【完結】愛する女がいるから、妻になってもお前は何もするなと言われました

ユユ

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苛立ち

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【 ハロルドの視点 】


そして今に至る。

はぁ。婚約のときからやり直したい。

メイド長を解雇し、使用人全員に通達した。
“アイリーンは公爵夫人で俺の妻だから無礼は許さない。彼女が快適に生活できるよう細心の注意を払うように” と。

だが、肝心のアイリーンが頑なだ。

“使用人は主人の鏡”

“こちらでも快適です”

“トリシア様でしたっけ?お幸せに”

近侍ケインに旅宿へ向かわせても折れてくれない。俺が行くと本人さえ出てこない。


「最初のホテルで、参列していた侯爵夫人と会話を交わしたようで、若奥様は“恋人を作っていいらしいから探す”と仰っておられたようです」

「は? アイリーンが?」

「はい」

「駄目だ!絶対に駄目だ!」

「ハロルド様が提案したことですから、今更ですよ。書面にして教会に提出されては反故にできません」

そんな事は分かっている!

「公爵夫人に愛人など…相応しくない。監視を付けてくれ」

「……かしこまりました」



その夜、

「ねえ、まだ寝ないの?」

「先に寝ていろ」

「……」

「トリシア、何を、」

「何って、いつものことじゃない。しないの?」

「気が乗らない」

「そお?」

「っ!」

ソファに座る俺の前に跪き、ガウンの紐を解くと股間に顔を寄せて咥えた。

段々と芯を持ち始め、結局勃った。

「うふふっ」

トリシアはナイトドレスを脱ぐと俺の上に跨ろうとしたが、

「ハロルド!?」

「“公爵様”と呼べ」

腕を掴み また跪かせて髪を掴んだ。
そして引き寄せ 勃ち上がったモノを口に当てた。

「んん」

トリシアはもう一度咥えると奉仕を始めた。

母上の言う通り、トリシアの取り柄は顔と口淫だ。
最初から上手かった。

アイリーンと違って何本も咥えてきたのだろう。

「もっと根元まで」

「んぐっ」

アイリーンは経験があるのだろうか。

「ぐっ!」

あの小さな口で咥えさせられて苦しそうに大きな瞳を潤ませ、男に教わるのだろう。

「んぐっ! んぐっ!!」

快楽を教え込まれ……

「んんー!!!」

そして注がれるのか

「あっ出る……くっ………ふぅ…」

アイリーン

「いっ!」

手に痛みが走り目を向けると、トリシアの頭を掴み押し付けていた。顔は完全に腹に付いていて苦しそうに紅潮し血管を浮かせていた。

引っ掻かれた手を離した。

「オエッ! ゲホッ!ゲホッ!」

「悪い」

喉までモノを押し込んだまま吐精してしまっていたようだ。

涙を流しながら苦しそうにしているトリシアを見ても“やればできるものだな”としか思わなかった。

「酷い!」

「敬語を使えと言っただろう。早く部屋に戻れ」

「ハロルド!?」

「“公爵様”と呼べないなら罰を与えるぞ」

「そんな!」

「早く部屋に戻れ」

「続きを、」

「戻れ!!」

「っ!!」

ナイトドレスを着て走り去っていった。

トリシアに苛立ちを感じるなんて…俺はどうしてしまったんだ。

あんなに愛していたのに。



翌朝…というか夜明け前に目覚めた。
トリシアをこの屋敷に住まわせるようになって、初めて別々に寝た。

「旦那様、お茶をお持ちしました」

「こんな時間に悪いな」

新しいメイド長が茶を持ってきた。

「具合でも悪いのですか」

「気になってな」

「若奥様のことでしょうか」

「初めて来た国で土地勘も無いのに王都の外れの小さな旅宿に泊まっているんだ。
何かあったらと思うとな」

「では、誰かに差し入れを持たせましょう。
若くて愛嬌のあるメイドを向かわせます。
きっと追い払うことはなさらないでしょう。
それに約束のお金も渡さなくてはなりません」

「大金だから護衛も付けてくれ。

ああ…好物さえ知らないなんて。
何を差し入れたら喜ぶんだ?」

「婚姻後の生活に関わる質問状の返事をいただきましたので、お嫌いなものでしたら存じ上げております」

「なんだ」

「エスカルゴやフォアグラは絶対に出すなと書いてありました。怖がるそうです。気持ち悪いと席を立ってしまわれるそうです」

「ハハッ 怖いのか。可愛いな。
差し入れは 見た目を可愛らしくしたら食べるか?」

「料理長と相談して差し入れます」

「よろしく頼む」


久々に剣の鍛錬をしてから朝食を食べた。

トリシアは不調だと言って出てこないらしい。

放っておいて仕事を始めると請求書が目に入った。

「衣装や宝飾品の店の請求書を見せてくれ。昨年の分から見たい」

そして見てみると、トリシアが屋敷で暮らす前は、ドレスは月に一回か二回、値の張らない外出着と時々夜会用の物の請求だった。
これは俺が贈っていた。

屋敷に住むようになってから月に三~五回も購入している。
宝飾品の請求も同棲前と後とではかなり違う。

買っていいと言ったが 今まで通りという意味だ。

トリシアは元貴族ではあるが平民だ。
トリシア宛の社交の招待状は届かない。
私が連れて行くと言ったときだけ夜会用のドレスを用意して連れて行くだけ。
こんなに浪費する必要は無い。

「今年はトリシアの買い物は全て中止しろ。使い過ぎだ。どうしてもという物があるときは俺が聞いて購入するかどうか判断する」

「そのようにお伝えします」

公爵夫人アイリーンに買ってやれないのにトリシアに買い与えるのはおかしいしな。

「食事も、マナーが悪ければデザートは出さなくていい」

「かしこまりました」
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