【完結】愛する女がいるから、妻になってもお前は何もするなと言われました

ユユ

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各々 /レジス

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【 王太子レジスの視点 】


湯浴みを終えてメイドに合図を送るが…

「王太子殿下。王太子妃殿下は悪阻があり 今夜は閨へ上がれません」

もうかなり腹も大きいのに?

「分かった」

酒を注ぎ一気に飲み干しベッドへ横になった。

こんな時は他国の王子達は代わりの女を手配してもらえるんだろうな。

「はぁ」

うちの場合は何にしろ男児が産まれるか否かで扱いが変わる。
王太子となった今も男児を産ませられなければ 剥奪されることもある。
男児が産まれるまで他の女を相手にすることは許されない。無駄に他所で種を蒔かずに認められた畑で蒔けという意味だ。

唯一の方法は、正妃が女児を産んだ場合はもう一人 妃を娶ることが許される。それを利用することだ。

アイリーン・ウィンター公爵夫人。
まだ17歳で たぶん生娘だ。
ベロノワ家は力のある家門でアイリーン自体が愛らしい美少女だ。

父上も喜んでくださる。そう思っていたが、誕生日のパーティの後に父上にアイリーンの話をしたら、交流を持つのはいいが公爵夫人のうちは駄目だと言われた。

別れさせればいいだけだと反論するも、ウィンター公爵夫人の意に沿わないことをするなと強く忠告された。

だから仕方なくティータイムに合わせて呼んで話をした。
可愛いアイリーンから好意が感じられない。
ローランドとはよく会うようだが、友人契約を結んで楽しく過ごしていると言っていた。
使用人達に話を聞いても友人関係から逸脱するような言動は無いと報告を受けていた。


そして女児が産まれた。

再度父上にアイリーンのことをお願いしようと思ったら、丁度 ベロノワ家の子息が入国の挨拶に来たと連絡が入った。

これから父上に知らせるというので止めて私だけ会った。

「ようこそ。我が国へ。
第一王子で王太子のレジスだ」

「お初にお目にかかります。
ベロノワ伯爵家 次男ジュエルと申します」

「ジュエル殿。其方はウィンター公爵夫人の…」

「弟です」

「一人で入国を?」

「兄と入国いたしました」

「兄君は何処へ?」

「ウィンター公爵邸です」

普通は長男を挨拶に来させるだろう。

「兄君はいつ登城できるのだ」

「兄に確認しないと分かりません。
何かご用意でしょうか」

「其方の妹君がウィンター公爵に軽んじられているのは知っているか?

夫妻は白い結婚だ。
二人を離縁させて第二妃に迎えたい」

「王太子殿下の第二妃でしょうか」

「そうだ」

「姉が望んだのですか?」

「結果的にそうなる」

「お断りいたします。

後で姉に確認をとりますが、ベロノワ家としては辞退いたします」

「それは其方が決めることではない。
アイリーンやベロノワ伯爵が決めることだ」

「兄も入国しているのに僕がここで殿下とお会いしているということは、ベロノワ家としての判断を下せると任された上でのことです。

父は生憎 領地におりますので、ご不満なら兄を連れて再訪いたしますが、その時は国王陛下のご同席をお願いいたします」

「何故だ?王太子の私が対応しているのに?」

「殿下がベロノワ家の家長の判断を求めたということは、そちらも家長である国王陛下のご判断が必要ということです」

生意気な!

「16歳が相手といえ不敬罪を使わぬとは限らないぞ」

「どこに不敬があったのか僕には分かりかねますが、
今のレジス王太子殿下は不敬罪を独断で行使できないのが この国の王族法でございます。
エドガー法務執行官に確認なさってください」

何故、うちの王族法を!?
エドガー法務執行官を知っているのか!?

「では。姉に会いたいので失礼いたします」

返事を待たずに去っていった。


ジュエル・ベロノワ……牙を隠そうとしていない。


その後、父上から叱責を受けた。
立ち会った者達が報告を上げていた。

「ベロノワ伯爵令息から登城日時の連絡が来た。
ジュエル殿との経緯があるから仕方なく同席させるが、聞かれたこと以外 口を開くな」

「っ!」

何故 王太子の私がこんな扱いを受けるんだ!!
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