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君のために

次の日は

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 明日のことを考えるとお腹が痛い。
 『直也なおや。土日。練習するよ。』
 そんなことを言われて、大丈夫なわけない。嫌だ。逃げ出したい。
 「それで、逃げたいからここに来たの?」
 「あ、ああ」
 「昨日までは普通だったのになんで?ケーキ買って来てたじゃん。」
 「昨日は、水曜日に悪いことしたから償いとしてケーキ買って来ただけで」
 「それで?」
 「土曜日になってほしくない」
 「はぁー」
 はつの家に直也は学校帰り来ていた。
 「もう。」
 「そういけばお父さんは?」
 「てんは君のお姫様のところ。私も行こうと思ってるんだけど?」
 「え、」
 「え、じゃないわよ!直也が頼んだんでしょう!行ける日は白斗はくと君を見ててって!」
 「そうだけどさ・・・これから行くとは思っていなかった。」
 「行こうと思ったら直也が来たんじゃん。お腹抑えて『お母さん~』って死にそうな声で心配したわよ!」
 「ごめんなさい・・・」
 「直也。白斗君のこと、わかるけどさ。そろそろ決断しないと白斗君取られちゃうよ。」
 「っ」
 葉の言葉に直也は下を向いた。
 「お母さん。白斗は俺なんかで良いのかな?」
 「何言ってるの。白斗君には直也しかいないの」
 そう言って直也のそばに行って背中をさする。
 「まだこの学校に入る前。白斗君が頼っていたのはずっと直也だった。依存に近いかもね。だから白斗君は直也のそばから離れないよ。白斗君の意思ではね。でも、強制ってなったら離れるしかないから」
 「・・・・」
 「直也。じゃあ聞いてみる?」
 「何を?」
 「直也が気になってることは?白斗君のことで」
 「白斗のことで?」
 「そう。」
 「・・・あ、なんで白斗を売ったのかかな。」
 「分かった。ちょっと待ってて、後他にも考えておいて」
 そう言って葉はどこに行ってしまった。
 (考えておけって・・・白斗が売られた理由が知りたい。白斗はお金の問題って言ってたけど・・・違う気がする。あとは・・・)

 考えに耽っていると葉が帰って来た。
 「直也、これ。」
 葉に渡されたのは葉のスマホだった。
 「え?・・・もしもし?」
 『もしもし神瀬《かみせ》 直也君?』
 「あなたは・・・」
 『お久しぶりですね。』
 葉のスマホから聞こえた声の人は都瀬みやせ 白音しろねだった。
 『都瀬 白音です。』
 「・・・」
 『聞きたいことがあるんでしょう?直也君』
 「なんで、白斗を売ったんですか?」
 『お金の問題』
 「そんなんじゃないと思います。」
 電話の向こうで『ごめんなさい』と聞こえた。
 「話してください。知りたいんです。白斗がなんで売られなきゃいけなかったのか」
 『分かりました・・』
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