【完結】愛する女がいるから、妻になってもお前は何もするなと言われました

ユユ

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異母弟

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午前中に国王陛下への挨拶の時間を設けてもらった。

実父のレナード王太子殿下が迎えに来て案内された。

本当に瞳の色以外共通する部分がない。お祖父様のはずの国王陛下でさえも。

部屋には陛下や王太子や付きの人以外にリアム殿下と多分後妻の王妃様と異母弟達らしき子が待っていた。

陛「この子が孫娘のアイリーンか」

レ「はい、父上」

陛「こっちへ来なさい」

私は自然にジュエルの顔を見てしまった。

リ「アイリーン。ジュエルと一緒にお祖父様のもとに行っても構わないよ。
ですよね、お祖父様」

陛「弟のジュエルだな。一緒に来なさい」

ジュエルと一緒に側によると、

陛「似てないな。こんなに愛らしいなら似てなくて正解か?」

レ「父上」

陛「瞳の色は儂とレナードの色だし耳の形も一緒だな」

ア「耳ですか?」

陛「……女の子はいいな。声だけでも可愛い」

レ「アイリーン。紹介しよう。
アイリーンのお祖父様のアデラール国王陛下だ。そして妻のイリス王太子妃、次男ロベール 三男王子ブノア、四男シリルだ。

彼女がアイリーン・ベロノワ。彼は弟のジュエル・ベロノワだ」

私「お初にお目にかかります。
アイリーン・ベロノワと申します」

ジュ「ベロノワ伯爵家 次男のジュエルと申します。
姉と一緒にご招待をいただき感謝申し上げます」

レ「前もって説明した通り、私の愚かな選択の代償を一人で背負わせてしまった。どうか手厚い持て成しをお願いしたい」

妃「もちろんですわ。ペルラン城へようこそ」

三「私とロベール兄上は学園に通っていますので週末に交流をしましょう」

四「アイリーンお姉様、午後にお散歩に行きませんか」

レ「午後は難しいから昼食前にしようか」

四「はい!」

レ「アイリーン。こっちでは一年早く学園生になるんだよ」

次「アイリーンお姉様は二度目の結婚をなさったとか。私の二つ歳上ということであれば18歳ですか。伯爵家学園へはのですね」

レ「ロベール!」

ジュ「僕と姉上は一年で卒業しております。
一年通い、卒業試験に合格すれば可能です。
家門内の仕事が忙しい生徒に対応した我が国の制度です。ゆっくり通うこともできましたが、僕たちは道を選びました」

リ「ジュエルは立派だな。学業も終えてアイリーンの面倒も見て、仕事も手伝い武術も学ぶ。自慢の弟だよ。そうだよな アイリーン」

私「はい。私にはもったいない弟です。その上にとても優しくて可愛いのです。
ジュエル弟で良かったですわ」

リ「私もジュエルのような弟が欲しかったよ」

次「っ!」

レ「すまない アイリーン」

私「王太子殿下。この程度なら子供だからと済ませますが危険な要素をお持ちですわ。まだ人前に出すのは早いのではありませんか?」

レ「そうだな」

リ「確かに早過ぎたな」

次「無礼だぞ!! 愛人の産んだ娘のくせに!!」

レ「ロベール!!」

私「はい?」

ジュ「はぁ?」

陛「ロベール。跪け」

次「お祖父様、」

陛「早くしないと

次「っ!!」

次男ロベールは渋々跪いた。


陛「時系列で言えば、前妻が亡くなり、イリスと婚約する前の恋愛だ。お前の解釈は間違いだ。

こんなことは言いたくはないが、お前が“無礼”と言うなら仕方ない。
アイリーンは王族同士の子で実母は今や王妃。
伯爵家の養子には入ったが認知をしている。
イリスは侯爵家出身。つまりロベールよりも格上だ。

しかも別の国から来た要人にその物言いは国家間に亀裂を入れる発言だ。特に王族の発言は国としての発言と受け止められる」

次「子供だと侮辱をしたのですよ!?」

陛「侮辱をしたのはお前の方だ。
学園のことを持ち出したお前には悪意があった。
それと同時に自分は学園に通う未熟者と名乗ったに等しい。
対してアイリーンとジュエルは未熟から抜け出して仕事をしている。その成果はとてもお前の真似できるものではない。

それにお前を子供扱いして公の場にはまだ出せないと指摘した意味は“まだ国としての発言ができるほど成長していないから下がらせることで問題にはしない”という慈悲だ。

引退前に知れてよかった。
レナード。わかっているな」

レ「はい。ロベールを未来の国王候補にすることはありません」

次「父上!」

イ「どうかお許しください。ロベールにチャンスを、」

レ「リアムの賢さの足元にも及ばない。これ以上無駄な夢を見るな。婿入り先を探させよう」

次「そんな!」

陛「イリス。子供達を連れて退がれ」

イ「っ! かしこまりました」

王太子妃は実子を連れて退室した。
前王太子妃の息子と現王太子妃の息子で継承権争いがあったなんて知らなかった。

レ「アイリーン、ジュエル。不快な思いをさせて申し訳なかった」

私「リアム殿下一択だと思っておりました」

陛「男児の第一子が普通だが、ロベールが自分にも権利があると主張していたんだ」

リアム殿下を見ると苦笑いしていた。

私「リアム殿下、お疲れ様でした」

リ「負ける気はしなかったよ。アレに任せたらせっかくお祖父様と父上で大国にしたペルランが滅びてしまうからね。
だけど早く決着が付いたのはアイリーン達のおかげだ。ジュエルもよく我慢してくれた」

ジュ「はい。皆様の同席に感謝いたします」

「……」

私「ジュエル、怖かったら言うのよ?」

ジュ「姉様…」

ジュエルは“誰も見ていなければ ぶちのめしていた”という意味で発言したが、可愛い弟の面しか知らないアイリーンは違う意味で捉えた。

リ「ジュエル、怖いときは私にも言ってくれ」

リアムも笑いながらジュエルの肩に手を置いた。


その後、宰相や外交官を紹介され、シリルと散歩をして、王太子やリアムと昼食をとり、午後は商人が呼ばれ、城内の案内で終わった。夕食はロベール以外の全員で食べることになった。


宰相や外交官が目を輝かせてベロノワ港について聞こうとしたが、“アイリーン達は仕事で来たわけじゃない。観光と家族交流だということを忘れないで欲しい” と言って制した。

がっかり顔があからさまで可哀想な気になったけどリアム殿下が“当然のことだから気にしなくていいよ” と私とジュエルの頭を撫でた。






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