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選択科目
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2日後。
「何やってるんですか先生」
「何がだ」
「何でAクラスの人達と一緒なんですか」
「選択科目だからだ。書いてあったろう」
「……私のことは名前で呼ばないでください。
オイとか、お前とかでいいですから」
「お前の友達にも言っておくんだな。
ソレ、外さないつもりか」
「目にゴミが入ったら危険ですからね」
「ゴミが危険なら乗馬は崖っぷちで逆立ちするくらい危険だ」
「先生、私にだけ容赦ない気がします」
「親身といえ」
「やっぱり求婚、」
「違う!」
初回は馬を撫でたり手入れをしたり厩舎の掃除をすることになった。
私はAクラスが行きそうにない厩舎掃除にした。
「リヴィア、ゴーグルずっとつけてるな」
「ティエリー、私は存在しないの。名前で呼ばないで」
「ハニー」
「怒られる」
「ボス」
「何で」
「何がいいんだ?」
「“ねえ”とか“オイ”とか“お前”とか“君”とか」
「リヴィアにそんな呼び方したら私の印象が悪くなる」
「うっ、そうよね。ごめんなさい」
「あ~、隠れているつもりなんだな?」
「そうなの」
「それで人気のない厩舎掃除か。でもな。時間の問題だと思うぞ?」
「ティエリぃー」
「分かった、分かった。あだ名はみんなで考えよう」
「ありがとう。
いっそ、このゴーグルずっとつけようかしら」
「その形で日焼けしたら最悪だぞ」
「うっ…」
「早めに外さないとゴーグルの痕が付いて笑われるぞ」
「眼鏡がいるわね」
乗馬クラスはヘンリー王子だけだった。
クラスメイトの情報ではカシャ公爵令息と大臣の子息はダンス、団長の子息は剣術、コーネリア様は詩歌らしい。
「よーし、集まれー!」
後ろの方でティエリーの影に隠れながら集まった。
「一人ずつ馬を引いて歩いてもらうから、呼んだら来い。それまでは馬を触っていた者は厩舎の掃除、掃除をしていた者は馬に触れたり手入れをしろ。
先ずはそこのゴーグル。来い」
もしかして私!?
「早く来い」
「ゴーグルが到着しました」
「……手綱を持て」
「はい」
「ゆっくり歩いて引くぞ。絶対にそれ以上引くなよ」
「はい」
半分まで来たところで、話しかけた。
「高貴なお方達が馬糞掃除なんて大丈夫でしょうか」
「生き物を扱うということはそういうことだ。よそ見をするな」
「はい」
一周回って別の子に交代した。
「あれ?先生も交代?」
「お前が危険だからだ。ほら、馬のところに行くぞ」
「はい」
もしかして問題児扱いなのかしら。
まだ何もしていないのにな。
その後は馬に押されて転倒して怒られた。
「ちょっと押されたくらいで転ばないでくれ」
「あんなに力が強いとは」
「蹴られて死ぬ奴もいるんだ」
「お尻が痛い」
「見せてみろ」
「本気ですか」
「冗談だ。見せるな。医務室に行け」
「そこまでじゃありません」
「帰ったらメイドに見てもらえ」
「はい」
片付けの時、私を伯爵令嬢と思わず コキ使おうとしたAクラスの生徒達がいた。
「ゴーグルさん、ここ磨いてくれる?」
「その後はこれ洗ってよ」
「お前達。今日は出席の判子は捺さないぞ」
「えっ」
「何でですか」
「ゴーグルは同級生であってお前達の使用人ではない。なぜお前達に与えられた役割をゴーグルがしなくてはならない。
納得のいく説明ができたら判子を捺してやる」
「慣れているかと思いました」
「どう見たって初心者だろう。ゴーグルが逆さまだ」
ちょっと!早く言ってよ!
「慣れていると言ったらヘンリー殿下だろう。何故彼にやっておいてと言わないんだ」
「王子殿下には……」
「身分で選んだというわけか。
ゴーグルは、磨けと言ったロビンスと同じ伯爵家だ。洗えと言ったコルンより格上だ。
そもそも男として終わってる。
女にさせようだなんて恥ずかしくないのか。
ただでさえ、ゴーグルは前半に汚くて慣れない力のいる作業を率先して取り組み、腕が震えているんだ。
ゴーグル。お前は問題児だが、心意気はいい」
褒め言葉の前に余計な言葉を付けないで!
「いいか、手伝うと申し出るならともかく、この二人のように誰かにやらせようなどとしたら、その授業時間の判子は捺さない。
意欲無しという判定だ。
いくら馬に上手く乗れたとしても関係ない。お綺麗な馬乗りだけしたいなら屋敷でやれ。他の選択クラスを選ぶんだったな。
もう変えられないから退学するか従うかだ。好きにしてくれ」
「すみませんでした、ゴーグルさん」
「もうしません、ゴーグルさん」
「みんなで仲良く単位をとりましょうね。
先生、今日だけ大目に見てください。もう充分反省しましたから」
「仕方ないな」
「「ありがとうございます、ゴーグルさん、先生」」
「ちなみにゴーグル。そのゴーグルは乗馬用じゃないからな。だから逆さまでも運良く使えたんだ」
「早く言ってくださいよ!」
「知ってるかと思って」
「逆さとか違うとか、こっそり教えてくれたっていいじゃないですか」
「ゴーグルは一番素人だから人より予習が必要だったのに怠けたからだ。馬具専門店に行けば間違えることはなかった。何処で手に入れた」
「庭師のゴーグルを持ってきました」
「今頃探しているだろう」
「新しいのを買ってあげているので大丈夫です」
「用途は言わなかったのか」
「はい」
「護衛の中に馬に乗れる奴がいるだろう。もしくは御者に聞け」
「分かりました。ありがとうございます」
「何やってるんですか先生」
「何がだ」
「何でAクラスの人達と一緒なんですか」
「選択科目だからだ。書いてあったろう」
「……私のことは名前で呼ばないでください。
オイとか、お前とかでいいですから」
「お前の友達にも言っておくんだな。
ソレ、外さないつもりか」
「目にゴミが入ったら危険ですからね」
「ゴミが危険なら乗馬は崖っぷちで逆立ちするくらい危険だ」
「先生、私にだけ容赦ない気がします」
「親身といえ」
「やっぱり求婚、」
「違う!」
初回は馬を撫でたり手入れをしたり厩舎の掃除をすることになった。
私はAクラスが行きそうにない厩舎掃除にした。
「リヴィア、ゴーグルずっとつけてるな」
「ティエリー、私は存在しないの。名前で呼ばないで」
「ハニー」
「怒られる」
「ボス」
「何で」
「何がいいんだ?」
「“ねえ”とか“オイ”とか“お前”とか“君”とか」
「リヴィアにそんな呼び方したら私の印象が悪くなる」
「うっ、そうよね。ごめんなさい」
「あ~、隠れているつもりなんだな?」
「そうなの」
「それで人気のない厩舎掃除か。でもな。時間の問題だと思うぞ?」
「ティエリぃー」
「分かった、分かった。あだ名はみんなで考えよう」
「ありがとう。
いっそ、このゴーグルずっとつけようかしら」
「その形で日焼けしたら最悪だぞ」
「うっ…」
「早めに外さないとゴーグルの痕が付いて笑われるぞ」
「眼鏡がいるわね」
乗馬クラスはヘンリー王子だけだった。
クラスメイトの情報ではカシャ公爵令息と大臣の子息はダンス、団長の子息は剣術、コーネリア様は詩歌らしい。
「よーし、集まれー!」
後ろの方でティエリーの影に隠れながら集まった。
「一人ずつ馬を引いて歩いてもらうから、呼んだら来い。それまでは馬を触っていた者は厩舎の掃除、掃除をしていた者は馬に触れたり手入れをしろ。
先ずはそこのゴーグル。来い」
もしかして私!?
「早く来い」
「ゴーグルが到着しました」
「……手綱を持て」
「はい」
「ゆっくり歩いて引くぞ。絶対にそれ以上引くなよ」
「はい」
半分まで来たところで、話しかけた。
「高貴なお方達が馬糞掃除なんて大丈夫でしょうか」
「生き物を扱うということはそういうことだ。よそ見をするな」
「はい」
一周回って別の子に交代した。
「あれ?先生も交代?」
「お前が危険だからだ。ほら、馬のところに行くぞ」
「はい」
もしかして問題児扱いなのかしら。
まだ何もしていないのにな。
その後は馬に押されて転倒して怒られた。
「ちょっと押されたくらいで転ばないでくれ」
「あんなに力が強いとは」
「蹴られて死ぬ奴もいるんだ」
「お尻が痛い」
「見せてみろ」
「本気ですか」
「冗談だ。見せるな。医務室に行け」
「そこまでじゃありません」
「帰ったらメイドに見てもらえ」
「はい」
片付けの時、私を伯爵令嬢と思わず コキ使おうとしたAクラスの生徒達がいた。
「ゴーグルさん、ここ磨いてくれる?」
「その後はこれ洗ってよ」
「お前達。今日は出席の判子は捺さないぞ」
「えっ」
「何でですか」
「ゴーグルは同級生であってお前達の使用人ではない。なぜお前達に与えられた役割をゴーグルがしなくてはならない。
納得のいく説明ができたら判子を捺してやる」
「慣れているかと思いました」
「どう見たって初心者だろう。ゴーグルが逆さまだ」
ちょっと!早く言ってよ!
「慣れていると言ったらヘンリー殿下だろう。何故彼にやっておいてと言わないんだ」
「王子殿下には……」
「身分で選んだというわけか。
ゴーグルは、磨けと言ったロビンスと同じ伯爵家だ。洗えと言ったコルンより格上だ。
そもそも男として終わってる。
女にさせようだなんて恥ずかしくないのか。
ただでさえ、ゴーグルは前半に汚くて慣れない力のいる作業を率先して取り組み、腕が震えているんだ。
ゴーグル。お前は問題児だが、心意気はいい」
褒め言葉の前に余計な言葉を付けないで!
「いいか、手伝うと申し出るならともかく、この二人のように誰かにやらせようなどとしたら、その授業時間の判子は捺さない。
意欲無しという判定だ。
いくら馬に上手く乗れたとしても関係ない。お綺麗な馬乗りだけしたいなら屋敷でやれ。他の選択クラスを選ぶんだったな。
もう変えられないから退学するか従うかだ。好きにしてくれ」
「すみませんでした、ゴーグルさん」
「もうしません、ゴーグルさん」
「みんなで仲良く単位をとりましょうね。
先生、今日だけ大目に見てください。もう充分反省しましたから」
「仕方ないな」
「「ありがとうございます、ゴーグルさん、先生」」
「ちなみにゴーグル。そのゴーグルは乗馬用じゃないからな。だから逆さまでも運良く使えたんだ」
「早く言ってくださいよ!」
「知ってるかと思って」
「逆さとか違うとか、こっそり教えてくれたっていいじゃないですか」
「ゴーグルは一番素人だから人より予習が必要だったのに怠けたからだ。馬具専門店に行けば間違えることはなかった。何処で手に入れた」
「庭師のゴーグルを持ってきました」
「今頃探しているだろう」
「新しいのを買ってあげているので大丈夫です」
「用途は言わなかったのか」
「はい」
「護衛の中に馬に乗れる奴がいるだろう。もしくは御者に聞け」
「分かりました。ありがとうございます」
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