21 / 173
仕事道具
しおりを挟む
お昼前になるとバーンズ卿が迎えにきた。
「おっ、頑張ってるね」
「お疲れ様です」
「エプロン姿も可愛いな」
「へへっ」
バーンズ卿が優しく頭を撫でる。
「じゃあ食堂に行こうか」
別棟にある食堂は騎士団専用の食堂で、1階は王宮騎士、2階は近衛騎士用になっていた。1階で注文すると番号を渡されて2階で待つ。配膳係が2階に持ってきて番号を呼ぶ。手を上げると席まで持ってきてくれる。
私はチラッと王宮騎士達が食べている物を見て、注文した。
「Dランチで少なめにしてください」
「ははっ、お嬢さんには多いからね」
「お願いします」
2階に移動して待つ。すぐに持ってきてくれた。
「アネットは魚好き?」
「はい。お肉の献立が多いので魚を見ると注文しちゃいます」
「そうか。ゆっくり食べていいからな」
「ありがとうございます」
食べてる間に私を見つけた第三の人が次々と私達の近くに座った。
「エプロン姿、可愛い」
「鎧も可愛かったけどな」
「ちっちゃい鎧騎士な、時々見たいな」
「転んだ時も可愛かったな~」
「ジタバタしてたからな。あんな姿で胸がキュンとなるとは思わなかったな」
「隊長の慌てようがまた面白かったな」
「恥ずかしいです」
「量、少ないな。足りるのか?」
「女の子はこんなもんだろう」
「カトラリーがアネットには大きいな。うちの子と同じのを買ってきてあげようか」
「お前んところの子は4、5歳だろう」
「だってこんなにちっちゃい口だぞ?」
「確かに」
「お前達、あまり見るな。アネットが食べ辛いだろう」
「は~、アネットと食事ができて幸せだ。
癒されるし、午後も頑張れるよ」
「週2だっけ。毎日来ないの?」
「今度ナイフの使い方を教えてあげるよ」
「お兄ちゃん、お兄様、兄上、兄貴…どれかで呼んでみてくれない?」
「お兄ちゃん…」
「っ! 後で小遣いあげるからな」
「ニコラス!余計なことをするな!」
「え~、副隊長~」
「駄目だ!」
「ふふっ」
「笑った……天使!」
「お前達、早く食べてどっか行け」
「嫌ですよ。なんですか自分だけ」
午後も執務室の掃除をする。
午前と午後に2時間半ずつ働いた。
「おっ、綺麗になったな。時間だから帰っていいぞ」
「お先に失礼します」
「待て、送って行く」
「送られる下っ端なんていませんよ」
「まだ慣れないだろう。それに騎士だらけだからな」
「騎士だらけなら安全じゃないですか」
「騎士は職業で中身は男だ。安全とは言い切れない。忘れ物はないか」
「はい」
結局馬車に乗るまでついてきてくれた。
屋敷に着くとちょうどお茶の時間だった。
「どうだった?」
「楽しかったです。今日は執務室の掃除をしていました」
「そう。手にクリームを塗っておきなさい」
「ヒューゼル隊長が仕事後につけろとハンドクリームをくださいました」
「流石だわ」
「皆優しくしてくださるので嬉しいです」
「そう。怪我だけはしないようにね」
「はい」
翌日は歩きやすい靴を求めて買い物に行った。
「こちらなら疲れにくいと思います」
「汚れを防ぐものはあるかしら」
「このクリームを塗って磨けば大体の汚れは防ぎます」
「皮以外のものに使えますか。鎧とか」
「はい。最後にしっかりと乾拭きなさってください」
「あのブラシは何ですか」
「靴裏の掃除に使います」
「靴を2足とブラシ3つ、防汚クリームを10個ください。
領収書とは別に品名と単価も書いてくださいますか」
「かしこまりました」
お菓子屋さんに行ってみた。
「綺麗」
綺麗な瓶に赤、ピンク、黄、緑、紫、青?
「これ飴ですよね、青っぽいのは何ですか」
「ミントです。疲労回復の薬草入りです。2つを混ぜると何故か青くなるんです」
「味はどうなるのですか」
「レモンとミントを合わせた味です。試食なさいますか」
「お願いします」
「どうぞ」
「!! おいひいわ」
「それは良かったです」
ミックス瓶ひとつと、青玉のみの瓶をひとつ購入した。
出勤日、大きな手提げ袋を抱えて歩いていると手提げを取り上げられた。
「あっ」
「おはよう」
「!! おはようございます!」
「何これ」
「仕事道具です」
「ふ~ん。まだ時間があるからきてくれる?」
「はい」
荷物を持ってくれたのは第一の副隊長だった。
彼の名はレヴィン・バトラーズ、公爵家の次期当主だ。
「座って。お茶を入れよう」
「私がやります」
「いい子だね。お願いしようか」
ううっ…緊張するな。
「どうぞ」
「いただくよ」
大丈夫かな。
「美味しいよ。そんなに緊張しないでくれ」
「は、はい」
「仕事道具の説明をしてくれるかな」
「はい。
これは靴の底を綺麗にするためのブラシで、
これは防汚クリームで靴や鎧に使えます。
飴は気分転換と疲労回復です」
「疲労回復?」
「この、青っぽい飴はミントと疲労回復効果のある薬草が入っているんです。あと少し塩も入っています。味はミントレモンです」
「何故これを?」
「騎士は練習中に沢山汗をかきます。
失った塩分も補給できていいかなと思いました。任務でも夏場は特に大変ですから。
クタクタで動きたくなくてもパッと飴を手にして口に入れるだけです。口の中もさっぱりします」
「成程。2つ貰えないか」
「こちらの10個入りをお渡しします」
「用意がいいね。君が関係する店なのか?」
「いえ、一昨日靴を買いに街に行った時に通りかかったお店で買いました。伯爵家で使ったことがあるかもしれませんが、個人的には知らないお店です」
「じゃあどうして?」
「バトラーズ副隊長のように別の隊で興味を示すかもと思い、念のために第一と第二の試食も用意したのです。興味を示さなければ第三か屋敷で消費すればいいだけですから」
「ブラシは試した?」
「少し硬いブラシで溝の汚れが落ちやすいです。挟まった小石はブラシでは取れません」
「防汚クリームは?」
「うちの騎士の鎧で試しました。最後に丁寧な乾拭きが必要です。効果はまだ実験中です」
「実験?」
「古い鎧をバラして環境別に置いています。
庭、浴室、厨房、馬車の側面です。
それぞれ環境下でどの程度効果があるのか実験しています。
まだ一昨日の夜に設置したので分かりませんか1週間から10日はそのままにしてみようと思っています」
「9日後までいじらないでくれ。この目で見たい」
「9日後にお持ちします」
「私が行く」
「うちにですか!?」
「嫌か」
「い、いえ、滅相もありません」
「本当に可愛いな」
「はい?」
「価格は覚えているのか」
「お店の名前、住所、商品名、単価は書き控えてあります」
「完璧だ」
そう言いながらグリグリと頭を撫でられた。
「戻っていいぞ」
「片付けを」
「いい。行かないと遅刻する」
「すみません。失礼します」
「おっ、頑張ってるね」
「お疲れ様です」
「エプロン姿も可愛いな」
「へへっ」
バーンズ卿が優しく頭を撫でる。
「じゃあ食堂に行こうか」
別棟にある食堂は騎士団専用の食堂で、1階は王宮騎士、2階は近衛騎士用になっていた。1階で注文すると番号を渡されて2階で待つ。配膳係が2階に持ってきて番号を呼ぶ。手を上げると席まで持ってきてくれる。
私はチラッと王宮騎士達が食べている物を見て、注文した。
「Dランチで少なめにしてください」
「ははっ、お嬢さんには多いからね」
「お願いします」
2階に移動して待つ。すぐに持ってきてくれた。
「アネットは魚好き?」
「はい。お肉の献立が多いので魚を見ると注文しちゃいます」
「そうか。ゆっくり食べていいからな」
「ありがとうございます」
食べてる間に私を見つけた第三の人が次々と私達の近くに座った。
「エプロン姿、可愛い」
「鎧も可愛かったけどな」
「ちっちゃい鎧騎士な、時々見たいな」
「転んだ時も可愛かったな~」
「ジタバタしてたからな。あんな姿で胸がキュンとなるとは思わなかったな」
「隊長の慌てようがまた面白かったな」
「恥ずかしいです」
「量、少ないな。足りるのか?」
「女の子はこんなもんだろう」
「カトラリーがアネットには大きいな。うちの子と同じのを買ってきてあげようか」
「お前んところの子は4、5歳だろう」
「だってこんなにちっちゃい口だぞ?」
「確かに」
「お前達、あまり見るな。アネットが食べ辛いだろう」
「は~、アネットと食事ができて幸せだ。
癒されるし、午後も頑張れるよ」
「週2だっけ。毎日来ないの?」
「今度ナイフの使い方を教えてあげるよ」
「お兄ちゃん、お兄様、兄上、兄貴…どれかで呼んでみてくれない?」
「お兄ちゃん…」
「っ! 後で小遣いあげるからな」
「ニコラス!余計なことをするな!」
「え~、副隊長~」
「駄目だ!」
「ふふっ」
「笑った……天使!」
「お前達、早く食べてどっか行け」
「嫌ですよ。なんですか自分だけ」
午後も執務室の掃除をする。
午前と午後に2時間半ずつ働いた。
「おっ、綺麗になったな。時間だから帰っていいぞ」
「お先に失礼します」
「待て、送って行く」
「送られる下っ端なんていませんよ」
「まだ慣れないだろう。それに騎士だらけだからな」
「騎士だらけなら安全じゃないですか」
「騎士は職業で中身は男だ。安全とは言い切れない。忘れ物はないか」
「はい」
結局馬車に乗るまでついてきてくれた。
屋敷に着くとちょうどお茶の時間だった。
「どうだった?」
「楽しかったです。今日は執務室の掃除をしていました」
「そう。手にクリームを塗っておきなさい」
「ヒューゼル隊長が仕事後につけろとハンドクリームをくださいました」
「流石だわ」
「皆優しくしてくださるので嬉しいです」
「そう。怪我だけはしないようにね」
「はい」
翌日は歩きやすい靴を求めて買い物に行った。
「こちらなら疲れにくいと思います」
「汚れを防ぐものはあるかしら」
「このクリームを塗って磨けば大体の汚れは防ぎます」
「皮以外のものに使えますか。鎧とか」
「はい。最後にしっかりと乾拭きなさってください」
「あのブラシは何ですか」
「靴裏の掃除に使います」
「靴を2足とブラシ3つ、防汚クリームを10個ください。
領収書とは別に品名と単価も書いてくださいますか」
「かしこまりました」
お菓子屋さんに行ってみた。
「綺麗」
綺麗な瓶に赤、ピンク、黄、緑、紫、青?
「これ飴ですよね、青っぽいのは何ですか」
「ミントです。疲労回復の薬草入りです。2つを混ぜると何故か青くなるんです」
「味はどうなるのですか」
「レモンとミントを合わせた味です。試食なさいますか」
「お願いします」
「どうぞ」
「!! おいひいわ」
「それは良かったです」
ミックス瓶ひとつと、青玉のみの瓶をひとつ購入した。
出勤日、大きな手提げ袋を抱えて歩いていると手提げを取り上げられた。
「あっ」
「おはよう」
「!! おはようございます!」
「何これ」
「仕事道具です」
「ふ~ん。まだ時間があるからきてくれる?」
「はい」
荷物を持ってくれたのは第一の副隊長だった。
彼の名はレヴィン・バトラーズ、公爵家の次期当主だ。
「座って。お茶を入れよう」
「私がやります」
「いい子だね。お願いしようか」
ううっ…緊張するな。
「どうぞ」
「いただくよ」
大丈夫かな。
「美味しいよ。そんなに緊張しないでくれ」
「は、はい」
「仕事道具の説明をしてくれるかな」
「はい。
これは靴の底を綺麗にするためのブラシで、
これは防汚クリームで靴や鎧に使えます。
飴は気分転換と疲労回復です」
「疲労回復?」
「この、青っぽい飴はミントと疲労回復効果のある薬草が入っているんです。あと少し塩も入っています。味はミントレモンです」
「何故これを?」
「騎士は練習中に沢山汗をかきます。
失った塩分も補給できていいかなと思いました。任務でも夏場は特に大変ですから。
クタクタで動きたくなくてもパッと飴を手にして口に入れるだけです。口の中もさっぱりします」
「成程。2つ貰えないか」
「こちらの10個入りをお渡しします」
「用意がいいね。君が関係する店なのか?」
「いえ、一昨日靴を買いに街に行った時に通りかかったお店で買いました。伯爵家で使ったことがあるかもしれませんが、個人的には知らないお店です」
「じゃあどうして?」
「バトラーズ副隊長のように別の隊で興味を示すかもと思い、念のために第一と第二の試食も用意したのです。興味を示さなければ第三か屋敷で消費すればいいだけですから」
「ブラシは試した?」
「少し硬いブラシで溝の汚れが落ちやすいです。挟まった小石はブラシでは取れません」
「防汚クリームは?」
「うちの騎士の鎧で試しました。最後に丁寧な乾拭きが必要です。効果はまだ実験中です」
「実験?」
「古い鎧をバラして環境別に置いています。
庭、浴室、厨房、馬車の側面です。
それぞれ環境下でどの程度効果があるのか実験しています。
まだ一昨日の夜に設置したので分かりませんか1週間から10日はそのままにしてみようと思っています」
「9日後までいじらないでくれ。この目で見たい」
「9日後にお持ちします」
「私が行く」
「うちにですか!?」
「嫌か」
「い、いえ、滅相もありません」
「本当に可愛いな」
「はい?」
「価格は覚えているのか」
「お店の名前、住所、商品名、単価は書き控えてあります」
「完璧だ」
そう言いながらグリグリと頭を撫でられた。
「戻っていいぞ」
「片付けを」
「いい。行かないと遅刻する」
「すみません。失礼します」
194
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは、聖女。
――それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王によって侯爵領を奪われ、没落した姉妹。
誰からも愛される姉は聖女となり、私は“支援しかできない白魔導士”のまま。
王命により結成された勇者パーティ。
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い。
そして――“おまけ”の私。
前線に立つことも、敵を倒すこともできない。
けれど、戦場では支援が止まれば人が死ぬ。
魔王討伐の旅路の中で知る、
百年前の英雄譚に隠された真実。
勇者と騎士、弓使い、そして姉妹に絡みつく過去。
突きつけられる現実と、過酷な選択。
輝く姉と英雄たちのすぐ隣で、
「支えるだけ」が役割と思っていた少女は、何を選ぶのか。
これは、聖女の妹として生きてきた“おまけ”の白魔導士が、
やがて世界を支える“要”になるまでの物語。
――どうやら、私がいないと世界が詰むようです。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー編 32話
第二章:討伐軍編 32話
第三章:魔王決戦編 36話
※「カクヨム」、「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる