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外伝2 白雪姫の継母ですが勉強熱心でした
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「うわああ……これ全部、おやつなの?」
サニーは目を丸くした。
伯爵令嬢ブルームーン主催の、ティーパーティー。
目の前の三段ケーキスタンドには、苺のタルト、色とりどりのマカロン、フルーツワッフル、クロテッドクリームとジャムを添えたスコーンなど、まぶしいほど美しいスイーツが盛り付けられている。
「し、幸せ……こんなおいしいもの、人生で初めて……」
マカロンを一口つまんで至福の笑顔を見せたサニーを、周囲の貴族子女たちは少し物珍しそうに見ていた。だが、ブルームーンがサニーを隣に座らせている以上、誰も文句は言えなかった。
サニーはブルームーンに言われるがまま、オシャレをするようになった。貸してもらったドレスに袖を通し、ブルームーンと取り巻きたちから、メイクのコツを熱心に学ぶ。
「私は色黒だから、少しくらい化粧したって、あんまり代わり映えしないと思うけど……」
「そんなことない。私こそ北国の生まれだから、日に当たってなくて青白いだけなのよ。サニーは、暖色系のハッキリした色を身につけると、すごく映えるんじゃないかな。素材がいいんだから、もっと自信持って」
ブルームーンは微笑みながら、リボンの位置を直してくれた。そうやって着飾ったサニーは、ブルームーンにあちこちと連れ回された。
「私に『様』とか付けなくていいよ。ブルームーンって、呼び捨てにして。でないとあなた、どこ行ってもナメられちゃうから」
学期末、ブルームーンはサニーを自邸のホームパーティーへ招いた。アイスベルグ伯爵邸は雪の結晶をあしらった装飾が美しく、館そのものがまるで魔法のような芸術作品だった。
「サニー、ホームパーティーって来たことある?」
「ううん、初めて。なんか、緊張する」
「大丈夫よ。正式な社交界デビューとは違って、私たちみたいな若者が中心の、プライベートな集まりだから。困ったら、私のそばに来て」
それでも、サニーは美しくなった自分に自信が持てず、目立たないよう壁際に立っていた。それでも、何人かの若い貴族男性が、サニーに声をかけてきた。
「おや、こちらは……? アイスベルグ伯爵令嬢のご友人で?」
「え、えっと……はい、そうです。あの、サニー・ブラックモアといいます……」
「珍しいお名前ですね。ご一緒に庭の散歩でも──」
「あっ、すみません。私、ちょっと失礼します……!」
サニーが逃げるようにブルームーンのそばへ戻ると、ブルームーンの横には、騎士ハンター・ブラッドストンが控えていた。
ハンターはサニーをチラリと見た。だが、それもほんの一瞬のことで、単にブルームーン警護の必要上、目をやったに過ぎなかった。彼の視線はすぐに、ブルームーンの横顔へと戻っていった。
(やっぱり彼は、私なんか眼中にないのね……)
パーティーのあと、サニーはブルームーンに誘われて、一緒に伯爵邸の大浴場に入った。湯気の中で、二人の会話が弾む。
「ねえ、サニー。パーティーで気になる男、いた?」
「いや、私はそういうのは興味なくて……勉強が大事だし……」
「そうなの? あなたなら、玉の輿狙えると思うんだけどな。そしたらあなたも貴族になって、卒業後も私とずっと一緒に友達でいられる」
「貴族にならないと……あなたの友達でいられない?」
「そりゃそうよ。あなた、まさか……魔法を仕事にするつもりなの⁉」
ほとんどの貴族子女にとって、王立魔法学園は、魔力を代々受け継ぐ貴族として教養や品位を身につける場であり、魔法使いを目指して真剣に魔法を学ぶ場ではなかった。
それは、天性の才能で成績トップを維持しているブルームーンも同じだった。
彼らにとって魔法とは、貴族のたしなみであり、庶民を威圧する手段であり、あるいは将来の政略結婚に彩りを添えるための装飾品でしかなかった。
「私は、庶民出身だから……魔法使いになって家族を養うことが、人生の夢なの」
「そっか……」
ブルームーンはそうつぶやくと、寂しげな目で、サニーを見つめてきた。サニーは、何も言葉を返すことができなかった。
その夜、二人は同じベッドで眠った。
「寒いでしょ。もっと、くっついていいよ?」
「う、うん……ありがとう……」
暖かい寝具の中で、憧れのブルームーンが隣にいる事実に、サニーの胸は震えた。夢のような友情の時間だった。
その日からサニーは、魔法の理論と実技の両面にわたって、さらに勉学へと励むようなった。
「貴族の奥様になるなんて、私には無理。せめてこの学校にいる間だけでも、ブルームーンの友人として、いい成績を取って、彼女に恥をかかせないようにしなきゃ……」
真剣に魔法を学ぶ気がない貴族子女の生徒と違って、サニーは貧しい出身であることを原動力に変え、ひたすら研究に打ち込んだ。夜遅くまで図書塔にこもり、実験室で杖を振るい、魔法陣を書き殴った。
サニーの試験成績は上昇を続け、ブルームーンに次ぐ、学園第二位の実力者として、その名を知られるようになった。
そして最終学年になると、ついにブルームーンを抑え、成績表の一番上にサニーの名前が貼り出され始めた。
それと同時に、ブルームーンの周囲では、微妙な空気が漂いはじめた。
「最近のサニー、いい気になりすぎじゃない?」
「奨学金目当てで、先生に媚びてるのよ。次々に、彼氏を取っ替え引っ替えって噂も……」
「学費もドレスも借り物のくせに、よくやるわね」
陰口は、やがてサニー自身の耳にも入るところとなり、彼女の心を大いに傷つけた。しかしそれ以上に、ブルームーンがサニーに向ける笑顔が、今までとは違ってどこかぎこちなく見えたことが、何よりも心に刺さった。
(ブルームーンたちと、何とか仲直りしなくちゃ……)
──そして、運命の卒業試験一週間前。
「卒業パーティー、王太子殿下がいらっしゃるんだって」
ブルームーンの取り巻きたちが、紅茶をすすりながら話していた。卒業試験での成績最優秀者は、卒業記念ダンスパーティーのVIP席で、王太子と終日同席することが発表されたのだ。
男子ならば王家との強いコネを作って出世の糸口をつかみ、女子ならお妃候補レースに名乗りを上げられる、願ってもない大チャンスであった。
「ブルームーン様が絶対、1位取らなきゃダメよ」
「ブルームーン様がお妃候補に選ばれたら、王家とアイスベルグ伯爵家の縁も深まって、国も安泰よね」
取り巻きの少女たちが不穏な視線を交わす。
「でも、今のままだと、サニーが1位よ」
「どうにかしなきゃ、ね」
「ブルームーン様が殿下とダンスでも踊れたら、一発でお妃候補決定よね」
「絶対に、サニーには踊らせちゃダメ」
その頃サニーは、ブルームーンたちとの友人関係に不安を抱えながらも、卒業試験に向け、全力で勉強を続けていた。
(試験が終わったら……卒業記念パーティーか。ハンター・ブラッドストンも、来るのかな……)
サニーは、窓の外の夕日を見つめた。この時既に彼女は、自分自身でも気づかぬまま、恐ろしい罠の中へと足を踏み入れていたのだった──。
サニーは目を丸くした。
伯爵令嬢ブルームーン主催の、ティーパーティー。
目の前の三段ケーキスタンドには、苺のタルト、色とりどりのマカロン、フルーツワッフル、クロテッドクリームとジャムを添えたスコーンなど、まぶしいほど美しいスイーツが盛り付けられている。
「し、幸せ……こんなおいしいもの、人生で初めて……」
マカロンを一口つまんで至福の笑顔を見せたサニーを、周囲の貴族子女たちは少し物珍しそうに見ていた。だが、ブルームーンがサニーを隣に座らせている以上、誰も文句は言えなかった。
サニーはブルームーンに言われるがまま、オシャレをするようになった。貸してもらったドレスに袖を通し、ブルームーンと取り巻きたちから、メイクのコツを熱心に学ぶ。
「私は色黒だから、少しくらい化粧したって、あんまり代わり映えしないと思うけど……」
「そんなことない。私こそ北国の生まれだから、日に当たってなくて青白いだけなのよ。サニーは、暖色系のハッキリした色を身につけると、すごく映えるんじゃないかな。素材がいいんだから、もっと自信持って」
ブルームーンは微笑みながら、リボンの位置を直してくれた。そうやって着飾ったサニーは、ブルームーンにあちこちと連れ回された。
「私に『様』とか付けなくていいよ。ブルームーンって、呼び捨てにして。でないとあなた、どこ行ってもナメられちゃうから」
学期末、ブルームーンはサニーを自邸のホームパーティーへ招いた。アイスベルグ伯爵邸は雪の結晶をあしらった装飾が美しく、館そのものがまるで魔法のような芸術作品だった。
「サニー、ホームパーティーって来たことある?」
「ううん、初めて。なんか、緊張する」
「大丈夫よ。正式な社交界デビューとは違って、私たちみたいな若者が中心の、プライベートな集まりだから。困ったら、私のそばに来て」
それでも、サニーは美しくなった自分に自信が持てず、目立たないよう壁際に立っていた。それでも、何人かの若い貴族男性が、サニーに声をかけてきた。
「おや、こちらは……? アイスベルグ伯爵令嬢のご友人で?」
「え、えっと……はい、そうです。あの、サニー・ブラックモアといいます……」
「珍しいお名前ですね。ご一緒に庭の散歩でも──」
「あっ、すみません。私、ちょっと失礼します……!」
サニーが逃げるようにブルームーンのそばへ戻ると、ブルームーンの横には、騎士ハンター・ブラッドストンが控えていた。
ハンターはサニーをチラリと見た。だが、それもほんの一瞬のことで、単にブルームーン警護の必要上、目をやったに過ぎなかった。彼の視線はすぐに、ブルームーンの横顔へと戻っていった。
(やっぱり彼は、私なんか眼中にないのね……)
パーティーのあと、サニーはブルームーンに誘われて、一緒に伯爵邸の大浴場に入った。湯気の中で、二人の会話が弾む。
「ねえ、サニー。パーティーで気になる男、いた?」
「いや、私はそういうのは興味なくて……勉強が大事だし……」
「そうなの? あなたなら、玉の輿狙えると思うんだけどな。そしたらあなたも貴族になって、卒業後も私とずっと一緒に友達でいられる」
「貴族にならないと……あなたの友達でいられない?」
「そりゃそうよ。あなた、まさか……魔法を仕事にするつもりなの⁉」
ほとんどの貴族子女にとって、王立魔法学園は、魔力を代々受け継ぐ貴族として教養や品位を身につける場であり、魔法使いを目指して真剣に魔法を学ぶ場ではなかった。
それは、天性の才能で成績トップを維持しているブルームーンも同じだった。
彼らにとって魔法とは、貴族のたしなみであり、庶民を威圧する手段であり、あるいは将来の政略結婚に彩りを添えるための装飾品でしかなかった。
「私は、庶民出身だから……魔法使いになって家族を養うことが、人生の夢なの」
「そっか……」
ブルームーンはそうつぶやくと、寂しげな目で、サニーを見つめてきた。サニーは、何も言葉を返すことができなかった。
その夜、二人は同じベッドで眠った。
「寒いでしょ。もっと、くっついていいよ?」
「う、うん……ありがとう……」
暖かい寝具の中で、憧れのブルームーンが隣にいる事実に、サニーの胸は震えた。夢のような友情の時間だった。
その日からサニーは、魔法の理論と実技の両面にわたって、さらに勉学へと励むようなった。
「貴族の奥様になるなんて、私には無理。せめてこの学校にいる間だけでも、ブルームーンの友人として、いい成績を取って、彼女に恥をかかせないようにしなきゃ……」
真剣に魔法を学ぶ気がない貴族子女の生徒と違って、サニーは貧しい出身であることを原動力に変え、ひたすら研究に打ち込んだ。夜遅くまで図書塔にこもり、実験室で杖を振るい、魔法陣を書き殴った。
サニーの試験成績は上昇を続け、ブルームーンに次ぐ、学園第二位の実力者として、その名を知られるようになった。
そして最終学年になると、ついにブルームーンを抑え、成績表の一番上にサニーの名前が貼り出され始めた。
それと同時に、ブルームーンの周囲では、微妙な空気が漂いはじめた。
「最近のサニー、いい気になりすぎじゃない?」
「奨学金目当てで、先生に媚びてるのよ。次々に、彼氏を取っ替え引っ替えって噂も……」
「学費もドレスも借り物のくせに、よくやるわね」
陰口は、やがてサニー自身の耳にも入るところとなり、彼女の心を大いに傷つけた。しかしそれ以上に、ブルームーンがサニーに向ける笑顔が、今までとは違ってどこかぎこちなく見えたことが、何よりも心に刺さった。
(ブルームーンたちと、何とか仲直りしなくちゃ……)
──そして、運命の卒業試験一週間前。
「卒業パーティー、王太子殿下がいらっしゃるんだって」
ブルームーンの取り巻きたちが、紅茶をすすりながら話していた。卒業試験での成績最優秀者は、卒業記念ダンスパーティーのVIP席で、王太子と終日同席することが発表されたのだ。
男子ならば王家との強いコネを作って出世の糸口をつかみ、女子ならお妃候補レースに名乗りを上げられる、願ってもない大チャンスであった。
「ブルームーン様が絶対、1位取らなきゃダメよ」
「ブルームーン様がお妃候補に選ばれたら、王家とアイスベルグ伯爵家の縁も深まって、国も安泰よね」
取り巻きの少女たちが不穏な視線を交わす。
「でも、今のままだと、サニーが1位よ」
「どうにかしなきゃ、ね」
「ブルームーン様が殿下とダンスでも踊れたら、一発でお妃候補決定よね」
「絶対に、サニーには踊らせちゃダメ」
その頃サニーは、ブルームーンたちとの友人関係に不安を抱えながらも、卒業試験に向け、全力で勉強を続けていた。
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