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ライアン達の子
本音
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伯爵とははっきりしない関係が半年以上続いた。
距離はだいぶ近い。
手を繋ぐこともあったり、お菓子を口に入れてくれることもあったり、頭に唇を付けることもあった。
一年生終了まで一カ月となったとき、ヴェルモット侯爵家で夜会が開かれた。
ヴェルモット主催ということと、パートナーが伯爵ということで参加が許された。
この日は別のお祝いにお父様達は行ったので、夜会デビューと言っても過言ではなかった。
「緊張してる?」
「大丈夫です。セドリック様も一緒ですし、ここはヴェルモット邸ですから」
「だけど、男について行ったり、人気の無い場所に行っては駄目だよ」
「はい」
ダンスをしたり、料理を口にしたり、カトリーヌ様やナディア様と話したりした後、私とセドリック様は一旦別行動になった。
セドリック様は仕事関係の知人もいるようで、仕事の話になるだろうからと遠慮した。
私は自分の知り合いと話をすることにした。
「リリアン様、お似合いでしたわ」
「婚約なさるの?」
「そのような話はありませんわ」
「こういうことは早く進めないと」
「シャルール伯爵を狙う方もおりますから」
そんなことを話ていると侯爵が声をかけてきた。
「もうすぐダンスの時間を再会するからセドリックを迎えに行ってやってくれないか。少し前に紳士用の休憩室に行ったからメイドに案内させよう」
「はい」
メイドと紳士用の休憩室に近付くと扉が開いていて話が聞こえてきた。お酒が入っていて声が大きくなっていた。
「セドリック、さっきの女は何なんだ?」
「あれはセドリックが昔食った女だよ。子爵家の令嬢だったか?」
「昔の話だよ」
ノックをしようとするメイドの手を掴み、静かにと合図を送った。
メイドは気まずそうだった。
「いやいや、お誘いだったよな。カードもらってたろう」
「捨てたよ」
「また楽しめばいいだろう?
バトラーズ公爵令嬢だと高位だしまだ若いから出来ないだろう。結婚までは拒否しそうだよな」
「でも綺麗だよな」
「公爵に殺されるぞ」
「でも婚約者がいないなら声かけようかな」
「止めろよ」
「正直どうなんだよ」
「そういう目で見るな。彼女はまだ子供だ。
妹のクラスメイトで、妹といるような感じだよ」
「その気になんないのか?」
「なるわけないだろう」
「じゃあ何でパートナーなんかやっているんだよ」
「従妹の恩人なんだ」
「ふ~ん」
「やっぱり、さっきの女と」
「違うよ」
「俺見たぞ。その前に別の巨乳の夫人からも誘われていただろう」
「羨ましい」
「昔、何ヶ月か交際したことがあるだけだ」
「そっか。ならご令嬢は物足りないだろうな」
「まあな」
私は掴んだままのメイドの手を引いて会場に戻った。
「案内ありがとう」
「あの、リリアン様」
「聞けて良かったのよ。忘れて」
私は侯爵夫人のところへ行き、足が痛いからそろそろ帰ると伝えると待っていてと言われた。
案の定、セドリック様が現れた。
「足が痛いんだって?」
「ええ、少し」
「送るよ」
「残ってください。お知り合いの方も多いようですから。せっかくですからお話を続けてください」
「馬車乗り場まで見送るよ」
「ここはヴェルモット邸ですよ。大丈夫です。使用人の目がありますから」
「分かった。また連絡するよ」
私はニコッと微笑んで立ち去った。
距離はだいぶ近い。
手を繋ぐこともあったり、お菓子を口に入れてくれることもあったり、頭に唇を付けることもあった。
一年生終了まで一カ月となったとき、ヴェルモット侯爵家で夜会が開かれた。
ヴェルモット主催ということと、パートナーが伯爵ということで参加が許された。
この日は別のお祝いにお父様達は行ったので、夜会デビューと言っても過言ではなかった。
「緊張してる?」
「大丈夫です。セドリック様も一緒ですし、ここはヴェルモット邸ですから」
「だけど、男について行ったり、人気の無い場所に行っては駄目だよ」
「はい」
ダンスをしたり、料理を口にしたり、カトリーヌ様やナディア様と話したりした後、私とセドリック様は一旦別行動になった。
セドリック様は仕事関係の知人もいるようで、仕事の話になるだろうからと遠慮した。
私は自分の知り合いと話をすることにした。
「リリアン様、お似合いでしたわ」
「婚約なさるの?」
「そのような話はありませんわ」
「こういうことは早く進めないと」
「シャルール伯爵を狙う方もおりますから」
そんなことを話ていると侯爵が声をかけてきた。
「もうすぐダンスの時間を再会するからセドリックを迎えに行ってやってくれないか。少し前に紳士用の休憩室に行ったからメイドに案内させよう」
「はい」
メイドと紳士用の休憩室に近付くと扉が開いていて話が聞こえてきた。お酒が入っていて声が大きくなっていた。
「セドリック、さっきの女は何なんだ?」
「あれはセドリックが昔食った女だよ。子爵家の令嬢だったか?」
「昔の話だよ」
ノックをしようとするメイドの手を掴み、静かにと合図を送った。
メイドは気まずそうだった。
「いやいや、お誘いだったよな。カードもらってたろう」
「捨てたよ」
「また楽しめばいいだろう?
バトラーズ公爵令嬢だと高位だしまだ若いから出来ないだろう。結婚までは拒否しそうだよな」
「でも綺麗だよな」
「公爵に殺されるぞ」
「でも婚約者がいないなら声かけようかな」
「止めろよ」
「正直どうなんだよ」
「そういう目で見るな。彼女はまだ子供だ。
妹のクラスメイトで、妹といるような感じだよ」
「その気になんないのか?」
「なるわけないだろう」
「じゃあ何でパートナーなんかやっているんだよ」
「従妹の恩人なんだ」
「ふ~ん」
「やっぱり、さっきの女と」
「違うよ」
「俺見たぞ。その前に別の巨乳の夫人からも誘われていただろう」
「羨ましい」
「昔、何ヶ月か交際したことがあるだけだ」
「そっか。ならご令嬢は物足りないだろうな」
「まあな」
私は掴んだままのメイドの手を引いて会場に戻った。
「案内ありがとう」
「あの、リリアン様」
「聞けて良かったのよ。忘れて」
私は侯爵夫人のところへ行き、足が痛いからそろそろ帰ると伝えると待っていてと言われた。
案の定、セドリック様が現れた。
「足が痛いんだって?」
「ええ、少し」
「送るよ」
「残ってください。お知り合いの方も多いようですから。せっかくですからお話を続けてください」
「馬車乗り場まで見送るよ」
「ここはヴェルモット邸ですよ。大丈夫です。使用人の目がありますから」
「分かった。また連絡するよ」
私はニコッと微笑んで立ち去った。
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