ピーナッツバター

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君に触れたかったんだ⑦

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僕は続けて言った。

「僕は何でも知っているよ。ずっと見ていたからね」

「え…、どういうこと‥?」

戸惑う彼を置いて、僕は理科室の扉の方へ向かい、鍵を締める。

彼は警戒の色を濃くし始めるがもう遅い。

ここに不用心に入ってきた時点でもう遅かったんだ。

「言葉のとおりさ。ずっと君を見ていた。君の家も知っているし、あの体育教師と一緒に暮らしていることも知っている。」

「…どうして…」

「どうして知ってるのかって?言ったじゃないか。好きだからだよ。君の事が好きで、ストーカーのように付け回していたんだよ。君は全く気付きもしない。もっと警戒心を持った方がいいよ?今日だって見ず知らずの人からの手紙を読んだだけで、のこのこ来ちゃってさ。まぁそんなところが好きなんだけどね、僕は」

自分でもびっくりするほど、僕は喋った。

言葉が堰をきったように溢れ出した。

彼は、わかりやすく怯え始め、ドアの方に向かおうとするが、僕は彼の細い腕を掴んでそれを制した。

「逃げちゃ駄目だよ。まだ僕の話、終わってないよ?ねぇ、結城くん、僕、明日を最後に転校するんだ。だから、告白しようと思ったんだ。でも断られる事はわかっていた。だから、僕は君に"したいこと"をさせてもらうことにしたよ。無理矢理ね。どうせ僕は明日学校に来るのが最後だからね」

彼は、みるみる青ざめた。

「…やだ、手、離して…!」

彼は震える声で言い、僕の手を引き剥がそうとする。

「言ってもいいの?山口ひよし先生との事を」

彼はピクッと動きを止めた。

「困るよねぇ?特にあの体育教師の方は、色々大変なんじゃないかな?生徒の、しかも男の子と同棲してるなんてさ」

「…っ、卑怯だよ…!こんなの…!」

彼の悔しそうな表情がたまらない。

「安心してよ。君が僕の言うとおりにしてくれれば、秘密は守るよ。でも、抵抗したり逃げ出したりしようとしたら、わかるよね?」

彼は悔しそうな表情のまま、小さくコクリと頷いた。

ふふ、どこまでも優しい子だ。

そんなにあの体育教師が大事か。
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