妹好きは病気だと・・・いや、ちげぇ!

やとまる。

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ケンカとリカイシャ

マンガから学んだのは

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「ただいま」

 小さく響く俺の声に、少しため息が出る。

 怒ってるだろうか、泣いているだろうか。そんなことばかりが不安になる。

「翠星っ!」

「みほり・・・」

「ごめんっ!!」「ごめんなさいっ」

 同時に謝る俺たちは、しばし見つめ合う。

「あははっ・・・翠星、おかえり」

「ただいま」

 俺はみほりと仲直りしてから六花を探す。

「六花~」



「お兄ちゃんっ!?」



 ドタバタと階段を下りてくる妹に、思わず笑みがこぼれる。なんだこの、かわいいモンスターは!

「おかえりぃ~・・・えへへ」

 頭を撫でると、幸せそうに目をつむっている。

 しかし、みほりは何かを言いたそうにこっちを見ていた。時々、頭の中の考えを追い払うように首を振っていたけど。

「みほり、何かあったら言えば」

 あ、また言い方きつくなった。ほんと最低だ、俺。

「六花のこと大切にしなよ?・・・でも変なことしちゃダメだからね」

 小さな声でそんな事言われたら、ねぇ?従うしかないじゃん。あ、でも変なことしようと考えてたわけじゃない。

~♪

「みほりのじゃないか?」

「違う」

「うちの~・・・なぁにー?」

『六花ちゃ・・・・・・べるかなって・・・・・・う?』

 離れているからかノイズ混じりに時々聞こえる、“男の子の声”。

 みほりも同じことに気づいたのか、俺のほうを見る。

「いいよ、うちも遊びたい」 

 六花は、誰と遊ぶつもりなんだろう。

「うち、そこの遊園地行ってくる~」

「六花受験生なのにいいのか?」

「ひいらぎも受験生だけど遊ぼって言ってるし」

「ひいらぎって、りぃとどういう関係?」

 みほりがズバッと聞くと、“来ると思った”みたいな顔で、

「うちの彼氏の柊夜(しゅうや)、ひいらぎって漢字入ってるから『ひいらぎ』」

 六花に彼氏いるなんて、超衝撃なんだが・・・。みほりを見ると笑顔で、『やっぱり』という顔をする。・・・予想ついてたのかよっ!

「みほり、仕事は?」

「うっ・・・現実戻さないで・・・・・・休み」

 休みならそんなに焦らなくても・・・いや、ずる休みだったら?ま、いいか。

「俺は・・・みか呼ぶかな」

「みかち来るの!?やたっ♪」

 みかちというのはみかのことで、俺が夏休みに告白された頃仲良くなっていたみたいだ。

「みかち♪みかち♪」

「はぁ・・・レズかよ」

「なっ!?・・・ばっ、れ・・・うぅ・・・」

 何も言い返せないのか、下を俯くみほり(成人済み)。

「てか言い返せよ・・・俺の彼女なんだからさ?違うって言えばいいのに」

 みほりは何も言わずに部屋へと戻る。いや、俺何した・・・。

 俺は1人玄関にぽつんと残されていながら、ぼーっとしていた。

~♪

「・・・もしもし?」

『あ、すいくん?』

「名前聞くのおかしくね?電話かけてる相手分かってるだろ・・・ははっ」

『ごめんごめーん!あのね?今からそっち行くから家いてくれる?』

「んぉー分かった」

 何か用事があるらしく、俺はリビングで待つことにした。



「すーいーくーん!」

 来た、あのでかい声はみかだな。

「マンガ忘れていったでしょ?」

 あ、マジだ。だからなんか軽いなーって思ったのか。

「読むなら今のうち読んだほうがいいよ。おじゃましまーす」

 なんでそんなに読ませるんだ、『妹は彼女と同じ』って本を!

「みーほーりーんっ!!」

「みかち!?」

 あーあ、レズっちゃったか・・・。俺の入る隙ないな、部屋行っとこ。



「読むか・・・」

 息を少し吸う。緊張するからだ。そりゃあただ読むだけならいいが、彼女が進めるくらいだ、きっとなにか伝えたかったに違いない。

「・・・あらすじ、か」



────・・・・・・。

 特に伝えたそうなことも無かったな。

 と、あっけなく終わり呆然とする。

 そういや、みかとみほりなにしてるんだろ。

「みか~」

「あっ・・・みほりん、すごいっ・・・でもそんな本気にならないで?」

「えぇ~、私だって頑張るよ?・・・あ」

「おい、何してっ・・・・・・・・・何も無いですね、はい」

 変な声に焦った俺が盛大にドアを開けると、ゲームをしている二人がいた。

 俺の勘違いかよっ!

 と、叫びたくなるのは必死に抑える。

「すいくん、あのマンガどうだった?」

 控えめに、そっと聞いてくるみか。読む前だと絶対『こいついいやつだなぁ』で済んでただろうな。しかし俺は、読み終えたから感想を言える。

「特に伝えたそうなこともないな、って思った」

 俺がこれから学んだのは、『マンガには本音なんか無い。どうせ読んでほしいだけ』だということだった。
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