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王太子と弟王子アイン
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【 王太子の視点 】
6年近く前、父上に呼ばれて選択肢を迫られた。
『エリック。
ダニエルは体が弱くて王太子にはなれない。頻繁に床に伏せる国王など危険すぎる。
アインはちょっと問題が起きた』
ダニエルは次男で腹違いの弟。アインは末の同腹の弟だ。
『問題とは?』
『副団長の娘に一目惚れをした。確かにとても可愛い子だし、家柄も問題ない。
だが次期国王は政略結婚を受け入れる者を指名することにしている。
まあ、エリックが相応しいのは分かってはいるが、其方まで恋愛結婚がいいと言い出すのなら、アインが成人してから選考に入ることになる。
其方が政略結婚を受け入れて王族の務めを果たせるのであれば直ぐに指名したい。
エリックはどうしたい』
ああ、確かにリリアナ嬢は美少女だな。
『当然、余程嫌いな女でない限り政略結婚を受け入れます。
父上、リリアナ嬢は今、心を閉ざしていたのでは?』
『夫人も亡くなって屋敷に置いておけなくて副団長は辞職を申し出たが、気晴らしになるから娘を連れて出勤してみろと言った。
相変わらずの様だが気分転換にはなっている様で連れてきている。
そこにアインが見かけてしまった。
話しかけても無視される様だがそれでもリリアナ嬢と婚約したいと言っている。
だが、相手が相手だ。侯爵で副団長で家族を2人も亡くした父親に娘を寄越せなどとは言えない。
だからアインには王命は使わないと告げた』
『まだまだ時間はかかりそうですね。
問題が起きない様、2人の行動範囲を限ってはいかがでしょう。私もアインの様子を見ます』
そんな話の2週間後、アインが癇癪を起こしていた。
『父上!あの男は誰ですか!』
『来年騎士学校へ行く優秀な令息だ。副団長のお気に入りでリリアナ嬢が彼を気に入ったので、子守りとして雇っている』
どうやら伯爵令息がリリアナ嬢を抱っこして世話をしているのを私も見かけたことはある。彼が見た目とは反して3歳違いなのがアインには気に触るようだ。
『伯爵家の三男なんて!私は王子なんですよ!』
『アイン。女はヒステリックに喚く男には惚れないし伴侶にしようなどとは思わない。
王子と主張するなら王子らしくしたらどうだ。
家族との会話と思っているだろうが、王子の身分を振りかざしている時点で王子の振る舞いを求められる。
それに貴族を下に見るな。お前独りで何ができるんだ?貴族や平民に支えられて生きていることを忘れるな。
彼は努力して勝ち残り、彼を選んだのはリリアナ嬢と副団長だ。矛先が違うだろう?』
『兄上っ』
『私だってアインが可愛いが、愚かな言動を許せば命取りになる。
王族は考えているより危険な環境で生きているんだ。自ら敵を作るな。
もしお前がそうやって敵を作り、リリアナの心を手に入れて婚姻できたとする。
アインに恨みを持つ者が、いかにお前を苦しめようと考えた時に、その悪意は誰に向くと思う?
リリアナ嬢だよ。
お前のその短絡さがリリアナ嬢の命を脅かす。
分かるな?』
『はい、兄上』
アインにチャンスをやろう。
6年近く前、父上に呼ばれて選択肢を迫られた。
『エリック。
ダニエルは体が弱くて王太子にはなれない。頻繁に床に伏せる国王など危険すぎる。
アインはちょっと問題が起きた』
ダニエルは次男で腹違いの弟。アインは末の同腹の弟だ。
『問題とは?』
『副団長の娘に一目惚れをした。確かにとても可愛い子だし、家柄も問題ない。
だが次期国王は政略結婚を受け入れる者を指名することにしている。
まあ、エリックが相応しいのは分かってはいるが、其方まで恋愛結婚がいいと言い出すのなら、アインが成人してから選考に入ることになる。
其方が政略結婚を受け入れて王族の務めを果たせるのであれば直ぐに指名したい。
エリックはどうしたい』
ああ、確かにリリアナ嬢は美少女だな。
『当然、余程嫌いな女でない限り政略結婚を受け入れます。
父上、リリアナ嬢は今、心を閉ざしていたのでは?』
『夫人も亡くなって屋敷に置いておけなくて副団長は辞職を申し出たが、気晴らしになるから娘を連れて出勤してみろと言った。
相変わらずの様だが気分転換にはなっている様で連れてきている。
そこにアインが見かけてしまった。
話しかけても無視される様だがそれでもリリアナ嬢と婚約したいと言っている。
だが、相手が相手だ。侯爵で副団長で家族を2人も亡くした父親に娘を寄越せなどとは言えない。
だからアインには王命は使わないと告げた』
『まだまだ時間はかかりそうですね。
問題が起きない様、2人の行動範囲を限ってはいかがでしょう。私もアインの様子を見ます』
そんな話の2週間後、アインが癇癪を起こしていた。
『父上!あの男は誰ですか!』
『来年騎士学校へ行く優秀な令息だ。副団長のお気に入りでリリアナ嬢が彼を気に入ったので、子守りとして雇っている』
どうやら伯爵令息がリリアナ嬢を抱っこして世話をしているのを私も見かけたことはある。彼が見た目とは反して3歳違いなのがアインには気に触るようだ。
『伯爵家の三男なんて!私は王子なんですよ!』
『アイン。女はヒステリックに喚く男には惚れないし伴侶にしようなどとは思わない。
王子と主張するなら王子らしくしたらどうだ。
家族との会話と思っているだろうが、王子の身分を振りかざしている時点で王子の振る舞いを求められる。
それに貴族を下に見るな。お前独りで何ができるんだ?貴族や平民に支えられて生きていることを忘れるな。
彼は努力して勝ち残り、彼を選んだのはリリアナ嬢と副団長だ。矛先が違うだろう?』
『兄上っ』
『私だってアインが可愛いが、愚かな言動を許せば命取りになる。
王族は考えているより危険な環境で生きているんだ。自ら敵を作るな。
もしお前がそうやって敵を作り、リリアナの心を手に入れて婚姻できたとする。
アインに恨みを持つ者が、いかにお前を苦しめようと考えた時に、その悪意は誰に向くと思う?
リリアナ嬢だよ。
お前のその短絡さがリリアナ嬢の命を脅かす。
分かるな?』
『はい、兄上』
アインにチャンスをやろう。
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