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王太子が見たクリスの実力

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【 王太子の視点 】


一緒に来させた同期のベルリック卿は鼻で笑った。  

『正気ですかね、副隊長。クリスに喧嘩を売るなんて』

サモール卿と対峙しているのは近衛隊の副隊長だった。

勝敗はあっという間だった。

副隊長の木刀は折れて吹っ飛んだ。
 
『本物の剣だったら、身体が真っ二つですよ』

『副隊長は命拾いしたな』


副団長がサモール卿を補佐にした理由を述べた。

『本当か?』

『ええ。1位の私など足元にも及ばないほどのオファーがありました』

『ベルリック卿。研修が終わったら専属にならないか』

『王太子殿下のですか?』

『そうだ』

『クリスではなく?』

『彼も魅力的だが、私にはベルリック卿が必要だ』

『お声掛けに感謝いたします』

『それはイエスか?』

『はい。王太子殿下』




その後、副団長に彼のことを聞いたら、ベルリック卿の予想は当たっていた。

『殿下はどうしてクリスのことを気になさるのですか』

『ベルリック卿を誘惑したのだが、彼はサモール卿を守って欲しいと。
今日の感じでは私には活躍の場はなさそうだ。
だとしたら、どこが活躍の場なのかと思ってね』

『ベルリック卿はクリスの同期で1位の卒業生ですね』

『11位のカラクリは?』

『他言は』

『しない』

『追い出すように寄宿騎士学校に入れた父親に責任を取らせて学費を払わせたいそうです』

『それで名誉ある1位を辞退し、11位をキープし続けた訳だ』

『ええ。入試のときからです』

『今期は恵まれたようだ』

『ええ。確かに』




そしてベルリック卿の願いを叶えてやる時が来た。

交流会で、兄のバンス・サモールがとんでもないことを言い出した。
副団長の調査通りだと確信できたし、5年間の寄宿生活で帰省しなかったのがバンスのせいだと分かった。

挙句、弟のヘンドリックがとんでもない暴露をして去っていった。

「サモール夫人。貴方は彼と帰りたいですか?」

「私には選択肢がありません」

「実家はまだ援助が必要なのかな」

「今は落ち着きました。ですがかなりの額を支援していただきましたので」

「では2人を拘束する」

「え?」

警備兵に二人を別々の部屋に閉じ込めた。


父上に報告に行くと、サモール伯爵を呼べと指示をした。領地からだから日数がかかるだろう。










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