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第一章 マルコ
1-1 プロローグ
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エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、人身売買組織の手により、三歳の折に誘拐され、生まれ育った故郷があるエルドリッジ大陸を離れ、西方の別大陸であるオズモール大陸の人身売買業者に売り飛ばされた。
その後当該人身売買業者を介してマルコは子のない夫婦に買われ、取り敢えずは仮親の元で何不自由なく過ごしていたのだが、四歳の折にその仮親夫婦が強盗に襲われ呆気なく殺害されたために、マルコは孤児となって近隣にあった孤児院に収容された。
サンクロス神聖教会付属の孤児院で半年を過ごしたマルコは、エルドリッジ大陸とは反対方向にある亜大陸サザンポールからやってきた旅商人によって又も養子縁組されたのである。
旅商人ビジョルドが、出身地であるサザンポール北西部にある都市ケサンドラスに向かう船旅の途中、運悪く遭遇した時化により乗っていた船が難破、ビジョルドは溺れ死んだが、幸いにしてマルコは乗り合わせたダグラスという若い商人に助けられ、破壊された船の破片につかまり何とか最寄りの島に上陸することができた。
島とはいいながらサザンポール北西沖合にあるリーベンは、東西千六百二十五浬、南北七千七百浬に及ぶ細長い島を中心とした島嶼国家であり、周辺に大小数百の島々を抱えている一大文化圏でもあった。
ダグラスの縁故を頼って、リーベンの商都市バクホウで大商人エルカンに雇われたダグラスではあったが、資産が海に沈んだために生死を共にしたとはいえ血のつながらないマルコを養うことは難しく、誰しもが孤児院入りかと思っていた時、エルカンと取引のあるバンツー一族の長がマルコを見初め、マルコはバンツー一族の長であるカラガンダの養子になったのである。
三度目の養子縁組であるが、カラガンダは商取引を兼ねながら諸国を漫遊する旅の途中であり、マルコを伴ってリーベンから船に乗り、西方に三万二千五百浬離れたマイジロン大陸へと向かった。
途中の島で三回ほど寄港して、およそ4か月で到着したマイジロン大陸は、15の大陸からなるクルフォン世界でも大きな大陸の一つであり、東西一万八千九百里、南北一万二千七百五十里の広さを有している。
カラガンダはマイジロン東岸にある商港アルビラの支店で二か月の逗留の後、西岸にある大都市ニオルカンを目指して旅だった。
無論、養子となったマルコも伴っての旅である。
東西一万八千九百里の陸路は、直線ではないから旅程の総距離で言えばおよそ三万四千里、荷物を積んだ馬車で1日に五十里進んでも凡そ2年ほどかかることになる。
しかも間には巨大な山脈が三つ、山賊もいれば魔物や魔獣の跋扈する山間部や大平原もある。
この大陸横断を実行するだけでも大変なことなのだが、カラガンダはその60年余りの人生で既に八往復ほどもしているベテラン商人であった。
カラガンダの率いる隊商は総勢で五百数十名であり、一つの村落が移動するのに似ている。
そんな隊商の旅程の中で、自意識なく6歳の誕生日を迎えたマルコは、その夜、唐突にいくつもの失われていた記憶が呼び覚まされて覚醒したのである。
◇◇◇◇ 補遺 ◇◇◇◇
注)この世界における距離は、
一里が主として陸の距離を表す単位であり、比較的身長のある大人の凡そ千歩の距離をいう。
さらには10ケブーツで一哩と呼ばれることもある。
一里は、地球の単位で言えば凡そ720m、同じく一哩は凡そ7.2kmである。
旅人が徒歩で一日にこなす旅程は、概ね五十里から六十里と言われており、馬車を使った場合は、普通で人の歩く速さよりもやや早い程度だが、駅馬車などを乗り継ぐ場合は1日二百里を超えることもある。
一方で海上では、帆船がロープに一定の幅で結び目を作り、そのエンドに掌の二倍の長さの正方形の板を括り付け、航行中に当該板を投げ込んで、小さな砂時計が尽きる時間の間に幾つの結び目が船から出てゆくかを計測することにより船の速度を計測した。
その速さが概ね10結び目で、毎時24里に相当した。
このため船の速さから航路間の距離を見出すために、2.4里に相当する距離を一海里若しくは一浬という。
渡洋船が大陸間を航行する場合天候にも左右されるが、一般的には1日で150浬から250浬前後の距離を進むとされている。
その後当該人身売買業者を介してマルコは子のない夫婦に買われ、取り敢えずは仮親の元で何不自由なく過ごしていたのだが、四歳の折にその仮親夫婦が強盗に襲われ呆気なく殺害されたために、マルコは孤児となって近隣にあった孤児院に収容された。
サンクロス神聖教会付属の孤児院で半年を過ごしたマルコは、エルドリッジ大陸とは反対方向にある亜大陸サザンポールからやってきた旅商人によって又も養子縁組されたのである。
旅商人ビジョルドが、出身地であるサザンポール北西部にある都市ケサンドラスに向かう船旅の途中、運悪く遭遇した時化により乗っていた船が難破、ビジョルドは溺れ死んだが、幸いにしてマルコは乗り合わせたダグラスという若い商人に助けられ、破壊された船の破片につかまり何とか最寄りの島に上陸することができた。
島とはいいながらサザンポール北西沖合にあるリーベンは、東西千六百二十五浬、南北七千七百浬に及ぶ細長い島を中心とした島嶼国家であり、周辺に大小数百の島々を抱えている一大文化圏でもあった。
ダグラスの縁故を頼って、リーベンの商都市バクホウで大商人エルカンに雇われたダグラスではあったが、資産が海に沈んだために生死を共にしたとはいえ血のつながらないマルコを養うことは難しく、誰しもが孤児院入りかと思っていた時、エルカンと取引のあるバンツー一族の長がマルコを見初め、マルコはバンツー一族の長であるカラガンダの養子になったのである。
三度目の養子縁組であるが、カラガンダは商取引を兼ねながら諸国を漫遊する旅の途中であり、マルコを伴ってリーベンから船に乗り、西方に三万二千五百浬離れたマイジロン大陸へと向かった。
途中の島で三回ほど寄港して、およそ4か月で到着したマイジロン大陸は、15の大陸からなるクルフォン世界でも大きな大陸の一つであり、東西一万八千九百里、南北一万二千七百五十里の広さを有している。
カラガンダはマイジロン東岸にある商港アルビラの支店で二か月の逗留の後、西岸にある大都市ニオルカンを目指して旅だった。
無論、養子となったマルコも伴っての旅である。
東西一万八千九百里の陸路は、直線ではないから旅程の総距離で言えばおよそ三万四千里、荷物を積んだ馬車で1日に五十里進んでも凡そ2年ほどかかることになる。
しかも間には巨大な山脈が三つ、山賊もいれば魔物や魔獣の跋扈する山間部や大平原もある。
この大陸横断を実行するだけでも大変なことなのだが、カラガンダはその60年余りの人生で既に八往復ほどもしているベテラン商人であった。
カラガンダの率いる隊商は総勢で五百数十名であり、一つの村落が移動するのに似ている。
そんな隊商の旅程の中で、自意識なく6歳の誕生日を迎えたマルコは、その夜、唐突にいくつもの失われていた記憶が呼び覚まされて覚醒したのである。
◇◇◇◇ 補遺 ◇◇◇◇
注)この世界における距離は、
一里が主として陸の距離を表す単位であり、比較的身長のある大人の凡そ千歩の距離をいう。
さらには10ケブーツで一哩と呼ばれることもある。
一里は、地球の単位で言えば凡そ720m、同じく一哩は凡そ7.2kmである。
旅人が徒歩で一日にこなす旅程は、概ね五十里から六十里と言われており、馬車を使った場合は、普通で人の歩く速さよりもやや早い程度だが、駅馬車などを乗り継ぐ場合は1日二百里を超えることもある。
一方で海上では、帆船がロープに一定の幅で結び目を作り、そのエンドに掌の二倍の長さの正方形の板を括り付け、航行中に当該板を投げ込んで、小さな砂時計が尽きる時間の間に幾つの結び目が船から出てゆくかを計測することにより船の速度を計測した。
その速さが概ね10結び目で、毎時24里に相当した。
このため船の速さから航路間の距離を見出すために、2.4里に相当する距離を一海里若しくは一浬という。
渡洋船が大陸間を航行する場合天候にも左右されるが、一般的には1日で150浬から250浬前後の距離を進むとされている。
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