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牢屋観光

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私達は広場のベンチにいる。

時刻は午前11時。

「ララ様、買ってきましたよ」

「ありがとう。みんなで座りましょう」

飲み物を買ってきてもらって、5人で木陰のベンチに座っている。トーマスは領地に帰った。

ここに来るのにまたカーラの顔が怒っていた。公爵家が出した馬車が使用人用の馬車だったから。

トーマスと馬車を帰すのではなかったと怒っていた。私はちょっとの距離だから、多少乗り心地が悪くても全く気にならなかったのでカーラを宥め、青褪めるジェシカの気を逸らした。
 


「ララ様、何するんですか?」

「殿方ウォッチングよ」

「え?」

「好みのタイプの異性を見つけ出すの」

「ララ様?」

「声を掛けたりしないわ。見つけて楽しむだけよ」

「何が面白いんですか」

「貴方達だって美人が通れば目で追うでしょ?」

「「………」」

「ララ様の好みは?」

「黒髪に黒い瞳、彫りが深すぎなくて体格はがっしりとした方がいいわね。

カーラは童顔で明るい人だって。

ジェシカさんは?」

「わ、私ですか!?」

「どんな人が好みなの?見た目よ」

「王子様みたいな人……です」

「まあ!じゃあ、見に行きましょうよ、王子様」

「は!?」

「王宮の催しはないのかしら」

「王子殿下を見に行くのですか!?」

「あそこなら王子様じゃなくても、そんな感じの人がたくさんいそうですもの」

「いや、」

「あ、あそこの観光案内で聞いてきます」

「お願いね」

カーラに情報収集させている間にマックス達にも聞いた。

「マックスは?」

「私は妻がタイプです」

「どんな方なの?」

「小さくて可愛い感じです」

「小動物系ね」

「え?」

「リックは?」

「最近のララ様です」

「そんなこと言っても私には昇給させる権利は無いから無駄よ」

「酷いですよ。本当なのに」

「はいはい」



カーラが戻ってきた。

「午後に剣術大会の敗者復活戦があるらしいです。
運が良ければそこに王族がいらっしゃるかもと」

ビラを見せてもらった。

「午前中に準々決勝まで終わっちゃったのね」

「敗者復活戦はあまり人気がないようですから、入れるかもしれないと案内所の方が言っていました。ただ、入り口で持ち物検査があるらしいです」

「行ってみる?マックス達も楽しめるんじゃない?」




城行きの馬車に乗って城に着いた。

「あ、あれじゃない?看板でてるわ」

西門は開放され、ここで受付?をやっているようだ。

「すみません。5名で入りたいのですが、空きはありますか?」

「ありますよ。身分証をどなたかお持ちですか?」

「はい」

「では先に手荷物監査をしますので、女性はあちらへ。男性はこちらでお願いします」

斜め掛けポーチの中身を出された。

「飴5つ、ハンカチ、財布、これは?」

「焼き菓子です。確認してください」

「差し入れは大会中はできませんよ」

「へ?私のおやつだからあげませんよ?」

「……お財布を見ても?」

「どうぞ」

「では、女性騎士がボディチェックします」

終わって身分証を提示した。


「ララ・プルシアさんですね。
お連れの方のご関係は?」

「使用人と護衛騎士です」

「ちょっと待て!」

係の人の後ろから、おじさんが出てきて身分証を奪い取った、 

「これは本当に貴女の身分証ですか?」

「そうです」

「兄弟が姉妹がいますか?」

「兄が一人」

「名前は?」

「あの、なんですか?一体」

「ララ様、侯爵令嬢に見られていないのですよ」

「え?偽物疑惑なの!?」

「兄君のお名前を教えてください」

「何で私にだけその質問をするのですか?」

「いいから答えてください」

「よくないですよ。他の人には聞いていないじゃないですか。差別する理由を教えてください」

「貴族の偽身分証の所持は重罪だ」

「だから、何で私にだけ偽物疑惑をかけるのですか?根拠を説明してください!」

「そんな見窄らしい格好をした侯爵令嬢がいるか!」

この言葉に腹が立った私はついに。

「あんたの上司を連れてきなさいよ!
どんな教育してるのか聞いてやるわよ!」

暴れる私をリックが羽交締めにし、マックスが私と男の間に立ち、カーラは顔色が悪く、ジェシカは唖然としていた。



結局5人は連行され、牢屋に入れられた。

「ごめんね。みんなは関係無いって言ったのに」

「ララ様、豹変し過ぎですよ」

「あの時本当に心臓止まって別人になっちゃったんじゃないですか?」

「奥様にバレたら……」

「私、公爵家クビになるのかしら」



50分経った頃、足音が複数聞こえ牢屋の前で止まるとマックスとリックが青ざめた。
振り向くとそこには兄がいた。

「ララ?」

「兄様」

「どういうことだ?偽物のララが出たと聞いたが…」

「どうもこうもないですから!あのオッサンの上司を連れて来て!!」

「ララ!?」

「いいから出してください!」




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