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女神の夫
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【 ユーリ・コンドラーの視点 】
アイリーンは店に入り悩み事を聞いたり、実りのない話をしては次の店へ行く。
それは連日続いた。
3日目の早朝は父上から招集がかかり、母上と書斎に集まった。
『アイリーン・ベロノワに聞いて来た。
ベロノワ家の子供は長男 長女 次男。
長女のアイリーンは婚約者の子爵令息と死別した後、一年で学校を卒業し、隣国の公爵夫人になった。だが、夫がクズで愛人がいた。夫の要望で白い結婚だった。愛人が屋敷に住み、社交も跡継ぎを産むのも愛人にやらせるから何もするなと言われたようだ。
だが公爵の気が変わり、要求を撤回し初夜を強制しようとしたのでアイリーンは逃げた。
その後、離縁が成立し 公爵は平民に落とされた上に教会からの懲戒破門になった。
離縁したアイリーンはベロノワで暮らしていたが、婚姻していた長男は妻と離縁。アイリーンは公爵夫人になったときに親しくなった隣国のカトリス侯爵家に養女に出された後にベロノワ家の長男と再婚。
まだ新婚なのにアイリーンは海を渡る旅に出た』
『ベロノワ伯爵令息と婚姻できたということは、元々ベロノワ家の実子ではなかったということ?』
『そうらしい。詳しいことは掴めていないそうだ』
『何故一令嬢のことをそんなに詳しく調べたのかしら。普通なの?』
『ベロノワの港町や航海の改革をしたのがアイリーンだからだ。
ベロノワのやり方を彼女が知っているのではなく、彼女のやり方でベロノワ港に活気が出たらしい。
安全な海の旅ができるのもアイリーンの閃きが元のようだ』
『だったら最初から長男のお嫁さんにしたら良かったのに』
『最初の婚約者との別離が堪えたようだ。
ウィンター公爵家との結婚は気の迷いか騙されたか何かだろう。
もしくは悲しみが癒えていなくて、条件で選んだか。愛人も白い結婚も好都合だったのかもな』
『結局求められて逃げたならそういうことなのかしら』
『ベロノワ家は離さないだろうな』
『私、聞き出すわ。
新婚で夫を置いて船旅なんて普通じゃないもの』
『あまり干渉はしないでください。逃げられたくないので』
アイリーンと港町の散策は3ヶ月続いた。
その間に私も港町の者達と馴染んでいった。
漁師はアイリーンに釣った魚を自慢して、アイリーンが褒めると喜ぶ。
何故か私は魚の捌き方を教わった。
『ユーリ。魚を捌ける男はかっこいいんですよ。
知っていて損はありません』
『そうだぞ坊っちゃん。アイリちゃんの言う通りだ。
そういえば、アイリちゃんの言っていた大きな海老はどっちだ?』
『あ、こっちです。身がプリッとしていて美味しいんですよ』
『今度から獲れたらコンドラー邸に持って行くよ』
『嬉しいですけどたまにでお願いします。
乱獲は絶滅を招きますからね』
『さすがアイリちゃん』
『アイリちゃん。魚の煮付けを持って行くかい?』
『でも、おじ様のごはんが無くなります』
『大丈夫だよ。いっぱい作ったから。
この間、網をなおすの手伝ってくれただろう』
『結局上手くできなかったじゃないですか』
『冷たい差し入れのお返しだ。美味しかったよ』
数回まわり終えると、アイリーンは紙を広げた。
父『これは?』
ア『コンドラー領の漁港付近の見取り図です』
母『これは?』
ア『要望や悩みを聞いて記録しました』
父『何をするんだ?』
ア『どうするかは公爵次第ですが、大金を掛けた大改革をするならお手伝いします』
父『聞かせてくれないか』
ア『皆さんは忙しいのです。働いて帰ってもやることが待っています。
奥様が家事だけをして待っているなんてことは少なくて、せいぜい妊娠中とか子が幼いとかそういう方くらいです。
お店の出店がバラついていると効率が悪いんです。野菜を買いにこっち、薬を買いにこっち、パンを買いにこっになんてやっていたら時間もかかりますし疲れます。道を整備して店舗も立て直して買い物をし易くします。海のものだけは漁師さんとお店の効率を考えます。馬車停なども荷下ろしを含めて考えなくてはなりません。
ターゲットが領民か、観光客か、さらに平民か貴族か。分けずに ごちゃ混ぜにしていたらトラブルが増えます。
水の供給や下水も管理しなくてはなりません。
それに温泉です。湧いている場所に宿を移すべきです』
人を乗せた馬車専用道と荷馬車専用道を分けるかどうかとか、アイリーンは父上と様々な意見交換をしていた。
私は完全にアイリーンの足元にも及ばない。
悔しさもあるがアイリーンが眩しかった。
父上は改革の決断をした。
難航すると思われた説明会はいつもの服を着たアイリーンと私を見ると、港の人々は手を挙げて問題点などを話し合った。
整備が終わるまで、互いの協力が必要だ。仮設店舗での営業を余儀なくされる。
一番心配したのは費用が自分達にのしかかることだ。
初期投資は大きいが先の未来を考えると、ベロノワからの旅客船の停泊港になったことが大きい。
いずれ商船も定期的に来る。
投資費用は公爵家で工面するから、協力が欲しい。
そして沢山売り上げを上げて領地収入として還元して欲しいとお願いした。
命令じゃなくてお願いだ。
アイリーンの効果は絶大だった。
親身になって話を聞いたこと。
改革案はそれを反映させたこと。
貴族と平民の垣根をなくした交流。
港の人々の支持を得たのはアイリーンだ。
『各店で売れるもの売れないものの選別、必ず必要なものの常備、肝心なのは新作です。
いつも同じばかりでは駄目です。それは当たり前です。
毎日同じおかずがテーブルに並んだら辛いですよね?それと同じです。新作を出して評判が良ければ定番品にしてまた新作です。
忙しくなりますよ!』
店の者達に火がついた。
会議以降、店毎に新作を出し始めた。
失敗作もあったが、アイリーンは褒めた。
“見た目はいい”“味はいい”“変わった発想がいい”
などと必ず褒める。
アドバイスが浮かべば告げてみる。
却下される思い付きもあるが、皆はアイリーンが自分達のために一生懸命なのを感じ取っている。
だから“またアドバイスをよろしく”とアイリーンの手を握るのだ。
改革を開始して数ヶ月が過ぎた頃、王都から視察にやってきたのは王弟殿下と輸出入の担当責任者に外交官だっだ。
父上と一緒に港を案内したが、
『アイリーン・ベロノワを紹介してくれないのか?』
王弟殿下が指摘した。
『領民でもなければ国民でもありません』
『だが、改革の要だろう? あのベロノワの宝を紹介してくれ』
これ以上断れず、アイリーンを呼んだ。
数秒固まった後、王弟殿下はアイリーンにハンドキスをした。
『大変失礼をいたしました。
ジェイムズ国王の弟でライアンと申します』
『アイリーン・ベロノワ…です』
『できれば王都をご案内したいのですが』
『手がけたばかりで離れられません』
その後は殿下が近寄り小声で会話を始めたため、聞こえなかった。
『なるほど。二つとも当時よりかなり影響力のある国になりましたからソレがあれば安心でしょう』
『秘密にしていただけるとありがたいのですが』
『もちろんです。
アイリーン様は婚約者は、』
『人妻です』
『それは当然のような気もしますが残念です。
求婚したかったのですが』
『お妃様は務まりませんわ』
『コンドラー公爵。今年と来年の公爵領の納税を下げるから必ず成功させてくれ』
『感謝いたします。力を尽くして成功させます』
後日、陛下から、二年間の税率を四分の一にするという書簡が届いた。
一年が経とうとしていた。
『え?ベロノワに?』
『お店を出しているのだけど相談したいらしいから。また戻ってくるわ』
そういって船に乗ってしまった。
すぐに戻っては来たが側には男が寄り添っていた。
歳上で引き締まった体 アイリーンと似た感じの顔だった。
兄かと聞いたら夫だと……。
彼が次期ベロノワ伯爵
私の挑発を返し、アイリーンを最愛の妻と言って彼女には優しい眼差しを向ける。
独占欲丸出しの彼が何故妻を一人で船旅に?
“今のところは”
彼女はそう言っていた。
つまり婚姻生活が続くか分からないということだろう。
アイリーンが離縁したがる可能性がある。
一年も離れているんだから彼女の気持ちは冷え切っているのだろう。
もうアイリーン無しなんて考えられない。
彼女が欲しい。
屋敷に帰りアイリーンが戻ったことと、夫が側にいて宿にいることを報告した。
「夫が付いてきたということは、夫は別れたくないんだな」
「独占欲丸出しでアイリーンを離しません」
「一年も放っておいてどういうことなの!
アイリーンちゃんが娘になってくれると思っていたのに!」
「落ち着きなさい」
「だって あなた!
アイリーンちゃんほど可愛くて優しくて賢くて素敵な娘はいないのよ?」
よく分かってる。
彼女を知ったら他の女など…。
アイリーンは店に入り悩み事を聞いたり、実りのない話をしては次の店へ行く。
それは連日続いた。
3日目の早朝は父上から招集がかかり、母上と書斎に集まった。
『アイリーン・ベロノワに聞いて来た。
ベロノワ家の子供は長男 長女 次男。
長女のアイリーンは婚約者の子爵令息と死別した後、一年で学校を卒業し、隣国の公爵夫人になった。だが、夫がクズで愛人がいた。夫の要望で白い結婚だった。愛人が屋敷に住み、社交も跡継ぎを産むのも愛人にやらせるから何もするなと言われたようだ。
だが公爵の気が変わり、要求を撤回し初夜を強制しようとしたのでアイリーンは逃げた。
その後、離縁が成立し 公爵は平民に落とされた上に教会からの懲戒破門になった。
離縁したアイリーンはベロノワで暮らしていたが、婚姻していた長男は妻と離縁。アイリーンは公爵夫人になったときに親しくなった隣国のカトリス侯爵家に養女に出された後にベロノワ家の長男と再婚。
まだ新婚なのにアイリーンは海を渡る旅に出た』
『ベロノワ伯爵令息と婚姻できたということは、元々ベロノワ家の実子ではなかったということ?』
『そうらしい。詳しいことは掴めていないそうだ』
『何故一令嬢のことをそんなに詳しく調べたのかしら。普通なの?』
『ベロノワの港町や航海の改革をしたのがアイリーンだからだ。
ベロノワのやり方を彼女が知っているのではなく、彼女のやり方でベロノワ港に活気が出たらしい。
安全な海の旅ができるのもアイリーンの閃きが元のようだ』
『だったら最初から長男のお嫁さんにしたら良かったのに』
『最初の婚約者との別離が堪えたようだ。
ウィンター公爵家との結婚は気の迷いか騙されたか何かだろう。
もしくは悲しみが癒えていなくて、条件で選んだか。愛人も白い結婚も好都合だったのかもな』
『結局求められて逃げたならそういうことなのかしら』
『ベロノワ家は離さないだろうな』
『私、聞き出すわ。
新婚で夫を置いて船旅なんて普通じゃないもの』
『あまり干渉はしないでください。逃げられたくないので』
アイリーンと港町の散策は3ヶ月続いた。
その間に私も港町の者達と馴染んでいった。
漁師はアイリーンに釣った魚を自慢して、アイリーンが褒めると喜ぶ。
何故か私は魚の捌き方を教わった。
『ユーリ。魚を捌ける男はかっこいいんですよ。
知っていて損はありません』
『そうだぞ坊っちゃん。アイリちゃんの言う通りだ。
そういえば、アイリちゃんの言っていた大きな海老はどっちだ?』
『あ、こっちです。身がプリッとしていて美味しいんですよ』
『今度から獲れたらコンドラー邸に持って行くよ』
『嬉しいですけどたまにでお願いします。
乱獲は絶滅を招きますからね』
『さすがアイリちゃん』
『アイリちゃん。魚の煮付けを持って行くかい?』
『でも、おじ様のごはんが無くなります』
『大丈夫だよ。いっぱい作ったから。
この間、網をなおすの手伝ってくれただろう』
『結局上手くできなかったじゃないですか』
『冷たい差し入れのお返しだ。美味しかったよ』
数回まわり終えると、アイリーンは紙を広げた。
父『これは?』
ア『コンドラー領の漁港付近の見取り図です』
母『これは?』
ア『要望や悩みを聞いて記録しました』
父『何をするんだ?』
ア『どうするかは公爵次第ですが、大金を掛けた大改革をするならお手伝いします』
父『聞かせてくれないか』
ア『皆さんは忙しいのです。働いて帰ってもやることが待っています。
奥様が家事だけをして待っているなんてことは少なくて、せいぜい妊娠中とか子が幼いとかそういう方くらいです。
お店の出店がバラついていると効率が悪いんです。野菜を買いにこっち、薬を買いにこっち、パンを買いにこっになんてやっていたら時間もかかりますし疲れます。道を整備して店舗も立て直して買い物をし易くします。海のものだけは漁師さんとお店の効率を考えます。馬車停なども荷下ろしを含めて考えなくてはなりません。
ターゲットが領民か、観光客か、さらに平民か貴族か。分けずに ごちゃ混ぜにしていたらトラブルが増えます。
水の供給や下水も管理しなくてはなりません。
それに温泉です。湧いている場所に宿を移すべきです』
人を乗せた馬車専用道と荷馬車専用道を分けるかどうかとか、アイリーンは父上と様々な意見交換をしていた。
私は完全にアイリーンの足元にも及ばない。
悔しさもあるがアイリーンが眩しかった。
父上は改革の決断をした。
難航すると思われた説明会はいつもの服を着たアイリーンと私を見ると、港の人々は手を挙げて問題点などを話し合った。
整備が終わるまで、互いの協力が必要だ。仮設店舗での営業を余儀なくされる。
一番心配したのは費用が自分達にのしかかることだ。
初期投資は大きいが先の未来を考えると、ベロノワからの旅客船の停泊港になったことが大きい。
いずれ商船も定期的に来る。
投資費用は公爵家で工面するから、協力が欲しい。
そして沢山売り上げを上げて領地収入として還元して欲しいとお願いした。
命令じゃなくてお願いだ。
アイリーンの効果は絶大だった。
親身になって話を聞いたこと。
改革案はそれを反映させたこと。
貴族と平民の垣根をなくした交流。
港の人々の支持を得たのはアイリーンだ。
『各店で売れるもの売れないものの選別、必ず必要なものの常備、肝心なのは新作です。
いつも同じばかりでは駄目です。それは当たり前です。
毎日同じおかずがテーブルに並んだら辛いですよね?それと同じです。新作を出して評判が良ければ定番品にしてまた新作です。
忙しくなりますよ!』
店の者達に火がついた。
会議以降、店毎に新作を出し始めた。
失敗作もあったが、アイリーンは褒めた。
“見た目はいい”“味はいい”“変わった発想がいい”
などと必ず褒める。
アドバイスが浮かべば告げてみる。
却下される思い付きもあるが、皆はアイリーンが自分達のために一生懸命なのを感じ取っている。
だから“またアドバイスをよろしく”とアイリーンの手を握るのだ。
改革を開始して数ヶ月が過ぎた頃、王都から視察にやってきたのは王弟殿下と輸出入の担当責任者に外交官だっだ。
父上と一緒に港を案内したが、
『アイリーン・ベロノワを紹介してくれないのか?』
王弟殿下が指摘した。
『領民でもなければ国民でもありません』
『だが、改革の要だろう? あのベロノワの宝を紹介してくれ』
これ以上断れず、アイリーンを呼んだ。
数秒固まった後、王弟殿下はアイリーンにハンドキスをした。
『大変失礼をいたしました。
ジェイムズ国王の弟でライアンと申します』
『アイリーン・ベロノワ…です』
『できれば王都をご案内したいのですが』
『手がけたばかりで離れられません』
その後は殿下が近寄り小声で会話を始めたため、聞こえなかった。
『なるほど。二つとも当時よりかなり影響力のある国になりましたからソレがあれば安心でしょう』
『秘密にしていただけるとありがたいのですが』
『もちろんです。
アイリーン様は婚約者は、』
『人妻です』
『それは当然のような気もしますが残念です。
求婚したかったのですが』
『お妃様は務まりませんわ』
『コンドラー公爵。今年と来年の公爵領の納税を下げるから必ず成功させてくれ』
『感謝いたします。力を尽くして成功させます』
後日、陛下から、二年間の税率を四分の一にするという書簡が届いた。
一年が経とうとしていた。
『え?ベロノワに?』
『お店を出しているのだけど相談したいらしいから。また戻ってくるわ』
そういって船に乗ってしまった。
すぐに戻っては来たが側には男が寄り添っていた。
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兄かと聞いたら夫だと……。
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一年も離れているんだから彼女の気持ちは冷え切っているのだろう。
もうアイリーン無しなんて考えられない。
彼女が欲しい。
屋敷に帰りアイリーンが戻ったことと、夫が側にいて宿にいることを報告した。
「夫が付いてきたということは、夫は別れたくないんだな」
「独占欲丸出しでアイリーンを離しません」
「一年も放っておいてどういうことなの!
アイリーンちゃんが娘になってくれると思っていたのに!」
「落ち着きなさい」
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彼女を知ったら他の女など…。
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