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第一章 二重生活
1ー11 スタンピード
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ケントのいる世界の3月、春分の日から3カ月を過ぎているから、地球世界で言えば初夏ぐらいになるのかな?
日差しが強くなっているんだ。
そんな時に一大転機が訪れた。
俺が何かしたわけじゃないんだが、向こうからやって来たという感じだな。
カルヴィアの近郊でスタンピードが発生したんだ。
午前中に薬草採取と併せて魔物退治もこなしている俺だが、ここ十日ほどは魔物の上位種が多いような気はしていたんだ。
だからギルドにもそんな傾向を一応知らせておいたんだが、それが虫の知らせだったのかな。
カルヴィアの北西に当たる深い森から魔物の集団がカルヴィアをめがけて一斉に走り出したんだ。
そいつを目撃した高位の冒険者たちが命からがらカルヴィアの街へ飛び込んで、直ちに町のゲートは閉められた。
街の外に居る者は、魔物が来る前に町に入っていなければ死ぬことになる。
午後も半ば過ぎの時間帯だったから、俺は冒険者ギルドに居た。
スタンピードの報が入ってすぐにギルドは厳戒態勢に入った。
当然、カルヴィアに駐屯している騎士団も警戒態勢に入る。
スタンピードがこのカルヴィアを襲撃してくれば、冒険者も騎士も町の防衛の任に就くしかないのだ。
場合によっては、俺(ケント)も防衛の為に前線に出るが、当座は負傷者の手当てに当たることにする。
そのためにありったけのポーションや手術道具を準備しておいた。
最初の連絡から半刻後、第一波がカルヴィアの街を襲った。
足の速いウルフやパンサーの類だ。
これらの魔物は、上位種でない限りは、中堅クラスの冒険者で何とか対応できる。
第一陣を何とか凌いだが、その半刻の後に、大型の魔物を含む第二陣がカルヴィアの城壁外に到達した。
ベア―やオークなどが混じる第二陣は手強く、上級クラスの冒険者でさえも城壁の外では数の暴力に負けてしまう。
それゆえ城壁内での防衛に徹するのだが、こうしたスタンピードでは往々にしてボスが全体の指揮を取っている場合が多く、そんなラスボスはかなり賢いらしい。
そのためか、第二陣が到達後、完全に籠城して半日ほどもすると魔物たちが樹木や岩などを積み上げて大きな坂道を城壁外に作り始めたが、城壁内に居る者はそれを止めることができないでいる。
カルヴィアの街は、周囲を完全に魔物集団に取り囲まれ、誰も逃げ出せない状況なのだ。
しかも当該坂道は、城壁外の9か所で一斉に作られ始めた。
坂道が一か所だけで有れば、そこから侵攻する魔物を食い止められるかもしれない。
だが、9カ所にも分散されると守る側の数が足りなすぎるのである。
俺はギルドに居て、負傷者の治療に当たっていたから外の様子は知らなかったが、負傷者が運び込まれてくる頻度が徐々に下がり、ここ一時間やそこらは誰も来なくなったのだ。
で、様子を見に城壁の上まで来たのだが、そこで魔物が本格的な攻城戦を始めているのには驚いたよ。
このまま放置すると大勢のカルヴィア市民が死ぬし、逃げられないだけに場合によっては全滅することになるのだろうな。
俺はそれを見たくはない。
目立つことは避けたいが、今回は仕方がないだろうな。
俺は全力を以て、スタンピードを叩くことにしたよ。
この際、魔法も全開にせざるを得ないだろう。
偶々、俺の近くに立っていたギルマスに訊いてみた。
「このスタンピードを止めるには、外の魔物を殲滅しなければならないんですか?」
「まぁ、できるならそれが望ましいんだが、こいつらの中にはボスが居る。
そのボスが指揮しているからこそ、こんな城攻めの様相を呈しているんだが、ボスを倒せば、後は烏合の衆だ。
そもそも種族すら違う魔物の集団だからな。
ボスが居なくなれば連携すらできなくなるだろうよ。」
「じゃぁ、そのボスを狙えば?」
「あぁ、だが、言うは易しで行うは難しなんだ。
ボスは、大集団の奥に親衛隊のごとき強力な魔物達に守られているからな、そこに辿り着くまでに、Aランクの猛者であっても潰されるぜ。」
「でもこのまま手をこまねいていたら、城壁を乗り越えられますよね。」
「あぁ、この調子なら明日の朝にはスロープが出来上がってしまうだろうな。
そうなれば四方八方から魔物が押し寄せて、カルヴィアの町中が戦場になる。
助かる者は、・・・・まずいないんじゃないかな?」
「そうですか・・・・。
なら、俺が今夜にでも特攻をかけます。
多分、ボスのいる場所は、此処からだと少し右手の丘の上みたいですね。
一番魔力の濃い奴があそこにいますので。」
「ほう?
ケントは、ボスの気配が分かるのか?
その後少しの間、ギルマスは押し黙った。
その上で口を開いた。
「つくづくお前は不思議な奴だな。
とんでもない力を持っているくせに、治癒師としてこの街に居続けてくれている。
お前の力でもボスへの特攻は多分無理だろうとは思うが、先行き見通しのつかない状況で、このままだと九分九厘こっちが全滅するはずなんだから、お前の無茶を俺は止めねぇ。
やれると思うならやって見な。
但し、お前がくたばっても骨を拾える奴は多分居ないだろうな。
それを覚悟して行け。」
「ええ、・・・。
陽が落ちてから動いてみます。
今のうちに言っておきますね。
お世話になりました。」
「おう、こっちこそ、世話になったな。
何時でも俺は、お前のことをできの良い息子のように思っていたぜ。
出来たら五体満足で戻ってこい。」
二人は、城壁の上でしばらく見合ってから分かれました。
日没まで一刻余り、ケントが外に出たら負傷者を治療できる者は居なくなるが、放置すればいずれはそうなるのだから、今できることを足掻いてみるしか方法はない。
俺(ケント)は、これまで試行錯誤で造った道具類をインベントリから出して確認、上から下まで黒装束で固めて、出撃の準備を整えた。
日没から暫くするとこの世界はすとんと闇に覆われる。
それが俺(ケント)の出番の合図になる。
日没直後で周囲が赤く染まった頃、ケントはギルドを出て北へ向かう。
北の城壁でも外に坂道を形成していない方向に向かって、城壁の内側にある家の屋根に飛び上がった。
高さが5m近い建物の屋根に飛び上がり、更にそこから数m離れた場所にある城壁に飛び上がったのである。
城壁の高さは約10m、普通の者ではここまで一気に到達することもできまい。
城壁に上る階段はあるのだが、騎士や冒険者でごった返しているからそこを避けて、人気の少ない場所に飛び上がったわけである。
俺(ケント)も流石に10mの高さに一気に飛び上がるのは難しかったから、近くの家の屋根を利用させてもらったのだ。
城壁の上に降り立って少しすると、周囲がすとんと闇に落ち、城壁の上で焚かれている多数の篝火が際立っていた。
俺(ケント)は城壁の外を確認し、魔物の気配がしない場所めがけて飛び降りた。
隠遁の術があるかどうかは不明だが、闇属性の魔法で影に入り込んで気配を隠すことが最近になってできるようになっていた。
尤も、暗がりの中では星明り月明かりの陰しかないのだが、予想に反して城壁の上の篝火が長い影を作ってくれていて、俺(ケント)が動くのを助けてくれた。
尤も、魔物が密集していればそれを避けることも難しいので、そこは魔法で強行突破である。
火属性は暗闇では目立つから最終手段であり、土属性と風属性魔法のコンビで、地面から槍を生やして魔物を突き刺し、風刃で魔物の首を撥ねて一気に進んでゆく。
俺(ケント)の進む方向の10m~15m内外は魔物の死体の山が出来上がって行く。
当然のことながら魔物の中にもそうした異常を察知する奴が居た。
ボスであるオーガ・ロードの周囲に居たオーガ・ウィザードである。
オーガ・ウィザードは、何らかの異常が接近していると察知するや否や、呪文を唱え始め、その進行方向に向かってスター・フレアを発動したのだ。
その着弾点には多数の味方であるはずの魔物も居るのだが、オーガ・ウィザードはそんなことに頓着しない。
障害物となるであろう敵を葬り去ることだけに集中していた。
生憎と魔法の発動を察知した俺(ケント)は、すぐさまその対抗策をとった。
時空魔法の一種になるのだが、結界により魔法攻撃の反射を試みたのである。
俺(ケント)は地属性、風属性の魔法を発動しながら、更に時空属性のリフレクション・シールドを使ったのである。
オーガ・ウィザードの発したスター・フレアは多数のフレアを目標物に向かって空中から投下させて爆破する魔法であるが、リフレクション・シールドに弾かれてしまい、有ろうことか魔法を放った自分に向かってきたのを避けられなかった。
たちまち、オーガ・ウィザードのみならずオーガ・ロードにも爆発物が落ちて来た。
周辺は惨憺たる状況ながら、それでも側近のジェネラル・オーガ二体とオーガ・ロードは多少の火傷だけで済んでいた。
このクラスになると再生能力も持っているので、左程の時間を置かずして万全の体制になる。
だが、その前に次の攻撃が集団を襲った。
小岩の弾丸が猛烈な勢いでオーガ・ロードの前面に布陣していた魔物を襲い、あっという間になぎ倒していたのである。
次いで空中に浮かぶ尖った槍が数十本、またもオーガ・ロード目指して高速で飛来する。
ジェネラル・オーガ二体がその前を塞ぎ、槍を叩き落そうとしたが、一本は落としたもののなおも飛来する数本の槍に貫かれ、ジェネラル二体ともに崩折れたのである。
なおも姿の見えない敵からオーガ・ロードへの攻撃が飛来した。
今度は正面から大きな風刃が無数に飛んで来たのである。
避けることは難しく、オーガ・ロードは咆哮を上げて、咆哮の魔力により風刃を跳ね返そうとした。
然しながら、それは囮の攻撃だったのである。
オーガ・ロードは上から近づく更なる脅威に気づかなかった。
頭上の遥か天空から、隕石が降るメテオが発動されていたのである。
そうして気づいた時には避けようがなく、オーガ・ロードの身体は爆発とともに引きちぎられていた。
その直前にケントは、後方200mまで転移魔法で撤退していた。
ケントの発したメテオはさほど大きいものではない。
精々が爆心地から100m内外の魔物に被害を与えるだけの威力しか持たない。
より能力が上がれば、更に威力の高いメテオが発現できるとは思うが、もう少し訓練と魔力を高めねばならないだろうと思うのだ。
しかしながら、能力の向上に常時気遣っては居るものの、ステータス上に数値が現れないので、魔法の威力の把握にはいつも苦労しているケントなのである。
これからも手探り状態で魔法能力等を高めて行くしか無いようだ。
日差しが強くなっているんだ。
そんな時に一大転機が訪れた。
俺が何かしたわけじゃないんだが、向こうからやって来たという感じだな。
カルヴィアの近郊でスタンピードが発生したんだ。
午前中に薬草採取と併せて魔物退治もこなしている俺だが、ここ十日ほどは魔物の上位種が多いような気はしていたんだ。
だからギルドにもそんな傾向を一応知らせておいたんだが、それが虫の知らせだったのかな。
カルヴィアの北西に当たる深い森から魔物の集団がカルヴィアをめがけて一斉に走り出したんだ。
そいつを目撃した高位の冒険者たちが命からがらカルヴィアの街へ飛び込んで、直ちに町のゲートは閉められた。
街の外に居る者は、魔物が来る前に町に入っていなければ死ぬことになる。
午後も半ば過ぎの時間帯だったから、俺は冒険者ギルドに居た。
スタンピードの報が入ってすぐにギルドは厳戒態勢に入った。
当然、カルヴィアに駐屯している騎士団も警戒態勢に入る。
スタンピードがこのカルヴィアを襲撃してくれば、冒険者も騎士も町の防衛の任に就くしかないのだ。
場合によっては、俺(ケント)も防衛の為に前線に出るが、当座は負傷者の手当てに当たることにする。
そのためにありったけのポーションや手術道具を準備しておいた。
最初の連絡から半刻後、第一波がカルヴィアの街を襲った。
足の速いウルフやパンサーの類だ。
これらの魔物は、上位種でない限りは、中堅クラスの冒険者で何とか対応できる。
第一陣を何とか凌いだが、その半刻の後に、大型の魔物を含む第二陣がカルヴィアの城壁外に到達した。
ベア―やオークなどが混じる第二陣は手強く、上級クラスの冒険者でさえも城壁の外では数の暴力に負けてしまう。
それゆえ城壁内での防衛に徹するのだが、こうしたスタンピードでは往々にしてボスが全体の指揮を取っている場合が多く、そんなラスボスはかなり賢いらしい。
そのためか、第二陣が到達後、完全に籠城して半日ほどもすると魔物たちが樹木や岩などを積み上げて大きな坂道を城壁外に作り始めたが、城壁内に居る者はそれを止めることができないでいる。
カルヴィアの街は、周囲を完全に魔物集団に取り囲まれ、誰も逃げ出せない状況なのだ。
しかも当該坂道は、城壁外の9か所で一斉に作られ始めた。
坂道が一か所だけで有れば、そこから侵攻する魔物を食い止められるかもしれない。
だが、9カ所にも分散されると守る側の数が足りなすぎるのである。
俺はギルドに居て、負傷者の治療に当たっていたから外の様子は知らなかったが、負傷者が運び込まれてくる頻度が徐々に下がり、ここ一時間やそこらは誰も来なくなったのだ。
で、様子を見に城壁の上まで来たのだが、そこで魔物が本格的な攻城戦を始めているのには驚いたよ。
このまま放置すると大勢のカルヴィア市民が死ぬし、逃げられないだけに場合によっては全滅することになるのだろうな。
俺はそれを見たくはない。
目立つことは避けたいが、今回は仕方がないだろうな。
俺は全力を以て、スタンピードを叩くことにしたよ。
この際、魔法も全開にせざるを得ないだろう。
偶々、俺の近くに立っていたギルマスに訊いてみた。
「このスタンピードを止めるには、外の魔物を殲滅しなければならないんですか?」
「まぁ、できるならそれが望ましいんだが、こいつらの中にはボスが居る。
そのボスが指揮しているからこそ、こんな城攻めの様相を呈しているんだが、ボスを倒せば、後は烏合の衆だ。
そもそも種族すら違う魔物の集団だからな。
ボスが居なくなれば連携すらできなくなるだろうよ。」
「じゃぁ、そのボスを狙えば?」
「あぁ、だが、言うは易しで行うは難しなんだ。
ボスは、大集団の奥に親衛隊のごとき強力な魔物達に守られているからな、そこに辿り着くまでに、Aランクの猛者であっても潰されるぜ。」
「でもこのまま手をこまねいていたら、城壁を乗り越えられますよね。」
「あぁ、この調子なら明日の朝にはスロープが出来上がってしまうだろうな。
そうなれば四方八方から魔物が押し寄せて、カルヴィアの町中が戦場になる。
助かる者は、・・・・まずいないんじゃないかな?」
「そうですか・・・・。
なら、俺が今夜にでも特攻をかけます。
多分、ボスのいる場所は、此処からだと少し右手の丘の上みたいですね。
一番魔力の濃い奴があそこにいますので。」
「ほう?
ケントは、ボスの気配が分かるのか?
その後少しの間、ギルマスは押し黙った。
その上で口を開いた。
「つくづくお前は不思議な奴だな。
とんでもない力を持っているくせに、治癒師としてこの街に居続けてくれている。
お前の力でもボスへの特攻は多分無理だろうとは思うが、先行き見通しのつかない状況で、このままだと九分九厘こっちが全滅するはずなんだから、お前の無茶を俺は止めねぇ。
やれると思うならやって見な。
但し、お前がくたばっても骨を拾える奴は多分居ないだろうな。
それを覚悟して行け。」
「ええ、・・・。
陽が落ちてから動いてみます。
今のうちに言っておきますね。
お世話になりました。」
「おう、こっちこそ、世話になったな。
何時でも俺は、お前のことをできの良い息子のように思っていたぜ。
出来たら五体満足で戻ってこい。」
二人は、城壁の上でしばらく見合ってから分かれました。
日没まで一刻余り、ケントが外に出たら負傷者を治療できる者は居なくなるが、放置すればいずれはそうなるのだから、今できることを足掻いてみるしか方法はない。
俺(ケント)は、これまで試行錯誤で造った道具類をインベントリから出して確認、上から下まで黒装束で固めて、出撃の準備を整えた。
日没から暫くするとこの世界はすとんと闇に覆われる。
それが俺(ケント)の出番の合図になる。
日没直後で周囲が赤く染まった頃、ケントはギルドを出て北へ向かう。
北の城壁でも外に坂道を形成していない方向に向かって、城壁の内側にある家の屋根に飛び上がった。
高さが5m近い建物の屋根に飛び上がり、更にそこから数m離れた場所にある城壁に飛び上がったのである。
城壁の高さは約10m、普通の者ではここまで一気に到達することもできまい。
城壁に上る階段はあるのだが、騎士や冒険者でごった返しているからそこを避けて、人気の少ない場所に飛び上がったわけである。
俺(ケント)も流石に10mの高さに一気に飛び上がるのは難しかったから、近くの家の屋根を利用させてもらったのだ。
城壁の上に降り立って少しすると、周囲がすとんと闇に落ち、城壁の上で焚かれている多数の篝火が際立っていた。
俺(ケント)は城壁の外を確認し、魔物の気配がしない場所めがけて飛び降りた。
隠遁の術があるかどうかは不明だが、闇属性の魔法で影に入り込んで気配を隠すことが最近になってできるようになっていた。
尤も、暗がりの中では星明り月明かりの陰しかないのだが、予想に反して城壁の上の篝火が長い影を作ってくれていて、俺(ケント)が動くのを助けてくれた。
尤も、魔物が密集していればそれを避けることも難しいので、そこは魔法で強行突破である。
火属性は暗闇では目立つから最終手段であり、土属性と風属性魔法のコンビで、地面から槍を生やして魔物を突き刺し、風刃で魔物の首を撥ねて一気に進んでゆく。
俺(ケント)の進む方向の10m~15m内外は魔物の死体の山が出来上がって行く。
当然のことながら魔物の中にもそうした異常を察知する奴が居た。
ボスであるオーガ・ロードの周囲に居たオーガ・ウィザードである。
オーガ・ウィザードは、何らかの異常が接近していると察知するや否や、呪文を唱え始め、その進行方向に向かってスター・フレアを発動したのだ。
その着弾点には多数の味方であるはずの魔物も居るのだが、オーガ・ウィザードはそんなことに頓着しない。
障害物となるであろう敵を葬り去ることだけに集中していた。
生憎と魔法の発動を察知した俺(ケント)は、すぐさまその対抗策をとった。
時空魔法の一種になるのだが、結界により魔法攻撃の反射を試みたのである。
俺(ケント)は地属性、風属性の魔法を発動しながら、更に時空属性のリフレクション・シールドを使ったのである。
オーガ・ウィザードの発したスター・フレアは多数のフレアを目標物に向かって空中から投下させて爆破する魔法であるが、リフレクション・シールドに弾かれてしまい、有ろうことか魔法を放った自分に向かってきたのを避けられなかった。
たちまち、オーガ・ウィザードのみならずオーガ・ロードにも爆発物が落ちて来た。
周辺は惨憺たる状況ながら、それでも側近のジェネラル・オーガ二体とオーガ・ロードは多少の火傷だけで済んでいた。
このクラスになると再生能力も持っているので、左程の時間を置かずして万全の体制になる。
だが、その前に次の攻撃が集団を襲った。
小岩の弾丸が猛烈な勢いでオーガ・ロードの前面に布陣していた魔物を襲い、あっという間になぎ倒していたのである。
次いで空中に浮かぶ尖った槍が数十本、またもオーガ・ロード目指して高速で飛来する。
ジェネラル・オーガ二体がその前を塞ぎ、槍を叩き落そうとしたが、一本は落としたもののなおも飛来する数本の槍に貫かれ、ジェネラル二体ともに崩折れたのである。
なおも姿の見えない敵からオーガ・ロードへの攻撃が飛来した。
今度は正面から大きな風刃が無数に飛んで来たのである。
避けることは難しく、オーガ・ロードは咆哮を上げて、咆哮の魔力により風刃を跳ね返そうとした。
然しながら、それは囮の攻撃だったのである。
オーガ・ロードは上から近づく更なる脅威に気づかなかった。
頭上の遥か天空から、隕石が降るメテオが発動されていたのである。
そうして気づいた時には避けようがなく、オーガ・ロードの身体は爆発とともに引きちぎられていた。
その直前にケントは、後方200mまで転移魔法で撤退していた。
ケントの発したメテオはさほど大きいものではない。
精々が爆心地から100m内外の魔物に被害を与えるだけの威力しか持たない。
より能力が上がれば、更に威力の高いメテオが発現できるとは思うが、もう少し訓練と魔力を高めねばならないだろうと思うのだ。
しかしながら、能力の向上に常時気遣っては居るものの、ステータス上に数値が現れないので、魔法の威力の把握にはいつも苦労しているケントなのである。
これからも手探り状態で魔法能力等を高めて行くしか無いようだ。
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