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紹介
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【 ルイ・ジャレッドの視点 】
妻が他界して10年。
その間に、一夜の女性も交際した女性もいた。
交際を望む女性は、皆 空席の公爵夫人の席を狙っていた。最初は私に惚れたといい、付き合うにつれて内情を聞き出そうと会話に織り交ぜるようになる。
それが鼻に付いて別れを切り出すと、“愛してるのに”と縋り付く。
一番最初に贈った花の名と色を尋ねると覚えている者はいない。
好きな相手から貰った最初の花なら覚えているだろうというのが私の考えだ。
答えられる者はいなかった。
他の男と二股をかけられたこともあった。
婚約者じゃないから咎めることはせず別れた。
もう娘は嫁に行き、息子はやっと最終学年になった。
来年卒業したら数年かけて引き継ぎ、引退すれば公爵夫人の席を狙って擦り寄ってくる女はいなくなる。
それまでは適当にその場限りの付き合いをして、引退後に未亡人でも当たろうと思っていた。
妹から手紙が届いた。
“恋人探しをしている夫人を紹介したい”
は? 夫人が恋人探し!?
トラブルはごめんだと返事を出した。
そして返信があった。
“会わなければ後悔する”
元々予定していた食事会に誘っているらしい。
そこまで言うならと了承した。
当日、夫人が来るまでに、夫人について説明を受けた。
『ウィンター公爵家の新妻!?』
『そうなの。あの隣国のベロノワ家のご令嬢よ。
とても感じが良くて美少女よ。
クリストファーなんか、会った途端に一目惚れして挨拶もまともにできなかったんだから』
『じゃあクリストファーでいいんじゃないか?』
『それがね、妻や婚約者や恋人がいる場合 相手の女性が了承しないと駄目なんですって。
夜会も2つ紹介したけど、空振りだったみたい』
『確か最近公爵位を継いだのだよな?』
『婚姻した日にね』
『公爵は新妻に男ができてもいいっていうのか』
『自分に愛人がいて、彼女を愛してるから何もするな 社交もしなくていい 白い結婚でといわれているらしいの』
ウィンター公爵との話を細かく聞いた。
『クズだな』
『若いせいなのかしら。酷いというよりも、あのベロノワ家のご令嬢にそんなことができるなんて大物よね』
『令嬢は…ウィンター公爵夫人は よくその条件をのんだな』
『衣食住の面倒を見て、公爵夫人の予算をくれるから良いんですって。
その上で何もしなくていいし、好きでもない男と閨事をしなくて済むなんて最高だと言っていたわ。
物言いには腹が立ったようだけど』
そしてウィンター公爵夫人が到着した。
ダイニングに現れた夫人は、夫人というよりは令嬢という感じで若い美少女だった。
娘より若いのは確かだ。まさか、息子よりは上だよな。
それにしても…まさか、愛人のいるウィンター公爵を捨ててジャレッド公爵夫人になりたいとか?
そんなことを考えている間にナディアが夫人に年齢を聞いた。
は? 17歳!?
息子より歳下じゃないか!
侯「学校は婚姻があるから退学したのですか」
ア「卒業しましたわ。
祖国の学校は1年以上在籍すれば飛級試験や飛卒試験を受けることができます。
受かったので卒業しましたの」
侯「そうでしたか」
たわいもない話をして食事を済ませた。
所作もとても美しい。
それに不快感もない。
恋人探しで呼ばれたが、全くそんな感じがしない。
そうか。
親子ほど歳が離れていては対象にはならないのだな。
息子より歳下だしな。
そんなことを思いながらウィリアムとチェスをしていた。
ナディアはウィンター夫人の髪を結いながら彼女と楽しそうに話をしていた。
きっと娘ができたかのように可愛いのだろう。
「義兄上、降参しますか?」
いつの間にか追い詰められていた。
「ちょっと待ってくれ」
どうしても手が浮かばない。
30分経過して降参した。
そしてお開きになり、ウィンター夫人が帰ろうと立ち上がるとチェス盤をチラッと見た。10秒も見ないうちに話しかけてきた。
「侯爵。ジャレッド公爵に加勢してもいいですか」
「え? どうぞ」
ササッと駒を動かして挨拶をして帰ってしまった。
見送りから戻ってチェス盤を見たウィリアムは盤に釘付けだ。
「どうした」
「逆転されました。詰んじゃってますよ」
「……本当だ」
「アイリーン様はベロノワ伯爵やご兄弟と幼い時からチェスやカードゲームをしていたらしいわ。
絶対にアイリーン様と賭け事はしちゃ駄目ね」
ナディアは笑っていた。
「ナディア。王太子殿下の誕生日のパーティは夫人はどうするんだ?」
「今回だけはウィンター公爵がパートナーを務めるそうよ。入籍の挨拶をするらしいわ。
だけど、第三王子殿下を引き合わせようって話もあるから、夫ではなく友人とか叔父みたいな年齢の方に連れて行かせた方がいいかもしれないわ」
「……なら、夫人が良ければ私が連れて行こう」
「お兄様と王子様が恋のライバルに!」
「そんなんじゃない。
第一、まだ殿下と会っていないのだろう?」
「ええ。自分には不相応だと言っていたわ。
本当に可愛いわよね。あんな娘が欲しいわ」
「確かに娘にしたいが、本当に自分の娘なら心配で胃がやられそうだ。ベロノワ伯爵はよく彼女を嫁がせたな」
「ウィンター公爵の所業は教えていないそうよ」
ウィンター公爵は嫁いだ娘と同い年くらいだったか。
「そろそろ帰るよ。ディナーをありがとう」
後日、ナディアを通して承諾の連絡があった。
【 後日のピアの報告 】
「と、いうわけで、アイリーン様は王太子殿下の誕生日のパーティにジャレッド公爵と同伴なさるそうです」
「は?」
「カトリス侯爵夫人のお兄様がジャレッド公爵です。
つまりカトリス侯爵夫人が取り持ったようです」
「俺が連れて行くと言ったはずだ」
「“公爵夫人という存在の紹介は旦那様以外の方でもできますから ご安心ください”と仰っておりました。
そもそも旦那様が決めたことじゃないですか。
社交はトリシア様をパートナーにして出ると。
アイリーン様は“公爵の愛するトリシア様に酷いことをするところでした”と反省しておられます。
旦那様、覆ることはありません。それより それまでにトリシア様をある程度仕上げないとまずいです」
「!!」
ハロルドはすぐにマナー講師に、授業を3倍に増やすように指示をした。
妻が他界して10年。
その間に、一夜の女性も交際した女性もいた。
交際を望む女性は、皆 空席の公爵夫人の席を狙っていた。最初は私に惚れたといい、付き合うにつれて内情を聞き出そうと会話に織り交ぜるようになる。
それが鼻に付いて別れを切り出すと、“愛してるのに”と縋り付く。
一番最初に贈った花の名と色を尋ねると覚えている者はいない。
好きな相手から貰った最初の花なら覚えているだろうというのが私の考えだ。
答えられる者はいなかった。
他の男と二股をかけられたこともあった。
婚約者じゃないから咎めることはせず別れた。
もう娘は嫁に行き、息子はやっと最終学年になった。
来年卒業したら数年かけて引き継ぎ、引退すれば公爵夫人の席を狙って擦り寄ってくる女はいなくなる。
それまでは適当にその場限りの付き合いをして、引退後に未亡人でも当たろうと思っていた。
妹から手紙が届いた。
“恋人探しをしている夫人を紹介したい”
は? 夫人が恋人探し!?
トラブルはごめんだと返事を出した。
そして返信があった。
“会わなければ後悔する”
元々予定していた食事会に誘っているらしい。
そこまで言うならと了承した。
当日、夫人が来るまでに、夫人について説明を受けた。
『ウィンター公爵家の新妻!?』
『そうなの。あの隣国のベロノワ家のご令嬢よ。
とても感じが良くて美少女よ。
クリストファーなんか、会った途端に一目惚れして挨拶もまともにできなかったんだから』
『じゃあクリストファーでいいんじゃないか?』
『それがね、妻や婚約者や恋人がいる場合 相手の女性が了承しないと駄目なんですって。
夜会も2つ紹介したけど、空振りだったみたい』
『確か最近公爵位を継いだのだよな?』
『婚姻した日にね』
『公爵は新妻に男ができてもいいっていうのか』
『自分に愛人がいて、彼女を愛してるから何もするな 社交もしなくていい 白い結婚でといわれているらしいの』
ウィンター公爵との話を細かく聞いた。
『クズだな』
『若いせいなのかしら。酷いというよりも、あのベロノワ家のご令嬢にそんなことができるなんて大物よね』
『令嬢は…ウィンター公爵夫人は よくその条件をのんだな』
『衣食住の面倒を見て、公爵夫人の予算をくれるから良いんですって。
その上で何もしなくていいし、好きでもない男と閨事をしなくて済むなんて最高だと言っていたわ。
物言いには腹が立ったようだけど』
そしてウィンター公爵夫人が到着した。
ダイニングに現れた夫人は、夫人というよりは令嬢という感じで若い美少女だった。
娘より若いのは確かだ。まさか、息子よりは上だよな。
それにしても…まさか、愛人のいるウィンター公爵を捨ててジャレッド公爵夫人になりたいとか?
そんなことを考えている間にナディアが夫人に年齢を聞いた。
は? 17歳!?
息子より歳下じゃないか!
侯「学校は婚姻があるから退学したのですか」
ア「卒業しましたわ。
祖国の学校は1年以上在籍すれば飛級試験や飛卒試験を受けることができます。
受かったので卒業しましたの」
侯「そうでしたか」
たわいもない話をして食事を済ませた。
所作もとても美しい。
それに不快感もない。
恋人探しで呼ばれたが、全くそんな感じがしない。
そうか。
親子ほど歳が離れていては対象にはならないのだな。
息子より歳下だしな。
そんなことを思いながらウィリアムとチェスをしていた。
ナディアはウィンター夫人の髪を結いながら彼女と楽しそうに話をしていた。
きっと娘ができたかのように可愛いのだろう。
「義兄上、降参しますか?」
いつの間にか追い詰められていた。
「ちょっと待ってくれ」
どうしても手が浮かばない。
30分経過して降参した。
そしてお開きになり、ウィンター夫人が帰ろうと立ち上がるとチェス盤をチラッと見た。10秒も見ないうちに話しかけてきた。
「侯爵。ジャレッド公爵に加勢してもいいですか」
「え? どうぞ」
ササッと駒を動かして挨拶をして帰ってしまった。
見送りから戻ってチェス盤を見たウィリアムは盤に釘付けだ。
「どうした」
「逆転されました。詰んじゃってますよ」
「……本当だ」
「アイリーン様はベロノワ伯爵やご兄弟と幼い時からチェスやカードゲームをしていたらしいわ。
絶対にアイリーン様と賭け事はしちゃ駄目ね」
ナディアは笑っていた。
「ナディア。王太子殿下の誕生日のパーティは夫人はどうするんだ?」
「今回だけはウィンター公爵がパートナーを務めるそうよ。入籍の挨拶をするらしいわ。
だけど、第三王子殿下を引き合わせようって話もあるから、夫ではなく友人とか叔父みたいな年齢の方に連れて行かせた方がいいかもしれないわ」
「……なら、夫人が良ければ私が連れて行こう」
「お兄様と王子様が恋のライバルに!」
「そんなんじゃない。
第一、まだ殿下と会っていないのだろう?」
「ええ。自分には不相応だと言っていたわ。
本当に可愛いわよね。あんな娘が欲しいわ」
「確かに娘にしたいが、本当に自分の娘なら心配で胃がやられそうだ。ベロノワ伯爵はよく彼女を嫁がせたな」
「ウィンター公爵の所業は教えていないそうよ」
ウィンター公爵は嫁いだ娘と同い年くらいだったか。
「そろそろ帰るよ。ディナーをありがとう」
後日、ナディアを通して承諾の連絡があった。
【 後日のピアの報告 】
「と、いうわけで、アイリーン様は王太子殿下の誕生日のパーティにジャレッド公爵と同伴なさるそうです」
「は?」
「カトリス侯爵夫人のお兄様がジャレッド公爵です。
つまりカトリス侯爵夫人が取り持ったようです」
「俺が連れて行くと言ったはずだ」
「“公爵夫人という存在の紹介は旦那様以外の方でもできますから ご安心ください”と仰っておりました。
そもそも旦那様が決めたことじゃないですか。
社交はトリシア様をパートナーにして出ると。
アイリーン様は“公爵の愛するトリシア様に酷いことをするところでした”と反省しておられます。
旦那様、覆ることはありません。それより それまでにトリシア様をある程度仕上げないとまずいです」
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ハロルドはすぐにマナー講師に、授業を3倍に増やすように指示をした。
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