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3話 生誕! 新世界!
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僕はタイガ・プラネテス。
5歳になる男の子だ。
この世界に誕生してから5年という月日が経った。
どうやら僕は、転生者というやつらしい。
最近になってぼんやりと前世の記憶を思い出し始めている。
管理者という青年にこの世界へと転生させられたこととか。
最近までは全くと言っていいほど前世の記憶がなかったため、幼少期はただただ普通に生活していた。
わがまま言って父さんと母さんを困らせたり。
今後も特に何かを為そうという気はあまりない。
管理者に元気に生きてと言われたこともあるが、正直言って僕には何かを為せるほどの力はないと思う。
そこらへんにいる子供と何ら変わりがないのだから。
管理者は生きる上でのおまけを上げるとか言ってたけど、そのおまけとは名前が前世と同じことくらいなのではないか。
そう勘ぐってしまう程、特別な力は持ち合わせていない。
今後に期待ということなのかな?
そんなことをポカポカとしている家の庭でぼんやりと考えていると、
「タイガ、ご飯よ! 戻ってらっしゃい!」
と母さんの呼ぶ声が聞こえてきた。
母さんの名前はアルマ・プラネテス。
料理がとても上手な自慢の母親だ。
そしてとても美人だ……と思う。
息子視点の補正が入っているかもしれないけど。
まさか異世界でマザコンに目覚めることになってしまうとは。
おそらく前世ではここまでマザコンではなかったと思う。
いや、そもそも僕5歳だし、母さんが好きなのは当たり前だよね!?
今の記憶と前世の記憶がゴチャゴチャし始めた。
思考回路がおかしくなってポヤーとしていると、
「母さんが呼んでるぞ。早く帰ろう」
いつの間にか傍に来ていた男性にひょいと抱き上げられる。
この男性は僕の父さんのオルデン・プラネテス。
男なら憧れてしまうような逞しい体をしている。
見た目は少し怖いけどとっても優しい父さんだ。
この二人が僕の自慢の両親だ。
しかし、僕も男の子だ、いつまでもだっこされるのは恥ずかしい。
「とうさん、おろして! ぼく、あるけるよ!」
「はっはっは! 今日も元気だな!」
「おろして~」
父さんは暴れる僕をニコニコしながら抱っこし続ける。
いつもこうだ。
僕の気持ちも知らずに……。
でも、こうやって抱っこしてもらえるのも後少しなのだろうなと思うと少し残念な気もした。
結局下ろしてもらえずに家の中の洗面所まで連れてこられた。
しっかりと手洗いうがいの補助までされて、食卓へと辿り着く。
美味しそうな匂いが漂っている。
やっぱり母さんは料理上手だな~。
「やっと来たわね、二人とも。ご飯が冷めちゃうじゃない」
「ごめん、ごめん。これでも急いだんだぜ、なあタイガ!」
「おなかすいた!」
「まったくこの子は。誰に似たのかしら?」
「アルマじゃないか?」
「もう! 絶対あなた似よ!」
父さんと母さんはフフッと笑っている。
本当に仲良しだ。
「さあ食べましょう!」
「「「いただきます」」」
母さんが作ってくれた彩り豊かな美味しいご飯を頬張る。
慣れ親しんだ母さんの料理だが、全く飽きることがない。
これぞ母親の力。
おそるべしだ。
栄養のバランスも考えられているように感じる。
でもこっちの世界ではビタミンがどうとか食物繊維がどうとか、あんまり考えてはいないと思う。
前世では栄養価というものに如何に踊らされていたかが伺える。
そして栄養の知識も無しにこういう料理が作れる母さんはきっとセンスがいいのだろう。
家族三人でほのぼのとした食事を終えたころ、
「タイガく~ん! あ~そ~ぼ~!」
と外から可愛らしい声が聞こえてくる。
「あら、ティアちゃんの声! モテモテね!」
「そんなんじゃないもん!」
茶化してくる母さんに照れながら反論する。
外で僕を呼んだのはティア・ライネ。
近所に住んでいる同い年の女の子だ。
僕たち家族が住んでいるのはアンファングという名前が付いている中規模の村で、世帯数もそこまで多くないため、村中みんな友達という感覚だ。
ティアの両親と僕の両親が仲良しのため、自然とティアとはよく遊ぶようになった。
活発でとても可愛らしい女の子だ。
後、10年もすればとっても美人になると思う。
僕は食卓から急いで玄関へと向かった。
玄関を開けると案の定ティアがいた。
「おそいよ~! ぷんぷん!」
ティアは可愛らしく怒ったそぶりをみせている。
「ごめんね、ティア! きょうは、なにしてあそぶ?」
こういうときはしっかり謝ることが重要だ。
ちゃんと謝ったからか、ティアはすぐに機嫌を直して、
「おままごとしよ!」
と誘ってきた。
正直、前世の記憶もぼんやりと戻ってきている僕にとっておままごとはかなり恥ずかしい。
そもそも5歳の女の子相手におままごとすることが犯罪のような気持になってしまうのだ。
今は僕も5歳だけど、前世では成人を迎えた男だったわけだから……。
決して、やましい気持ちがあるわけではないよ!
違うからね!
「いいよ! おままごとしよう!」
ティアを喜ばせるためにおままごとをすることを即決した。
「やった~! じゃあねぇ、ティアがおくさんで、タイガくんがだんなさんね!」
今日の設定は夫婦のようだ。
恥ずかしいような嬉しいような気持になる。
すると、いつの間にか玄関に来ていた母さんが、
「ティアちゃん。うちの息子をよろしくね! ちょっと頼りないけど優しい旦那さんになるわよ!」
また茶化してきた。
これは顔から火が出るほど恥ずかしい。
「かあさん! もういこティア!」
ティアの手を掴んでやや強引にその場を離れることにした。
あのままあそこにいたらもっと恥ずかしい思いをするに違いないからだ。
「晩御飯までには帰るのよ!」
笑顔の母さんに見送られる。
僕の異世界生活は今日も穏やかに過ぎていくのだった。
5歳になる男の子だ。
この世界に誕生してから5年という月日が経った。
どうやら僕は、転生者というやつらしい。
最近になってぼんやりと前世の記憶を思い出し始めている。
管理者という青年にこの世界へと転生させられたこととか。
最近までは全くと言っていいほど前世の記憶がなかったため、幼少期はただただ普通に生活していた。
わがまま言って父さんと母さんを困らせたり。
今後も特に何かを為そうという気はあまりない。
管理者に元気に生きてと言われたこともあるが、正直言って僕には何かを為せるほどの力はないと思う。
そこらへんにいる子供と何ら変わりがないのだから。
管理者は生きる上でのおまけを上げるとか言ってたけど、そのおまけとは名前が前世と同じことくらいなのではないか。
そう勘ぐってしまう程、特別な力は持ち合わせていない。
今後に期待ということなのかな?
そんなことをポカポカとしている家の庭でぼんやりと考えていると、
「タイガ、ご飯よ! 戻ってらっしゃい!」
と母さんの呼ぶ声が聞こえてきた。
母さんの名前はアルマ・プラネテス。
料理がとても上手な自慢の母親だ。
そしてとても美人だ……と思う。
息子視点の補正が入っているかもしれないけど。
まさか異世界でマザコンに目覚めることになってしまうとは。
おそらく前世ではここまでマザコンではなかったと思う。
いや、そもそも僕5歳だし、母さんが好きなのは当たり前だよね!?
今の記憶と前世の記憶がゴチャゴチャし始めた。
思考回路がおかしくなってポヤーとしていると、
「母さんが呼んでるぞ。早く帰ろう」
いつの間にか傍に来ていた男性にひょいと抱き上げられる。
この男性は僕の父さんのオルデン・プラネテス。
男なら憧れてしまうような逞しい体をしている。
見た目は少し怖いけどとっても優しい父さんだ。
この二人が僕の自慢の両親だ。
しかし、僕も男の子だ、いつまでもだっこされるのは恥ずかしい。
「とうさん、おろして! ぼく、あるけるよ!」
「はっはっは! 今日も元気だな!」
「おろして~」
父さんは暴れる僕をニコニコしながら抱っこし続ける。
いつもこうだ。
僕の気持ちも知らずに……。
でも、こうやって抱っこしてもらえるのも後少しなのだろうなと思うと少し残念な気もした。
結局下ろしてもらえずに家の中の洗面所まで連れてこられた。
しっかりと手洗いうがいの補助までされて、食卓へと辿り着く。
美味しそうな匂いが漂っている。
やっぱり母さんは料理上手だな~。
「やっと来たわね、二人とも。ご飯が冷めちゃうじゃない」
「ごめん、ごめん。これでも急いだんだぜ、なあタイガ!」
「おなかすいた!」
「まったくこの子は。誰に似たのかしら?」
「アルマじゃないか?」
「もう! 絶対あなた似よ!」
父さんと母さんはフフッと笑っている。
本当に仲良しだ。
「さあ食べましょう!」
「「「いただきます」」」
母さんが作ってくれた彩り豊かな美味しいご飯を頬張る。
慣れ親しんだ母さんの料理だが、全く飽きることがない。
これぞ母親の力。
おそるべしだ。
栄養のバランスも考えられているように感じる。
でもこっちの世界ではビタミンがどうとか食物繊維がどうとか、あんまり考えてはいないと思う。
前世では栄養価というものに如何に踊らされていたかが伺える。
そして栄養の知識も無しにこういう料理が作れる母さんはきっとセンスがいいのだろう。
家族三人でほのぼのとした食事を終えたころ、
「タイガく~ん! あ~そ~ぼ~!」
と外から可愛らしい声が聞こえてくる。
「あら、ティアちゃんの声! モテモテね!」
「そんなんじゃないもん!」
茶化してくる母さんに照れながら反論する。
外で僕を呼んだのはティア・ライネ。
近所に住んでいる同い年の女の子だ。
僕たち家族が住んでいるのはアンファングという名前が付いている中規模の村で、世帯数もそこまで多くないため、村中みんな友達という感覚だ。
ティアの両親と僕の両親が仲良しのため、自然とティアとはよく遊ぶようになった。
活発でとても可愛らしい女の子だ。
後、10年もすればとっても美人になると思う。
僕は食卓から急いで玄関へと向かった。
玄関を開けると案の定ティアがいた。
「おそいよ~! ぷんぷん!」
ティアは可愛らしく怒ったそぶりをみせている。
「ごめんね、ティア! きょうは、なにしてあそぶ?」
こういうときはしっかり謝ることが重要だ。
ちゃんと謝ったからか、ティアはすぐに機嫌を直して、
「おままごとしよ!」
と誘ってきた。
正直、前世の記憶もぼんやりと戻ってきている僕にとっておままごとはかなり恥ずかしい。
そもそも5歳の女の子相手におままごとすることが犯罪のような気持になってしまうのだ。
今は僕も5歳だけど、前世では成人を迎えた男だったわけだから……。
決して、やましい気持ちがあるわけではないよ!
違うからね!
「いいよ! おままごとしよう!」
ティアを喜ばせるためにおままごとをすることを即決した。
「やった~! じゃあねぇ、ティアがおくさんで、タイガくんがだんなさんね!」
今日の設定は夫婦のようだ。
恥ずかしいような嬉しいような気持になる。
すると、いつの間にか玄関に来ていた母さんが、
「ティアちゃん。うちの息子をよろしくね! ちょっと頼りないけど優しい旦那さんになるわよ!」
また茶化してきた。
これは顔から火が出るほど恥ずかしい。
「かあさん! もういこティア!」
ティアの手を掴んでやや強引にその場を離れることにした。
あのままあそこにいたらもっと恥ずかしい思いをするに違いないからだ。
「晩御飯までには帰るのよ!」
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僕の異世界生活は今日も穏やかに過ぎていくのだった。
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