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ユ「え? ペルランへ!?」
公爵邸の庭園でお父様がみんなに説明をした。
父「見たところ、コンドラー港の改革は終わっているようです。建設中や改装中の建物待ちなどは図面や仕様書に従って建てればいいだけで、アイリーンには建物の建て方などは分かりません。
公子、アイリーンが見守る必要はありません」
ユ「……」
公「ベロノワへ連れ戻すのですか」
父「アイリーンは元々別の地へ向かっていました。
一年以上もコンドラーに尽力したのですからそろそろ旅を続けてもよろしいですね?」
公「はい」
ユ「父上!」
公「ユーリ。伯爵の仰る通りだ」
父「レナード王太子殿下。ペルランへ帰国する際にアイリーンとジュエルを観光に連れて行っていただけませんか」
レ「え?」
父「アイリーンが帰りたいと言ったら、ベロノワの船が停泊する港まで送り届けてくださると約束していただけるのであればの話ですが」
レ「アイリーン」
私「ジュエルが行きたいみたいなので」
レ「分かりました。その条件でお預かりします」
父「ジュエルにはいかなる場所にも帯剣させ、アイリーンのためにそれを使うこともお許しください」
レ「アイリーンの身に危険が及んだ時だけ抜くことを承諾します。
伯爵はいらっしゃらないのですか」
父「私はベロノワで仕事がありますから」
レ「残念です」
父「引退祝いの旅行で訪問させてください」
レ「それは楽しみです。夫人にもよろしくお伝えください」
私「コンドラー家の皆様、お世話になりました」
公「我々が世話になったんだ。心より感謝申し上げます」
ユ「感謝…します」
翌日の夜に公爵邸から荷物を引き上げた。
増えた荷物はお父様が船で持って帰ってくれる。
そして翌朝。コンドラー港に停泊していたベロノワ行きの大型客船に乗る父を見送りに来た。
「アイリーン。本当に離縁届を出していいんだね?」
「はい」
「オベールには妻が必要だ。他の令嬢と婚姻させてもいいんだね?」
「はい」
「ベロノワに到着したらすぐに手続きをしよう。
籍はカトリス家のままにするのか」
「はい。ペルランから戻ったら考えます」
「ベロノワに戻るまではベロノワを名乗りなさい。
ジュエル。アイリーンを頼んだぞ」
「お任せください」
「お父様」
お父様に抱きつくと力強く抱きしめてくれた。
「私の天使」
「お父様が大好きです」
「私もアイリーンを愛してるよ。…アイリーン。泣くことはない。今度は一年もかからずに再会できる」
「はい」
お父様とエリス達を乗せた船を見送り、ホテルに戻るとペルランの一行が待っていた。
リ「行こうか」
カポっ カポっ カポっ カポっ
リ「ねえ~。なんでそっち?」
私「気持ちいいからです」
セイビアンの乗る馬に乗せてもらって景色を見て日差しを感じて空気を吸っている。
リ「お兄様が乗せてあげようか」
私「自分で自分をお兄様なんて言わないでください」
リ「じゃあアイリーンが呼んでよ」
私「セイビアン。あっちに熊いるわね」
セ「本当ですね。馬車に乗りますか」
私「リアム兄様、私達と変わりませんか?」
リ「私を熊の生贄にするつもりだな」
私「仕方ないわね」
私がそう言うとセイビアンがポケットから笛を出して吹いた。
ガサガサガサっ
熊は逃げて行った。
リ「熊が逃げた」
私「熊が不快に思う音が出る笛です」
リ「凄いなソレ!何処で売ってるんだ!」
私「ベロノワです」
リ「くれ」
私「嫌です」
【 実父レナードの視点 】
アイリーンが私を怨んでいるのは一応想定していたが、“会いたかった”と抱き付いてもらえる妄想をしていた。
実際にイレーネにそっくりの自分娘に責め立てられるのは堪える。
王太子になってから側にいる護衛にも言われた。
「聞けば聞くほど酷いですね。言い訳せず、仰る通りですと平謝りに徹して怒りが和らぐのを待つしかありません。アイリーン様がこれまで生きてきた年数分、殿下はアイリーン様の僕となるのです。本当になっては駄目ですよ?それくらい心を低姿勢にしましょうという話です」
別の護衛からも呆れられた。
「いっそ、気が済むまでボコボコにして貰えばよろしいのでは?」
「馬鹿。アイリーン様の手が傷むだろう」
「道具を渡しますか?」
「血なんて出てみろ。アイリーン様のトラウマになってしまうだろう!」
「じゃあ、踏んでもらうとか」
「違う意味で避けられるじゃないか」
この二人はもう面白がってるな。
念のために今回連れてきた女騎士に聞いてみた。
「え?私ですか?……私でしたらボッコボコにします」
「ほら~」
「ほらじゃない」
聞いた相手がまずかった。
だが、この子を連れて来て正解だった。
あれだけ頑なだったアイリーンを落としたのはリアムだった。
リアムはジュエルに焦点を絞った。
「ジュエルはひたすらアイリーンのために生きてきたような子です。その子が行きたいと言い出せばアイリーンは無視できません。
私の提案は彼の信念からも外れません」
そしてリアムは子供に戻ったかのようにアイリーン達と楽しく騒ぐ。
ペルランでの滞在を失敗させられない。
必ずベロノワ伯爵夫妻を来させたいと思ってもらわないとならない。
ペルラン城まであと二日というところで一人先触れに行かせた。
「絶対に失敗できない要人を連れていくと伝えて準備させてくれ。
二人の性別や年齢も伝えて部屋は隣にしてやって欲しい」
「お任せください」
「陛下に今回の旅の報告を上げておいて欲しい」
「かしこまりました」
最愛の娘に話しかけては貰えないが、側でリアム達と笑ってくれているのを見ることができる。
リアム。ありがとう。
公爵邸の庭園でお父様がみんなに説明をした。
父「見たところ、コンドラー港の改革は終わっているようです。建設中や改装中の建物待ちなどは図面や仕様書に従って建てればいいだけで、アイリーンには建物の建て方などは分かりません。
公子、アイリーンが見守る必要はありません」
ユ「……」
公「ベロノワへ連れ戻すのですか」
父「アイリーンは元々別の地へ向かっていました。
一年以上もコンドラーに尽力したのですからそろそろ旅を続けてもよろしいですね?」
公「はい」
ユ「父上!」
公「ユーリ。伯爵の仰る通りだ」
父「レナード王太子殿下。ペルランへ帰国する際にアイリーンとジュエルを観光に連れて行っていただけませんか」
レ「え?」
父「アイリーンが帰りたいと言ったら、ベロノワの船が停泊する港まで送り届けてくださると約束していただけるのであればの話ですが」
レ「アイリーン」
私「ジュエルが行きたいみたいなので」
レ「分かりました。その条件でお預かりします」
父「ジュエルにはいかなる場所にも帯剣させ、アイリーンのためにそれを使うこともお許しください」
レ「アイリーンの身に危険が及んだ時だけ抜くことを承諾します。
伯爵はいらっしゃらないのですか」
父「私はベロノワで仕事がありますから」
レ「残念です」
父「引退祝いの旅行で訪問させてください」
レ「それは楽しみです。夫人にもよろしくお伝えください」
私「コンドラー家の皆様、お世話になりました」
公「我々が世話になったんだ。心より感謝申し上げます」
ユ「感謝…します」
翌日の夜に公爵邸から荷物を引き上げた。
増えた荷物はお父様が船で持って帰ってくれる。
そして翌朝。コンドラー港に停泊していたベロノワ行きの大型客船に乗る父を見送りに来た。
「アイリーン。本当に離縁届を出していいんだね?」
「はい」
「オベールには妻が必要だ。他の令嬢と婚姻させてもいいんだね?」
「はい」
「ベロノワに到着したらすぐに手続きをしよう。
籍はカトリス家のままにするのか」
「はい。ペルランから戻ったら考えます」
「ベロノワに戻るまではベロノワを名乗りなさい。
ジュエル。アイリーンを頼んだぞ」
「お任せください」
「お父様」
お父様に抱きつくと力強く抱きしめてくれた。
「私の天使」
「お父様が大好きです」
「私もアイリーンを愛してるよ。…アイリーン。泣くことはない。今度は一年もかからずに再会できる」
「はい」
お父様とエリス達を乗せた船を見送り、ホテルに戻るとペルランの一行が待っていた。
リ「行こうか」
カポっ カポっ カポっ カポっ
リ「ねえ~。なんでそっち?」
私「気持ちいいからです」
セイビアンの乗る馬に乗せてもらって景色を見て日差しを感じて空気を吸っている。
リ「お兄様が乗せてあげようか」
私「自分で自分をお兄様なんて言わないでください」
リ「じゃあアイリーンが呼んでよ」
私「セイビアン。あっちに熊いるわね」
セ「本当ですね。馬車に乗りますか」
私「リアム兄様、私達と変わりませんか?」
リ「私を熊の生贄にするつもりだな」
私「仕方ないわね」
私がそう言うとセイビアンがポケットから笛を出して吹いた。
ガサガサガサっ
熊は逃げて行った。
リ「熊が逃げた」
私「熊が不快に思う音が出る笛です」
リ「凄いなソレ!何処で売ってるんだ!」
私「ベロノワです」
リ「くれ」
私「嫌です」
【 実父レナードの視点 】
アイリーンが私を怨んでいるのは一応想定していたが、“会いたかった”と抱き付いてもらえる妄想をしていた。
実際にイレーネにそっくりの自分娘に責め立てられるのは堪える。
王太子になってから側にいる護衛にも言われた。
「聞けば聞くほど酷いですね。言い訳せず、仰る通りですと平謝りに徹して怒りが和らぐのを待つしかありません。アイリーン様がこれまで生きてきた年数分、殿下はアイリーン様の僕となるのです。本当になっては駄目ですよ?それくらい心を低姿勢にしましょうという話です」
別の護衛からも呆れられた。
「いっそ、気が済むまでボコボコにして貰えばよろしいのでは?」
「馬鹿。アイリーン様の手が傷むだろう」
「道具を渡しますか?」
「血なんて出てみろ。アイリーン様のトラウマになってしまうだろう!」
「じゃあ、踏んでもらうとか」
「違う意味で避けられるじゃないか」
この二人はもう面白がってるな。
念のために今回連れてきた女騎士に聞いてみた。
「え?私ですか?……私でしたらボッコボコにします」
「ほら~」
「ほらじゃない」
聞いた相手がまずかった。
だが、この子を連れて来て正解だった。
あれだけ頑なだったアイリーンを落としたのはリアムだった。
リアムはジュエルに焦点を絞った。
「ジュエルはひたすらアイリーンのために生きてきたような子です。その子が行きたいと言い出せばアイリーンは無視できません。
私の提案は彼の信念からも外れません」
そしてリアムは子供に戻ったかのようにアイリーン達と楽しく騒ぐ。
ペルランでの滞在を失敗させられない。
必ずベロノワ伯爵夫妻を来させたいと思ってもらわないとならない。
ペルラン城まであと二日というところで一人先触れに行かせた。
「絶対に失敗できない要人を連れていくと伝えて準備させてくれ。
二人の性別や年齢も伝えて部屋は隣にしてやって欲しい」
「お任せください」
「陛下に今回の旅の報告を上げておいて欲しい」
「かしこまりました」
最愛の娘に話しかけては貰えないが、側でリアム達と笑ってくれているのを見ることができる。
リアム。ありがとう。
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