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1章 あるところに白雪という男の子がいました
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「……気のせい? ですか?」
「そう。気のせい」
由起也は医師の説明に呆然とした。
「確かに君は、いわゆるバラ科食物アレルギーだけれども、バラの花で発症は普通しない。アレルギーを引き起こす物質が、そもそも全然違うんだよ」
「それは知ってます。主治医の先生にも、そう言われましたから。でも今回、実際にバラの香りで呼吸困難を起こしたんですけど……」
「だからそれは、気のせい。強迫観念と言った方がいいかな」
「きょうはくかんねん」
世の中にはいろんなアレルギー体質の人がいる。
由起也は、りんごや桃、梅、プラム、梨などの食物を口にすると、呼吸困難を起こすタイプのアレルギー体質だ。これらの食物は全て、バラ科。つまりバラ科食物アレルギーだ。
それが発覚したのは、由起也がまだ乳児のころ。母親が、離乳食の定番、すりおろしたりんごを由起也に初めて与えた時だ。すりおろしたりんごを口にした由起也がけいれんを起こし、慌てて病院に駆け込んで、りんご等にアレルギー反応を起こすことが分かったのだ。
しかしりんご等がバラ科だとしても、バラの花そのものが原因になることはないと医師には言われていた。バラの花を直接口にすることはほぼほぼないし、花粉だって観賞用のバラからは大量に飛散することもない。そもそもりんご等のバラ科食物のアレルゲンは、バラの花には含まれていないのだ。
そのあたりのことは、主治医からきちんと説明を受けてはいたし、由起也もそれを頭では理解している。
けれど、由起也はバラの花を見ると、怖いと思ってしまうのだ。しかも今回初めて実際に呼吸困難を起こしてしまったので、改めてバラの花アレルギーの可能性を医師に問うたところ「気のせい」という答えが返ってきた。
「そんなに気になるんだったら、一度、テストを受けてみたら? 自費になるから、結構お金かかるけど」
「う……。やめておきます」
「あんまり気にしないのが一番だよ。お大事に」
気にしない。今までだって、そう自分に言い聞かせてはきたんだよなぁ。
……まぁ、この前みたいなとんでもない本数のバラなんて、そうそうお目にかかることはないか。
と、由起也は思い直し、病院を後にした。
しかし由起也は、バラの花束には再会しなかったが、超絶イケメンとは再会することになるのであった。
「そう。気のせい」
由起也は医師の説明に呆然とした。
「確かに君は、いわゆるバラ科食物アレルギーだけれども、バラの花で発症は普通しない。アレルギーを引き起こす物質が、そもそも全然違うんだよ」
「それは知ってます。主治医の先生にも、そう言われましたから。でも今回、実際にバラの香りで呼吸困難を起こしたんですけど……」
「だからそれは、気のせい。強迫観念と言った方がいいかな」
「きょうはくかんねん」
世の中にはいろんなアレルギー体質の人がいる。
由起也は、りんごや桃、梅、プラム、梨などの食物を口にすると、呼吸困難を起こすタイプのアレルギー体質だ。これらの食物は全て、バラ科。つまりバラ科食物アレルギーだ。
それが発覚したのは、由起也がまだ乳児のころ。母親が、離乳食の定番、すりおろしたりんごを由起也に初めて与えた時だ。すりおろしたりんごを口にした由起也がけいれんを起こし、慌てて病院に駆け込んで、りんご等にアレルギー反応を起こすことが分かったのだ。
しかしりんご等がバラ科だとしても、バラの花そのものが原因になることはないと医師には言われていた。バラの花を直接口にすることはほぼほぼないし、花粉だって観賞用のバラからは大量に飛散することもない。そもそもりんご等のバラ科食物のアレルゲンは、バラの花には含まれていないのだ。
そのあたりのことは、主治医からきちんと説明を受けてはいたし、由起也もそれを頭では理解している。
けれど、由起也はバラの花を見ると、怖いと思ってしまうのだ。しかも今回初めて実際に呼吸困難を起こしてしまったので、改めてバラの花アレルギーの可能性を医師に問うたところ「気のせい」という答えが返ってきた。
「そんなに気になるんだったら、一度、テストを受けてみたら? 自費になるから、結構お金かかるけど」
「う……。やめておきます」
「あんまり気にしないのが一番だよ。お大事に」
気にしない。今までだって、そう自分に言い聞かせてはきたんだよなぁ。
……まぁ、この前みたいなとんでもない本数のバラなんて、そうそうお目にかかることはないか。
と、由起也は思い直し、病院を後にした。
しかし由起也は、バラの花束には再会しなかったが、超絶イケメンとは再会することになるのであった。
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