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君のために

来なかったくせに!

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 近くにある病院に弥生やよいは半ば強制的に連れて来られた。
 「ヤヨ。向き合う時が来たでしょう?」
 「・・・今じゃない・・・」
 「今しないでいつするの?」
 「・・・もう30代。覚悟を決めてもいいんじゃない?きっとユキは攻めていないよ。」
 「はつ・・・てん・・・」
 「俺たちもついていくからさ。」
 「俺もあの時のお礼ちゃとできていなかったからしたい!」
 「神瀬かみせ君。」
 弥生は手を握る。
 「無理だったら即帰るから」
 そう呟いて葉と槇の裾を握った。
 「うん!それで良いよ。」

 病院に足を踏み入れる。受付のところに行って、名前を伝える。病室を聞いた4人は目指す。

 緊張すると出る癖なのか病室についたころから髪をかき上げる仕草が多い。いつの間にか葉と槇の裾を離していた。

 「入るよ」
 葉がノックして扉を開ける。

 「ユキ、久しぶり。」

 そう葉が言う。他はまだ廊下で待っていた。葉が「最初は私1人で挨拶させて」と言ったからだ。

 その瞬間。
 「今まで来なかったのになんで来たの!」
 大きな声が廊下まで聞こえた。その声と同時に何か割れる音までした。
 槇が覚悟を決めて扉を開けた。葉の顔には「なんで開けた?」と言う表情。頬にかすり傷、右下には割れた破片が散らばっている。
 「雪?」
 「はぁ、はぁ?今更、僕に何のよう?」
 「雪、知り合い?」
 雪の隣にいた男の子が立ち上がって雪を落ち着かせながら聞く。
 「し、知らない」
 「・・・ユキ・・・」
 「一旦出よう葉。」
 頷いて葉は病室を出た。槇は破片を持っていたハンカチに包んでいく。こぼれないように畳んでそれを持って病室を出る。

 「まぁ、そうだよね・・・長いこと見舞いにこれてなかったから」

 「俺が言ってもいい?」
 「直也なおや・・・大丈夫?」
 「うん。」

 直也は息を呑んで扉を開けた。こちらを見ていなかった雪は「また誰か入って来たの」と言った。
 隣にいる子が「この前、あそこで喋っていた人じゃない?」と言うと雪はこちらを見た。
 「ッ・・・貴方は直也さん」
 「お久しぶりです。あの時はご親切に俺の話を聞いてくださり、ありがとうございます。俺、ちゃんと伝えたくて」
 「どうしてあの人達の」
 「貴方が俺の母と父の知り合いだとは思いませんでした。」
 「母・・・父・・・あぁ、貴方がお腹にいた子供か・・・」
 思い出したように話す。
 「直也さんとなら、話したい。葉と槇・・・もしかしたら弥生もいるのかな?直也さん。なんのようで来たのか聞いて。直也さんとしか話したくないの。・・・トモ君、帰って」
 「雪!」
 「トモ君だけには聞かれたくないから。」
 「・・・君は」
 「直也さんと言いましたよね?雪に何かあったらどんなことをしてでも償わせますから」
 そう言って『トモ』と名乗った男の子は病室から出て行った。直也も事情を話に病室を出る。
 
 病室を出てあったことを3人に話す。

 「じゃあ・・・」

 話したいことを直也に言う。それと弥生も連れて行けと言われた。

 直也はまた、息を呑んで扉開けた。
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