俺の人生をめちゃくちゃにする人外サイコパス美形の魔性に、執着されています

フルーツ仙人

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番外 三十一 支配者の館

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 トウゴ青年から退魔師業界の色々な内容を聞いて、ダリオも段々考えが固まって来た。
 ちなみに、トウゴくんはお兄ちゃんのキミヒコ氏の「俺も一緒に行くから!」という心配を、実に十八歳らしく「うぜぇ」と一蹴して、ひとりで来た模様である。
 そうして、テオドールが用意した館の坂の前でああ(ゲロ吐きそう)なっていたらしい。
 しかも兄のキミヒコが五月蝿いので、別の高級宿泊ホテルから黙って出てきたという。キミヒコ氏も浮かばれない。今頃発狂してるかもしれないから、連絡は早めに入れてあげてはどうかなとダリオは思った。
 なにしろ、ポシェットを燃やされ、真顔の青年型で顕現したテオドールに対して、キミヒコは弟をかばったまま、「賠償します!!」と叫んだ、ある種の傑物だ。中々の弟愛を感じる。
 弟のトウゴはそれに対して、「うぜぇ」なのが、まあそうだよな、十八歳だもんなーと他人事のように(他人事だが)思うダリオだった。
 また、元々退魔事務所ではないが、似たようなスモールビジネスは考えていたところだ。
 ロードス財団の会長、ジェームス・ロードスに、「事務所を開くなり、名刺を持つといいかもしれんよ。個人ではなく、法人格を持つことで守られることもあるだろう」、と助言を受けたのもある。
 さすがにダリオも、法人の設立は考えていない。しかし、個人事業主として、学生の内に低リスクで始めるのは有りだなと思っていた。
 ダリオは経済学部で公認会計士を目指しているし、多少はホームページ作成やアプリケーション関連も技術や伝手がある。
 また、師匠と言えるのか、マジックアイテムショップのヘルムートから学んでいる最中だ。ちなみにトウゴにヘルムートの店の話をしたら、口の中に唐辛子でも突っ込まれたような顔をしていた。
 それどういう気持ちなんだ? とダリオは思ったが、トウゴの方が「もう突っ込まねぇからな」と話を終わらせてきたので、はぁ、と返事して、何故かキレられた。
 トウゴくんは情緒不安定ではないだろうか。
 そういうわけで、個人事業主で始めるにしても、同業者ってどうしてんのかな~という情報の欠けについては、トウゴが何故かレクチャーを始め、手伝ってやってもいいと言い出したので半ば解決である。
 肝心の退魔稼業も、テオドールがいれば問題ない。むしろ注意点は、やり過ぎないようにすることだろう。
 ダリオが事務所を開こうと半分以上計画を現実のものにするべく考えていたのは、色々理由はあるが、寿命問題解決のためでもある。
 一応見当をつけているところはあって、渡り合うにもこの業界での実績がほしいよな~と考えていたのだ。
 実績は信頼だし、信頼がないと取引は難しいだろう。
 現在、(ダリオと)テオドールが退魔関連業界に与えたのは、信頼ではなく恐怖とインパクトだ。妙な動きもあると聞いて、まあそういうことだよなと内心腹に落ちている部分もある。 
 あとは、シンプルに、俺のやりたいことって事務所開いて実績が作れればけっこう解決なのではと思ったところが大きい。
 いたましい事件に巻き込まれるたびに、被害者の霊と言葉をかわして、解決を見ても、しっくりこないところがあった。
 たぶんそれって、警察になっても解決しねーことなんだよな、とダリオは思っている。
 しかし、魔女の家事件の時、刑事たちのおかげで異父妹の行方不明が知れたように、怪異サイドだけでも情報が手落ちで解決しない。
 両方だ。
 両方の世界に関わる必要がある。
 警察でもない、マジックアイテムショップ店員でもない、巻き込まれ怪異事件解決でもない、全部関われて、全部取る。
 トウゴ曰く、アシヤ家はキョート警察とも協力要請を受けて仕事をすることがあるらしい。
 連邦もそうだろ、と彼は言う。
 あー、そういや、とダリオは心当たりがあった。
 魔女の家事件の時だ。ロリペド女装犯人に殺された、ルーナという児童のゴーストである。彼女から犯人の情報を得て、反則的に犯人逮捕につながった。
 妙な動きをしたダリオに、リーゼント刑事が今後もしかしたら関わることになるかもと言っていたのだ。
 『ま、そこは追求しません。長いこと刑事やってますと、ダリオさんのような方にも伝手ができますので。あ、もし大学卒業後、こっち方面のコンサルタントでもされるようでしたら、おねがいすることもあるかもしれませんな』
『……あー、はい。ありがとうございます……?』
 あの時は意味がわからなかったが、やり取りを思い出しても、トウゴの言う内容を指すなら腑に落ちる。
 コンサルタントとは、怪異関連、ゴースト・コンサルタントということだろう。
 つまり、信頼実績のある退魔師は、警察からも声がかかる。
 帰宅したら、テオに相談するか、とダリオは思った。
 事務所は、家でいいかなーと言ったら、トウゴが「こいつ正気か」みたいな目で見てきたので、ダリオも説明する。
「anyazonの配達員だって来るし、近所の怪異が最初テオに挨拶に来てたし、問題ないと思う」
「はぁ?! そんなわけねーだろ……」
 言いかけて、トウゴは頭を抱えた。
「いやでも実際問題ねえのか? ……条件付け……招いた相手には害を与えねーとか? いやそれだと不意の来客には対応できねぇ……」
 プログラムの分岐命令に行き詰まった工学部生のような状態になってしまい、追加の珈琲もすっかり冷めてしまっている。
 専門家ゆえの苦悩らしい。眉間にくっきり皺を刻んで葛藤する十八歳が、素人の自分からすると「そういうもん」で済ませているぶん、少し気の毒に思えるダリオだった。
 
 
 
 
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