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やっぱりこの学校は

実験体

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  直也なおやには売られたのは高校入るのと同時だと言った。でも、本当は小学5年生の時にはもう売られていた。今でもあの時、よくあんなにすらすら嘘がつけるなと自分でも感心・・・・した。(5話参照)

 小学4年生までは普通に小学校に通っていた。友達も少なからずいた。でも、小学5年生の6月だった。外は朝から雨で憂鬱な天気。嫌な予感は朝からあった。お母さんも祖父母もどこか僕と目を合わせようとしたなかった。でもいつもより、優しかった。

 『白斗はくと。車に気をつけてね。』

 『白斗。体調は悪くないか?』

 『白斗。これをやろう。』

 祖母は珍しく僕にお金をくれた。祖父の会社が倒産してからお前にあげるお金はないと言われ貰っていたお小遣いもなくなった。
 でも、バカな僕は単純に今日は特別なのかもと呑気に学校に向かった。友達はいつも通りだった。でも、今日の先生はおかしかった。僕を褒めてくれたり、他の生徒と贔屓するような言葉をかけたり。そのせいで初めて・・言われていたのかもしれないが、聞こえる声で悪口を言われた。

 『なんで白斗君だけ、あんな贔屓みたいなことするんだろう。』
 『白斗君なんかいなければ。』
 『白斗君なんか』

 耳を塞いでしまいたかった。でも、今日だけ。明日からは普通と自分に言い聞かせて、なんとか昼休みまで乗り切った。

 絶望に変わったのは6時間目が始まって数分しない時だった。教室に黒い服を着た男の人達が入ってきて、僕の名前を呼んだ。
 『都瀬みやせ白斗。着いてこい』
 僕は先生の方見る。先生は顔を手で覆って泣いていた。
 僕は先生に声をかけた。でも、先生は『頑張って』の一言だけ。そのまま僕は黒服の男に腕を引っ張られて教室を後にした。

 男の人と一緒に向かったのは校長室。

 『都瀬白斗君。待っていたよ。座って。』
 なぜか僕を歓迎する。
 『白斗君。明日から白斗君は男高に移ってもらうよ。』
 僕はよくわからなかった。
 『白斗君は・・・まぁ、取り敢えず、この学校の生徒じゃなくなるってことだけ覚えておいて。』
 校長は立ち上がって黒服に頭を下げた。
 『よろしくお願いします』と。


 何も説明されないまま、黒服に車に乗せられた。声を出せないぐらいあの時は緊張していた。

 わからないけど、僕は男高に連れていかれた。男高の校長に会うと、僕は歓迎された。

 『都瀬白斗君。ようこそ。待っていたよ。』

 僕には綺麗な部屋が与えられた。綺麗な部屋と綺麗な服。

 僕は訳がわからないまま、その服に着替えて、校長と有名向き合っていた。

 『白斗君。これから君はこの学校で、過ごすことになる。君は親に売られたんだよ。』

 僕はその言葉に何も言えなかった。ただ受け入れることしかできないんだと、まだ小学生ながら理解した。







 僕は校長のおもちゃ。成功例。


 僕が唯一、校長の目標の研究を成功させた子供。

 僕は校長に成功例いちばんと呼ばれていた。

 都瀬白斗という名前は年齢が15歳になるまで誰からも呼ばれなかった。









 よく口癖のように男高の生徒の中での成功例は神瀬かみせ直也だと呟いていた。

 とっくに知っていた。今後直也が婚約者になることも、校長からは逃げられないことも。すべて校長の手のひらで踊らされていただけだということも。

 僕はただ校長が用意した台本通り、言葉を発しただけに過ぎない。

 僕はもう直也を好きになるとか、もうない。
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