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カトリス家の茶会
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カトリス邸のお茶会に来ている。
カトリス夫人の友人を数人呼んで内輪で集まった感じだった。
「それで旅宿に行かれたのですね」
「なかなか良い宿でしたわ」
「公爵の愛人とはどうですの?」
「お話をしたことがありませんの。関わらないという条件ですので」
「アイリーン様も恋人をお探しになるの?」
「はい。暇ですから」
「カトリス家のご長男とはどうなさるの?」
「クリストファー様ですか?
婚約者がいらっしゃいますから。
婚約者や妻のいらっしゃる殿方の場合は お相手の方から了解を得られないとお付き合いは出来ません。
ですが独身で婚約もしていない素敵な殿方なんているわけがありませんよね。困りましたわ。
残るは離縁か先立たれて独身に戻った殿方を狙うしかありませんわね」
「第三王子殿下はどうですか」
「殿下ならお相手がいらっしゃるのでは?」
「第一王子のお妃様が男児を産むまで婚約できない決まりなのです。
生まれなければ別の令嬢を娶らなくてはなりませんし、勢力図の均等を再考しなくてはなりませんもの」
「第二王子殿下は他国に婿入りなさいましたから」
「さすがに王子様にお声掛けなど出来ませんし、会う機会も滅多にありません。
公爵は愛人を伴う事になっておりますから。
次の王太子殿下のパーティだけは行くのですが、公爵が居ては……。
私個人に招待状が届くわけがありませんし、人妻を相手になさいませんわ。それに王子様と親しくなれるほど魅力はありませんもの」
「王子殿下は来ませんが、うちの夜会にいらして」
「うちも今月予定していますのよ。いらして」
「うちの娘の嫁入り先の夜会がありますのよ。いらして」
「アイリーン様、年齢制限はありませんのね?」
「恋愛ができれば」
「それなら私の兄が妻を失って10年になるの。
42歳で、娘が20歳、息子が18歳よ。
離れすぎてるけど会ってみる?」
カトリス夫人が目を輝かせた。
「10年なら他に恋人がいらっしゃるのでは?」
「長続きしなかったわ。
仮面が剥がれて直ぐに欲が滲み出てしまうのよ。
来週末にうちに来る予定だから、アイリーン様が良ければ紹介したいわ」
「問題がなければお願いします。
カトリス夫人をはじめ ご友人の皆様はお優しいのですね。
入国してから 良いことがありませんでしたが、屋敷に入れてもらえずホテルで追い払われた時にカトリス夫人と偶然お会いできて救われましたわ」
「……」
「きっと皆様のおかげで笑い話に変わりますわ」
「そうですわね。良い殿方が残っていないか聞いてみますわ」
「私も聞いてみます」
「それですと皆様が恋人を探していると誤解されませんか?」
「それはそれで面白いわ」
「うちの夫も愛人がいるみたいだから、私も楽しもうかという気になりましたわ」
とても楽しいお茶会に感謝をしてウィンター邸に戻ると義母の茶会がまだ終わっていなかった。
「アイリーン、いらっしゃい」
義母の声に無視するわけにはいかず、挨拶をした。
「アイリーンと申します。
ようこそウィンター邸へお越しくださいました。
どうぞごゆっくりお過ごしください」
そう言って去ろうとするが、
「アイリーン。お茶会に付き合ってくれない?
お願いよ」
断りにくいやり方で義母は私を席に着かせた。
「婚姻式は分からなかったけど、こんなに愛らしいお嫁さんだったのですね」
「是非お近付きになりたいですわ」
「うちも是非」
つまりウィンター家ではなく、ベロノワ家と親しくなりたいと言っているのだ。
「今度うちのパーティに公爵様と来てくださるかしら」
「新婚夫妻がいらっしゃれば場も華やぎますわ」
「ピア。トリシア様をお呼びして」
「え?」
「早く」
「かしこまりました」
「アイリーン。アレは、」
「お義母様。隠せていません。
既に婚姻式に公爵が愛人をつれていたのですから。
ご夫人方。皆様のお誘いはこれからお義母様がご紹介するトリシア様という公爵のパートナーが出席いたします」
「え?」
「公爵と私の間で取り決めがございまして、公爵のパートナーとして社交にでることはできませんの。
公爵は愛するトリシア様を伴うそうです。
それに何もしてはいけないので、ウィンター家の一員として顔を出せませんの」
「そんな、大袈裟よ。
さっきまでカトリス侯爵邸に行っていたじゃない」
「婚姻式の後に屋敷に入れてもらえず、仕方なくホテルをとろうと出向いたらカトリス侯爵夫人にバッタリお会いして、事情を聞いて不憫に思われた夫人がお友達になってくださいましたの。
ですから事情が違いますわ」
「でも、」
そこにトリシア様が現れた。
「お、お呼びですか」
「一応初めましてね。トリシア様。
お義母様のご友人方が公爵と一緒に招待なさりたいようなの。お話を伺って。
私は口出しできないし、同伴もできないから下がるわね。
それでは失礼いたします。
ごゆっくりどうぞ」
ドアを閉める時に“招待してくださるんですか!?嬉しいですぅ~!お義母様、久しぶりにドレスを作ってください”というトリシア様の声が聞こえた。
カトリス夫人の友人を数人呼んで内輪で集まった感じだった。
「それで旅宿に行かれたのですね」
「なかなか良い宿でしたわ」
「公爵の愛人とはどうですの?」
「お話をしたことがありませんの。関わらないという条件ですので」
「アイリーン様も恋人をお探しになるの?」
「はい。暇ですから」
「カトリス家のご長男とはどうなさるの?」
「クリストファー様ですか?
婚約者がいらっしゃいますから。
婚約者や妻のいらっしゃる殿方の場合は お相手の方から了解を得られないとお付き合いは出来ません。
ですが独身で婚約もしていない素敵な殿方なんているわけがありませんよね。困りましたわ。
残るは離縁か先立たれて独身に戻った殿方を狙うしかありませんわね」
「第三王子殿下はどうですか」
「殿下ならお相手がいらっしゃるのでは?」
「第一王子のお妃様が男児を産むまで婚約できない決まりなのです。
生まれなければ別の令嬢を娶らなくてはなりませんし、勢力図の均等を再考しなくてはなりませんもの」
「第二王子殿下は他国に婿入りなさいましたから」
「さすがに王子様にお声掛けなど出来ませんし、会う機会も滅多にありません。
公爵は愛人を伴う事になっておりますから。
次の王太子殿下のパーティだけは行くのですが、公爵が居ては……。
私個人に招待状が届くわけがありませんし、人妻を相手になさいませんわ。それに王子様と親しくなれるほど魅力はありませんもの」
「王子殿下は来ませんが、うちの夜会にいらして」
「うちも今月予定していますのよ。いらして」
「うちの娘の嫁入り先の夜会がありますのよ。いらして」
「アイリーン様、年齢制限はありませんのね?」
「恋愛ができれば」
「それなら私の兄が妻を失って10年になるの。
42歳で、娘が20歳、息子が18歳よ。
離れすぎてるけど会ってみる?」
カトリス夫人が目を輝かせた。
「10年なら他に恋人がいらっしゃるのでは?」
「長続きしなかったわ。
仮面が剥がれて直ぐに欲が滲み出てしまうのよ。
来週末にうちに来る予定だから、アイリーン様が良ければ紹介したいわ」
「問題がなければお願いします。
カトリス夫人をはじめ ご友人の皆様はお優しいのですね。
入国してから 良いことがありませんでしたが、屋敷に入れてもらえずホテルで追い払われた時にカトリス夫人と偶然お会いできて救われましたわ」
「……」
「きっと皆様のおかげで笑い話に変わりますわ」
「そうですわね。良い殿方が残っていないか聞いてみますわ」
「私も聞いてみます」
「それですと皆様が恋人を探していると誤解されませんか?」
「それはそれで面白いわ」
「うちの夫も愛人がいるみたいだから、私も楽しもうかという気になりましたわ」
とても楽しいお茶会に感謝をしてウィンター邸に戻ると義母の茶会がまだ終わっていなかった。
「アイリーン、いらっしゃい」
義母の声に無視するわけにはいかず、挨拶をした。
「アイリーンと申します。
ようこそウィンター邸へお越しくださいました。
どうぞごゆっくりお過ごしください」
そう言って去ろうとするが、
「アイリーン。お茶会に付き合ってくれない?
お願いよ」
断りにくいやり方で義母は私を席に着かせた。
「婚姻式は分からなかったけど、こんなに愛らしいお嫁さんだったのですね」
「是非お近付きになりたいですわ」
「うちも是非」
つまりウィンター家ではなく、ベロノワ家と親しくなりたいと言っているのだ。
「今度うちのパーティに公爵様と来てくださるかしら」
「新婚夫妻がいらっしゃれば場も華やぎますわ」
「ピア。トリシア様をお呼びして」
「え?」
「早く」
「かしこまりました」
「アイリーン。アレは、」
「お義母様。隠せていません。
既に婚姻式に公爵が愛人をつれていたのですから。
ご夫人方。皆様のお誘いはこれからお義母様がご紹介するトリシア様という公爵のパートナーが出席いたします」
「え?」
「公爵と私の間で取り決めがございまして、公爵のパートナーとして社交にでることはできませんの。
公爵は愛するトリシア様を伴うそうです。
それに何もしてはいけないので、ウィンター家の一員として顔を出せませんの」
「そんな、大袈裟よ。
さっきまでカトリス侯爵邸に行っていたじゃない」
「婚姻式の後に屋敷に入れてもらえず、仕方なくホテルをとろうと出向いたらカトリス侯爵夫人にバッタリお会いして、事情を聞いて不憫に思われた夫人がお友達になってくださいましたの。
ですから事情が違いますわ」
「でも、」
そこにトリシア様が現れた。
「お、お呼びですか」
「一応初めましてね。トリシア様。
お義母様のご友人方が公爵と一緒に招待なさりたいようなの。お話を伺って。
私は口出しできないし、同伴もできないから下がるわね。
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