【完結】強面巨体の僕は家族に邪険にされたけど、いつの間にか美少女と婚約していた

長兄バンスの歪み

【 長兄バンスの視点 】


　クリスの話題を出したのは顔の広い親戚だった。

『伯爵、彼のようなご子息がいて鼻が高いでしょう』

『バンスですか？』

『末の子クリス君ですよ。
寄宿騎士学校では品行方正で、特別クラスにずっと居続け、１１位を維持し続けたそうですよ。

学校のある領地の辺境伯が直々に視察に来て、辺境伯軍の猛者相手に押されなかったとか』

『私も聞きました。卒業式は伝説となるでしょうね』

『どういうことでしょう』

『見に行かなかったのですか？』

『え、ええ。ちょうど外せない時期でしたので』

『アレを見逃すとは』

『成績が下の者から順に呼ばれるのですがある程度上位になるとオファーがどこから来ているかも読み上げるのです。

１１位なのに１位が足元にも及ばない程の数で、上は近衛から、下は大商家までオファーが来ていました。

公爵家と侯爵家は全ての家門がオファーしていました。辺境伯達も同様です。

読み上げを聞いていて鳥肌が立ちましたよ』

何なんだ！

『結局クリス君は王宮騎士団の副隊長の補佐官を選んだのですね。新卒の新人が副団長の補佐官ですよ？素晴らしい』

『そ、それはありがとうございます。立派な息子がいて誇らしいです』

それを聞いた父は王都にクリスに会いに行ったが直ぐ帰ってきた。
　
帰ってくるなり使用人達と面談を始め、翌日、父が私達を呼んだ。

『バンス。ヘンドリック。
お前達はクリスを虐めていたのだな』

『父上？』

『あの時もお前達が先に手を出して、ずっと我慢していたクリスが反撃したらしいな』

『クリスに何を言われたのです！』

『もうクリスに関わるな。今は大人なのだから昔のように幼稚なことはしないと思うが、もし会ったら簡単な挨拶だけにしなさい』

ため息を吐かれてしまった。
クリスが今更父上にチクったのだろう。
それから少し父上の私たちを見る目が変わった気がした。



その後、王都で開催される若年層の交流会に参加することになって早速クリスを見つけた。
さらにでかくなり、直ぐに分かった。

やはり独りか。
揶揄うと生意気な返事が返ってくるし、しかも王太子殿下夫妻が割り込んでくるし、昔のことをいいふらしているようだった。

信じられないことに婚約者がいるという。

そこにとんでもない美少女が現れ、その令嬢がクリスの婚約者で、クリスが次期侯爵！？

美少女は甘えるようにクリスの腕にしがみ付き、私達に軽蔑の視線を送ってきた。