸へ与えられる刺激に、澪は必死に唇を噛んだ。
こんな恥ずかしい声、聞かれたくない。
けれど、その様子に気づいたように、崇雅が顔を上げた。
「……澪、声……我慢しているのか?」
「っ……」
答えられずにいると、崇雅の指が先端を強く摘んだ。
「あっ……!」
「声、出して」
低く命じられる。
「で、でも……恥ずかしい、です……」
「俺は聞きたい。澪の声」
そう言って今度は容赦なく胸を揉みしだき、同時にもう片方の先端を舌で激しく転がす。
「んっ……! あ、ぁっ……!」
「そう、いい子だ」
声が漏れてしまうのを聞いて、崇雅は満足げに微笑んだ。
「もっと聞かせて」
囁きと共に胸への刺激がさらに激しくなって、もう抑えることができない。
「あっ、ん……っ」
崇雅の片方の手が、ゆっくりと下へ滑っていく。
「……っ」
澪の体が、びくりと震えた。
崇雅の手が太腿の内側をゆっくりと撫で上げていき、下着の端に指先が触れる。
「崇雅、さん……」
名前を呼んでも、崇雅は止まらない。
むしろ胸を吸う口が強くなって、そのまま下着の上からそっと触れた。
「んっ……!」
「……熱いな」
低く呟いた崇雅の指が、布の上からゆっくりと撫で、上下に円を描くように動く。
「ぁ……っ、やぁ……」
布越しなのに、感覚が鋭敏になっていく。
崇雅の指が動くたび、体の奥が疼いた。
「脱がすぞ」
告げると同時に、崇雅が下着に手をかける。
「ま、待って……」
「待てない」
短く答えられ、ゆっくりと下着を下ろしていく。
澪は恥ずかしさに目を閉じた。
全部、見られてしまう。
下着を完全に脱がされ、冷たい空気が秘部に触れた。
「……ここも、綺麗だ」
崇雅の声が、いつもより掠れていた。
そして、直接触れる。
「っ……!」
布越しとは比べ物にならない感触。
崇雅の指が、ゆっくりと割れ目を撫でている。
「あ……ん……っ」
「ここ……すごく熱い」
指先が入口をなぞり、そしてゆっくりと指が侵入してきた。
「……っ」
指が入った瞬間、崇雅の動きが止まる。
「澪……」
掠れた声で名前を呼ばれた。
「……俺を、受け入れてくれてるんだな」
「っ……そんな……」
意味が理解できずにいると、崇雅の指がゆっくりと動いて、中を探るように奥へ進む。
抵抗なんて、まるでない。
ぬるぬるとした感触の中を、崇雅の指が易々と侵入していく。
「すごいな……」
崇雅の声が、熱を帯びていた。
恥ずかしさに顔を背けようとすると、崇雅が指を足す。
「あっ……!」
「……ほら」
指が奥まで入り込み、ゆっくりと抜き差しされて、濡れた音が響く。
「や、ぁ……音……っ」
「これ、全部澪が感じている音だ」
淡々と告げられて、顔がさらに熱くなる。
崇雅の指が中で曲げられ、ある場所を擦った。
「ああっ……!?」
体が跳ねる。
「ここか」
満足げに呟いて、崇雅がその場所を刺激してくる。
「あ、だめ、そこ……っ! あっ、あぁっ……!」
もう声を抑えることなんてできない。
崇雅の指に翻弄されて、ただ快楽に身を任せるしかなかった。
「気持ちいいか?」
「っ……気持ち、いい……です……」
認めると、崇雅の目が暗く光る。
「なら、もっと気持ちよくしてやる」
指の動きが速くなる。
けれどそれだけじゃなかった。
崇雅が体を屈め、澪の脚の間に顔を近づける。
「あっ……ちょ、待って……!」
何をされるのか理解した瞬間、熱い舌が敏感な蕾に触れた。
「ひゃっ……!?」
指で中を刺激されながら、舌で優しく蕾を転がされる。
「あ、やぁ……っ、そんな、だめ……!」
崇雅の指が、そっとそこに触れた。
敏感になった場所を、舌先で執拗に舐め上げられる。
「ひっ! あぁっ……!!」
中と外、両方から攻め立てられて、刺激が強すぎる。
もう何も考えられない。
「だ、だめっ……! ふぁ、あぁっ……!!」
声も止まらない。
体が勝手に反応して、腰が浮いてしまう。
崇雅の腕が腰に回され、逃がさないように押さえつけられた。
そのまま、さらに激しく責め立てられる。
「あ、崇雅さ……っ! 何か、く……っ! はぁ、あぁっ……!!」
体の奥から、何かが込み上げてくる。
今まで感じたことのない、圧倒的な快楽の波。
「 あっ、だめ、もう……っ!!」
指が激しく中を抉り、蕾を強く吸い上げられた。
その瞬間——
「ひぁっ…あっ…ぁああっ……!!!」
体中を快楽が駆け抜ける。
頭の中が真っ白になって、何も考えられない。
崇雅の指がゆっくりと抜かれ、口も離される。
「はぁ……っ、はぁ……っ……」
澪の荒い呼吸だけが、部屋に響いていた。
しかし、体から力が抜けて、指一本動かせない。
「上手にイケたな。いい子だ」
優しく囁かれて、額に口づけられた。
けれど、崇雅は止まらない。
唇が首筋に触れてゆっくりと下へ移動していき、鎖骨に強く吸い付かれる。
「ん……っ」
何をされているのか、なんとなくわかる。
胸の谷間にも、脇腹にも、お腹にも。
服で隠れる場所に、次々とキスマークを残していく。
(崇雅さん……)
まるで、自分のものだと刻み込むように。
「や……っ」
弱々しく声を出すけれど体に力が入らなくて、崇雅を止めることができない。
「澪は、俺の女だ」
低く囁かれて、胸がきゅっと締め付けられた。
崇雅の唇が、また別の場所に吸い付く。
少し痛いけれど、不思議と嫌じゃなかった。
***
呼吸が、少しずつ落ち着いてくる。
けれど体は、まだ熱を帯びたまま。
崇雅が顔を上げ、澪を見つめた。
その瞳には、やはり収まりきらない熱が宿っている。
「……十分、ほぐれたな」
呟きと同時に崇雅が体を離し、サイドテーブルの引き出しから、小さな箱を取り出す。
避妊具だと気づいて、澪の心臓が跳ねる。
「っ……」
崇雅が自分のシャツを脱ぎ、ズボンにも手をかけ下ろすと、熱が露わになった。
澪の目が、思わず見開かれる。
(あれが……入るの……?)
崇雅が避妊具を手に取り装着していく様子を見つめながら、澪の心臓は早鐘を打つ。
準備を終えた崇雅が澪の上に覆い被さり、見下ろした。
「……入れていいか?」
低く問いかけられる。
澪の喉が、こくりと動いた。
入るんだろうか。
痛くないだろうか。
不安はあった。
けれど——
「……はい」
小さく頷くと、崇雅の目が優しく細められた。
「力、抜いて」
囁きと共に、熱い感触が入口に触れる。
ゆっくりと、押し広げるように侵入してきた。
「っ……」
痛い——と思ったけれど、痛くない。
「あ……っ」
むしろ、気持ちいい。
崇雅の熱がじわじわと中へ沈んでいき、さっきまで指があった場所を、太く熱いもので押し広げられていく。
「んっ……あ……」
「痛くないか?」
「っ……痛く、ない……です」
そう答えると、崇雅がさらに奥へと進んできた。
満たされ、埋められていく。
「あ……っ、崇雅、さん……」
「もう少しだ」
そう言って、最後まで押し込まれた。
「んあっ……!」
繋がってる——
奥まで全部入り、崇雅と一つになった。
「……澪」
名前を呼ばれて目を開けると、すぐ近くに崇雅の顔がある。
「気持ちいい……澪の中、すごく」
掠れた声で囁かれて、胸が熱くなった。
「……動くぞ」
崇雅の腰がゆっくりと引かれ、繋がっていた部分が離れていく。
(……あ)
寂しい——そう思った瞬間、また押し込まれた。
「あんっ……」
奥まで届いて、また引かれて押し込まれる。
ゆっくりと、何度も何度も。
「ぁ……ん……」
動かれるたび、中を擦られる。
指とは、全然違う。
もっと深くて、もっと熱くて、もっと——
「気持ち、いい……です」
思わず、言葉が洩れた。
「……そうか」
崇雅の声が嬉しそうに響いて、動きが少しずつ速くなっていく。
「ふぁ……ん……」
こんなの、初めて。
こんなに気持ちいいなんて。
「崇雅、さん……っ」
名前を呼ぶ声が、甘く震える。
もう余裕なんてなくて、ただ崇雅から与えられる快楽を受け入れるだけ。
「あっ……ん……気持ち、いい……っ」
素直に、言葉が出てくる。
「ぁっ……あ……っ」
崇雅の動きがさらに速くなって、奥を突かれるたびに体が跳ねる。
そして——
崇雅が澪の脚を持ち上げ、角度を変えた。
「んっ……!?」
今までとは、違う。
もっと深い。
「……ここ」
奥の一点を、突かれた。
「ひっ……!」
体に、電流が走ったような感覚。
「ここが、いいのか」
また、同じ場所を突かれる。
「んっ……! そこ……っ」
繰り返し、その場所を狙って突いている。
「あっ……ふ……っ、崇雅、さん……っ!」
体の奥から、何かが込み上げてくる。
さっき舌で触れられた時に感じた快楽とは、質が違う。
あの時は体の表面から広がっていったのに、今度は体の奥底から湧き上がってくる。
(これ……何……?)
深い場所が、熱で溶けていくような感覚。
「何か……来る……っ」
「いい、力抜いて」
崇雅の声が優しく響いて、さらに深く突き上げられた。
「あっ……! ……っ!」
体の奥から溢れ出す快楽を止めることができない。
「イく……っ、イっちゃ……っ」
「イって、いい」
許可と共に、奥を強く突かれた。
「ひぁっ……!! あぁぁ……!」
体中を甘い波が駆け抜けて、中からじわじわと広がっていく熱が全身を包み込む。
「はぁ……っ、はぁ……っ……」
体から力が抜けているのに、中はきゅっと崇雅を締め付けていた。
「……っ、澪……」
崇雅の声が、苦しそうに掠れる。
余韻に浸っていたいのに——彼の腰がまた動き出した。
「あっ……! ちょ、待って……っ」
「待てない」
ゆっくりと腰を引いていき、きつく締まった中を崇雅の熱が擦っていく。
「んっ……! も、もう少し……待って……っくだ」
お願いしても、崇雅は止まらない。
「無理だっ……澪が、締め付けてくる……っ」
掠れた声に、荒い呼吸。
敏感になった体に容赦ない刺激が与えられて、逃げ場のない快楽が積み重なっていく。
「崇雅、さん……っ」
「気持ち、いい……っ、澪……っ」
崇雅の声が、いつもより乱れている。
腰を動かしながら、崇雅の手が下へ伸びてきて、繋がっている場所に触れる。
「っ……!?」
そして、敏感な場所に指先が触れた。
「んあぁぁっ……!」
ぬるぬると濡れた指先が、滑らかに蕾を撫でる。
「ここも、一緒に」
低く囁かれて、そこをくるくると撫でられる。
奥を突かれるたび、甘い快楽が体を駆け抜けるのに、さらに蕾への刺激が重なる。
「ひっ……!!」
頭が、一気に真っ白になった。
「イっ……!!」
言葉にもならない。
体が勝手に波に飲み込まれていく。
「……っ……!!」
ただ体がビクビクと激しく震えて、中でまたきつく崇雅を締め付けた。
「っ……! 澪……っ」
崇雅の声が、遠くに聞こえる。
気持ち良すぎて、もう何も考えられない。
「はぁ……っ、はぁ……っ……」
やっと呼吸が戻ってきたが、体の震えは止まらなかった。
余韻が、大きすぎる。
「……澪、大丈夫か?」
崇雅の声が、優しく響く。
小さく頷くけれど、体はまだ言うことを聞かない。
崇雅は動かなかった。
繋がったまま、じっと待っていてくれる。
「ゆっくりでいい」
囁きと共に、額にキスを落とされる。
その優しさに、胸が熱くなった。
***
しばらくして、少しずつ呼吸が整ってくる。
体の震えも、徐々に収まってきたが、中には崇雅の熱が入ったまま、その存在をずっと感じていた。
「……崇雅、さん」
やっと、声が出る。
「ああ」
「ごめん、なさい……」
「何が?」
崇雅が、不思議そうに首を傾げた。
「お待たせて……」
「気にするな。澪が気持ちよくなってくれるのが、一番嬉しい」
そう言って、優しく微笑むけれど——その顔には汗が滲んでいて、呼吸も荒い。
(崇雅さんも……我慢してる)
「……少し、水を飲もう」
崇雅がそう言って、サイドテーブルからペットボトルを取った。
キャップを開けて、澪に差し出す。
「ありがとう、ございます……」
体を少し起こして、受け取る。
繋がったままだから、少しでも動くと中で崇雅の熱が響く。
「んっ……」
「大丈夫か?」
「……はい」
水を飲み込むと、冷んやりとした感覚が火照った体に染み込んでいった。
「ゆっくりでいい」
何口か飲んで、ペットボトルを崇雅に返す。
「崇雅さんも……」
「ああ」
崇雅も水を飲む。
その仕草さえ、色っぽく見えてしまう。
ペットボトルをサイドテーブルに置いて、崇雅が澪を見つめた。
「……澪」
名前を呼ばれて、すぐに唇が塞がれる。
深く、優しいキス。
舌を絡められながら、崇雅の腕が澪の体を抱き上げた。
「んんっ……」
繋がったまま、体勢が変わる。
横向きになって、崇雅に抱きしめられる形に。
そして——
ゆっくりと、崇雅の腰が動き出した。
「ん……っ」
キスをされたまま、奥を優しく突かれる。
さっきまでとは違う。
激しくない。
ゆっくりと、深く。
何度も何度も、丁寧に。
「ん……ふ……っ」
気持ちいい。
すごく、気持ちいい。
「ん……っ、んぅ……っ」
唇が離れても、すぐにまた塞がれた。
崇雅の熱が、ゆっくりと澪を満たし続けている。
幸せ——
そんな言葉が、頭に浮かぶ。
愛されて、大切にされてる。
その実感が、胸いっぱいに広がっていった。
「崇雅、さん……っ」
「ああ……澪……っ」
名前を呼び合いながら、ゆっくりと2人は繋がり続ける。
けれど——
崇雅の呼吸が、荒くなっていく。
「っ……澪……もう……っ」
掠れた声で、限界が近い。
「……一緒にイこう……っ」
囁きと共に、崇雅の動きが変わった。
ゆっくりだけど、狙いを定めて奥のあの場所を何度も何度も執拗に突いてくる。
「んっ……!」
「ふぁっ……そこ……っ」
崇雅は、もう覚えてしまった。
澪の弱いところを。
「ん……っ、また……っ」
あの深い波が、また来る。
体の奥から、じわじわと。
「崇雅、さん……っ」
名前を呼ぶと深く口づけられ、呼吸を奪われた。
それでも、崇雅は動き続ける。
「んっ……! んぅ……っ!」
口を塞がれているのに声が漏れて、息遣いも抑えきれない。
「んっ……ふ……っ!」
もう、無理——
「ん……っ!!」
「っ……! 澪……っ」
その瞬間、2人は同時に波に飲み込まれた。
体の奥から熱が弾けて、崇雅の熱も中で脈打つのを感じる。
「んっ……ぁ……」
長い、長い余韻。
やがて唇が離れて、2人は荒く息を吐いた。
「はぁ……っ、はぁ……っ……」
崇雅が、澪を強く抱きしめる。
「……澪」
「……崇雅、さん……」
体から力が抜けていき、もう何も考えられない。
崇雅の腕の中で、そのまましばらく抱きしめられていた。
やがて、崇雅がゆっくりと体を離し、繋がっていた部分が、抜かれていく。
「……っ」
空虚感。
崇雅がベッドを降りて、何かを処理している気配がするも、すぐに戻ってきてまた澪を抱きしめた。
「……大丈夫か?」
優しく問いかけられる。
「……はい……」
「無理させたな」
「……大丈夫、です……」
本当は体中が疲れ切っているけれど、幸せで満たされていた。
「少し休もう」
崇雅が、澪の髪を優しく撫でる。
その温もりに包まれて、澪はゆっくりと目を閉じた。
彼の腕の中は温かくて、安心できて、意識がゆっくりと遠のいていく。
「……澪」
名前を呼ばれて、少しだけ目を開ける。
「そのまま、寝ていい」
優しく囁かれて、さらに強く抱きしめられた。
「……崇雅さん……」
「ああ」
「……好き、です……」
「俺も、好きだ」
その言葉を聞いて、澪は安心して目を閉じる。
崇雅の腕の中で、幸せな余韻に包まれながら、ゆっくりと眠りに落ちていった。
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