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変態!
「結構です」
あんぐりと口を開けて返した招待状を手に乗せているのはニコラ王子。
双子は満足そうに頷いている。
「誕生日くらい…」
「お祝いはしてあげます。王宮ではないところで」
「メイ… グスン」
「!!」
「あ~あ。王子様泣かせちゃった」
「誕生日くらい行ってあげればいいのに」
「俺、王族の誕生日パーティの招待状をもらってすぐ本人に突き返すツワモノ 初めて見たよ」
「初めて見る光景は2年生になって多々あるけどな」
「それな。兄貴に言っても信じてくれないんだよ」
「私、今日屋敷に帰ってメイちゃんが王子様を泣かせていたって話題にしても信じてもらえるのかしら」
「友達があまりいない王子様に可哀想だわ」
「婚約も無くなったばかりなのに」
え!? 私 今 悪人にされてるの!?
「いいんだ。双子とメイは私の心の友だと思っていたけど、勘違いだったんだ。1年以上も気付けないなんて…そっか。私は孤独だったのだな」
「グスン」
「ううっ…」
「くっ」
「ズズッ」
クラス中から鳴き声や鼻を啜る音がする。
「メイ…いや、モヴィーさん。今まで迷惑をかけて申し訳ない。鈍感でごめん」
「分かった!分かりました!行きます!わー嬉しい!」
「ありがとう!メイ!最高の誕生日になりそうだ」
クラスメイトは“良かったですね”と殿下に声を掛けている。
「じゃあ、招待状の通りだからよろしくね」
「え?」
もう一度招待状を受け取り、最後まで読むと“翌日は朝の散歩から始まり夜までおもてなしをさせていただきます”と書いてあった。
泊まれってこと!?
「やっぱり……」
駄目だ。クラスの男子生徒とはハグして周り、女生徒とは握手をしている。もう断れる段階にない。
「あーあ、騙されたね」
「こんな芝居をするとはな」
「泊まりの誕生日パーティっておかしいです」
「もう仕方ないから当日に反撃しよう」
「たっぷりおもてなしをさせてあげよう」
「〈招待したことを後悔させればいいのね〉
新たな初めてを差し上げないといけませんね」
何故かこの一件から、殿下とクラスメイト達の距離は近付いた。私が冷たくするとクラスメイトが殿下の味方をする。
“可哀想じゃない。もっと優しくしてあげて”
“これでも王子様だからな?丁重に扱うんだぞ”
“寂しがっているじゃないか、話しかけてやれよ”
“メイちゃん、殿下がかまってって顔しているわよ”
王族の威厳は木っ端微塵だけど、いいの?
唯一その輪に入らずに、殿下に別の攻め方をするのはライヤーさんだ。
「私、殿下の誕生日は予定がありませんのよ」
「……」
「ドレスを贈ってくださいませんか。殿下のお好みのドレスに身を包めたらどれほど幸せなことか」
すんごいお強請り。これくらい図々しくないとヒロインは出来ないってこと?無意味な敗北感を感じるわ。
「招待するときは罰するときだろうな。囚人服なら贈ってやるぞ?」
「お仕置き?」
ライヤーさんは何を想像したのか頬を染め、
「囚人のように閉じ込めて愛でたいということですね」
調教モノの小説コーナーに興味があるようだ。
「エヴァン様、殿下ってそっち?」
「親しいと思っていたけど僕達の知らない一面があったんだね」
「なかなか友達が増えないわけですね」
「それじゃあ私達が殿下の趣味に合うみたいになるじゃないか」
アレン様は私の頭を撫でながら嫌そうな顔をした。
「殿下はライヤーさんに任せて私達は食堂に行きましょう」
セレス様は無慈悲に殿下を突き放す。セレス様こそ殿下のお友達では?
「セレス様、今日のお任せは魚の香草焼きですよ」
「また調理室を覗いたの?」
「今朝 挨拶をしたら教えてくれました」
「何で置き去りにするんだよ」
だってライヤーさんと話していたから。
「お邪魔かと思いまして」
「話が込み入っていたようですので」
「聞かれたくないかもしれないと思いまして」
「おめでとうございます」
「めでたくない!」
何で私だけ頬を摘むの?
屋敷に帰ると贈り物が届いていた。
「イリーゼ?誰それ」
イリーゼより としか書いていない。
箱は6つあった。
「すごいな…王妃の名前だよ」
「ああ、王家の紋章だね」
「返品?」
「さすがに…」
「だな」
開けてみるとドレス2着、靴2足、アクセサリー、扇子だった。
「……怖いんですけど」
「「何が?」」
「だってドレスとか靴とか貴族はサイズをピッタリに作るって…つまりこれって、私の体のサイズを知っていて作ったってことですよね」
「「怖いな」」
「まさか…〈殿下、日頃 目視だけでサイズを測ってたんじゃ〉」
「「……」」
そして着てみた。
「ほら、ピッタリじゃないですか!〈あの変態!〉」
「しめるか?」
「甘やかしすぎたかもね」
「胸なんかキツくもないし余りもない、ピッタリなんですよ!?触ったこともないのに」
「「……」」
翌日の放課後、変態を居残らせた。
「殿下、目視で私の体を測るのは止めてください」
「は?」
「教えてもいないのに、あんなにピッタリしたサイズのドレスを作れたのは殿下の特技のせいじゃないですか!」
「え?」
「胸も位置や大きさや形までピッタリなんて!」
「……」
「あー!また見た!!見た!!見た!!!」
「ち、違う!」
「モロ見した!」
「もうカルデック邸は出禁です」
「昼食は目隠しして食べてくださいね」
「待て待て!何なんだよ!」
「昨日ドレスを贈ってきましたよね」
「贈ってないよ」
「“イリーゼ”って書いてありました」
「あ~。それは私の関与せぬことだ。母上が勝手にやったことだ」
「サイズは?」
「目視で精密なサイズが分かるわけないだろう。
ドレス店に問い合わせたんだろう」
「店が教えたんですか!?」
「店側が教えたわけではない。母上が メイのサイズを知っている店を突き止めたら、デザインを決めて後はよろしくと言えばいいだけだ。私ではないぞ」
「そうなんですね」
「疑われて傷付いたなぁ」
「す、すみません。前科があるのでつい」
「前科なんなか無いだろう!」
「胸チェックの達人かと」
「変な達人にするな」
お詫びしろと言われて仕方なく約束させられてしまった。
あんぐりと口を開けて返した招待状を手に乗せているのはニコラ王子。
双子は満足そうに頷いている。
「誕生日くらい…」
「お祝いはしてあげます。王宮ではないところで」
「メイ… グスン」
「!!」
「あ~あ。王子様泣かせちゃった」
「誕生日くらい行ってあげればいいのに」
「俺、王族の誕生日パーティの招待状をもらってすぐ本人に突き返すツワモノ 初めて見たよ」
「初めて見る光景は2年生になって多々あるけどな」
「それな。兄貴に言っても信じてくれないんだよ」
「私、今日屋敷に帰ってメイちゃんが王子様を泣かせていたって話題にしても信じてもらえるのかしら」
「友達があまりいない王子様に可哀想だわ」
「婚約も無くなったばかりなのに」
え!? 私 今 悪人にされてるの!?
「いいんだ。双子とメイは私の心の友だと思っていたけど、勘違いだったんだ。1年以上も気付けないなんて…そっか。私は孤独だったのだな」
「グスン」
「ううっ…」
「くっ」
「ズズッ」
クラス中から鳴き声や鼻を啜る音がする。
「メイ…いや、モヴィーさん。今まで迷惑をかけて申し訳ない。鈍感でごめん」
「分かった!分かりました!行きます!わー嬉しい!」
「ありがとう!メイ!最高の誕生日になりそうだ」
クラスメイトは“良かったですね”と殿下に声を掛けている。
「じゃあ、招待状の通りだからよろしくね」
「え?」
もう一度招待状を受け取り、最後まで読むと“翌日は朝の散歩から始まり夜までおもてなしをさせていただきます”と書いてあった。
泊まれってこと!?
「やっぱり……」
駄目だ。クラスの男子生徒とはハグして周り、女生徒とは握手をしている。もう断れる段階にない。
「あーあ、騙されたね」
「こんな芝居をするとはな」
「泊まりの誕生日パーティっておかしいです」
「もう仕方ないから当日に反撃しよう」
「たっぷりおもてなしをさせてあげよう」
「〈招待したことを後悔させればいいのね〉
新たな初めてを差し上げないといけませんね」
何故かこの一件から、殿下とクラスメイト達の距離は近付いた。私が冷たくするとクラスメイトが殿下の味方をする。
“可哀想じゃない。もっと優しくしてあげて”
“これでも王子様だからな?丁重に扱うんだぞ”
“寂しがっているじゃないか、話しかけてやれよ”
“メイちゃん、殿下がかまってって顔しているわよ”
王族の威厳は木っ端微塵だけど、いいの?
唯一その輪に入らずに、殿下に別の攻め方をするのはライヤーさんだ。
「私、殿下の誕生日は予定がありませんのよ」
「……」
「ドレスを贈ってくださいませんか。殿下のお好みのドレスに身を包めたらどれほど幸せなことか」
すんごいお強請り。これくらい図々しくないとヒロインは出来ないってこと?無意味な敗北感を感じるわ。
「招待するときは罰するときだろうな。囚人服なら贈ってやるぞ?」
「お仕置き?」
ライヤーさんは何を想像したのか頬を染め、
「囚人のように閉じ込めて愛でたいということですね」
調教モノの小説コーナーに興味があるようだ。
「エヴァン様、殿下ってそっち?」
「親しいと思っていたけど僕達の知らない一面があったんだね」
「なかなか友達が増えないわけですね」
「それじゃあ私達が殿下の趣味に合うみたいになるじゃないか」
アレン様は私の頭を撫でながら嫌そうな顔をした。
「殿下はライヤーさんに任せて私達は食堂に行きましょう」
セレス様は無慈悲に殿下を突き放す。セレス様こそ殿下のお友達では?
「セレス様、今日のお任せは魚の香草焼きですよ」
「また調理室を覗いたの?」
「今朝 挨拶をしたら教えてくれました」
「何で置き去りにするんだよ」
だってライヤーさんと話していたから。
「お邪魔かと思いまして」
「話が込み入っていたようですので」
「聞かれたくないかもしれないと思いまして」
「おめでとうございます」
「めでたくない!」
何で私だけ頬を摘むの?
屋敷に帰ると贈り物が届いていた。
「イリーゼ?誰それ」
イリーゼより としか書いていない。
箱は6つあった。
「すごいな…王妃の名前だよ」
「ああ、王家の紋章だね」
「返品?」
「さすがに…」
「だな」
開けてみるとドレス2着、靴2足、アクセサリー、扇子だった。
「……怖いんですけど」
「「何が?」」
「だってドレスとか靴とか貴族はサイズをピッタリに作るって…つまりこれって、私の体のサイズを知っていて作ったってことですよね」
「「怖いな」」
「まさか…〈殿下、日頃 目視だけでサイズを測ってたんじゃ〉」
「「……」」
そして着てみた。
「ほら、ピッタリじゃないですか!〈あの変態!〉」
「しめるか?」
「甘やかしすぎたかもね」
「胸なんかキツくもないし余りもない、ピッタリなんですよ!?触ったこともないのに」
「「……」」
翌日の放課後、変態を居残らせた。
「殿下、目視で私の体を測るのは止めてください」
「は?」
「教えてもいないのに、あんなにピッタリしたサイズのドレスを作れたのは殿下の特技のせいじゃないですか!」
「え?」
「胸も位置や大きさや形までピッタリなんて!」
「……」
「あー!また見た!!見た!!見た!!!」
「ち、違う!」
「モロ見した!」
「もうカルデック邸は出禁です」
「昼食は目隠しして食べてくださいね」
「待て待て!何なんだよ!」
「昨日ドレスを贈ってきましたよね」
「贈ってないよ」
「“イリーゼ”って書いてありました」
「あ~。それは私の関与せぬことだ。母上が勝手にやったことだ」
「サイズは?」
「目視で精密なサイズが分かるわけないだろう。
ドレス店に問い合わせたんだろう」
「店が教えたんですか!?」
「店側が教えたわけではない。母上が メイのサイズを知っている店を突き止めたら、デザインを決めて後はよろしくと言えばいいだけだ。私ではないぞ」
「そうなんですね」
「疑われて傷付いたなぁ」
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