妹好きは病気だと・・・いや、ちげぇ!

やとまる。

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ケンカとリカイシャ

気を紛らわせるのはやはり『妹』

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「どうしよっかな~」

 みほりの泣き声を聞いた俺は、早くも後悔していた。いや、いつも後悔してるくせにこうやって当たってるんだけど。

 俺は何が嫌で、彼女の謝罪を遮ったんだろう。

 ただその疑問だけがぐるぐると回っていた。

 そして、気づいたら本屋の前に着いていた。

「いらっしゃいませ~・・・あ、やほっ」

「やほ、今日もバイト?」

「ん、まぁね。だって欲しいフィギュアあるから頑張らなくちゃ♪」

 この会話だと同性の会話だと思った?・・・残念、隣の席の紺野みかさんだ。

「みか、オススメのマンガない?」

「お、またみほりんとケンカ?」

「ん~、ケンカ・・・なのか?」

 みかとは家族ぐるみで高1の時から仲良くしてる。だからみほりのことも分かってるようで・・・。

「また八つ当たりしたでしょ、すいくん」

「・・・まぁ」

 みかは「それがダメなのっ!」と言い、少し声のトーンを落とす。

「バイト中だった♪」

 本気で忘れてたらしく、かわいくてへぺろってしながら離れていく。

 あのー、オススメのマンガを聞いたの忘れられてる?

────約2分後

「これこれ~」

「『妹は彼女と同じ』・・・初耳だな」

「ん、だってあんまし人気ないから。こんなにかわいいのにね」

 ちなみに言い忘れてたが、みかも妹好きのロリコンだ。そして、ショタコンでもある。

「ね、今日暇?」

「まぁ」

「バイトすぐ切り上げるから入り口で待っててくれるかな?」

「分かった」

 軽く約束をして、俺はレジへと向かう。もちろんこの本を買うためだ。しかし、なぜこの本を・・・。みかは自分のことを妹だと思ってほしいのか?

「お待たせ~」

「みか切り上げて大丈夫なのか?」

「ん~、『彼氏とデート』って言ったら帰してくれた」

「まぁ、間違ってないけどさ・・・」

 みかは一応彼女でもある。俺が妹好きだと入学式で気づいてからずっと話しかけてきて、高2の夏休み前に告白してくれた。

 まぁ、俺も嫌いなわけじゃなく友達としてしか見てなかったが、考える時間をもらい、とりあえず付き合おっかとなって1年過ぎようとしていた。

「ね、どこ行く?私の家来る?」

「そうしよっかな・・・」

「ん、おけっ!」



────みかの家

「おじゃましまーす」

「お、翠星やほー」

「こんにちは、こんきち先輩」

 “こんきち先輩”とはみかの兄で、俺の部活の先輩だった。もちろん、部活と言えないほどの数だったが。

「で、みかはほんと翠星好きだなぁ」

「ん?好きだよ」

 こうやってはっきり言うみかが好きだと気づいたのは、高3に上がってすぐのことだった。だから、みかからするとまだ“とりあえず”で付き合ってると思っているだろうな。

「失礼しますね」

 俺はそう言うと、みかの部屋へと先に進もうとした。すると、

「ま、待ってっ」

 切羽詰まった、焦った声で俺を引き止めるみか。

「ん?」

「私先入るからちょっと待ってて」

「おー」

 みかは何やら慌てながら部屋に入り、数秒。

「いいよー」

「・・・で、何で焦ったの?」

 みかは目を合わせないように別の場所を向く。

「言ってみ?何も思わないから」

「私もう18歳じゃん?」

 俺は小さく頷く。

「だから、これ・・・」

 みかが目の前に出したのは、妹キャラ(二次元)の写真集。

「あー、18禁ね」

「あぅ・・・・・・ち、ちょっとした好奇心で買ったんだよっ!」

 みかは何とか誤解を防ごうと、慌てている。

「俺も見たい」

 俺は何も思わないと言った。それは、きっとロリとかショタ関係だと思ったからだ。

「ん・・・」

 みかに渡してもらいそっと中を開く。

「おぉ」

 目の前に広がる天使のパラダイスに、思わず感心してしまう。

────読み終えた

「すごいなぁ、最近の絵師様は」

「ほんと、女の子でもあんな絵描くんだよ~」

「ま、マジか・・・」

 みかが俺の顔をのぞき込む。



「気、紛らわせられた?」



 みかの言葉に、言うことが無くなる。

 彼女は、俺の気を紛らわせようとしてくれてたみたいだった。

「ありがとな。結構紛らわせられたよ」

「よかった・・・みほりんと仲直りしなよ?」

「だな。頑張る」

「頑張るって何」

 そう言ってみかは、くすくすと笑う。俺は急にみかが愛おしくなり抱き寄せる。

「ふぇっ!?」

 いきなりでびっくりしたのか、すごく慌てていた。

 そっと顔を近づけてみると、おとなしく目を閉じてくれた。

────チュ

「・・・ん」

 離れると、みかはすごく寂しそうな雰囲気になった。いつものボーイッシュさはどこかに行っていて、恋愛モードになっていたのだ。

「ぷっ・・・あははっ」「くっ・・・ふふっ」

 2人とも沈黙に耐えられなくなって、つい笑ってしまう。ただ、苦痛ではない、幸せだった。

 俺は気を紛らわせてくれたみかに感謝しながら、家路に着いた。




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