5 / 69
苛立ち
しおりを挟む
【 ハロルドの視点 】
そして今に至る。
はぁ。婚約のときからやり直したい。
メイド長を解雇し、使用人全員に通達した。
“アイリーンは公爵夫人で俺の妻だから無礼は許さない。彼女が快適に生活できるよう細心の注意を払うように” と。
だが、肝心のアイリーンが頑なだ。
“使用人は主人の鏡”
“こちらでも快適です”
“トリシア様でしたっけ?お幸せに”
近侍に旅宿へ向かわせても折れてくれない。俺が行くと本人さえ出てこない。
「最初のホテルで、参列していた侯爵夫人と会話を交わしたようで、若奥様は“恋人を作っていいらしいから探す”と仰っておられたようです」
「は? アイリーンが?」
「はい」
「駄目だ!絶対に駄目だ!」
「ハロルド様が提案したことですから、今更ですよ。書面にして教会に提出されては反故にできません」
そんな事は分かっている!
「公爵夫人に愛人など…相応しくない。監視を付けてくれ」
「……かしこまりました」
その夜、
「ねえ、まだ寝ないの?」
「先に寝ていろ」
「……」
「トリシア、何を、」
「何って、いつものことじゃない。しないの?」
「気が乗らない」
「そお?」
「っ!」
ソファに座る俺の前に跪き、ガウンの紐を解くと股間に顔を寄せて咥えた。
段々と芯を持ち始め、結局勃った。
「うふふっ」
トリシアはナイトドレスを脱ぐと俺の上に跨ろうとしたが、
「ハロルド!?」
「“公爵様”と呼べ」
腕を掴み また跪かせて髪を掴んだ。
そして引き寄せ 勃ち上がったモノを口に当てた。
「んん」
トリシアはもう一度咥えると奉仕を始めた。
母上の言う通り、トリシアの取り柄は顔と口淫だ。
最初から上手かった。
アイリーンと違って何本も咥えてきたのだろう。
「もっと根元まで」
「んぐっ」
アイリーンは経験があるのだろうか。
「ぐっ!」
あの小さな口で咥えさせられて苦しそうに大きな瞳を潤ませ、男に教わるのだろう。
「んぐっ! んぐっ!!」
快楽を教え込まれ……
「んんー!!!」
そして注がれるのか
「あっ出る……くっ………ふぅ…」
アイリーン
「いっ!」
手に痛みが走り目を向けると、トリシアの頭を掴み押し付けていた。顔は完全に腹に付いていて苦しそうに紅潮し血管を浮かせていた。
引っ掻かれた手を離した。
「オエッ! ゲホッ!ゲホッ!」
「悪い」
喉までモノを押し込んだまま吐精してしまっていたようだ。
涙を流しながら苦しそうにしているトリシアを見ても“やればできるものだな”としか思わなかった。
「酷い!」
「敬語を使えと言っただろう。早く部屋に戻れ」
「ハロルド!?」
「“公爵様”と呼べないなら罰を与えるぞ」
「そんな!」
「早く部屋に戻れ」
「続きを、」
「戻れ!!」
「っ!!」
ナイトドレスを着て走り去っていった。
トリシアに苛立ちを感じるなんて…俺はどうしてしまったんだ。
あんなに愛していたのに。
翌朝…というか夜明け前に目覚めた。
トリシアをこの屋敷に住まわせるようになって、初めて別々に寝た。
「旦那様、お茶をお持ちしました」
「こんな時間に悪いな」
新しいメイド長が茶を持ってきた。
「具合でも悪いのですか」
「気になってな」
「若奥様のことでしょうか」
「初めて来た国で土地勘も無いのに王都の外れの小さな旅宿に泊まっているんだ。
何かあったらと思うとな」
「では、誰かに差し入れを持たせましょう。
若くて愛嬌のあるメイドを向かわせます。
きっと追い払うことはなさらないでしょう。
それに約束のお金も渡さなくてはなりません」
「大金だから護衛も付けてくれ。
ああ…好物さえ知らないなんて。
何を差し入れたら喜ぶんだ?」
「婚姻後の生活に関わる質問状の返事をいただきましたので、お嫌いなものでしたら存じ上げております」
「なんだ」
「エスカルゴやフォアグラは絶対に出すなと書いてありました。怖がるそうです。気持ち悪いと席を立ってしまわれるそうです」
「ハハッ 怖いのか。可愛いな。
差し入れは 見た目を可愛らしくしたら食べるか?」
「料理長と相談して差し入れます」
「よろしく頼む」
久々に剣の鍛錬をしてから朝食を食べた。
トリシアは不調だと言って出てこないらしい。
放っておいて仕事を始めると請求書が目に入った。
「衣装や宝飾品の店の請求書を見せてくれ。昨年の分から見たい」
そして見てみると、トリシアが屋敷で暮らす前は、ドレスは月に一回か二回、値の張らない外出着と時々夜会用の物の請求だった。
これは俺が贈っていた。
屋敷に住むようになってから月に三~五回も購入している。
宝飾品の請求も同棲前と後とではかなり違う。
買っていいと言ったが 今まで通りという意味だ。
トリシアは元貴族ではあるが平民だ。
トリシア宛の社交の招待状は届かない。
私が連れて行くと言ったときだけ夜会用のドレスを用意して連れて行くだけ。
こんなに浪費する必要は無い。
「今年はトリシアの買い物は全て中止しろ。使い過ぎだ。どうしてもという物があるときは俺が聞いて購入するかどうか判断する」
「そのようにお伝えします」
公爵夫人に買ってやれないのにトリシアに買い与えるのはおかしいしな。
「食事も、マナーが悪ければデザートは出さなくていい」
「かしこまりました」
そして今に至る。
はぁ。婚約のときからやり直したい。
メイド長を解雇し、使用人全員に通達した。
“アイリーンは公爵夫人で俺の妻だから無礼は許さない。彼女が快適に生活できるよう細心の注意を払うように” と。
だが、肝心のアイリーンが頑なだ。
“使用人は主人の鏡”
“こちらでも快適です”
“トリシア様でしたっけ?お幸せに”
近侍に旅宿へ向かわせても折れてくれない。俺が行くと本人さえ出てこない。
「最初のホテルで、参列していた侯爵夫人と会話を交わしたようで、若奥様は“恋人を作っていいらしいから探す”と仰っておられたようです」
「は? アイリーンが?」
「はい」
「駄目だ!絶対に駄目だ!」
「ハロルド様が提案したことですから、今更ですよ。書面にして教会に提出されては反故にできません」
そんな事は分かっている!
「公爵夫人に愛人など…相応しくない。監視を付けてくれ」
「……かしこまりました」
その夜、
「ねえ、まだ寝ないの?」
「先に寝ていろ」
「……」
「トリシア、何を、」
「何って、いつものことじゃない。しないの?」
「気が乗らない」
「そお?」
「っ!」
ソファに座る俺の前に跪き、ガウンの紐を解くと股間に顔を寄せて咥えた。
段々と芯を持ち始め、結局勃った。
「うふふっ」
トリシアはナイトドレスを脱ぐと俺の上に跨ろうとしたが、
「ハロルド!?」
「“公爵様”と呼べ」
腕を掴み また跪かせて髪を掴んだ。
そして引き寄せ 勃ち上がったモノを口に当てた。
「んん」
トリシアはもう一度咥えると奉仕を始めた。
母上の言う通り、トリシアの取り柄は顔と口淫だ。
最初から上手かった。
アイリーンと違って何本も咥えてきたのだろう。
「もっと根元まで」
「んぐっ」
アイリーンは経験があるのだろうか。
「ぐっ!」
あの小さな口で咥えさせられて苦しそうに大きな瞳を潤ませ、男に教わるのだろう。
「んぐっ! んぐっ!!」
快楽を教え込まれ……
「んんー!!!」
そして注がれるのか
「あっ出る……くっ………ふぅ…」
アイリーン
「いっ!」
手に痛みが走り目を向けると、トリシアの頭を掴み押し付けていた。顔は完全に腹に付いていて苦しそうに紅潮し血管を浮かせていた。
引っ掻かれた手を離した。
「オエッ! ゲホッ!ゲホッ!」
「悪い」
喉までモノを押し込んだまま吐精してしまっていたようだ。
涙を流しながら苦しそうにしているトリシアを見ても“やればできるものだな”としか思わなかった。
「酷い!」
「敬語を使えと言っただろう。早く部屋に戻れ」
「ハロルド!?」
「“公爵様”と呼べないなら罰を与えるぞ」
「そんな!」
「早く部屋に戻れ」
「続きを、」
「戻れ!!」
「っ!!」
ナイトドレスを着て走り去っていった。
トリシアに苛立ちを感じるなんて…俺はどうしてしまったんだ。
あんなに愛していたのに。
翌朝…というか夜明け前に目覚めた。
トリシアをこの屋敷に住まわせるようになって、初めて別々に寝た。
「旦那様、お茶をお持ちしました」
「こんな時間に悪いな」
新しいメイド長が茶を持ってきた。
「具合でも悪いのですか」
「気になってな」
「若奥様のことでしょうか」
「初めて来た国で土地勘も無いのに王都の外れの小さな旅宿に泊まっているんだ。
何かあったらと思うとな」
「では、誰かに差し入れを持たせましょう。
若くて愛嬌のあるメイドを向かわせます。
きっと追い払うことはなさらないでしょう。
それに約束のお金も渡さなくてはなりません」
「大金だから護衛も付けてくれ。
ああ…好物さえ知らないなんて。
何を差し入れたら喜ぶんだ?」
「婚姻後の生活に関わる質問状の返事をいただきましたので、お嫌いなものでしたら存じ上げております」
「なんだ」
「エスカルゴやフォアグラは絶対に出すなと書いてありました。怖がるそうです。気持ち悪いと席を立ってしまわれるそうです」
「ハハッ 怖いのか。可愛いな。
差し入れは 見た目を可愛らしくしたら食べるか?」
「料理長と相談して差し入れます」
「よろしく頼む」
久々に剣の鍛錬をしてから朝食を食べた。
トリシアは不調だと言って出てこないらしい。
放っておいて仕事を始めると請求書が目に入った。
「衣装や宝飾品の店の請求書を見せてくれ。昨年の分から見たい」
そして見てみると、トリシアが屋敷で暮らす前は、ドレスは月に一回か二回、値の張らない外出着と時々夜会用の物の請求だった。
これは俺が贈っていた。
屋敷に住むようになってから月に三~五回も購入している。
宝飾品の請求も同棲前と後とではかなり違う。
買っていいと言ったが 今まで通りという意味だ。
トリシアは元貴族ではあるが平民だ。
トリシア宛の社交の招待状は届かない。
私が連れて行くと言ったときだけ夜会用のドレスを用意して連れて行くだけ。
こんなに浪費する必要は無い。
「今年はトリシアの買い物は全て中止しろ。使い過ぎだ。どうしてもという物があるときは俺が聞いて購入するかどうか判断する」
「そのようにお伝えします」
公爵夫人に買ってやれないのにトリシアに買い与えるのはおかしいしな。
「食事も、マナーが悪ければデザートは出さなくていい」
「かしこまりました」
737
あなたにおすすめの小説
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります
せいめ
恋愛
『小説年間アクセスランキング2023』で10位をいただきました。
読んでくださった方々に心から感謝しております。ありがとうございました。
「私は君を愛することはないだろう。
しかし、この結婚は王命だ。不本意だが、君とは白い結婚にはできない。貴族の義務として今宵は君を抱く。
これを終えたら君は領地で好きに生活すればいい」
結婚初夜、旦那様は私に冷たく言い放つ。
この人は何を言っているのかしら?
そんなことは言われなくても分かっている。
私は誰かを愛することも、愛されることも許されないのだから。
私も貴方を愛さない……
侯爵令嬢だった私は、ある日、記憶喪失になっていた。
そんな私に冷たい家族。その中で唯一優しくしてくれる義理の妹。
記憶喪失の自分に何があったのかよく分からないまま私は王命で婚約者を決められ、強引に結婚させられることになってしまった。
この結婚に何の希望も持ってはいけないことは知っている。
それに、婚約期間から冷たかった旦那様に私は何の期待もしていない。
そんな私は初夜を迎えることになる。
その初夜の後、私の運命が大きく動き出すことも知らずに……
よくある記憶喪失の話です。
誤字脱字、申し訳ありません。
ご都合主義です。
完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう
音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。
幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。
事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。
しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。
己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。
修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
いいえ、望んでいません
わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」
結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。
だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。
なぜなら彼女は―――
旦那様から彼女が身籠る間の妻でいて欲しいと言われたのでそうします。
クロユキ
恋愛
「君には悪いけど、彼女が身籠る間の妻でいて欲しい」
平民育ちのセリーヌは母親と二人で住んでいた。
セリーヌは、毎日花売りをしていた…そんなセリーヌの前に毎日花を買う一人の貴族の男性がセリーヌに求婚した。
結婚後の初夜には夫は部屋には来なかった…屋敷内に夫はいるがセリーヌは会えないまま数日が経っていた。
夫から呼び出されたセリーヌは式を上げて久しぶりに夫の顔を見たが隣には知らない女性が一緒にいた。
セリーヌは、この時初めて夫から聞かされた。
夫には愛人がいた。
愛人が身籠ればセリーヌは離婚を言い渡される…
誤字脱字があります。更新が不定期ですが読んで貰えましたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました
よどら文鳥
恋愛
ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。
ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。
ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。
更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。
再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。
ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。
後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。
ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる