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出会いの夜会
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会場に着くと叔母様の紹介状を渡した。
「初めてですね。ルールはご存知ですか」
「はい」
「同意無しや嫌な事をされそうになりましたら、部屋のベルを使うか大声で叫ぶかなさってください」
「ありがとうございます」
「では良い出会いを」
ホールの扉が開かれると、そこは薄暗い大人の世界になっていた。
シルビーは壁際に待機する。
酒を飲み会話を楽しむ人達、身体を密着しダンスをする人達、中には口付けをする人達もいた。
ジュースをもらい飲みながら見渡す。
相手がいない殿方を探していると声がかかった。
「お嬢さん、お相手を探しておられますか」
「はい」
「……黒い花ということは」
「全てが初めてです」
「そう、いい人が見つかるといいね」
「ありがとうございます」
金髪の男性は立ち去った。
叔母からは予め聞いていた。
『慣れた女性の方がいいという男性が結構いるのよ。後腐れなく楽に関係を結びたくてね。
だから髪飾りを見て遠慮する方もいるけど気にしなくていいわ』
本当だった。
乙女の祈りを持ってきておいて良かった。
その後、慣れた女性を求めていた人が4人去り、初心者でもいいと言う人が1人いたが私が生理的に受け付けなかった。
今話をしている青い瞳の人は大丈夫そう。この人とすることになると思っていたところに別の男性が現れて青い瞳の人に何かを耳打ちすると立ち去ってしまった。
「彼のこと気に入っていた?だとしたらごめんね。君と話がしたくて」
「……貴方も黒い花なのですね」
「私も初めての参加なんだ」
そう言って私を見つめる男性は琥珀色の瞳にダークブラウンの髪。多分歳上だろう。
何故か既視感を感じた私は彼と話をしてみた。
「お酒は飲まないの?」
「初めての場所ですから、念のため控えました。飲んだとしても一杯しか飲めません」
「では私もジュースをもらおう」
「お気になさらず」
「酒臭いと嫌だろう」
「……」
「いや、酒臭い男と話をするのは苦痛ではないかという意味で」
「飲み過ぎなければ大丈夫です」
「本当は?」
「身体中から漂う程だと嫌です」
「では一杯」
「私もちょっとだけ」
彼が頼んだお酒はジュースのような飲みやすい飲み物だった。
「これ、飲みやすいけどアルコールはしっかり入っているから飲みすぎないようにね」
「親切な方なのですね。ありがとうございます」
飲みながら話をしてダンスに誘われて一曲踊るとふらついてしまった。
ついつい美味しくて一杯飲んでしまった。
半分飲んだところで忠告されたのに。
「ごめんなさい。ダンスで酔いが回ってしまったようで。私は休みますのでごゆっくりなさってください」
「私では駄目か」
「えっ」
「髪飾りを付けているということは今夜の相手を探しているのだろう」
「はい。でも皆様、慣れた女性がいいようですから。初めての上に酔ってしまったらお相手のご迷惑になりますわ」
「私は君がいい。他の男を選ばないで私を選んでくれないか」
「…はい」
「初めての君にここの部屋を使いたくない。屋敷は近いからうちにきて欲しい。
使用人達もいるし、君の護衛も一緒なら安心だろう。嫌がることは絶対しない」
何故かこの瞳の彼は信用できると思ってしまった。シルビーも一緒で使用人も複数いるなら大丈夫だろう。身なりもいいし。
「お願いします」
彼はメッセージカードとペンを借りて何かを書き込みレヴェルスマン家の御者に渡した。
馬車は伯爵家に帰って行った。
私とシルビーは彼の馬車に乗った。
15分程走るとお屋敷に着いた。
かなり大きいし敷地も広い。
「あの、お名前を聞いておりませんでしたが、私がお邪魔して大丈夫なのでしょうか」
「どういうこと?」
「立派過ぎて」
「気のせいだ」
「そこまで酔っていません」
「大丈夫。君が気にすることは何もない」
そう言って私に口付けをした。
シルビーが真顔で見てるんだけどな。
先に彼が降りて使用人に話をすると戻ってきた。
馬車から降りると抱き上げられて中へ入った。
執事らしき人に向かって挨拶をした。
「突然申し訳ございません。
初めまして。リディアーヌと申します。
酔って運ばれながらの挨拶をお許しください。ご迷惑をおかけいたします」
「リディアーヌ様、ようこそお越しくださいました。パトリックと申します。お会いできて光栄でございます。
お腹は空いておられませんか」
「よくわかりません」
「いつでもご用意いたしますので遠慮なくお申し付けください」
「ありがとうございます」
2階に上がりメイドが大きな扉を開け、私を横抱きにした彼が部屋に入った。
私をベッドに下ろすとメイド2人が着替えさせてくれた。
その間に彼は飲み物を用意してくれた。
ドレスを脱ぎガウンを羽織るとメイド達は部屋を出て扉を閉めた。
「アルコール無し。本物のジュースだ」
「ありがとうございます」
「私の名前はディオン。
リディアーヌ、本当にいいのか」
「何がですか」
「これから君を抱くことになるけど」
「はい。避妊薬は飲みました。
これも用意してあります」
「……こっちは様子を見て使おう」
「 ? 」
ディオン様はガウンを脱がせ手を引いてベッドに座らせた。彼は隣に座り私を抱きしめながら肩や頭を撫で、頭にキスをした。
チュッ
「初めてですね。ルールはご存知ですか」
「はい」
「同意無しや嫌な事をされそうになりましたら、部屋のベルを使うか大声で叫ぶかなさってください」
「ありがとうございます」
「では良い出会いを」
ホールの扉が開かれると、そこは薄暗い大人の世界になっていた。
シルビーは壁際に待機する。
酒を飲み会話を楽しむ人達、身体を密着しダンスをする人達、中には口付けをする人達もいた。
ジュースをもらい飲みながら見渡す。
相手がいない殿方を探していると声がかかった。
「お嬢さん、お相手を探しておられますか」
「はい」
「……黒い花ということは」
「全てが初めてです」
「そう、いい人が見つかるといいね」
「ありがとうございます」
金髪の男性は立ち去った。
叔母からは予め聞いていた。
『慣れた女性の方がいいという男性が結構いるのよ。後腐れなく楽に関係を結びたくてね。
だから髪飾りを見て遠慮する方もいるけど気にしなくていいわ』
本当だった。
乙女の祈りを持ってきておいて良かった。
その後、慣れた女性を求めていた人が4人去り、初心者でもいいと言う人が1人いたが私が生理的に受け付けなかった。
今話をしている青い瞳の人は大丈夫そう。この人とすることになると思っていたところに別の男性が現れて青い瞳の人に何かを耳打ちすると立ち去ってしまった。
「彼のこと気に入っていた?だとしたらごめんね。君と話がしたくて」
「……貴方も黒い花なのですね」
「私も初めての参加なんだ」
そう言って私を見つめる男性は琥珀色の瞳にダークブラウンの髪。多分歳上だろう。
何故か既視感を感じた私は彼と話をしてみた。
「お酒は飲まないの?」
「初めての場所ですから、念のため控えました。飲んだとしても一杯しか飲めません」
「では私もジュースをもらおう」
「お気になさらず」
「酒臭いと嫌だろう」
「……」
「いや、酒臭い男と話をするのは苦痛ではないかという意味で」
「飲み過ぎなければ大丈夫です」
「本当は?」
「身体中から漂う程だと嫌です」
「では一杯」
「私もちょっとだけ」
彼が頼んだお酒はジュースのような飲みやすい飲み物だった。
「これ、飲みやすいけどアルコールはしっかり入っているから飲みすぎないようにね」
「親切な方なのですね。ありがとうございます」
飲みながら話をしてダンスに誘われて一曲踊るとふらついてしまった。
ついつい美味しくて一杯飲んでしまった。
半分飲んだところで忠告されたのに。
「ごめんなさい。ダンスで酔いが回ってしまったようで。私は休みますのでごゆっくりなさってください」
「私では駄目か」
「えっ」
「髪飾りを付けているということは今夜の相手を探しているのだろう」
「はい。でも皆様、慣れた女性がいいようですから。初めての上に酔ってしまったらお相手のご迷惑になりますわ」
「私は君がいい。他の男を選ばないで私を選んでくれないか」
「…はい」
「初めての君にここの部屋を使いたくない。屋敷は近いからうちにきて欲しい。
使用人達もいるし、君の護衛も一緒なら安心だろう。嫌がることは絶対しない」
何故かこの瞳の彼は信用できると思ってしまった。シルビーも一緒で使用人も複数いるなら大丈夫だろう。身なりもいいし。
「お願いします」
彼はメッセージカードとペンを借りて何かを書き込みレヴェルスマン家の御者に渡した。
馬車は伯爵家に帰って行った。
私とシルビーは彼の馬車に乗った。
15分程走るとお屋敷に着いた。
かなり大きいし敷地も広い。
「あの、お名前を聞いておりませんでしたが、私がお邪魔して大丈夫なのでしょうか」
「どういうこと?」
「立派過ぎて」
「気のせいだ」
「そこまで酔っていません」
「大丈夫。君が気にすることは何もない」
そう言って私に口付けをした。
シルビーが真顔で見てるんだけどな。
先に彼が降りて使用人に話をすると戻ってきた。
馬車から降りると抱き上げられて中へ入った。
執事らしき人に向かって挨拶をした。
「突然申し訳ございません。
初めまして。リディアーヌと申します。
酔って運ばれながらの挨拶をお許しください。ご迷惑をおかけいたします」
「リディアーヌ様、ようこそお越しくださいました。パトリックと申します。お会いできて光栄でございます。
お腹は空いておられませんか」
「よくわかりません」
「いつでもご用意いたしますので遠慮なくお申し付けください」
「ありがとうございます」
2階に上がりメイドが大きな扉を開け、私を横抱きにした彼が部屋に入った。
私をベッドに下ろすとメイド2人が着替えさせてくれた。
その間に彼は飲み物を用意してくれた。
ドレスを脱ぎガウンを羽織るとメイド達は部屋を出て扉を閉めた。
「アルコール無し。本物のジュースだ」
「ありがとうございます」
「私の名前はディオン。
リディアーヌ、本当にいいのか」
「何がですか」
「これから君を抱くことになるけど」
「はい。避妊薬は飲みました。
これも用意してあります」
「……こっちは様子を見て使おう」
「 ? 」
ディオン様はガウンを脱がせ手を引いてベッドに座らせた。彼は隣に座り私を抱きしめながら肩や頭を撫で、頭にキスをした。
チュッ
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