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再悶絶
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3日目に現れたのは副料理長だった。
「ララちゃん。夜中にブドウを食べて大騒ぎになったんだって?」
「アンソニーさんの耳にも入ったのですか」
「知らない人、いるのか?」
誰よ! 言いふらしてる九官鳥は!
「それより、まさか」
「いや~、そろそろ新メニューを創作したいんじゃないかと思ってさ」
「私が領地に帰っていたらどうするつもりだったのですか」
「追いかけて行こうかなと」
「もう!」
悩んだ挙句。
「明日のお昼用に準備するものを言いますね。バターや牛乳などは当然ありますね。
溶かす目的のあまり癖のないチーズ、硬くなったパンを小さく切ってスープに浸しておいてください。トマトソースは煮込んで作っておいてください。
具は、魚介でも鶏肉でもいいです。
野菜も同じサイズに切りましょう。
新鮮な卵は沢山ありますか?」
「あるよ」
「明日の10時までに揃えてください。パンは間際でいいです」
翌日の10時に厨房に行くと人も材料も揃っていた。
染み込んで柔らかくなったパンを掬い上げ、使ったスープは飲めるから使ってもらう。
具材を炒める係、卵を溶く係、トマトソースにパンと具を投入して馴染ませる。
「さあ、手本を見せます。
私の材料分を別の器に移して、他の分と離してください」
「えっ!駄目だよララちゃん」
「自分の分の材料にだけ触れて、自分の分だけ作って食べますから。外の警備兵も入れて見張らせてください」
監視の中、私だけの材料と、私だけ使うフライパン。
「時間、火加減、手際が命です。一度で覚えてくださいね」
バターを溶かし、卵液を沢山入れた。
「その量が一人分!?」
贅沢よね。
フライパンと菜箸(特注。兵士が削ってくれた)で揺り半熟にしたところで、全部投入してあった具入りトマト煮を落とし入れチーズを散らし、揺りサッと少しずつ包み込んだ。
「すっげー」
「え、アレ一度しか見せてもらえないの?」
サッと皿に盛った。
「おお~」
真ん中を割るとトロリと具が出てきた。
「中の卵は半生!?」
「これがいいのです。好みによりますね。
火を通し切った卵とは食感も味も違いますよ。
さて、警備兵のお二人は試食しますか?」
「「はいっ!」」
「あと1名」
2分待つと勝ち残ったのは茶碗蒸しで悶絶した人だった。
「あと一つは?」
「当然、私の分です」
そんな捨て犬みたいな顔しないで!
4等分に取り分けて試食した。
「どうぞ、お試しください」
三人「いただきます」
「あ、当然 熱いですよ」
「!!!!!!!」
また悶絶して涙流してる。
料理人なんだから熱いって分かるだろうに。
「ララ様!すっごく上手いです!」
「ララ様、半熟すごいです!」
「パンは入れても入れなくても。
硬くなったパンが勿体無いから入れただけですから。ショートパスタとかライスがあればそれでもいいですよ」
「ライス……」
「ショートパスタ……」
余計なことを言ったかな?
その後は綺麗に作れたのは料理長と警備兵のヘイリーさんだった。
「何で作れるんだよ」
「俺、料理好きだから」
「料理男子なんですね。綺麗にできてますね」
「もう警備兵止めて厨房来いよ」
「そうだよ。剣も包丁も同じ刃物だろう」
「仕事にするのはちょっと」
「何言ってるんだよ、成功者たった二人だぞ?王族の分を料理長一人で作れと?
作ってる間に最初の分が冷めちゃうだろう」
「確かに冷めたらまずいですけど、作れないなら他の物をお出しすればどうですか?」
「……もう言っちゃった」
「え?」
「新作出すって言っちゃった」
「 あ゛」
「ララちゃん、怖い!」
「ヘイリーさん、この馬鹿者達のために人肌脱いでやってもらえませんか。
そうですね、ここにいる料理人から徴収したお金で好きな食材を持って帰れるということでどうでしょう」
料理人達の顔が青くなった。
「いいのか?」
「大丈夫ですよ。陛下達はもう胃袋と涎の準備を整えているというのに、今から“できません”と言える強者が居れば別ですが……居ないようですからね」
「………」
「他の人たちは作業効率が良くなるように整えてください。
料理長は陛下、王太子殿下、王妃様
ヘイリーさんは王太子妃様とリュシアン殿下、私は父と兄の分を作ります。
副料理長とあと1名は私の側に来て見学してください」
食事開始間際に作り終えるように作って、急いで運んでもらった。
その後失敗作をみんなで食べることにした。
「確かに卵の出来で食感も味も違うな」
悶絶料理人と警備兵二人が食べながら感想を述べた。
「私達は成功例を食べてないから分からないです」
「副料理長の私も分からん。安心するがいい」
「お前達が出来るようにならないとお蔵入りだからな」
「料理長の仰る通りですよ。一度出してしまえば、言えば出てくるものだと思うのが普通ですから、それまでに習得しないと断り役をクジで決めることになりますよ」
「ヘイリー様!異動願を出してください!」
「そうだ、我らには救世主がいた!」
「嫌だよ」
「給料の交渉は受け付けるから」
「無理ですよ、料理長」
「ララちゃん。夜中にブドウを食べて大騒ぎになったんだって?」
「アンソニーさんの耳にも入ったのですか」
「知らない人、いるのか?」
誰よ! 言いふらしてる九官鳥は!
「それより、まさか」
「いや~、そろそろ新メニューを創作したいんじゃないかと思ってさ」
「私が領地に帰っていたらどうするつもりだったのですか」
「追いかけて行こうかなと」
「もう!」
悩んだ挙句。
「明日のお昼用に準備するものを言いますね。バターや牛乳などは当然ありますね。
溶かす目的のあまり癖のないチーズ、硬くなったパンを小さく切ってスープに浸しておいてください。トマトソースは煮込んで作っておいてください。
具は、魚介でも鶏肉でもいいです。
野菜も同じサイズに切りましょう。
新鮮な卵は沢山ありますか?」
「あるよ」
「明日の10時までに揃えてください。パンは間際でいいです」
翌日の10時に厨房に行くと人も材料も揃っていた。
染み込んで柔らかくなったパンを掬い上げ、使ったスープは飲めるから使ってもらう。
具材を炒める係、卵を溶く係、トマトソースにパンと具を投入して馴染ませる。
「さあ、手本を見せます。
私の材料分を別の器に移して、他の分と離してください」
「えっ!駄目だよララちゃん」
「自分の分の材料にだけ触れて、自分の分だけ作って食べますから。外の警備兵も入れて見張らせてください」
監視の中、私だけの材料と、私だけ使うフライパン。
「時間、火加減、手際が命です。一度で覚えてくださいね」
バターを溶かし、卵液を沢山入れた。
「その量が一人分!?」
贅沢よね。
フライパンと菜箸(特注。兵士が削ってくれた)で揺り半熟にしたところで、全部投入してあった具入りトマト煮を落とし入れチーズを散らし、揺りサッと少しずつ包み込んだ。
「すっげー」
「え、アレ一度しか見せてもらえないの?」
サッと皿に盛った。
「おお~」
真ん中を割るとトロリと具が出てきた。
「中の卵は半生!?」
「これがいいのです。好みによりますね。
火を通し切った卵とは食感も味も違いますよ。
さて、警備兵のお二人は試食しますか?」
「「はいっ!」」
「あと1名」
2分待つと勝ち残ったのは茶碗蒸しで悶絶した人だった。
「あと一つは?」
「当然、私の分です」
そんな捨て犬みたいな顔しないで!
4等分に取り分けて試食した。
「どうぞ、お試しください」
三人「いただきます」
「あ、当然 熱いですよ」
「!!!!!!!」
また悶絶して涙流してる。
料理人なんだから熱いって分かるだろうに。
「ララ様!すっごく上手いです!」
「ララ様、半熟すごいです!」
「パンは入れても入れなくても。
硬くなったパンが勿体無いから入れただけですから。ショートパスタとかライスがあればそれでもいいですよ」
「ライス……」
「ショートパスタ……」
余計なことを言ったかな?
その後は綺麗に作れたのは料理長と警備兵のヘイリーさんだった。
「何で作れるんだよ」
「俺、料理好きだから」
「料理男子なんですね。綺麗にできてますね」
「もう警備兵止めて厨房来いよ」
「そうだよ。剣も包丁も同じ刃物だろう」
「仕事にするのはちょっと」
「何言ってるんだよ、成功者たった二人だぞ?王族の分を料理長一人で作れと?
作ってる間に最初の分が冷めちゃうだろう」
「確かに冷めたらまずいですけど、作れないなら他の物をお出しすればどうですか?」
「……もう言っちゃった」
「え?」
「新作出すって言っちゃった」
「 あ゛」
「ララちゃん、怖い!」
「ヘイリーさん、この馬鹿者達のために人肌脱いでやってもらえませんか。
そうですね、ここにいる料理人から徴収したお金で好きな食材を持って帰れるということでどうでしょう」
料理人達の顔が青くなった。
「いいのか?」
「大丈夫ですよ。陛下達はもう胃袋と涎の準備を整えているというのに、今から“できません”と言える強者が居れば別ですが……居ないようですからね」
「………」
「他の人たちは作業効率が良くなるように整えてください。
料理長は陛下、王太子殿下、王妃様
ヘイリーさんは王太子妃様とリュシアン殿下、私は父と兄の分を作ります。
副料理長とあと1名は私の側に来て見学してください」
食事開始間際に作り終えるように作って、急いで運んでもらった。
その後失敗作をみんなで食べることにした。
「確かに卵の出来で食感も味も違うな」
悶絶料理人と警備兵二人が食べながら感想を述べた。
「私達は成功例を食べてないから分からないです」
「副料理長の私も分からん。安心するがいい」
「お前達が出来るようにならないとお蔵入りだからな」
「料理長の仰る通りですよ。一度出してしまえば、言えば出てくるものだと思うのが普通ですから、それまでに習得しないと断り役をクジで決めることになりますよ」
「ヘイリー様!異動願を出してください!」
「そうだ、我らには救世主がいた!」
「嫌だよ」
「給料の交渉は受け付けるから」
「無理ですよ、料理長」
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