【完結】公子が好きなのは王子ですよね? 私は女ですよ?

ユユ

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離れて過ごす

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夏休みはずっとゴロゴロしてようと思ったのに、暇なら手伝えと言われて騎士団の執務室にいる。

「リナ。誤字がないか確認して」

「はい」

ディオン兄様の助手が仕事。内容は簡単なものばかり。

お兄様の側にいるので誰も話しかけてこない。
まさかお兄様…みんなに煙たがられているのでは?
などと心配になってしまったら休憩中に話しかけてくださった団長さんに笑われた。
“うちの妹に下心で近寄ると悪魔の申し子のような男に目を付けられて討伐隊に移動させられるぞと脅したからだよ”と教えてくださった。

その申し子はエリオット殿下と避暑地へ。
やっと結ばれるのだわと笑顔で見送ったつもりだ。


人が来るからと応接間を整えたところにお兄様が人を連れて来た。

「リナ、下がっていいよ」

「はい、失礼します」

部屋を出ようとすると連れの人が止めた。

「待ってよ。紹介してくれよ」

「お前みたいな女ったらしに紹介できない」

「え? 貴族令嬢なのは分かるけど…まさかディオンの恋人か!」

「馬鹿なことを言うな!妹だ!」

「うっわ! 全然似てなくてめちゃくちゃ可愛い!」

「どう言う意味だ。似てるだろう」

「視力に問題があったのか」

「はぁ。リナ。彼は討伐隊を指揮している隊長で同期のウィリアム・サムズ。サムズ男爵家の出身だ。
ウィリアム。私の大事な妹リナだ。
一年生の夏休みで暇そうだから連れてきた」

「リナちゃん、こんにちは。
ウィリアムと呼んで。

(なあ、ディオン。リナちゃんは恋人はいないのか?こんなに可愛いのに)」

「(婚約者がエリオット殿下と避暑地に行ったんだ)」

「(誰?)」

「(宰相閣下のご子息だ)」

「(頼む、政略だと言ってくれ)」

「(残念だが、レオナルド殿がリナが赤ちゃんの時から執着している。止めておけ)

リナ。この男のことは忘れていいぞ」

「リナちゃん、うちの見学に来るか?」

「リナは箱入りだ。そっちにやれるか」

「お兄様、行ってみたいです」

兄様の袖を掴み見上げた。

「くっ! まだソレを使うのか」

だって退屈だったんだもん。

「何のことですか? 私は大好きなお兄様にお強請りしているだけです。お兄様は私のヒーローですからきっと叶えてくださいます」

「ウィリアム。後でリナを連れて行ってくれ。終わったら戻してくれよ」

「仰せの通りに」


15分くらいすると 話が終わったらしい隊長が出てきて声をかけてきた。

「兄君の許しが出たから行こうか。手回品を持って行こう」


騎士団の建屋の中を移動していると初日と同じようにジロジロと見られていた。

「気にするな。俺の側にいる限り寄ってこない」

数分後

「うっわ!可愛い!」

「生きたお人形だ!」

「隊長、攫ってきたんですか」

「こんなむさ苦しいところじゃなくて宿に イテッ」

「この子はリナ・アブリック嬢だ。夏休みで騎士団の文官の手伝いをしている」

「リナちゃん、おめめキラキラしてるね」

「睫毛長いなぁ」

「毛穴どこ?忘れて生まれてきた?」

「ちっちゃい口だなぁ。しゃぶり イテッ!!」

「お前達…アブリックだ!アブリック!」

「え?…だって隊長」

「全く似てないがディオンの妹だ」

「ぎゃ~!!」

「うわぁ~!!」

「まだ触れてません!!」

「ふふっ あははっ!」

この感じ、前世を思い出す。
仲間内の気楽な会話。

「天使」

「俺達を嫌がらない天使がいる」

「小遣いあげようか?」

「こんな妹欲しい」

「お兄ちゃん」

「死ぬ」

「死んだ」

「矢が抜けない」

「一瞬心臓止まった」

「リナ。(みんなにさっきディオンにやってたお強請りで“仕事しろ”って言ってみてくれ)」

「お兄ちゃんのカッコいいお仕事姿が見たいな」

「隊長!仕事!仕事をくれ!」

「大至急くれ!」

「その辺の悪い奴を狩ってこようか」

「汗臭くなったら イテッ!
隊長、まだ何も言ってませんよ」

「未然に防いだんだ」

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫だよ。

隊長、俺、妹ができたんで、妹の専属護衛に転職します」

「俺も!」

「俺は専属メイドになって イテッ!」

「俺は寝かし付け係に イテッ!」


しばらくして落ち着くと、お茶を淹れてあげた。

ウィリアム隊長の仲間はみんな平民で、各地で手に負えない賊が出ると討伐の手助けに行くらしい。  

「私も男の子に生まれたかった。
そうしたら一緒にいられるもの」

「リナちゃん!女の子で頼む」

「妹がいい」

「お兄さんが遊んであげるよ」

「この顔のままなら男でもいけ イテッ!」

「隊長、そんなに叩いていたらロジェお兄ちゃんが壊れちゃいます」

「リナちゃん!今月の給料全部小遣いにして渡すからね」

「リナ。もう何千回と叩いてコレなんだ。寧ろ壊れて欲しい」

「隊長だってさっき むぐっ」

お菓子を口に入れられた。

「隊長…俺達のいないところでリナちゃんを口説いていたとか?」

「ディオンの妹だぞ」

「リナちゃん、お兄ちゃん達が話を聞くからね」


その後、報告書を書くお手伝いをして執務室に送ってもらった。

「リナ、大丈夫だったか?」

「すごく楽しかったです」

「討伐隊が?」

「優しくて楽しい方達でした」

「ん~? そうか。良かったな」

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