【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

あとがき

ここまで読んでくださった皆さまへ。
澪と崇雅の物語、無事に完結を迎えることができました。
最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました。

この物語の始まりは、「大人同士の恋愛を、日常や仕事とともに描きたい」という、シンプルな想いからでした。
けれど書き進めていくうちに、ふたりの関係はただの恋愛を超えて、
“共に働き、暮らし、支え合っていく日々”こそが軸になっていきました。

崇雅は、一見すると完璧で隙のない人。
けれど実際は、とても不器用で、時に不安や嫉妬も隠せない。
それでも彼は、どんなときも澪を守り支えることに迷わず、自分の時間も立場も惜しみなく注ぎ込む人でした。

澪は、真面目で控えめ、けれど芯の強い女性です。
最初は崇雅の真意に戸惑いながらも、仕事を通して、また日々の暮らしの中で、
自分から寄り添い、支える側にも回れる人へと成長していきました。

ふたりの物語は、恋愛の甘さだけでなく、時には衝突やすれ違いもありました。
それらを乗り越えて積み重ねた時間が、関係をより深く、強くしていく。
その過程を描けたことが、この作品の大きな喜びです。

当初はここまで仕事や日常生活の描写を丁寧に入れるつもりはありませんでしたが、
気づけば社内の人間関係や家族との交流、何気ない朝や夜の時間まで、
ふたりの周りの世界が広がっていきました。
それはきっと、「一緒に生きていく」物語には欠かせない温度だったのだと思います。

この先も、彼らにはきっとさまざまな出来事が待っているでしょう。
けれど今は、この“あたたかな現在”の中で、物語をそっと閉じたいと思います。

もし、この物語の中に、少しでも心に残る瞬間があったなら――
それが私にとって、何よりの幸せです。

本当に、ありがとうございました。
また新しい物語で、皆さまとお会いできましたら嬉しく思います。


【登場人物紹介】

結城　澪（ゆうき　みお）
・年齢：物語開始時点で27歳。
・立場：逢坂グループ傘下の上場企業で働く会社員。企画・進行管理を担当。

・性格：真面目で責任感が強く、控えめながらも人当たりの良い性格。仕事仲間や先輩後輩からの信頼が厚い。

・苦手なこと：自分から人に頼ること。迷惑をかけることを極端に避ける傾向がある。

・強み・成長点
与えられた仕事をきちんとやり遂げる誠実さと忍耐力。
物語を通じて「支えられる側」から「支える側」へと意識が変化し、仕事でもプライベートでもパートナーシップを築けるようになっていく。

・崇雅との関係
最初は上司と部下。
退職の意向をきっかけに距離が縮まり、恋人同士へ。
公私にわたるサポートを受けながらも、次第に自分も彼を支える立場になっていく。

・家族構成
夫：崇雅（たかまさ）
長女：柊里（しゅり）
妹・愛菜が既婚で、姪・莉菜がいる。

・その他
プライベートでは素の笑顔や甘えが魅力で、崇雅にとって唯一無二の「帰る場所」。


結城　崇雅（ゆうき　たかまさ）旧姓：東條
・年齢：物語開始時点で35歳。
・立場：大手ホテルチェーンの次男。もともと逢坂グループ本社に勤めていたが、傘下企業の部長職として澪と出会う。

・性格：冷静沈着で仕事に妥協がない。表面上は寡黙で近寄りがたいが、内面は非常に情が深く、恋人には一途で重いほどの愛情を注ぐ。

・強み・特徴
優れた観察力と決断力。
澪の体調や感情の変化をわずかな仕草からも察知し、即座に行動に移せる。
立場を活かした行動力と包容力で、相手を全力で守るタイプ。

・過去と変化
家柄や立場ゆえの制約を受けながらも、澪と出会ってからは自分の優先順位が大きく変化。
彼女を守るためなら地位や家のしがらみにも立ち向かう覚悟を持つ。

・澪との関係
部下としての澪を評価していたが、退職の意向を機に私生活でも距離が縮まり、恋人として迎え入れる。
以降は公私にわたる徹底的なサポートと過保護ぶりを発揮。

・その他
プライベートでは甘さと独占欲が強く、澪を「逃がさない」と心に決めている。
仕事中は上司として冷静に振る舞うが、二人きりのときは全く別人のように甘くなる。


結城　柊里（ゆうき　しゅり）
・年齢：番外編で誕生。冬生まれ。
・立場：澪と崇雅の第一子。崇雅が婿入りしたため結城姓で、東條家のしがらみとは無縁に、のびのびと明るく育つ。

・性格：明るくはっきりした性格で、人見知りをあまりしない。目を合わせるとよく笑い、好奇心旺盛。

・名前の由来
冬の象徴である「柊（ひいらぎ）」と、温かみのある「里（さと）」を合わせ、「寒い季節でも人とのつながりの中であたたかく育ってほしい」という願いが込められている。

・家族との関係
澪のことが大好きで、日常の多くを一緒に過ごし、柊里にとって安心できる存在。
澪が真面目な性格ゆえに、時に厳しく接してしまうこともあるが、その愛情は深く、柊里もよく理解している。
崇雅のことも同じくらい大好きで、特に甘やかしてくれるところが魅力。
どことなく澪に似た柊里のお願いごとは、なんだかんだで許してしまうことが多く、家にいる時は澪よりも崇雅と一緒にいる時間が長い。

・親戚との関係
結城家の祖母（澪の母）、叔母の愛菜、従姉妹の莉菜とは年に数回しか会わないが、とても懐いていて仲が良い。
伯父の崇徳とは2～3か月に１度会っており、こちらにもとても懐いている。
崇雅以上に甘い崇徳に対しては遠慮なくわがままを発揮し、崇徳もそれを喜んで受け入れる“伯父馬鹿”ぶりを見せる。
明るくはっきりした性格の柊里とは相性抜群。

・その他
物語の未来を象徴する存在として、家族のあたたかさと絆を表す。