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君のために

槇と葉

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 はつてんがまだ男高の生徒だった時。

 葉と槇の婚約は自分自身で決めたもの。槇にとっても葉にとっても都合が良かった。2人共、モテていた為、その関係は2人にとって利用できるものだった。まだこの時はお互いの利用のためだったがだんだんと槇は葉のことが好きになっていた。それと同時に葉は槇のことが嫌になっていた。

 結婚自体はしていなかった。まだ、正式に夫婦というわけではない。

 直也なおやと同じで手紙が届いた。

 「葉、どうする?」
 「どうもしない。僕は、槇との子供なんて産みたくない。」
 「そうは言っても、手紙は来ちゃったし・・・」
 「まだ、拒否できるでしょう?」

 そうなのだ。槇と葉の元に届いた手紙は今回が初めてではない。
 子供を産みたくないから、葉は断り続けていた。
 「葉、そろそろ断ることも難しくなってくる・・・俺とが嫌なら違う人を」
 「槇。なんのために婚約関係を結んだのか覚えてないの?」
 「覚えてるけど・・・でも、」
 「何?槇は僕としたいの?」
 「そうじゃない、俺だって出来ることならしたくない。」
 「じゃあ、どういうこと?」
 「・・・・」
 「はぁ。取り敢えず、断っておいてね。まだ僕達なら成績でここに置いておいてくれるから」
 「分かった。」
 この時の槇は今の直也と同じで『一緒にはいたいが、子供を作りたいとは思っていなかった。ただ、一緒にいるだけで良かったのだ。』
 両親の後を受け継いだ形なので槇の両親も学校にいる。だが槇と葉のように甘くはない。
 ・いつまで迷ってる
 ・早く済ませろ
 ・俺達を困らせるな
会うといつも言うセリフ。
 


 そう思うと直也にとってもここは恵まれている環境である。

 
 「葉。断って来た。また言われちゃったけどね」
 「槇は・・・僕といたらご両親が口うるさく言うんでしょう?僕といていいの?」
 「・・・口うるさく言われるのはもう慣れたから別になんとも思ってないよ。俺は葉のこと、素直に好きだから一緒にいるんだ。」
 「何それ・・・よくそんな簡単に言えるね・・・槇の好きはそんな簡単なものなの?」
 「簡単じゃないよ。でも、本当のことだから、知って欲しいんだ。葉にはね。」
 薬のせいで熱が出ているのかベットにいる葉はもう話したくないと言うようにそっぽを向いた。
 「じゃあ、部屋に戻るね。何かあったら呼んで」
 一瞬だけ頭を触ろうとしたでもすぐに引っ込めた。


  
 葉と槇が高校2年になった時、槇の両親が痺れを切らして強制的に子供を作ることになってしまった。
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