【完結】愛する女がいるから、妻になってもお前は何もするなと言われました

ユユ

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サルフェトのコンドラー公爵領

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 サルフェト王国は船で南へ向かった場所にある。
日中は半袖が好ましい。夜は涼しくなり羽織ものが必要だ。

そのため、服が少し違う。ベロノワで着ていたようなドレスでは暑くて体調を崩す。
パニエなどは使わない。デザインによっては下半身からだのラインが出やすい。

「アイリーン…体のラインが出過ぎだ」

「まだそんなに太ってないです!」

「そうじゃなくて」

「オベール様の服を見に行きましょう。それでは暑いですよ」

気候は知っていて、持っている中でも薄い服を着て来たようだ。

オベール様が宿に押しかけた2日後の旅客船にオベール様が乗っていた。

“視察せねば” “ベロノワ家として…”などといろいろな理由を並べていた。そして害虫避けだと大きなダイヤモンドの付いた婚約指輪と、多数の小さなダイヤモンドが光り輝く夫婦の指輪をはめられた。


その後 仕方なく宿を取って港を一緒に見て回った。  

「アイリーン!」

「ユーリ」

「戻ったんだね。寂しかったよ。

誰? お兄さん?」

「これはこれは。
がお世話になっております。
夫のオベール・ベロノワと申します。
お見知り置きを」

 訳:私が夫だ。愛しているんだ。

「(本当にいたんだな)

ユーリ・コンドラーと申します。
アイリーンとはさせてもらっています。
今回はどのようなご用意でこちらに?」

 訳:彼女は今 私と親しくしている。邪魔するな。

「私の愛する天使が仕事をしていると言うので見に来ました。
妻との船旅は新婚旅行のような気分で楽しかったです。
こちらの港もベロノワの真似になるのでしょうか」

 訳:妻の気まぐれだ。すぐベロノワへ帰る。
   港もベロノワに敵わないぞ。

「かもしれませんね、いずれにしてもアイリーンという女神の息吹によるものです。我らはアイリーンの足元に跪くのみ」

 訳:アイリーンのおかげだろう。
   偉そうにするな。

「初めて来ましたよ。妻のおかげですね。
これから妻と見てまわります」

 訳:アイリーンがいなければ来なかった。
   これからデートだから邪魔するな。

「アイリーン。今夜屋敷で待ってるよ」

 訳:毎夜 アイリーンとデートだよ。

「ユーリ、ごめんなさい。オベール様がいるから宿を取ったの。さすがに自分だけお邪魔できないわ」

「邪魔だなんていわないでよ。
外聞が悪いか。すぐ戻って来てね」

 訳:冷め切っていても一応夫婦なら仕方ない。
   君がいないと寂しいから早く帰ってきてね。



何故かオベール様は私に声をかけてくる人全員に“私の最愛の妻です”と言っていた。

宿に帰り、オベール様が 彼が連れて来た護衛達とセイビアン達の久しぶりの再会に時間を作ってあげようと言って、彼らにお金をあげて飲みに行かせた。
それに伴い、安全のためといって一緒の客室にいる。

「疲れただろう。うつ伏せになって」

やや強引にうつ伏せにさせられるとオベール様はマッサージを始めた。

「人にしたことなんかないから力加減が分からない。
痛かったら言って。弱くても言ってくれ」


意外にもオベール様は上手だった。おかげでうっかり眠ってしまい、起きたら彼の腕の中にいた。

「おはよう」

「おはよう……ございます」

チュッ

「君の寝顔を同じベッドの中で眺めていられることに幸せを感じるよ」

「……」

「疲れていると可愛いイビキをかくのだな」

「うそっ!」

「可愛すぎて笑いを堪えるのが大変なほどだよ」

「っ!!」

「君のイビキを愛おしく感じるのは私だけだよ」

「止めてください」

「私の前で恥ずかしがらなくていい。他の男は嫌がるかもしれないが私は好きだ。
だがそれが聞けるということはとても疲れているという証拠だから今日はゆっくりしないか。
ロザリーナ達も疲れているはずだ。可哀想だろう?」

そう言われたらノーとは言えなかった。


ベッドの中で食事をしたり、この一年 何をしていたか お母様にどう絞られたのか話してくれた。
3人と使用人たちがオベール様をいじめてくれていたみたいだった。

「ふふっ」

「エリスなんか 近くを通る度に“天使様ぁ~何処ですかぁ~”“天使様ぁ~寂しいですぅ~”とかいうんだぞ?

食卓では態とアイリーンの席にカトラリーを並べだして“あ、そうだ。家出なさったんだわ”って毎日4回やるんだぞ?

ハンカチに天使と船の刺繍をして。
あいつ、泣き真似までするんだぞ?」

「エリスに会いたいです」
 
「早く会ってくれ。そろそろ私を虐めないよう頼んでくれないか」
 
「嫌です」


昼食を食べた後、オベール様が私の脇腹を撫でたりお腹を優しくトントンとしているうちに眠ってしまった。

お昼寝から目覚めたらオベール様が満面の笑みを浮かべていた。
寝かし付けられたと分かって何だか少し悔しい。 
私が少し悔しがっている顔を見てオベール様はニヤリと片方の口角を上げた。

そして宿の周辺を散歩して夜を迎えたが、昼寝が長かったせいか眠くない。

が、“昼間に買った酒を試してみよう”と オベール様が栓を開けた。甘いワインらしい。

すぐに体がポカポカしてきた。

「アイリーン」

「はひぃ」

「ぐっすり眠れる方法があるよ。するか?」

「ひい?…」


そして起きたのは10時頃。

「おはよう。ぐっすりだったろう?」

「!!!!!」

オベールは閨事の再開をした。
アイリーンは“しまった!”と心の中で動揺した。

断片的な記憶を辿ると、“声を出すと筒抜けだよ”と言われて必死に枕で声を殺していたが、久しぶりのオベールは早々に吐精した後、今度は激しく突き立てて アイリーンが紅潮し涙を浮かべて枕を口元に押し付ける姿を楽しんで もう一度アイリーンに注いだ。

ちょっと体を動かすと秘部から注がれたものが漏れ出る。

この宿は温泉を使った男女別の共同浴場だ。
そこまでタオルを当てるか、後処理は、避妊薬はと頭に巡らせているアイリーンをオベールは楽しそうに眺めていた。

アイリーンをトイレに運び座らせ、水差しを持って来た。

「後処理をするから脚を開いて」

「でも」

「滲み出て服を濡らしてみんなに知らせるつもりか?
隣にいる男に たっぷり注がれましたって」

「っ!」

脚を開き目を逸らした。
オベールは膣に指を入れて掻き出した。
アイリーンはその刺激に体を震わせ声を漏らす。

「アイリーン。違う方法を思いついた」

アイリーンを抱き上げて部屋に戻り降ろした。壁に立たせたまま後ろから挿入した。

「ああっ!!」

オベールはアイリーンの口を手で塞ぐと、ギリギリまで腰を引き、奥までしっかり挿入する。
この動きを繰り返して昨夜吐精したものを掻き出した。
アイリーンの脚が小刻みに震えてきたので壁に押し付けながら深く突き上げ、頂を摘み上げた。

膣はオベールをキツく締め上げながら痙攣を始めた。オベールはアイリーンの口を塞ぎながら強く抱きしめた。

何度か繰り返すと、もう出てくる粘液はアイリーンの愛液だけだった。

タオルを敷いておいたベッドに寝かせると吐精のための抽送を始め、最後は腹や胸の上に吐精した。

ぐったりしたアイリーンの体を濡らしたタオルで丁寧に拭いた後、オベールは汚した床も拭いた。
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