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意外な一面
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【 ガブリエルの視点 】
天使か妖精か女神か。
ゆっくり湖を進む美しい女性を見つけた。
脱いだ靴が視界に入り人間だと気が付いた。
近寄ると、待望の第一子である男児を死産して、生きる気力を失くした妻の表情に似ていた。
声を掛け、陸に上げた。
足を拭いてやると緊張した。
かなり若いが成人はしているだろう。少し恥ずかしそうにしていた。
こんなときは甘いものをと飴を選ばせることで意識を移させた。そして温かい飲み物を飲ませた。
彼女と別れてからも忘れられず、王都にやって来た。
父上に湖でのことを一部話してアイリーンのその後を聞いた。
「イリス王太子妃は既に幽閉された。シリル殿下の成長を待って毒杯を賜る予定だ」
「アイリーンと会いたいのです」
「聞いてみるが姫様の心を乱さないようにしてくれ」
そして許可が下りてアイリーンと会った。
あのときとは雰囲気の違うアイリーンがいて顔色も少しいい気がする。
やはり俺の心はアイリーンに反応するようだ。
彼女は俺を何とも思っていないのは感じている。
だが、人としての好感度はあるようだ。
そこにアイリーンに似た青年が現れた。
俺を牽制しているのがわかる。
だが、アイリーンに拒絶されると立ち去った。
美しい姉を守りたいというだけか、それ以上か。
まだ若くても威圧が強い。
屋敷での夕食後に父上やヤニックとアイリーンの話になった。
「さすが兄上。すぐに美人を引き寄せますね」
「余計なことを言うな。
父上、リアム殿下の襲撃の時にアイリーンと弟のジュエルが巻き込まれたのですよね。
確か近衛を含む護衛兵士に死傷者が出ていたはずですが、アイリーンは無傷でしたね」
「近衛は二人死亡、一人が重症、一人が中症。
他に騎士 五人死亡、一人が中症、二人と御者が重症。
手練の暗殺集団だ。五人が殺し屋で二十人が傭兵だった。
弟君のジュエル殿が加勢して流れが変わった。
標的がリアム殿下だと分かると殿下は馬に乗り、敵を引き連れて手前の町に戻り、町兵と応戦したんだ。
生き残った兵士達がジュエル殿のおかげだと言っていた。加勢が無ければ全滅だったようだ。
素早く急所を狙い、無理なら腕を切り落とすなり足の腱を狙って戦意を削いでから確実にとどめを指す。彼が敵じゃなくて良かったと言っていた。
少し前に北の討伐隊と打ち合いをしたようだが、バジルが相手をしたらしい。
後で聞いたら、攻め方に容赦が無いから本気を出したと苦笑いしていた。
兵士でもないのに末恐ろしよ」
「うわぁ… 対戦したくないです」
ヤニックが入団したことで俺は退団した。
父と息子二人が騎士団にいるのはまずいと、嫡男の私が抜けた。
北の討伐隊と手合わせをしたことはあるがとても強かった。
剣を合わせると押し負ける。それに彼らは殺すことを目的としているから躊躇がない。
ジュエル殿は彼らと同じタイプなのだろう。
「ガブリエル。アイリーン様は高貴なお方だ。気軽に手を付けるなよ」
「当然です」
俺はそんなに信用がないのか?
翌日、もう少しだけアイリーンとの距離を詰めようとしたが、嫌な女に見付かってしまった。
エリザベス・ディボーン。
侯爵家で父親の地位に胡座をかく女。
見た目は美人の類だが、アイリーンには及ばない。
昔から婚約者がいても夫がいても私に言い寄って来る。まるで情夫にでもしてやろうといった態度をとる勘違い女だ。全く好みではないのに、何故世の男は皆 自分に好意があると思うのだろうか。
東の公爵家に嫁に行ったが五年で出戻り、遠縁の子爵家に嫁いだが数ヶ月で出戻り、次は隠居した金持ちに嫁いだが一年経たずに出戻った。
公爵家では早くも嫌われて、夫は二人目の妻を迎えた。エリザベスは孕らず、第二夫人は男児を産んだ。五年孕らないと離縁できる。公爵家はそれを理由にしたが、横暴振りが酷くて避妊薬でも使ったのだろうと噂が立った。
子爵家ではエリザベスが嫌がったらしい。
田舎で何もなく退屈で、夫も好みじゃないと社交で愚痴を言っていたようだ。
隠居した金持ちの場合は、男が飽きたかららしい。ベッドに横たわる死ぬ間際の魚のようにじっとしているだけで、昼間は散財していたようだ。
どうせ金遣いの荒いつまらない女なら若い方がいいと返品されたらしい。
酒の席でそんな話が耳に届く。今や誰も手を付けない中古品だ。一夜の相手にも選ばれないのは後々の面倒臭さが影響しているのだろう。
そんなエリザベスは、まだ子が恵まれていない俺に文を送って来た。
妻になってあげる、貴方の子を産んであげるなど、妄想癖でもあるかのように。
さすがに全ての文と抗議文を、侯爵に送ったらピタリと止まった。だから安心していたのに。
よりにもよってアイリーンに絡んできた。
だけど…アイリーンの意外な面を見ることができた。
“若くて綺麗でごめんなさいね”
そう言って、私との関係をつらつらと話し始めた。
そして
“年季を重ねた だいぶ歳上のディボーン侯爵令嬢”
彼女にこんなことを言えるのはアイリーンか王族くらいじゃないか?まあ、アイリーンも王族ではあるか。
だが、カッとなったエリザベスが茶を掛けた。
さらにアイリーンが煽ると飛び掛かろうとしたので、咄嗟にエリザベスのドレスを掴むと、エリザベスはテーブルクロスを掴みティーセットごと倒れた。
そこに現れたのはジュエル殿だった。
『ロザリーナ、退け』
剣を抜いてエリザベスを斬ろうとしていた。
アイリーンが必死にジュエルに抱き付いた。
彼はアイリーンを抱きしめて髪に顔を埋めた。
あれは弟ではない。アイリーンを恋い慕う男だ。
彼は抱き上げてアイリーンを連れて行ってしまった。
エリザベスは拘束され、私は聴取を受けた。
二時間後には謁見の間で、ディボーン侯爵とエリザベスが跪いていた。
陛下は溜息を吐き、レナード王太子殿下は帯剣し、リアム殿下は無表情。
少し経つとアイリーンとジュエル殿が入室した。
レ「アイリーン!怪我は無かったか!?」
ア「はい、パパ」
その言葉に侯爵とエリザベスは驚愕した。
リ「私の愛する妹を侮辱して茶を浴びせて、さらに襲いかかろうとした?
ジュエル、何故その場で首を落とさなかった」
ジュ「アイリーンの願いでした」
ア「ジュエルは怪我をしているのですよ?
それにガゼボが汚れます。
剣の手入れも面倒ですし、皆様の服も汚れます」
リ「そうだった。それなら仕方ないな」
ア「何だか大事にして申し訳ありません、陛下。
ベロノワ家を侮辱されたと思ったらつい」
侯「ベロノワ家!?」
侯爵はアイリーン達を紹介されていなかったのだろう。他国から来た伯爵家という認識だったに違いない。
リアム殿下がアイリーンを抱きしめて背中を摩っているし、レナード王太子殿下もアイリーンの頭を撫でている。完全にアイリーンは王家に受け入れられていた。
これはエリザベスは終わったな。
エ「し、知らなかったのです!」
レ「格下ならやってもいいと?どんな下品な教育を施してきたのだ?侯爵」
侯「申し訳ございません!」
陛「アイリーン。どうしたい」
ア「そうですね。もしベロノワがペルランに輸出したいときは、税は全てディボーン家に負担してもらうということでどうですか?機会は無いかもしれませんが」
陛「そうだな。それだけでは足りないな。
ジュエル殿はどうしたい」
ジュ「私に委ねると部屋が汚れます」
陛「リアム」
リ「先々のことを考えると、社交には出て欲しくありませんね。何のきっかけでアイリーンと会うか分かりませんから。
出禁にした方が世のため人のためかと思います」
陛「ディボーン侯爵。其方の娘には他家の嫡男へ嫁がせることも一切の社交も禁ずる」
侯「かしこまりました」
エ「そんな、」
リ「陛下。私が直々に城から追い出してもよろしいですか」
陛「いいぞ」
リ「いいか。二度とアイリーンとジュエルの前に顔を見せるな。城門からは自分の足で歩いて家に帰れ。馬車や馬に乗ったりしたら両脚を折るぞ」
そう言うとリアム殿下はエリザベスの髪を掴んで引き摺っていった。
城門まで引き摺り、靴は脱げドレスは破れ 髪はぐちゃぐちゃになったエリザベスを追い出した。
彼女はフラフラと歩いて屋敷に向かったらしい。
戻ってきたリアム殿下が笑顔で陛下に報告していた。
リアム殿下は温和な方だと思っていたが違うようだ。
エリザベスは名前を覚えていなかったようだ。だが侯爵は職務柄、ベロノワを知っていた。
私も父上と外交官にベロノワ伯爵家について聞いて驚いた。
ベロノワがアイリーンを“天使”と呼ぶ理由はそこにもある。
さらにサルフェトのコンドラー港も改革した天使。
アイリーンが殿下達に抱きしめられている間に、ジュエル殿が俺に近寄り警告した。
「友人では仕方ないですが、アイリーンの恋人や夫を名乗ろうと考える者にはもっと早く動くことを望みます」
「申し訳ありません」
アイリーンは弟の仮面を被った男についてどう思っているのだろう。彼に抱き付いたアイリーンの姿がいつまでも消えなかった。
天使か妖精か女神か。
ゆっくり湖を進む美しい女性を見つけた。
脱いだ靴が視界に入り人間だと気が付いた。
近寄ると、待望の第一子である男児を死産して、生きる気力を失くした妻の表情に似ていた。
声を掛け、陸に上げた。
足を拭いてやると緊張した。
かなり若いが成人はしているだろう。少し恥ずかしそうにしていた。
こんなときは甘いものをと飴を選ばせることで意識を移させた。そして温かい飲み物を飲ませた。
彼女と別れてからも忘れられず、王都にやって来た。
父上に湖でのことを一部話してアイリーンのその後を聞いた。
「イリス王太子妃は既に幽閉された。シリル殿下の成長を待って毒杯を賜る予定だ」
「アイリーンと会いたいのです」
「聞いてみるが姫様の心を乱さないようにしてくれ」
そして許可が下りてアイリーンと会った。
あのときとは雰囲気の違うアイリーンがいて顔色も少しいい気がする。
やはり俺の心はアイリーンに反応するようだ。
彼女は俺を何とも思っていないのは感じている。
だが、人としての好感度はあるようだ。
そこにアイリーンに似た青年が現れた。
俺を牽制しているのがわかる。
だが、アイリーンに拒絶されると立ち去った。
美しい姉を守りたいというだけか、それ以上か。
まだ若くても威圧が強い。
屋敷での夕食後に父上やヤニックとアイリーンの話になった。
「さすが兄上。すぐに美人を引き寄せますね」
「余計なことを言うな。
父上、リアム殿下の襲撃の時にアイリーンと弟のジュエルが巻き込まれたのですよね。
確か近衛を含む護衛兵士に死傷者が出ていたはずですが、アイリーンは無傷でしたね」
「近衛は二人死亡、一人が重症、一人が中症。
他に騎士 五人死亡、一人が中症、二人と御者が重症。
手練の暗殺集団だ。五人が殺し屋で二十人が傭兵だった。
弟君のジュエル殿が加勢して流れが変わった。
標的がリアム殿下だと分かると殿下は馬に乗り、敵を引き連れて手前の町に戻り、町兵と応戦したんだ。
生き残った兵士達がジュエル殿のおかげだと言っていた。加勢が無ければ全滅だったようだ。
素早く急所を狙い、無理なら腕を切り落とすなり足の腱を狙って戦意を削いでから確実にとどめを指す。彼が敵じゃなくて良かったと言っていた。
少し前に北の討伐隊と打ち合いをしたようだが、バジルが相手をしたらしい。
後で聞いたら、攻め方に容赦が無いから本気を出したと苦笑いしていた。
兵士でもないのに末恐ろしよ」
「うわぁ… 対戦したくないです」
ヤニックが入団したことで俺は退団した。
父と息子二人が騎士団にいるのはまずいと、嫡男の私が抜けた。
北の討伐隊と手合わせをしたことはあるがとても強かった。
剣を合わせると押し負ける。それに彼らは殺すことを目的としているから躊躇がない。
ジュエル殿は彼らと同じタイプなのだろう。
「ガブリエル。アイリーン様は高貴なお方だ。気軽に手を付けるなよ」
「当然です」
俺はそんなに信用がないのか?
翌日、もう少しだけアイリーンとの距離を詰めようとしたが、嫌な女に見付かってしまった。
エリザベス・ディボーン。
侯爵家で父親の地位に胡座をかく女。
見た目は美人の類だが、アイリーンには及ばない。
昔から婚約者がいても夫がいても私に言い寄って来る。まるで情夫にでもしてやろうといった態度をとる勘違い女だ。全く好みではないのに、何故世の男は皆 自分に好意があると思うのだろうか。
東の公爵家に嫁に行ったが五年で出戻り、遠縁の子爵家に嫁いだが数ヶ月で出戻り、次は隠居した金持ちに嫁いだが一年経たずに出戻った。
公爵家では早くも嫌われて、夫は二人目の妻を迎えた。エリザベスは孕らず、第二夫人は男児を産んだ。五年孕らないと離縁できる。公爵家はそれを理由にしたが、横暴振りが酷くて避妊薬でも使ったのだろうと噂が立った。
子爵家ではエリザベスが嫌がったらしい。
田舎で何もなく退屈で、夫も好みじゃないと社交で愚痴を言っていたようだ。
隠居した金持ちの場合は、男が飽きたかららしい。ベッドに横たわる死ぬ間際の魚のようにじっとしているだけで、昼間は散財していたようだ。
どうせ金遣いの荒いつまらない女なら若い方がいいと返品されたらしい。
酒の席でそんな話が耳に届く。今や誰も手を付けない中古品だ。一夜の相手にも選ばれないのは後々の面倒臭さが影響しているのだろう。
そんなエリザベスは、まだ子が恵まれていない俺に文を送って来た。
妻になってあげる、貴方の子を産んであげるなど、妄想癖でもあるかのように。
さすがに全ての文と抗議文を、侯爵に送ったらピタリと止まった。だから安心していたのに。
よりにもよってアイリーンに絡んできた。
だけど…アイリーンの意外な面を見ることができた。
“若くて綺麗でごめんなさいね”
そう言って、私との関係をつらつらと話し始めた。
そして
“年季を重ねた だいぶ歳上のディボーン侯爵令嬢”
彼女にこんなことを言えるのはアイリーンか王族くらいじゃないか?まあ、アイリーンも王族ではあるか。
だが、カッとなったエリザベスが茶を掛けた。
さらにアイリーンが煽ると飛び掛かろうとしたので、咄嗟にエリザベスのドレスを掴むと、エリザベスはテーブルクロスを掴みティーセットごと倒れた。
そこに現れたのはジュエル殿だった。
『ロザリーナ、退け』
剣を抜いてエリザベスを斬ろうとしていた。
アイリーンが必死にジュエルに抱き付いた。
彼はアイリーンを抱きしめて髪に顔を埋めた。
あれは弟ではない。アイリーンを恋い慕う男だ。
彼は抱き上げてアイリーンを連れて行ってしまった。
エリザベスは拘束され、私は聴取を受けた。
二時間後には謁見の間で、ディボーン侯爵とエリザベスが跪いていた。
陛下は溜息を吐き、レナード王太子殿下は帯剣し、リアム殿下は無表情。
少し経つとアイリーンとジュエル殿が入室した。
レ「アイリーン!怪我は無かったか!?」
ア「はい、パパ」
その言葉に侯爵とエリザベスは驚愕した。
リ「私の愛する妹を侮辱して茶を浴びせて、さらに襲いかかろうとした?
ジュエル、何故その場で首を落とさなかった」
ジュ「アイリーンの願いでした」
ア「ジュエルは怪我をしているのですよ?
それにガゼボが汚れます。
剣の手入れも面倒ですし、皆様の服も汚れます」
リ「そうだった。それなら仕方ないな」
ア「何だか大事にして申し訳ありません、陛下。
ベロノワ家を侮辱されたと思ったらつい」
侯「ベロノワ家!?」
侯爵はアイリーン達を紹介されていなかったのだろう。他国から来た伯爵家という認識だったに違いない。
リアム殿下がアイリーンを抱きしめて背中を摩っているし、レナード王太子殿下もアイリーンの頭を撫でている。完全にアイリーンは王家に受け入れられていた。
これはエリザベスは終わったな。
エ「し、知らなかったのです!」
レ「格下ならやってもいいと?どんな下品な教育を施してきたのだ?侯爵」
侯「申し訳ございません!」
陛「アイリーン。どうしたい」
ア「そうですね。もしベロノワがペルランに輸出したいときは、税は全てディボーン家に負担してもらうということでどうですか?機会は無いかもしれませんが」
陛「そうだな。それだけでは足りないな。
ジュエル殿はどうしたい」
ジュ「私に委ねると部屋が汚れます」
陛「リアム」
リ「先々のことを考えると、社交には出て欲しくありませんね。何のきっかけでアイリーンと会うか分かりませんから。
出禁にした方が世のため人のためかと思います」
陛「ディボーン侯爵。其方の娘には他家の嫡男へ嫁がせることも一切の社交も禁ずる」
侯「かしこまりました」
エ「そんな、」
リ「陛下。私が直々に城から追い出してもよろしいですか」
陛「いいぞ」
リ「いいか。二度とアイリーンとジュエルの前に顔を見せるな。城門からは自分の足で歩いて家に帰れ。馬車や馬に乗ったりしたら両脚を折るぞ」
そう言うとリアム殿下はエリザベスの髪を掴んで引き摺っていった。
城門まで引き摺り、靴は脱げドレスは破れ 髪はぐちゃぐちゃになったエリザベスを追い出した。
彼女はフラフラと歩いて屋敷に向かったらしい。
戻ってきたリアム殿下が笑顔で陛下に報告していた。
リアム殿下は温和な方だと思っていたが違うようだ。
エリザベスは名前を覚えていなかったようだ。だが侯爵は職務柄、ベロノワを知っていた。
私も父上と外交官にベロノワ伯爵家について聞いて驚いた。
ベロノワがアイリーンを“天使”と呼ぶ理由はそこにもある。
さらにサルフェトのコンドラー港も改革した天使。
アイリーンが殿下達に抱きしめられている間に、ジュエル殿が俺に近寄り警告した。
「友人では仕方ないですが、アイリーンの恋人や夫を名乗ろうと考える者にはもっと早く動くことを望みます」
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