【完結】ずっと好きだった

ユユ

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ロランの引越し

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「頭皮に少し裂傷が出来ました。念の為縫いました。
脳震盪だと思います。三日はベッドで安静にさせてください。
抜糸まで大人しくさせてください」



医師が去り、シーナの様子を見に陛下がやってきた。

「可哀想に。まだこんなに小さいのに。

ロラン、お前の説明で間違いないな?」

「はい。

お花を見て戻る途中、いきなりあの令嬢が手を握り“ロラン様”と言ったので、振り払い押しました。
すごく嫌だったんです」

「シーナは何もしていないのだな?」

「はい。触っても、一言も口を聞いても無いです」

「で、いきなり夫人が殴ったわけだな」

「はい。シーナのうちについて酷いことを口にしていました」

「アネット、サルト殿、来てくれ」

「アーノルド、任せていい?」

「お任せください」


子供達を任せて隣の部屋に入った。

「アネット、サルト殿。加害者のことだが、」

言い辛そうにする陛下を促した。

「大丈夫です。仰ってください」

「サックス侯爵夫人と実子の令嬢だった」

テオの奥様と子……

「どの様な罰を与えたい?」

「私は関わりたくありません。
二度とサルト家に近寄らないと誓わせて釈放してください」

真っ先に答えたのはハヴィエル様だった。

「アネットは」

「私も、その様にお願いします」

「任せてくれ」

「感謝いたします」



シーナの部屋に戻るとロランが寄ってきた。

「アネット様、ハヴィエル様、僕のせいでシーナが怪我をして…ごめんなさい」

「ロランのせいじゃない。だが、女の子は押したら駄目だ」

「はい」

「ロラン、滞在が長くなりそうだからシーナのお友達になってあげてね」

「はい!荷物を取ってきます!」

「「えっ!?」」

よく分からないことを言って部屋を飛び出してしまった。

家族だけになったところで、

「ミーシェ、ナイフは投げるな」

「? ナイフ以外ならいいの?」

「そうじゃない」

「だって、私の大事な妹に手を出したのだから……。

のに」

「「………」」

「父上、それであの人はどうなるのですか」

「ライアン。よくやった。

あそこの家門はアネットの親戚で、アネットとご主人が従兄妹なんだ。

だから、今回は厳重注意にした」

「えっ」

「夫人の旦那様は子供の頃から大人になるまでずっと私を守ってくれた人なの。チャンスをあげないと」

「でもシーナが、」

「ミーシェ、あれだけのことを公でやってしまっては無事では済まないよ。
私達が罰しなくても咎めを受けるものなんだ」

「分かった」

「ありがとうミーシェ。ライアン、本当によくやった」



私はハヴィエル様にしがみ付いた。
ハヴィエル様と結婚して良かった。



カートに荷物を沢山乗せたメイドと戻ったロランは部屋の収納に荷物をしまい、ぬいぐるみをシーナの枕元においた。

「あと、可愛い花を飾ってあげて」

「かしこまりました」

そしてテーブルで勉強を始めたようだ。

「ロラン、部屋に戻って勉強したら?」

「僕、ここで暮らすから気にしないでください。お友達のお世話をします!」

余計なことを言ったかもしれないと思った。
だが四歳児と五歳児だからと受け入れた。

その後、ステファニーとシオンとエヴァンが見舞いに来てくれた。

「しばらくいるのだから、二人もエヴァンと一緒に授業を受けないか?」

「ご迷惑では」

「迷惑じゃありません!」

嬉しさを隠しきれないエヴァンが否定した。

「どうする?」

「ご厚意に感謝します」

「半日は第四といたいです」

「じゃあ、明日から。時間割りと必要な物は届けさせるし、明日から迎えを来させるから」

「ありがとうございます」

「アネット、ハヴィエル様、ロランの巻き添えにしてしまってごめんなさい」

「あれが私の親戚になったとは、驚いたわ」

「テオドールが表立って動けない様にお父様が考えてくださったから。

シーナが起きて痛がったり、何か欲しがったら遠慮なく言ってね」

「そうするわ」



二時間ほどでシーナが目を覚ました。
頬は少し、頭が痛いと言っていたが騒ぐことはない。

「うさぎさん……」

「シーナのウサギだよ」

「いいの?」

「反対側にはクマがいるよ」

「くまさん……ありがとうロラン」


夜はステファニーが迎えにきたがシーナと寝るときかず、

「夜中に起きて寂しかったら可哀想」

話し合った結果、チビ同士だからと許可をした。

ロランはシーナに絵本を読みながら寝てしまった。
続きをハヴィエル様が読んで、シーナが寝たところで部屋を出た。



「ハヴィエル様」

「ん?」

「ハヴィエル様と結婚できて幸です」

「私も幸せだ」

「あっ、しばらくダメ」

「アネット?」

「シーナがいつ呼ぶか分かりませんから」

「………」














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