【完結】愛する女がいるから、妻になってもお前は何もするなと言われました

ユユ

文字の大きさ
23 / 69

各々 /レジス

しおりを挟む
【 王太子レジスの視点 】


翌日の昼前に彼らが登城した。
3人で来たらしい。

入室してアイリーンの姿が見当たらないので つい口に出てしまった。

私「アイリーンは?」

父「レジス!!」

私「っ!」

父「申し訳ない。息子で王太子のレジスだ。
オベール殿」

オ「……オベール・ベロノワと申します。
お見知り置きください」

父「昨日は息子が失礼をした。
ジュエル殿、申し訳ない」

ジュ「僕ではご不満のようでしたので、どうぞ兄と話をさせてあげてください」

父「しかし、」

オ「構いませんよ」

私「アイリーンを第二妃に迎えたい」

オ「理由は何でしょう」

私「相応しいからだ」

オ「“相応しい”?」

オベール・ベロノワの表情が変わった。

私「愛らしく、家柄もいい。
白い結婚を維持しているようだし問題はないはずだ。
正妃は先日女児を産んだから第二妃を迎えることができる」

オ「アイリーンにその気はないし、私も許さない」

私「許さない!? 何故!」

オ「相応しくないからですよ」

私「いくら何でも無礼だぞ!」

オ「では、何かで私に勝てれば父とアイリーンを説得しましょう。3つ競いましょうか。

“身分が勝ってる”とか言わないでくださいね」

私「いいだろう」

オ「負けた時はどうなさるのですか」

私「え?」

オ「ただ、妹を諦めるなんてことは言わないでくださいね。

王太子殿下の何を賭けるのですか?
アイリーンとの縁談に相応しいものを賭けていただかないと、アイリーンはがっかりするでしょうね。
賭けるものが大したものでなければアイリーンの価値も低いと言っているようなものですから」

私「…では動産以外の個人資産を、」

オ「個人資産で言えば、アイリーンの方が持っているはずですが、アイリーンよりも低い額を賭けると?」

私「私よりも資産持ちだと?あり得ないだろう」

オ「あり得ますよ。そうですよね、陛下」

父「あり得るな」

は?

オ「価値のあるものはないんですか?」

私「なら、王太子の座を賭ける!」

父「レジス!!」

私「いいでしょう。では何で競いますか?」

いかにも鍛えていなさそうな細身の令息を見て選んだのは、

私「剣と体術と……チェスでどうだ」

オ「いいでしょう。では、先にチェスから済ませ、次に体術、そして剣術。

チェスは待ったが10分続いても負けです」

私「え?」

オ「その後に体術と剣術ですよ?陽が暮れるまで費やしたくありません」

私「分かった」

オ「体術は降参するか戦意喪失と審判が判断するまで。審判は騎士団から出してください。こちらもジュエルを出します。

もし、不当に戦意喪失と判断した場合には、そうではないと分からせるために判断した審判を倒してみせましょう」

私「分かった」

オ「剣術は、剣を落とすか至急手当が必要なほど怪我を負ったら 負けでよろしいですか?」

私「いいだろう」



そして一時間もかからず全敗した。

チェスに自信があったのに、10分以上待たせて失格。
体術は すぐに背後を取られて首を絞められて 意識を失う寸前でストップがかかり、剣術も剣を遠くに弾き落とされた。

オ「では、妹も王太子の座も諦めてくださいね。
国王陛下。本日付けで ただの第一王子に戻してください。

ローランド王子殿下と面談して、ローランド王子殿下かテオフィル王子殿下がいいか陛下に進言いたします」

私「は? テオフィル!?」

オ「かなり優秀だったと聞いております。
他国の公爵家の次女と婚姻して爵位を得ているとか」

私「まさか、こんな賭け事で……」

オ「傷が浅いうちに引いた方がいいですよ。
無理にしがみついても“降りたい”と言わせるだけですから。

陛下。しばらく滞在しますのでよろしくお願いいたします。

では」














しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様には愛人がいますが気にしません。

りつ
恋愛
 イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります

せいめ
恋愛
『小説年間アクセスランキング2023』で10位をいただきました。  読んでくださった方々に心から感謝しております。ありがとうございました。 「私は君を愛することはないだろう。  しかし、この結婚は王命だ。不本意だが、君とは白い結婚にはできない。貴族の義務として今宵は君を抱く。  これを終えたら君は領地で好きに生活すればいい」  結婚初夜、旦那様は私に冷たく言い放つ。  この人は何を言っているのかしら?  そんなことは言われなくても分かっている。  私は誰かを愛することも、愛されることも許されないのだから。  私も貴方を愛さない……  侯爵令嬢だった私は、ある日、記憶喪失になっていた。  そんな私に冷たい家族。その中で唯一優しくしてくれる義理の妹。  記憶喪失の自分に何があったのかよく分からないまま私は王命で婚約者を決められ、強引に結婚させられることになってしまった。  この結婚に何の希望も持ってはいけないことは知っている。  それに、婚約期間から冷たかった旦那様に私は何の期待もしていない。  そんな私は初夜を迎えることになる。  その初夜の後、私の運命が大きく動き出すことも知らずに……    よくある記憶喪失の話です。  誤字脱字、申し訳ありません。  ご都合主義です。  

完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう

音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。 幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。 事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。 しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。 己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。 修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

いいえ、望んでいません

わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」 結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。 だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。 なぜなら彼女は―――

旦那様から彼女が身籠る間の妻でいて欲しいと言われたのでそうします。

クロユキ
恋愛
「君には悪いけど、彼女が身籠る間の妻でいて欲しい」 平民育ちのセリーヌは母親と二人で住んでいた。 セリーヌは、毎日花売りをしていた…そんなセリーヌの前に毎日花を買う一人の貴族の男性がセリーヌに求婚した。 結婚後の初夜には夫は部屋には来なかった…屋敷内に夫はいるがセリーヌは会えないまま数日が経っていた。 夫から呼び出されたセリーヌは式を上げて久しぶりに夫の顔を見たが隣には知らない女性が一緒にいた。 セリーヌは、この時初めて夫から聞かされた。 夫には愛人がいた。 愛人が身籠ればセリーヌは離婚を言い渡される… 誤字脱字があります。更新が不定期ですが読んで貰えましたら嬉しいです。 よろしくお願いします。

【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました

よどら文鳥
恋愛
 ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。  ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。  ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。  更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。  再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。  ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。  後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。  ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。

処理中です...