異世界転生を果たした僕は与えられたおまけの力を使いできる範囲で世界を救ってみようと思う

Tea

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2話 転生劇開幕

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 ここはどこだろう?
 体がフワフワしている気がする。
 辺り一面真っ白だ。
 まるで雲の上みたい。
 居心地がいいな~。

 僕はそんなことを思いながら、未知の空間を漂っている。
 ライトノベルから手が出てくるという恐怖体験をしたはずなのに心は穏やかだ。
 僕は死んだのか?
 ここはどう考えたって現実の世界ではない。
 居心地が良く穏やかな気持ちだからといっていつまでもこのままというのは少々困る。
 こういう場合は、

「お主は転生するのじゃ~」

 みたいな神様が出てくるものではないのか。
 出てきてくれなきゃ困るじゃないか。
 理不尽な現状に内心嘆いていると、

「やあ少年」

 と爽やかな声が聞こえてくる。
 来た来た~!
 とちょっとテンションが上がりつつ声がした方を見てみると、一人の男性が立っている。
 男性といっても僕らの世界でいうところの高校生くらいにしか見えないような容姿をしている。

「意外と驚かないものなんだねぇ。いきなりこんなところに連れてこられているのに」
「まあ、なんというか、こういう世界があることは知識としてありましたから」
「へえ! そうなのかい! それは驚いたな」

 何故か僕よりも彼の方が驚くという奇妙な状況になっている。
 知識だなんだと言ったけどそれはもちろん漫画やアニメの話であって、実在しているなど夢にも思わなかったんだけど。
 ……ん?
 ……夢?

 何故今まで気づかなかったのだろう。
 これは夢だ。
 小説が苦手な僕は1ページ目で寝てしまったんだ、きっと。
 それはそれで問題な気もするけど。
 とにかくこれは夢なんだ。
 そうでなければおかしいじゃないか。
 早く目覚めろ、僕。
 頭をポカポカと叩く僕を見ている青年が、

「何をしてるんだい? 頭を叩いたりして」
「夢から目覚めようと思いまして」
「夢? ここは実在している空間だよ?」
「……え?」

 僕の希望をあっさりと打ち崩された。
 もはや夢なのかなんなのか訳が分からなくなってきている。

「なんだかポカンとしているね。やっぱりショックが大きかったみたいだね。ごめんよ。急に連れてきたりして」

 なんだか目の前の青年は本当に申し訳なさそうに謝ってきた。
 悪い人ではないのかもしれないなぁ。

「いえ、ちょっと、というか、かなり混乱してますけど、大丈夫です。」
「本当に大丈夫かい?」
「はい。少しずつ落ち着いてきました。」
「それなら良かった」
「一つ聞いてもいいですか?」
「なんだい?」
「どうして僕はこの空間に連れてこられたんでしょうか?」
「それに関しては偶然君だったんだよ。あの本を手にしたのが君だったんだ」
「そうですか……」

 どうやらこの空間に来るのは誰でも良かったみたいだ。
 あの本を手にして開いたのが偶然僕だったというだけらしい。
 なんという悪運。
 いや、ある意味では超強運なんだろうけど。

「君にここへ来てもらった理由なんだけどね」
「はい」
「君には僕が管理している世界に行って欲しいんだ」
「はい?」
「僕が管理している世界はねぇ、まだまだ発展途上なんだよ。だからちょっとした変化を加えるために外の世界から人を連れてこようと思ったんだ。だからね、君には特にあれしてこれしてとは言わないつもりなんだ。ただ元気に過ごして欲しいなって」

 青年から聞く話しはいわゆる異世界転生というやつだろう。
 だけど勇者になれとかじゃなくて、一人の人間として生きて欲しいということだった。
 外の世界の人間を住まわせることでどのように世界が変わるのか、はたまた全く変わらないのかを知りたいらしい。
 そんな理由で僕の今までの生活を奪ったのか、と言いたくもなったが、こうなってしまった以上はネガティブに考えるものでもないなと考えることにして、青年の提案を呑むことにした。

「君は優しいね。普通なら怒鳴り散らして暴れてもおかしくないのに」
「なんだかあなたのことが憎めなくって」
「ありがとう。君の人生はきっと良いものになるさ、管理者の僕が言うんだから間違いないよ」
「それなら良いんですけど。その言葉が嘘だったらその時は暴れますからね!」

 アハハと二人で笑い合う。
 唐突のことで驚きや困惑もあったけど、今はもう新しい生活へのワクワクの方が優っている。
 新しい世界ではどんなことが起こるのだろうか、どんな人がいるのだろうかと様々なことを考えてしまう。

「じゃあそろそろ君を転生するね」
「はい!」
「良ければ何か一つ望みを叶えてあげようか? 身体能力が凄くなるとか、身長が2メートル以上に成長するとか、まあ僕が出来る範囲ならなんでもいいよ!」
「う~ん……特にはないです! 手に余る能力は余計な争いを生むだけだと思いますから」
「そうかい。それなら、優しい君にはいろいろとおまけしておいてあげるから、僕の世界についたら生活しながら確かめてみるといいよ」
「ありがとうございます!」
「お礼を言われるようなことじゃないさ。じゃあね。君が天寿を全うしたらまた会おう」

 僕の体が光に包まれ始めた。
 目の前では青年がバイバイと手を振ってくれている。
 ついに旅立つ時が来たみたいだ。
 どんな人生になるのだろうか。
 楽しみでもあり不安でもある。
 その時、ふと思い出したことがあった。

「そういえば、あなたの名前を聞いてませんでした!」
「僕の名前かい? 僕の名前は……」

 僕の体は光の粒子となり、新しい世界へと導かれていった。
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