52 / 173
新たな生活
しおりを挟む
サックス男爵領の海に近い場所にある屋敷を購入した。
使用人が決まるまで宿に泊まろうと思っていたが、ハヴィエル様の使いが宿まで迎えに来てサルト邸に滞在するように言われた。
「次」
「パメラと申します、爵位のあるお屋敷は初めてですが、」
「次」
「レイラと申します、男爵様、私は、」
「次」
「フィンネル様、私はメリンダと申します。お目にかかれて光栄です。仕事は始めてですが家事は全般的にこなせます。
働きに出ている両親の代わりに弟妹達の面倒を見ながら、」
「残ってくれ。隣の部屋へ。
次 」
こんな感じでハヴィエル様が面接に付き添い話を全部聞くこともなく追い返してしまう。
「ハヴィエル様? 残ったのは二名ですよ?
もう少し話を聞かないとわからないじゃないですか」
「あれだけでも如実に現れているんだよ。主人を主人だと思おうとしない者、若い君を掌で転がそうと目論んでいる者、主人である君との面接なのに私に色目を使う者、能力の無い者がね」
「また募集しないと」
「急ぐ必要はない。間違った者を選ぶ方が何百倍もまずい。
君は無防備なのだから。
安全で仕事が普通以上にできる者を探そう。いなければうちから派遣する」
「そんなご迷惑はかけられませんわ。ここにいる皆さんはサルト家に仕えたくて懸命に働いていらっしゃるのです。
それに掃除も洗濯もできますし、食事も簡単なものなら作れます。剣を持ったり修理をしたり馬を扱うことはできませんけど」
「アネット、最初が肝心なんだ。余計な侵入者を許せば善良な使用人まで被害に遭うんだ」
「ハヴィエル様…」
「アネット様、私達からもお願いします。安全な使用人が揃うまでサルト邸にいてくださいませ。受かった者はこちらで預かって、若い女主人に仕えられるよう教育しますので。
このままあのお屋敷にアネット様を送り出せば、心配で心配で夜は眠れずクマができ、食事も喉を通らず痩せ細り、旦那様の胃に穴があいてしまいます」
「オルガさんは大袈裟ね」
「アネット様、大袈裟ではございません。
我が主人は執務も放り出して応募書類を何度も読めと命じました。お陰様で暗唱できそうです。
このままでは私達も安心できません。
最善の人員が決まるまでサルト邸に滞在すると約束なさってください。お願いします」
「わ、わかったわ。ジェキンスさん。約束します」
「ありがとうございます。
さて、廊下で息を潜めている仲間達に知らせないとなりませんので失礼します」
「私は隣の二名に確認をして帰します。明日以降から教育を始めると伝えますので旦那様のことをお願いします」
「お願いします」
メイド長のオルガさんと執事のジェキンスさんが退出した。
「ハヴィエル様、お茶を淹れ直しますね」
「ありがとう」
ここで過ごして数日だけど使用人達がいかにハヴィエル様を敬い支えているのかが分かる。
ハヴィエル様自身がやり手だ。
きっと視覚以外のものが敏感なのだろう。
入室して早々に追い出した女性がいたが、少しすると香水が香った。
『私、臭くありませんか?臭かったら我慢せず言ってください』
『バカなことを言い出したな』
『だって……』
『さっきの女を追い出したからか?』
『でも臭いなんて言われたら立ち直れない』
『アネット、おいで』
『嫌です』
『アネット、お願いだ』
ハヴィエル様はずるい人だ。私がハヴィエル様の“お願い”に弱いことを知っていて弱々しく言葉にするのだ。
側に立つとハヴィエル様は立ち上がり、私の手を掴むと首に鼻を寄せた。
『やっ、くすぐったいです!』
『アネットのいい匂いがする』
『揶揄わないでください!』
こんな感じで彼の方が私を掌で転がすのだ。
領地は小さめらしいがとても豊かで道も整備されている。店も賑わい町の路地を覗いても路上生活者などはおらず、町兵が街を巡回していた。
「アネット?」
「あ、すみません。ボーッとしてしまって」
「想い残しか?」
「いえ。ちゃんと昔には別れを告げて来ました。こちらで何か趣味か仕事でも見つけないととは思っています」
「仕事?」
「お金を得るためではなく、時間の消費と言いますか。屋敷でやることがありません。
それこそメイドや庭師の仕事を取ることになります」
「やることか。裁縫や刺繍はできる?」
「えっ……習いました。できると言ってはいけない気がしますけど……笑わないでくださるなら」
「可愛いな」
「なんですかっ」
「ハハッ」
「だって先生が、」
「先生が?」
「私の考える図案は壊滅的だと」
「見てみたいな」
「顔が笑ってます!」
「図案があれば問題ないんじゃないか?」
「それがついつい本能が邪魔をしまして」
「言うことを聞かない娘だったんだな?」
「流石に恩人へのお礼の刺繍は我慢をして剣の絵の刺繍をしました」
「近衛?」
「はい。直属の上官で恩人達です」
「(あの男ではないのだな)」
「えっ」
「何でもない。趣味としてやりたいことは無いのか?」
「乗馬ができるようになれば便利かなと」
「便利?」
「馬に乗って何処へでも行けますから」
「何処に行く気だ」
「ハヴィエル様?」
「アネット、危ないよ。馬だって怪我をしたり病気もする。何日も歩いたり野宿が出来るのが基本だ。誰かが通りかかって助けてくれると言っても、人気のない場所、馬車の中、家の中で豹変する。
体を奪うか、金品を奪うか、命を奪うか、全部か。その日だけか、何日間か何年もか」
「……」
「この領地でさえ、そういう被害者がいたんだ。父の代でも私の代でも。
私はこの領地ではそれが無くなるよう頑張っているつもりだが確実とは言えない。
人の欲とはいつも持ち合わせる場合もあれば突然湧き上がる場合もある。
本人でさえ予期せず制御できない欲に取り憑かれ己の中の悪魔を見る」
「ハヴィエル様も?」
「理性は保つようにしているよ。
……怖くなった?」
「少し」
「その調子で警戒してくれ」
「揶揄ったのね!」
「クッキーが食べたい」
「えっ、クッキー……ジャム付きとナッツ入りがあります」
「ナッツ入りがいいな」
「はい、あ~ん」
「……うまい」
「料理人に言わないとね」
「そうだな。
飲み終わったら散歩に連れ出してくれ」
「喜んで」
使用人が決まるまで宿に泊まろうと思っていたが、ハヴィエル様の使いが宿まで迎えに来てサルト邸に滞在するように言われた。
「次」
「パメラと申します、爵位のあるお屋敷は初めてですが、」
「次」
「レイラと申します、男爵様、私は、」
「次」
「フィンネル様、私はメリンダと申します。お目にかかれて光栄です。仕事は始めてですが家事は全般的にこなせます。
働きに出ている両親の代わりに弟妹達の面倒を見ながら、」
「残ってくれ。隣の部屋へ。
次 」
こんな感じでハヴィエル様が面接に付き添い話を全部聞くこともなく追い返してしまう。
「ハヴィエル様? 残ったのは二名ですよ?
もう少し話を聞かないとわからないじゃないですか」
「あれだけでも如実に現れているんだよ。主人を主人だと思おうとしない者、若い君を掌で転がそうと目論んでいる者、主人である君との面接なのに私に色目を使う者、能力の無い者がね」
「また募集しないと」
「急ぐ必要はない。間違った者を選ぶ方が何百倍もまずい。
君は無防備なのだから。
安全で仕事が普通以上にできる者を探そう。いなければうちから派遣する」
「そんなご迷惑はかけられませんわ。ここにいる皆さんはサルト家に仕えたくて懸命に働いていらっしゃるのです。
それに掃除も洗濯もできますし、食事も簡単なものなら作れます。剣を持ったり修理をしたり馬を扱うことはできませんけど」
「アネット、最初が肝心なんだ。余計な侵入者を許せば善良な使用人まで被害に遭うんだ」
「ハヴィエル様…」
「アネット様、私達からもお願いします。安全な使用人が揃うまでサルト邸にいてくださいませ。受かった者はこちらで預かって、若い女主人に仕えられるよう教育しますので。
このままあのお屋敷にアネット様を送り出せば、心配で心配で夜は眠れずクマができ、食事も喉を通らず痩せ細り、旦那様の胃に穴があいてしまいます」
「オルガさんは大袈裟ね」
「アネット様、大袈裟ではございません。
我が主人は執務も放り出して応募書類を何度も読めと命じました。お陰様で暗唱できそうです。
このままでは私達も安心できません。
最善の人員が決まるまでサルト邸に滞在すると約束なさってください。お願いします」
「わ、わかったわ。ジェキンスさん。約束します」
「ありがとうございます。
さて、廊下で息を潜めている仲間達に知らせないとなりませんので失礼します」
「私は隣の二名に確認をして帰します。明日以降から教育を始めると伝えますので旦那様のことをお願いします」
「お願いします」
メイド長のオルガさんと執事のジェキンスさんが退出した。
「ハヴィエル様、お茶を淹れ直しますね」
「ありがとう」
ここで過ごして数日だけど使用人達がいかにハヴィエル様を敬い支えているのかが分かる。
ハヴィエル様自身がやり手だ。
きっと視覚以外のものが敏感なのだろう。
入室して早々に追い出した女性がいたが、少しすると香水が香った。
『私、臭くありませんか?臭かったら我慢せず言ってください』
『バカなことを言い出したな』
『だって……』
『さっきの女を追い出したからか?』
『でも臭いなんて言われたら立ち直れない』
『アネット、おいで』
『嫌です』
『アネット、お願いだ』
ハヴィエル様はずるい人だ。私がハヴィエル様の“お願い”に弱いことを知っていて弱々しく言葉にするのだ。
側に立つとハヴィエル様は立ち上がり、私の手を掴むと首に鼻を寄せた。
『やっ、くすぐったいです!』
『アネットのいい匂いがする』
『揶揄わないでください!』
こんな感じで彼の方が私を掌で転がすのだ。
領地は小さめらしいがとても豊かで道も整備されている。店も賑わい町の路地を覗いても路上生活者などはおらず、町兵が街を巡回していた。
「アネット?」
「あ、すみません。ボーッとしてしまって」
「想い残しか?」
「いえ。ちゃんと昔には別れを告げて来ました。こちらで何か趣味か仕事でも見つけないととは思っています」
「仕事?」
「お金を得るためではなく、時間の消費と言いますか。屋敷でやることがありません。
それこそメイドや庭師の仕事を取ることになります」
「やることか。裁縫や刺繍はできる?」
「えっ……習いました。できると言ってはいけない気がしますけど……笑わないでくださるなら」
「可愛いな」
「なんですかっ」
「ハハッ」
「だって先生が、」
「先生が?」
「私の考える図案は壊滅的だと」
「見てみたいな」
「顔が笑ってます!」
「図案があれば問題ないんじゃないか?」
「それがついつい本能が邪魔をしまして」
「言うことを聞かない娘だったんだな?」
「流石に恩人へのお礼の刺繍は我慢をして剣の絵の刺繍をしました」
「近衛?」
「はい。直属の上官で恩人達です」
「(あの男ではないのだな)」
「えっ」
「何でもない。趣味としてやりたいことは無いのか?」
「乗馬ができるようになれば便利かなと」
「便利?」
「馬に乗って何処へでも行けますから」
「何処に行く気だ」
「ハヴィエル様?」
「アネット、危ないよ。馬だって怪我をしたり病気もする。何日も歩いたり野宿が出来るのが基本だ。誰かが通りかかって助けてくれると言っても、人気のない場所、馬車の中、家の中で豹変する。
体を奪うか、金品を奪うか、命を奪うか、全部か。その日だけか、何日間か何年もか」
「……」
「この領地でさえ、そういう被害者がいたんだ。父の代でも私の代でも。
私はこの領地ではそれが無くなるよう頑張っているつもりだが確実とは言えない。
人の欲とはいつも持ち合わせる場合もあれば突然湧き上がる場合もある。
本人でさえ予期せず制御できない欲に取り憑かれ己の中の悪魔を見る」
「ハヴィエル様も?」
「理性は保つようにしているよ。
……怖くなった?」
「少し」
「その調子で警戒してくれ」
「揶揄ったのね!」
「クッキーが食べたい」
「えっ、クッキー……ジャム付きとナッツ入りがあります」
「ナッツ入りがいいな」
「はい、あ~ん」
「……うまい」
「料理人に言わないとね」
「そうだな。
飲み終わったら散歩に連れ出してくれ」
「喜んで」
206
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは、聖女。
――それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王によって侯爵領を奪われ、没落した姉妹。
誰からも愛される姉は聖女となり、私は“支援しかできない白魔導士”のまま。
王命により結成された勇者パーティ。
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い。
そして――“おまけ”の私。
前線に立つことも、敵を倒すこともできない。
けれど、戦場では支援が止まれば人が死ぬ。
魔王討伐の旅路の中で知る、
百年前の英雄譚に隠された真実。
勇者と騎士、弓使い、そして姉妹に絡みつく過去。
突きつけられる現実と、過酷な選択。
輝く姉と英雄たちのすぐ隣で、
「支えるだけ」が役割と思っていた少女は、何を選ぶのか。
これは、聖女の妹として生きてきた“おまけ”の白魔導士が、
やがて世界を支える“要”になるまでの物語。
――どうやら、私がいないと世界が詰むようです。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー編 32話
第二章:討伐軍編 32話
第三章:魔王決戦編 36話
※「カクヨム」、「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる