【完結】私が見つめていたのは貴方ではありません

ユユ

文字の大きさ
18 / 30

レオナード③ (☆)

しおりを挟む
【レオナード・デクスター】

私は彼女を知っていた。

第二王子殿下の婚約者選びの茶会で、どの令嬢よりも可憐で美しい少女だった。

付き添いの母君もかなりの美人だ。
あの一家は美男美女で有名だ。
しかも皆優秀だと聞いている。
 
あれから6年後、孤児院で再開した、
こんな素晴らしい令嬢が殿下との婚約に苦しんでいた。

ハミエルが、婚約解消になって傷物としていい縁談に恵まれなければ娶ると言い出した。

いや、娶るならお前ではなく……いや、私は何を考えているんだ。20近くも歳下の娘に。

アルゴスが飛びついたせいで眼鏡を落としたリリアーヌ嬢をみて衝撃が走った。
そうだ、昔、茶会で見た瞳だ
神秘の泉の様に透き通った瞳が輝いていた。

髪もカツラだった。
艶やかで手触りの良さそうな髪は昔よりも美しく見えた。



先程のハミエルの言葉が頭から離れない。
私がリリアーヌ嬢娶る可能性がゼロではないのか…。



晩餐後に伯爵家へ送る馬車の中で、月夜に照らされるリリアーヌ嬢を見て、彼女に女を感じていた。私の心と体は、彼女を抱きたいと言っていた。

初夜に殿下とリリアーヌ嬢が睦み合う想像をしてしまった。
強い怒りが込み上げる。
私はリリアーヌ嬢に惹かれたことを認めた。





王宮で、宰相補佐の肩書きを使い、あれこれ調べていた。
そんな時、宰相に呼ばれた。

「デクスター。目的はなんだ」

「…」

「気が付かないとでも思ったか」

「ニコラ王子殿下の素行をご存知ですか。
学園でどう過ごされているとか」

「知っている」

「ベロア伯爵令嬢が不憫です」

「それだけか」

「私は孤児院の件で彼女に大きな借りがあります」

「まぁ、そうだな。
だが、他にも理由があるのだろう?
例えばベロア伯爵令嬢を慕っているとか」

「何故ご存知なのですか」

「表情だよ」

「…」

「はぁ。解雇されたり投獄されたりしては令嬢が悲しむだろう。程々にしておけ。
伯爵は独自で学園内と外での行動を、人を雇って見張らせている。
生徒4人、用務員1人、掃除夫1人。
後は外に2、3人」

「そんなにですか」

「血は薄くなってはいるが、令嬢の瞳はある国の王族の象徴だ。あの瞳を持つ者は継承権を有することになる。
そんな娘に脅して婚約者にした挙句、蔑ろにして浮気三昧などと知れたら最悪戦争だ」

「まさか…」

「王族に産まれても瞳が違えば継承順位は下がる。彼女の瞳は特別なんだ。
不幸だと知ったら取り戻しに来るだろうな」

「でも私は…」

「だから、その書類を最後にしておけ。
私が不審に思って確かめさせたことにしておく。
令嬢を娶りたいなら他にやることがあるだろう。距離を詰めて心を手に入れろ。

あの家は令嬢が好きになればそれが全てだ。身綺麗にしておけば許しがでる」

「こんなに歳の差があってもですか?」

「勃つなら大丈夫だ」

「…」

「もうすぐ殿下の誕生日パーティーだ。動きそうだぞ。令嬢の心を掴め」

「ありがとうございます」




そして宰相の言う通りに話が進んだ。
見事に殿下有責の婚約破棄となった。

そしてリリアーヌ嬢はパーティーの夜から姿を偽らなくなった。心配で心配で仕方なかった。

破棄以降、リリアーヌ嬢は断らなくなった。
誘いも贈り物も。
嬉しそうに微笑むリリアーヌ嬢を見ることができて幸せだった。




婚約もしてもらったが、自信がなかった。
社交界でも、私が若い令嬢を騙して婚約させたとか嫉みのような噂が流れていた。

やはりそう思うよな。

たが、ある日突然流れが変わった。



「デクスター公爵!聞きましたぞ!
ベロア伯爵令嬢が公爵に8年も片思いしていたそうじゃないか!あんな美しい令嬢をそんなに待たせるなんて」

「私も聞きました。美女からの一途な好意を得るだけじゃなくて、ちゃんと返さないと」

「そうですぞ、公爵。早く安心させてやりなさい」

「はい」

どうなっているんだ!?



リリアーヌ嬢に話すと肯定された。

本当に?あの時から?


「レオナード様、私はレオナード様のもの。貴方だけに身を捧げます。
ですから、他の女性を抱かないでくださいませ」

何て可愛いことを言い出すんだ!

「私だけがレオナード様の愛を全て受け止めます」

もう、抑えられない。

リリアーヌ嬢に泊まるように言うと以前と違って、泊まってくれると言った。




その夜、私は大事に大事にリリアーヌを抱いた。

しっかり解したつもりだったが、初めてのリリアーヌは痛みで辛そうだった。

申し訳ないと思いつつも嬉しくてしかたがなかった。私だけのリリアーヌだという証拠だからだ。

途中で止めようと言ったがリリアーヌは

「止めないでください。レオナード様で満たされたいのです。
…できれば慣れるまで優しくしてください」

「愛してるよ、リリアーヌ。早く気持ち良くなって欲しい。私だけがこんなに気持ちいいのは不公平だからな」

「良かった。私の体で気持ち良くなってくださって。安心しました」

「リリアーヌ、そういうわけで、もう保たない」

「はい」



とんでもない気持ち良さと、充実感だった。
義務の閨と、愛ある閨はこんなに違うものなのか。

まだ足りないが、これ以上は可哀想だ。

湯で濡らしたタオルでリリアーヌの身体を拭く。秘部から大量の白濁が流れ出た。

嬉しくて処理をせず、軽く拭くだけにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】六歳下の幼馴染に溺れた夫。白い結婚を理由に離縁を申し立てたら、義弟(溺愛)に全力で求婚されました

恋せよ恋
恋愛
夫が愛でるのは、守ってあげたくなるような「可憐な少女」。 夫が疎むのは、正論で自分を追い詰める「完璧な妻」。 「シンシア、君はしっかりしているから、大丈夫だろう?」 六歳年下の幼馴染ジェニファー子爵令嬢を気遣う貴方。 私たちは、新婚初夜さえ済ませていないのよ? 完璧な家政、完璧な社交。私が支えてきたこの家から、 ニコラス、貴方って私がいなくなったらどうなるか……。 考えたこともないのかしら? 義弟シモンは、学生時代の先輩でもあるシンシアを慕い 兄ニコラスの態度と、幼馴染ジェニファーを嫌悪する。 泣いて縋るあざとい少女と、救世主気取りの愚かな夫。 そして、義姉であるシンシアを慕うシモン。 これは、誇り高き伯爵夫人、シンシアの物語である。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

妹を選んで婚約破棄した婚約者は、平民になる現実を理解していなかったようです

藤原遊
恋愛
跡継ぎとして育てられた私には、将来を約束された婚約者がいた。 ――けれど彼は、私ではなく「妹」を選んだ。 妹は父の愛人の子。 身分も立場も分かったうえでの選択だと思っていたのに、 彼はどうやら、何も理解していなかったらしい。 婚約を破棄し、妹と結ばれた彼は、 当然のように貴族の立場を失い、平民として生きることになる。 一方で、妹は覚悟を決めて現実に向き合っていく。 だが彼だけが、最後まで「元に戻れる」と信じ続けていた。 これは、誰かが罰した物語ではない。 ただ、選んだ道の先にあった現実の話。 覚悟のなかった婚約者が、 自分の選択と向き合うまでを描いた、静かなざまぁ物語。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

婚約破棄された公爵令嬢ですが、戻らなかっただけです

鷹 綾
恋愛
王太子カイル殿下から、社交界の場で婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リュシエンヌ。 理由は―― 「王太子妃には華が必要だから」。 新たに選ばれたのは、愛らしく無邪気な義妹セシリア。 誰もが思った。 傷ついた令嬢は泣き、縋り、やがて戻るのだと。 けれどリュシエンヌは、ただ一言だけ告げる。 「戻りません」 彼女は怒らない。 争わない。 復讐もしない。 ただ――王家を支えるのをやめただけ。 流通は滞り、商会は様子を見始め、焦った王太子は失点を重ねる。 さらに義妹の軽率な一言が決定打となり、王太子妃候補の座は静かに消えた。 強いざまあとは、叫ぶことではない。 自らの選択で、自らの立場を削らせること。 そして彼女は最後まで戻らない。 支えない。 奪わない。 ――選ばれなかったのではない。 彼女が、選ばなかったのだ。 これは、沈黙で勝つ公爵令嬢の物語。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました

鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」 そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。 王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。 私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。 けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。 華やかな王宮。 厳しい王妃許育。 揺らぐ王家の威信。 そして――王子の重大な過ち。 王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。 離縁を望んでも叶わない義妹。 肩書きを失ってなお歩き直す王子。 そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。 ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。 婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。

妹の方が好きらしい旦那様の前からは、家出してあげることにしました

睡蓮
恋愛
クレアとの婚約関係を結んでいたリビドー男爵は、あるきっかけからクレアの妹であるレイアの方に気持ちを切り替えてしまう。その過程で、男爵は「クレアがいなくなってくれればいいのに」とつぶやいてしまう。その言葉はクレア本人の耳に入っており、彼女はその言葉のままに家出をしてしまう。これで自分の思い通りになると喜んでいた男爵だったのだが…。

私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません

藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は 愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。 夫が愛人を持つことも、 その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。 けれど―― 跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。 その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。 私は悟ったのだ。 この家では、息子を守れないと。 元々、実家との間には 「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。 ならば話は簡単だ。 役目を終えた私は、離縁を選ぶ。 息子と共に、この家を去るだけ。 後悔しているようですが―― もう、私の知るところではありません。

処理中です...