22 / 69
各々 /レジス
しおりを挟む
【 王太子レジスの視点 】
湯浴みを終えてメイドに合図を送るが…
「王太子殿下。王太子妃殿下は悪阻があり 今夜は閨へ上がれません」
もうかなり腹も大きいのに?
「分かった」
酒を注ぎ一気に飲み干しベッドへ横になった。
こんな時は他国の王子達は代わりの女を手配してもらえるんだろうな。
「はぁ」
うちの場合は何にしろ男児が産まれるか否かで扱いが変わる。
王太子となった今も男児を産ませられなければ 剥奪されることもある。
男児が産まれるまで他の女を相手にすることは許されない。無駄に他所で種を蒔かずに認められた畑で蒔けという意味だ。
唯一の方法は、正妃が女児を産んだ場合はもう一人 妃を娶ることが許される。それを利用することだ。
アイリーン・ウィンター公爵夫人。
まだ17歳で たぶん生娘だ。
ベロノワ家は力のある家門でアイリーン自体が愛らしい美少女だ。
父上も喜んでくださる。そう思っていたが、誕生日のパーティの後に父上にアイリーンの話をしたら、交流を持つのはいいが公爵夫人のうちは駄目だと言われた。
別れさせればいいだけだと反論するも、ウィンター公爵夫人の意に沿わないことをするなと強く忠告された。
だから仕方なくティータイムに合わせて呼んで話をした。
可愛いアイリーンから好意が感じられない。
ローランドとはよく会うようだが、友人契約を結んで楽しく過ごしていると言っていた。
使用人達に話を聞いても友人関係から逸脱するような言動は無いと報告を受けていた。
そして女児が産まれた。
再度父上にアイリーンのことをお願いしようと思ったら、丁度 ベロノワ家の子息が入国の挨拶に来たと連絡が入った。
これから父上に知らせるというので止めて私だけ会った。
「ようこそ。我が国へ。
第一王子で王太子のレジスだ」
「お初にお目にかかります。
ベロノワ伯爵家 次男ジュエルと申します」
「ジュエル殿。其方はウィンター公爵夫人の…」
「弟です」
「一人で入国を?」
「兄と入国いたしました」
「兄君は何処へ?」
「ウィンター公爵邸です」
普通は長男を挨拶に来させるだろう。
「兄君はいつ登城できるのだ」
「兄に確認しないと分かりません。
何かご用意でしょうか」
「其方の妹君がウィンター公爵に軽んじられているのは知っているか?
夫妻は白い結婚だ。
二人を離縁させて第二妃に迎えたい」
「王太子殿下の第二妃でしょうか」
「そうだ」
「姉が望んだのですか?」
「結果的にそうなる」
「お断りいたします。
後で姉に確認をとりますが、ベロノワ家としては辞退いたします」
「それは其方が決めることではない。
アイリーンやベロノワ伯爵が決めることだ」
「兄も入国しているのに僕がここで殿下とお会いしているということは、ベロノワ家としての判断を下せると任された上でのことです。
父は生憎 領地におりますので、ご不満なら兄を連れて再訪いたしますが、その時は国王陛下のご同席をお願いいたします」
「何故だ?王太子の私が対応しているのに?」
「殿下がベロノワ家の家長の判断を求めたということは、そちらも家長である国王陛下のご判断が必要ということです」
生意気な!
「16歳が相手といえ不敬罪を使わぬとは限らないぞ」
「どこに不敬があったのか僕には分かりかねますが、
今のレジス王太子殿下は不敬罪を独断で行使できないのが この国の王族法でございます。
エドガー法務執行官に確認なさってください」
何故、うちの王族法を!?
エドガー法務執行官を知っているのか!?
「では。姉に会いたいので失礼いたします」
返事を待たずに去っていった。
ジュエル・ベロノワ……牙を隠そうとしていない。
その後、父上から叱責を受けた。
立ち会った者達が報告を上げていた。
「ベロノワ伯爵令息から登城日時の連絡が来た。
ジュエル殿との経緯があるから仕方なく同席させるが、聞かれたこと以外 口を開くな」
「っ!」
何故 王太子の私がこんな扱いを受けるんだ!!
湯浴みを終えてメイドに合図を送るが…
「王太子殿下。王太子妃殿下は悪阻があり 今夜は閨へ上がれません」
もうかなり腹も大きいのに?
「分かった」
酒を注ぎ一気に飲み干しベッドへ横になった。
こんな時は他国の王子達は代わりの女を手配してもらえるんだろうな。
「はぁ」
うちの場合は何にしろ男児が産まれるか否かで扱いが変わる。
王太子となった今も男児を産ませられなければ 剥奪されることもある。
男児が産まれるまで他の女を相手にすることは許されない。無駄に他所で種を蒔かずに認められた畑で蒔けという意味だ。
唯一の方法は、正妃が女児を産んだ場合はもう一人 妃を娶ることが許される。それを利用することだ。
アイリーン・ウィンター公爵夫人。
まだ17歳で たぶん生娘だ。
ベロノワ家は力のある家門でアイリーン自体が愛らしい美少女だ。
父上も喜んでくださる。そう思っていたが、誕生日のパーティの後に父上にアイリーンの話をしたら、交流を持つのはいいが公爵夫人のうちは駄目だと言われた。
別れさせればいいだけだと反論するも、ウィンター公爵夫人の意に沿わないことをするなと強く忠告された。
だから仕方なくティータイムに合わせて呼んで話をした。
可愛いアイリーンから好意が感じられない。
ローランドとはよく会うようだが、友人契約を結んで楽しく過ごしていると言っていた。
使用人達に話を聞いても友人関係から逸脱するような言動は無いと報告を受けていた。
そして女児が産まれた。
再度父上にアイリーンのことをお願いしようと思ったら、丁度 ベロノワ家の子息が入国の挨拶に来たと連絡が入った。
これから父上に知らせるというので止めて私だけ会った。
「ようこそ。我が国へ。
第一王子で王太子のレジスだ」
「お初にお目にかかります。
ベロノワ伯爵家 次男ジュエルと申します」
「ジュエル殿。其方はウィンター公爵夫人の…」
「弟です」
「一人で入国を?」
「兄と入国いたしました」
「兄君は何処へ?」
「ウィンター公爵邸です」
普通は長男を挨拶に来させるだろう。
「兄君はいつ登城できるのだ」
「兄に確認しないと分かりません。
何かご用意でしょうか」
「其方の妹君がウィンター公爵に軽んじられているのは知っているか?
夫妻は白い結婚だ。
二人を離縁させて第二妃に迎えたい」
「王太子殿下の第二妃でしょうか」
「そうだ」
「姉が望んだのですか?」
「結果的にそうなる」
「お断りいたします。
後で姉に確認をとりますが、ベロノワ家としては辞退いたします」
「それは其方が決めることではない。
アイリーンやベロノワ伯爵が決めることだ」
「兄も入国しているのに僕がここで殿下とお会いしているということは、ベロノワ家としての判断を下せると任された上でのことです。
父は生憎 領地におりますので、ご不満なら兄を連れて再訪いたしますが、その時は国王陛下のご同席をお願いいたします」
「何故だ?王太子の私が対応しているのに?」
「殿下がベロノワ家の家長の判断を求めたということは、そちらも家長である国王陛下のご判断が必要ということです」
生意気な!
「16歳が相手といえ不敬罪を使わぬとは限らないぞ」
「どこに不敬があったのか僕には分かりかねますが、
今のレジス王太子殿下は不敬罪を独断で行使できないのが この国の王族法でございます。
エドガー法務執行官に確認なさってください」
何故、うちの王族法を!?
エドガー法務執行官を知っているのか!?
「では。姉に会いたいので失礼いたします」
返事を待たずに去っていった。
ジュエル・ベロノワ……牙を隠そうとしていない。
その後、父上から叱責を受けた。
立ち会った者達が報告を上げていた。
「ベロノワ伯爵令息から登城日時の連絡が来た。
ジュエル殿との経緯があるから仕方なく同席させるが、聞かれたこと以外 口を開くな」
「っ!」
何故 王太子の私がこんな扱いを受けるんだ!!
618
あなたにおすすめの小説
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります
せいめ
恋愛
『小説年間アクセスランキング2023』で10位をいただきました。
読んでくださった方々に心から感謝しております。ありがとうございました。
「私は君を愛することはないだろう。
しかし、この結婚は王命だ。不本意だが、君とは白い結婚にはできない。貴族の義務として今宵は君を抱く。
これを終えたら君は領地で好きに生活すればいい」
結婚初夜、旦那様は私に冷たく言い放つ。
この人は何を言っているのかしら?
そんなことは言われなくても分かっている。
私は誰かを愛することも、愛されることも許されないのだから。
私も貴方を愛さない……
侯爵令嬢だった私は、ある日、記憶喪失になっていた。
そんな私に冷たい家族。その中で唯一優しくしてくれる義理の妹。
記憶喪失の自分に何があったのかよく分からないまま私は王命で婚約者を決められ、強引に結婚させられることになってしまった。
この結婚に何の希望も持ってはいけないことは知っている。
それに、婚約期間から冷たかった旦那様に私は何の期待もしていない。
そんな私は初夜を迎えることになる。
その初夜の後、私の運命が大きく動き出すことも知らずに……
よくある記憶喪失の話です。
誤字脱字、申し訳ありません。
ご都合主義です。
完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう
音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。
幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。
事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。
しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。
己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。
修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
いいえ、望んでいません
わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」
結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。
だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。
なぜなら彼女は―――
旦那様から彼女が身籠る間の妻でいて欲しいと言われたのでそうします。
クロユキ
恋愛
「君には悪いけど、彼女が身籠る間の妻でいて欲しい」
平民育ちのセリーヌは母親と二人で住んでいた。
セリーヌは、毎日花売りをしていた…そんなセリーヌの前に毎日花を買う一人の貴族の男性がセリーヌに求婚した。
結婚後の初夜には夫は部屋には来なかった…屋敷内に夫はいるがセリーヌは会えないまま数日が経っていた。
夫から呼び出されたセリーヌは式を上げて久しぶりに夫の顔を見たが隣には知らない女性が一緒にいた。
セリーヌは、この時初めて夫から聞かされた。
夫には愛人がいた。
愛人が身籠ればセリーヌは離婚を言い渡される…
誤字脱字があります。更新が不定期ですが読んで貰えましたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました
よどら文鳥
恋愛
ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。
ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。
ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。
更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。
再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。
ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。
後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。
ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる